今からはるか昔に、イギリスやフランス、スペインなど、多くの国からの入植者が、アメリカの文化を発展させてきました。それが、多様性に富むアメリカの文化の源です。それは、住宅においても同じで、アメリカには、多彩なデザインの住宅があります。
「風と共に去りぬ」でスカーレットの住む大きな邸宅は、イギリスのジョージアン様式の建築スタイルの家でした。ドイツの影響を受けたチューダー様式の家は、アルプスの少女ハイジに出てきそうな外観の家です。イタリアの貴族の避暑地にあった荘園タイプの家もあります。
でも私たち日本人が、アメリカの家と聞いて、思い浮かべる家は、ラップサイデイングの家ではないでしょうか? ラップサイデイングのもとになっているのは、ニューイングランド様式の家です。切り妻屋根とラップサイデイングの組み合わせの外観デザインは、アメリカ映画などでもおなじみです。
そして、最も身近に感じられるアメリカの家と言えば、カリフォルニアスタイルの家、西海岸風の家です。白いラップサイデイングの家です。そんなイメージを持つ、楽しさに溢れる家が、狭小地特有の問題を克服し、東京都内の狭小地に建っています。
アメリカンな家・狭小住宅の建築事例
白いラップサイデイングの家です。カリフォルニアスタイルでお馴染みのポーチの代わりに、広いバルコニーがついています。
約10坪の土地ですが、3階建てにして、十分な居住空間を確保しました。
広々とした空間にするため、家の中には、間仕切壁がありません。
さらに吹き抜けが、陽射しと風を採りこみ、空間をより開放的な雰囲気にしています。
この空間を実現したのは、SE構法です。
木造住宅に高い耐震性を持たせるSE構法
一般的には、まだ知る人の少ないSE構法ですが、木造住宅の建築方法の中で、最も優れた構法です。これから家を建てることを検討している方は、ぜひSE構法についての知識を持ってください。地震大国の日本において、耐震性の高さは、住宅には欠かせない要素だからです。SE構法の家は、内部が、がらんどうというほどの間取りの家を建てても、絶対安全な、耐震性能を実現できる構法の家です。
SE構法は、もともとは、スケート場や、大型店舗など、個人の住宅ではなく、大規模な建物に使われていた技術を、住宅建築に活かすために開発された構法です。長野オリンピックでスケート場に使われた「エムウェーブ」をご覧になった方もいるのではないでしょうか?屋根部分には、木の集成材が使われていました。最近では、新国立競技場が、木材を多用したことが話題になりました。
このような大型建築物と、一般的な戸建て住宅では、構造に関する考え方が異なります。一般的な戸建て住宅は、大工さんの熟練した技術で、建てられてきました。その為、大工さんの熟練度によって、住宅の完成度には、幅があります。しかし、大型建築物を建造する場合、すべては、科学的に裏付けされた根拠のある数字を基に、設計と施工が進められます。この考え方を、個人の戸建て住宅に取り入れた建築方法が、SE構法です。
SE構法の開発が始まった理由は、阪神淡路大震災です。阪神淡路大震災によって、多くの家が倒壊し、尊い人命が失われました。次に大きな地震が起きるまでに、「絶対に壊れない木造住宅を日本中に広めたい」という想いで、SE構法は開発されました。倒壊した住宅を検証し、どんな地震が起きても倒壊しない住宅、人命を失わせない住宅を普及させるためです。
阪神淡路大震災以降、現在までに、震度6以上の地震は4回も発生していますが、SE構法の家は1棟も壊れませんでした。
阪神・淡路大震災 | 平成7年 | 震度6 | マグニチュード7.3 |
鳥取県西部地震 | 平成12年 | 震度6強 | マグニチュード7.3 |
岩手・宮城内陸地震 | 平成20年 | 震度6強 | マグニチュード7.2 |
東日本大震災 | 平成23年 | 震度7 | マグニチュード9.0 |
熊本地震 | 平成28年 | 震度7 | マグニチュード6.5 |
開放的な空間を造れるSE構法
日本の木造住宅のほとんどは、在来工法、またはツーバイフォー工法で建築されています。在来工法は、柱や梁で軸組を作り、ツーバイフォー工法は、規格サイズのパネルを組み合わせて、住宅を建築します。
ツーバイフォーは、在来工法に比べて、耐震性が高いといわれていますが、パネルのサイズと組み合わせ方が決まっているので、間取りに制限があります。将来的に間取りを変更したり、増改築をしたりすることもできません。在来工法は、間取りの自由度が高く、将来的に間取りを変更したり、増改築をしたりすることもできます。ただし、高い耐震性を確保するためには、家の中の適切な位置に、耐力壁を設置しなくてはなりません。その為、間取りや増改築に、ある程度の制限は出てきてします。吹き抜けのある大空間や、間口いっぱいの開口部を自在に造るというわけにはいきません。
SE構法は、どちらの弱点も克服できる構法です。高い耐震性を維持しつつ、吹き抜けのある大空間や、インナーガレージを造れます。
SE構法では、構造用集成材を使って構造躯体を造ります。木材には、無垢材と集成材があります。無垢材の内装は、室内の環境を調え、インテリア性を向上させるので、多くの人に好まれます。しかし、構造部に使った場合、構造用集成材ほどの精緻さはありません。なぜなら、自然の木のままなので、乾燥の度合いや強度が均一ではないからです。構造用集成材は、乾燥の度合いや、強度が均一です。そして、設計に合わせて、部分ごとに必要なサイズの部材が作られます。
この部材で造られた柱と、梁を組み合わせる際には、特殊な金物を使います。大地震で倒壊した木造住宅の中には、柱と梁の接合部が壊れてしまったケースもありました。しかし、特殊な金物で、強固に接合してあるSE構法では、接合部が壊れることはありません。
乾燥の度合いと強度が高く、接合部が壊れない建物は、地震の連続した揺れにも、耐えられます。また、柱と基礎の連結部分も耐震性に、大きく影響します。揺れが、柱を引き抜こうとするからです。SE構法の家は、基礎と柱の連結部にも、特殊な金物を使い、揺れの引き抜きに対する強靭さも備えています。
狭小住宅の場合、そのほとんどが3階建てなので、構造計算を行うことが、義務付けられています。しかし、SE構法の家では、2階建てであっても、必ず構造計算をします。そして構造計算に基づいて、住宅の建築に使う部材の種類や大きさ、金物を設定、専用の工場で、精度の高い部材が緻密な作業で作られます。
このようにして作られた構造用集成材を使って、造られるSE構法の家の構造部は、ラーメン構造です。ラーメン構造とは、コンクリート造の建物で使われる構造です。強靭な枠組みを造るため、家の内部に耐力壁が必要なく、広い空間が作れる工法です。
家の中に、構造上外せない壁がないため、吹き抜けだけではなく、天井から床まで間口いっぱいの大開口でも、仕切りのないワンルームでも、自在に造りだせます。また、SE構法に使われている耐力壁は、通常の耐力壁の3,5枚分の厚さと、2倍以上の強度を備えています。
耐震性の高さ、間取りと空間の自由度の高さを考えると、これほど狭小住宅の建築に向いた構法はありません。暮らしやすい狭小住宅にするために必要な、吹き抜けやスキップフロア、インナーガレージを間取りに採り入れても、高い耐震性を維持できるからです。
東京で、狭小住宅を建てることを検討されている方には、SE構法での建築をお勧めします。
ホープスの狭小住宅への想い
ホープスは、狭小住宅での快適な暮らしを実現させたいという思いで、すべての住宅の建築に向き合っています。根本にあるのは、狭小住宅での快適さとは、無駄を省いたシンプルな暮らしにあるのではないかという考え方です。
敷地の形、道路や周辺の環境に合わせて、日当たりと風通しの良い家、プライバシーを確保できる家、高いインテリア性と優れた住宅性能を持つ暮らしやすい家、安心して暮らせる防犯性の高い家をご提案します。
狭いから快適さをあきらめるのではなく、より快適な暮らしを目指して、施主様のご希望に沿った家にしていきます。
狭小住宅としての参考になる建築実例がたくさんございます。ぜひご覧ください。