子育てを機に、賃貸住宅から、戸建て住宅に移り住みたいと計画されるご夫婦は少なくありません。ただ、東京から離れたくないという条件が付くと、戸建て住宅という選択肢は、とても難しくなってしまいます。都内は、土地の価格が高額なので、購入には、郊外で複数の戸建て住宅を建てられるような金額以上かかってしまうこともあるからです。

「家は建てたいけれど、通勤、通学の時間が長くなるのは嫌」

確かに、郊外に家を建てれば、通勤、通学に時間をとられてしまいます。往復で3時間以上かかると、1週間で約1日近くの時間の損失が生まれてしまいます。

「実家から離れた地域に家を建てたくない」

「街並みの雰囲気が好きだから離れたくない」

子供のころから東京に住んでいる人の中には、そんな風に感じている人もいるでしょう。劇場や美術館が日常生活の中にある暮らし、遠くまで行かなくてもお気に入りの店がある暮らし、仕事で遅くなっても買い物ができる暮らしに慣れていると、なかなか東京からは離れられないものです。

ただ、子育て中、または子育てに備えて東京に家を建てるということは、子供の教育資金を蓄えつつ、住宅ローンを返済していくことを考えなくてはなりません。そこで候補に挙がる家づくりの方法が、土地の価格を抑えられる狭小地に建てる戸建て住宅です。

狭小地は、15坪前後の土地です。両脇を住宅に挟まれた15坪前後の土地を見た時、多くの人は、ここに家が建つのだろうか…と不安に思うのではないでしょうか?都内にはそのような面積の土地が点在しています。一般的な一戸分の家が建つような広さの敷地を、手頃な価格で販売するために、分割されている土地もあれば、都市計画などによって削られ、変形地になってしまっている土地もあります。

分割されている土地の中には、旗竿地や、ウナギの寝床と言われる間口が狭く奥行きが長い土地も少なくありません。旗竿地は、間口の狭い通路の奥に、敷地が広がっている旗と竿のような形状の土地です。

この他にも、段差のある土地、三角形の土地など、整形地ではない狭小地は少なくありません。このような土地は、狭小地の中でも、さらに価格が抑えられていますが、郊外の土地よりははるかに高額です。

旗竿地も、細長い土地も、段差のある土地も、三角形の土地も暮らしやすい家にするためには、設計の工夫が求められます。このような難しい条件を持つ狭小地の住宅が、「陽射しの溢れる開放的な空間を持つ家」になった施工事例を、敷地の形状に別けてご紹介します。

Works(株)ホープスの建築実例

狭小旗竿地の家

ペットと暮らす変形旗竿敷地の家

狭小旗竿地の家1

周辺を住宅やマンションに囲まれた旗竿地の狭小住宅です。建物を敷地形状に合わせるかたちで旗竿敷地の「旗」の部分一杯に建物を計画し、また「竿」の部分に一部はね出して部屋をつくっています。これにより3階建て相当の規模を2階建てで実現しコストをおさえ、同時に各階の広がりをつくり出しています。

狭小旗竿地の家2

両脇に隣家が迫っているため、陽射しと風を採り入れる為に設けられた天窓です。天窓からの光は、屋根の骨組みを表しにした高い天井を通して、隣の部屋にも届きます。

狭小旗竿地の家3

ルーフバルコニーのドアとドアの横にある高窓からの陽射しも室内に届きます。

狭小旗竿地の家4

犬は猫と違い、頭部が大きいので、階段の昇り降りが足腰に負担をかけます。そこで、この住宅には、幅の広い緩やかな階段に、コルク張りの犬用スロープが備えられています。

工事場所 東京都大田区鵜の木
竣工年月 2012年12月
主要用途 専用住宅
構造 木造2階(軸組工法)
延床面積 80~100㎡
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間口が狭く奥行きの長い変形狭小地の家

中庭・吹抜けで明るいリビングに 細長い敷地の狭小住宅

細長い狭小地の家1

間口4m、奥行は14mと南北に細長い狭小地に建つ住宅です。敷地の周辺に住宅が密集していなかったとしても、細長い敷地に建てる家は、中心部まで陽射しが届きにくくなりやすいという問題があります。

今回のケースでは、両脇を3階建て集合住宅と2階建て戸建て住宅に挟まれているので、より、日当たりの確保が大きな課題でした。細長い敷地での日当たり確保の手段としては、中庭を設ける、スキップフロアを採用するなどの方法があり、周辺の環境や、敷地の幅と奥行きに合わせて、計画が進められます。

細長い狭小地の家2

今回のケースでは、中庭に加えて、建物の中央付近に2階バルコニーを配置し、リビング上部の吹き抜けと繋げるという方法で、家全体に陽射しが届く間取りにしました。吹き抜けは、陽射しを届け、風通しを良くし、夏は室内の熱を排出するという働きをします。加えて、狭小住宅においては、狭さから発生する圧迫感を無くし、開放的なリビングを演出するという役割も果たします。

細長い狭小地の家3

吹抜けに沿って長くとられたロフトは、常にリビングの雰囲気が感じられる空間です。ロフトに設置されたカウンターでは、書斎、勉強部屋、趣味や家事の作業場として、家族が思い思いの使い方をできます。

工事場所 東京都世田谷区
主要用途 専用住宅
構造 木造(SE構法)
延床面積 95.0
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段差のある狭小地に建つ家

吹抜けにかかる跳ね出し階段 段差敷地の狭小住宅

段差のある狭小地の家1

間口が4m、奥行きが10mという細長い形状に加えて、段差がある難易度の高い狭小地に建つ住宅です。段差のある敷地には、設計的に難しいという反面、段差を活かした間取りにできるという楽しさがあります。敷地周辺の環境や敷地の形状によっては、浴室に大開口を設けたり、スキップフロアを採用したりすることもあります。

段差のある狭小地の家2

今回のケースでは、段差を活かして半地下を設けました。2階のリビングは、手摺壁を高くしたバルコニーに繋がる掃き出し窓と、ハイサイドライト、吹き抜けからの陽射しが溢れる空間です。バルコニーの手摺壁が高く造られているので、向かい合う住宅からの視線が気になりません。

段差のある狭小地の家3

高度斜線に沿った傾斜天井を活かした収納です。

工事場所 東京都目黒区
主要用途 専用住宅
構造 木造(SE構法)
延床面積 115〜130㎡

 

スキップフロアでつながるリビングダイニングのある家

スキップフロアのある狭小住宅1

僅かな高低差のある狭小敷地に建つ、段差を活かしたスキップフロアを採り入れた住宅です。スキップフロアには、1階と2階の間に中2階を設け、段差で部屋を区切る間取りから、ごくわずかな段差をつけ、畳コーナーを作る間取りまで様々あります。今回は、それほど高くないスキップフロアをダイニングキッチンとリビングの間に設けました。

スキップフロアのある狭小住宅2

スキップフロアのある狭小住宅3

ダイニングキッチンとリビングを繋ぐスキップフロアは、腰かけたり、飾り物を置くスペースにしたり、多彩な使い方を楽しめます。

工事場所 世田谷区豪徳寺
竣工年月 2015年9月
主要用途 専用住宅
構造 木造(SE構造)
延床面積 100~115㎡
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三角形の変形狭小地に建つ家

ダブルエントランスを持つ変形敷地の狭小住宅

変形敷地の狭小住宅1

2 方向を道路に接する三角形の狭小敷地に建つ3 階建ての住宅です。狭小地の中には、三角形や五角形などの変形地もあります。変形敷地では、どうしてもデッドスペースが増えてしまう傾向にあります。今回のケースでは、三角形の良さをプランニングに活かし、メリハリのある空間が造られています。

変形敷地の狭小住宅2

キッチンからリビングに向けて広がっていくLDKには、造作家具のダイニングテーブルを設けることで、無駄なスペースが生まれないように工夫されています。

変形敷地の狭小住宅3

交通量の少ない方の道路に面している玄関には、内扉と玄関扉を兼ねるような大きな引き戸2 枚(ダブルエントランス)が設けられています。

工事場所 大田区南千束
竣工年月 2014年9月
主要用途 専用住宅
構造 木造(SE構造)
延床面積 80~100㎡

 

Works(株)ホープスの建築実例

ホープスの狭小住宅への想い

東京,吹き抜け,狭小住宅,三階建て,注文住宅,SE構法

ホープスは、狭小住宅での快適な暮らしを実現させたいという思いで、すべての住宅の建築に向き合っています。根本にあるのは、狭小住宅での快適さとは、無駄を省いたシンプルな暮らしにあるのではないかという考え方です。

敷地の形、道路や周辺の環境に合わせて、日当たりと風通しの良い家、プライバシーを確保できる家、高いインテリア性と優れた住宅性能を持つ暮らしやすい家、安心して暮らせる防犯性の高い家をご提案します。

狭いから快適さをあきらめるのではなく、より快適な暮らしを目指して、施主様のご希望に沿った家にしていきます。

狭小住宅としての参考になる建築実例がたくさんございます。ぜひご覧ください。

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著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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