狭小住宅には、吹き抜けのあるリビングが良く見受けられます。狭い家のはずなのに、開放的な空間に感じられ、洗練された雰囲気のリビングです。そのリビングは、明るい陽ざしに溢れ、春から夏にかけて、または秋口など、気候の良い季節には、窓から風も心地よい部屋です。
狭小地に家を建てようと検討する際に、「居心地の良い家」を作るポインになる、吹き抜けのあるリビングについて、考えてみましょう。
狭小住宅と吹き抜けのあるリビングの相性が良い理由
東京に建てる家は、狭小地に建てるケースが非常に多くあります。そして狭小地は、ほとんどの場合、密集した住宅地にあります。その為、狭小住宅は、郊外型の一般的な住宅と、同じような設計で建ててしまうと、室内環境を調えにくい家になってしまう恐れがあります。でも、吹き抜けを間取りに採り入れれば、多くの問題を解決できます。
■ 日当たりと風通し
狭小地に建てる家は、一般的な住宅と同程度の床面積を確保するため、階数を増やします。法の制限内で、増やすので、木造住宅の場合は、3階建てがほとんどです。
3階建てとは言っても、狭小地に建てる3階建ては、細く長い形状の住宅です。周りが開けた環境に建てる3階建てと違い、細く長い3階建ては、1階と2階部分に、陽射しと風が、取り込みにくくなってしまいます。その結果、日当たりと風通しの悪い家になってしまうのです。
そのような室内環境を、日当たりと風通しの良い室内環境にするために、吹き抜けは大変効果的です。3階で採り込んだ陽射しを、1階と2階の部屋に届けられます。
さらに、吹き抜けは、風通しも良くします。対面した壁に、それぞれ開口部があれば、風は通りますが、もし、その開口部の位置に、高低差があれば、より風通しが良くなります。風は、低い位置から高い位置へと吹き抜けていく性質があるからです。
その為、吹き抜けがあると、1階や2階の部屋の窓から、3階の窓への風の通り道ができ、風通しの良い家になるのです。
■ 開放的な空間
狭小住宅は、間取りによっては、狭さによる圧迫を感じる家になってしまいます。忙しい現代人にとって、家での時間は、居心地の良い空間で、ゆったり過ごしたいはずです。にもかかわらず、東京に住むことを決断したために、圧迫感とともに過ごさなくてはならないとしたら、家は安らぎの場ではなくなってしまいます。
家は、家族にとって、家族の愛情を感じられる場所、安らぎを感じる場所でなくては、ならないはずです。狭小住宅であっても、癒されるリビングにしなくてはなりません。その為には、狭さによる圧迫感をなくすこと、開放的な空間を造ることが大切です。開放的な空間を造る方法としても、吹き抜けは、効果的な手段です。1階と2階の天井がなくなるので、広々とした空間が生まれます。
■ トップライトを活かせる
密集した地域に建つ住宅での問題の一つは、外部からの視線です。日当たりを良くするために、大きな窓をたくさんつけたものの、実際に暮らし始めてみたら、隣家や道路からの視線が気になり、シャッターを下ろしたまま生活しているというような悲惨なケースにはしたくありません。
外部からの視線が気にならない窓として、考えられる窓は、トップライトです。天井に設置するので、隣家や、道路からの視線が気になりません。壁面につける窓に比べて、約3倍の採光量が得られることも、狭小住宅にはありがたい魅力です。
吹き抜けは、トップライトから採り込んだ陽射しを、1階と2階まで届けるので、トップライトの働きを、十分に活かすことができます。
吹き抜けのある家になくてはならない性能 断熱性と気密性
吹き抜けのあるリビングは、陽射しが溢れ、風が通りぬけていく、外部からの視線が気にならない、理想的なリビングです。ただし、そのリビングを快適な空間にし、家全体を安全にするためには、高い住宅性能が求められます。
家の中の温度は、季節の変化に伴って変わります。外が寒くなれば寒くなり、暑くなれば暑くなります。室内が、外気温と同じであったら、夏や冬には、家の中で、快適に過ごせません。その為に、冷暖房をするわけですが、断熱性と気密性の低い家では、冷暖房の効率が落ちてしまいます。
吹き抜けのある家は、空間が広いため、さらに冷暖房の効率が落ちます。冬は、1階と2階の暖かい空気が、すべて3階に上がっていってしまうからです。夏は、トップライトからの直射熱が、リビングを直撃します。
吹き抜けのあるリビングは、冬は寒くて、夏は暑いリビングになってしまう恐れがあるのです。そのようなリビングにしないためには、住宅の断熱性と気密性を高める必要があります。反対に考えれば、十分な断熱性と、気密性を高めるだけの予算が取れなければ、吹き抜けやトップライトは、設置しない方が良いとも考えられます。
家づくりプランの段階では、図面や模型で、間取りに関しては、おおよそのイメージをつかめますが、室内環境までは、わかりません。したがって、家づくりプランの際に、専門家からのアドバイスを、よく理解できるようにしておくことが大事です。なぜ今、「断熱性と気密性を高めるために予算を使いましょう」と提案されているのか、なぜ、「この窓の位置はやめておきましょう」と提案されているのか、というようなことを理解できれば、よりよい家づくりプランが進行します。
吹き抜けのある家になくてはならない性能 耐震性
細長い3階建ての家は、2階建ての横に広い家に比べると、地震の際に、横からの揺れを受けやすい家です。さらに、吹き抜けのある家は、家の内部に、縦の空間が広がっているので、より高い耐震性が必要です。
一般的な木造住宅で、吹き抜けを採り入れようとすると、耐震性を低下させないため、大胆な吹き抜けが、作れないこともあります。もちろん、耐震性を低下させてまで、開放的な空間のある家にしたいという人はいないでしょう。日本全国、どこに住んでいても地震の心配のない地域はないからです。その中でも、特に東京は、首都直下地震に備えなくてはなりません。
首都直下地震とは、今後30年以内に、70パーセントの確率で起きると予測されている大地震です。これまで、多くの学者が、膨大な国費を費やして、地震の予測の研究をしてきました。しかし、残念ながら、今のところ、地震の予測はできません。したがって、私たちにできることは、マグニチュード7以上の地震が来ても、倒壊しない家、命を奪われる恐れのない家を建てることなのです。
ホープスは、優れた耐震性を持つ「重量木骨・SE構法」で、家を造ってします。SE構法の家は、3階建てはもちろんのこと、2階建ての家であっても、すべての住宅は、構造計算を基に設計されます。日本は、地震や台風など、自然災害が多い国です。そのたびに、安全性が揺るがされるような家は、建ててはいけないのです。構造計算は、どのような地震や台風の揺れにも、耐えうる家を建てるために、絶対に必要な計算なのです。
必ず構造計算をするSE構法は、阪神淡路大震災での大きな被害を受け、開発された木造住宅の構法です。SE構法は、日本で、昔から親しまれている在来工法では実現できない、大空間を、自由自在に造ることのできる構法です。大邸宅も建てられますが、様々な問題点を抱える、東京の狭小住宅には、ぴったりな構法です。吹き抜けのある縦に細長い住宅であっても、絶対に安全な家が完成します。
ホープスの狭小住宅への想い
ホープスは、狭小住宅での快適な暮らしを実現させたいという思いで、すべての住宅の建築に向き合っています。根本にあるのは、狭小住宅での快適さとは、無駄を省いたシンプルな暮らしにあるのではないかという考え方です。
敷地の形、道路や周辺の環境に合わせて、日当たりと風通しの良い家、プライバシーを確保できる家、高いインテリア性と優れた住宅性能を持つ暮らしやすい家、安心して暮らせる防犯性の高い家をご提案します。
狭いから快適さをあきらめるのではなく、より快適な暮らしを目指して、施主様のご希望に沿った家にしていきます。
狭小住宅としての参考になる建築実例がたくさんございます。ぜひご覧ください。