狭小住宅の家づくりを成功させ、家族が暮らしやすい理想の家を建てるためには、優れた設計力が必要です。理想の家づくりには、解決しなくてはならない外的な要素と、満たさなくてはならない内的な要素があります。この2つの要素を満たす設計と、それを支える建築技術が、理想の狭小住宅を実現します。
狭小住宅が持つ外的な要素…敷地の形状
狭小住宅を建てるにあたって、外的な要素は、間取りに制限を与えるので、設計の工夫が求められます。狭小住宅が持つ外的な要素とは、土地の形状と、周辺の環境です。
三角形の変形敷地
狭小地には、旗竿地やウナギの寝床と呼ばれる間口が狭く奥行きの長い土地が多くあります。三角形や五角形の土地、段差や傾斜のある土地も存在します。そのような土地は、正方形や正方形に近い長方形の土地に比べて、間取りの自由度が低下してしまうことがあります。ただし、マイナスにもなりかねない敷地の条件を活かして、暮らしやすい家にする設計力があれば、理想の家は実現します。
ダブルエントランスを持つ変形敷地の狭小住宅
この住宅は、両側を道路挟まれた三角形の敷地に建つ3 階建ての狭小住宅です。
三角形の良さを活かした奥行き感のあるLDK
外部からの視線が気にならないバルコニー
交通量が少ない道路に面して設置された玄関には、内扉と玄関扉を兼ねるような大きな引き戸を採用
東京都大田区南千束 木造(SE構法)延床面積 80~100㎡
旗竿地
旗竿地とは、細い通路の先に敷地が広がっている旗竿のような形状をした土地です。高額な土地の価格を抑えるため、分割された土地や、都市計画で分割された土地など、東京では、多く見受けられる土地の形状です。
ペットと暮らす変形旗竿敷地の家
旗竿地に建てられたこの住宅は、旗の部分だけではなく、竿の部分にも一部はねだして部屋が作られています。この敷地に対して、2階建てのままで、3階建てに相当する床面積を確保し、建築コストを抑える為の工夫です。その結果、一部はねだして設けた部屋が、各階の広がりをつくり出しました。
周辺には高い建物が多く、日当たりと風通しを遮られてしまう環境ですが、天井を高くし、天窓と高窓を組み合わせて、明るく伸びやかな空間を作り出しました。
この住宅は、愛犬が暮らしやすい環境に配慮して建てられました。階段の上り織が苦手な犬の為に、階段と並行してスロープが設けられています。また、家の中のあらゆる場所に、滑りにくいコルクが使われていることも、愛犬の健康維持に繋がります。
大田区鵜の木 木造(在来工法)延床面積 80~100㎡
高低差のある土地
敷地内に段差のある土地は、低い部分の日当たりや風通しを確保しにくいなどの問題がありますが、高低差を活かしてより魅力的な間取りの家になる可能性も秘めています。
吹抜けにかかる跳ね出し階段 段差敷地の狭小住宅
間口4m、奥行き10m、敷地段差あり、という難易度の高い狭小地に建てられた1階部分が半地下になっている3階建て住宅です。
吹き抜けと、プライベート感のあるバルコニー、3階に続くスチール手すりの跳ね出し階段の組み合わせが、実際の面積より広く感じられる空間を生み出しました。
東京都目黒区 木造(SE構法)延床面積 115〜130㎡木造
細長段差敷地を利用した玄関・リビングをもつ狭小住宅
間口3.3m、奥行23mと南北に細長く、最大高低差が2.1mもある難易度の高い敷地に建つ狭小住宅です。
細長い敷地に合わせた手前-中央-奥と各空間のゾーニングと、採光の確保に配慮した結果、1階は西側の空き地を借景したのんびり、ゆったりできる“集”の空間、2階は寝室や書斎、子供部屋という間取りになりました。
半地下部分と畳下のスペースは収納になっています。
東京都世田谷区 木造(SE構法)延床面積 86.63㎡
スキップフロアでつながるリビングダイニングのある家
わずかな高低差のある狭小地に建つ住宅です。敷地内の段差を活かして、リビングとダイニングの間にスキップフロアが設けられています。
スキップフロアの段差は、工夫次第で、暮らしの楽しさを広げます。
世田谷区豪徳寺 木造(SE構法)延床面積100~115㎡
狭小住宅が持つ外的な要素…周辺の環境
密集した狭小住宅の多くに与えられる課題の一つが、陽射しの確保です。周りを戸建て住宅やマンションに囲まれているので、日当たりの悪い家になりやすいのです。
光の降り注ぐ家
住宅が密集している環境において、いかに光を採り入れていくかをテーマにした家です。
家の中心に設けられた縦長のスリット窓とトップライト、スケルトン階段の組み合わせで、家中に光が降り注ぎます。
東京都江東区 木造(SE構法)延床面積 80~100㎡
北側採光リビングに床下収納のある家
窓には、陽射しと風を採りこむ以外に、景観を採りこむという役目もあります。日当たりの良い南側が隣家に密着している、交通量の多い道路に接しているなどの条件がある場合には、南側だけにこだわる必要はありません。北向きの窓からは、直射日光は入りませんが、高い断熱性を備えれば、冬場に家の中が冷え込むことはありません。夏は直射日光が入らない分、涼しく過ごせます。また、光が柔らかいので、目が疲れません。
この住宅の北向きリビングは、大きな吹抜けと、位置とサイズに配慮した窓を組み合わせた設計で、光と風をたっぷり採りこむ居心地の良い空間が造り上げられています。
江東区 延床面積65~80㎡ 木造(SE構法)
敷地10坪。スキップフロアがキャットタワーになる、こだわりの狭小住宅
晴れた日でも照明をつけなくてはならないほど薄暗かった家を、建て直した住宅です。スキップフロアを採用し、家の奥まで陽射しが届く明るい家に生まれ変わりました。
60㎡に満たない延べ床面積にあるにもかかわらず、こだわりの収納と星空を楽しむバルコニーが備わった狭小住宅です。
板橋区 延床面積 約55~60㎡ 木造(SE構法)
狭小住宅が持つ外的な要素…騒音
密集している住宅地に建つ狭小住宅には、周辺の家からの生活音、道路や商業施設からの騒音などに煩わされるという問題もあります。住宅の持つ気密性や防音・遮音性などの機能だけではなく、設計によっても、この問題を解決できます。
ダブルスキンの家
商店街から住宅街に切り替わる位置にある敷地に建つ狭小住宅です。町の賑わいとの緩衝スペースとして、外側に1枚の壁を設けました。
壁と、壁の内側にある、プライベート性のあるテラス空間と坪庭スペースが、街との程よい距離感がとれた落ち着いたLDKを造り出しています。
東京都世田谷区 延床面積 80~100㎡ 木造(SE構法)
狭小住宅が満たさなくてはならない内的な要素
狭小住宅を建てる家族には、それぞれ違った家族の事情があります。家族構成や、暮らし方によって、理想の家のカタチは変わってきます。優れた設計には、敷地が狭いからと言って、あきらめることなく、理想の家を実現する力があります。
内的な要素…二世帯住宅
親世帯と子供夫婦が一緒に暮らす二世帯住宅には、完全同居型、部分共有型、完全分離型があります。少人数の暮らしに慣れている家族の多い現代、多くの家族が完全分離型の二世帯住宅を好みます。ただ、完全分離型は、二世帯住宅の中で、最も広い面積を必要とするため、狭小地には難しいと言われています。しかし、優れた設計力は、狭小地に完全二世帯住宅を実現させます。
実用性をきわめた!驚きの収納がたっぷりの完全分離2世帯住宅
「完全二世帯住宅をつくるには狭すぎる」と、複数のハウスメーカーや工務店が対応を断わったという狭小敷地に建つ狭小二世帯住宅です。
1階にはお母様の世帯、2階と3階が子世帯です。敷地が狭い場合、共有部分の多い二世帯住宅にすることが多いのですが、完全分離型二世帯住宅を実現しました。
それぞれの世帯にたっぷりの収納が設けられています。
東京都世田谷区 延べ床面積 115㎡~130㎡(木造SE構法)
狭小2世帯の家
建築面積6坪の家に、世帯同士の居室空間を確保した狭小二世帯住宅です。
3階は、トップライトが配置された明るい空間です。
2階リビングは、バルコニーに繋がる広さを感じさせる空間、3階からの陽射しも届きます。
1階には親世帯の和室と水廻りがあります。
東京都品川区 延べ床面積 65~80㎡木造(SE構法)
内的な要素…ガレージ
狭小敷地に建つ家は、敷地内に駐車スペースを確保できないことがほとんどです。しかし、東京で近隣に駐車場を借りれば、高額な費用がかかってしまいます。また、雨の日や、荷物の多い日には、わざわざ車を取りに行ったり、置きに行ったりするのが大変です。もし、家の中にガレージがあれば、駐車場にかかる費用も、乗り降りの煩雑さもなくなります。
狭小でも2台駐車の家
間口の狭い敷地に2台分の駐車スペースを確保した狭小住宅です。横に並べるだけの幅はなかったため、1.5階分ピロティを設け、縦に並べるという方法を採りました。
東京都江東区 延べ床面積 65~80㎡木造(SE構法)
狭小ガレージの家
1階にはガレージ、2階には明るく開放感のあるリビングを併せ持つ狭小住宅です。
グレーチングの引き戸が作る夜の暖かい灯りが外観デザインのアクセントです。
3階からの陽射しが溢れる2階のLDK
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自分たちの家を建てようと家づくりを始めるご家族には、それぞれ、理想の家への夢があります。狭小地に建てる家だからと言って、その夢を叶えず、妥協の多い家になってしまえば、満ち足りた暮らしはできません。
狭小地に理想の家を建てる設計力との出会いが、暮らしやすい家、家族の満ち足りた暮らしを支える家を実現します。
ホープスの狭小住宅への想い
ホープスは、狭小住宅での快適な暮らしを実現させたいという思いで、すべての住宅の建築に向き合っています。根本にあるのは、狭小住宅での快適さとは、無駄を省いたシンプルな暮らしにあるのではないかという考え方です。
敷地の形、道路や周辺の環境に合わせて、日当たりと風通しの良い家、プライバシーを確保できる家、高いインテリア性と優れた住宅性能を持つ暮らしやすい家、安心して暮らせる防犯性の高い家をご提案します。
狭いから快適さをあきらめるのではなく、より快適な暮らしを目指して、施主様のご希望に沿った家にしていきます。
狭小住宅としての参考になる建築実例がたくさんございます。ぜひご覧ください。