アメリカ映画などを観ていると、広いリビングの中央にある階段の上の廊下には、たくさんの部屋が並んでいる邸宅がよく出てきます。その為なのか、広い家=豊かな生活と思い込んでしまいがちです。でも、本当にそうでしょうか?狭い家=豊かな生活もあるはずです。

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狭い家を選んで都心の利便性と余裕のある家計で楽しい暮らしを手に入れる

生活の豊かさに対しては、様々な考え方があります。例えば、郊外の広い家に住み、2時間近く満員電車に乗って、都内に通勤する生活はどうでしょうか?周辺には緑が多く、静かな地域に建つ広い家に暮らす豊かさがあります。それと引き換えに、毎日の通勤時間に、往復で4時間を失っているという面もあります。1日4時間、週休2日だとすれば、週に20時間です。何冊の本が読めて、何本の映画が見られるでしょうか?子供と遊ぶ時間も削られてしまいそうです。子育て中のお母さんであれば、家→保育園→勤務先→保育園→家というルートになり、往復時間は4時間を超えるかもしれません。

一方、周辺には、マンションや住宅が立ち並ぶ地域に建つ狭い家の暮らしは、どうでしょうか?狭さと引き換えに、短時間で会社に行ける利便性が手に入ります。場所によっては、徒歩や自転車、バスが利用できるかもしれません。そうなれば、満員電車のストレスからも解放されます。

では、都心部の同じような地域に建てる広い家と、狭い家ではどのような違いがあるでしょう?一部のお金持ちは別として、一般的な年収の人が、都心に家を建てる場合、30坪程度の家を建てれば、家計が圧迫されます。無理をして広い家を建て、住宅ローンに追われる生活と、年収に見合った狭い家を建て、ゆとりある家計の生活では、どちらが豊かな生活でしょうか?

無駄に物を増やさない暮らし、必要最小限の家での暮らしは、シンプルで心豊かな生活ではないでしょうか?仕事先が近く、日常の買い物も徒歩圏内でできる、習い事の選択肢も豊富、劇場のソワレを観た後、酔っ払いの乗っている電車で帰宅しなくても済むなど、都市部での暮らしには、楽しさと快適さが詰まっています。どちらを選ぶかは好み次第です。都市部の利便性と楽しさと引き換えに、広い家を選ばなかったとしても、生活の豊かさが失われることはありません。

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広い家の暮らしと狭い家の暮らし

家の広さによって、暮らしはどんな風に変わるのでしょうか?

間取りと収納
広い家は、間取りに余裕があります。リビングもキッチンも寝室も、すべてゆったりとした広さにできます。子供部屋を作ると、リビングが狭くなってしまうから、なくてもいいだろう、客間はリビングと共用しよう…といった問題はありません。もちろん、収納スペースもたっぷりとれます。狭小住宅であれば、居室にできそうな広さのウォークインクローゼットも作れるでしょう。

しかし、その余裕が、無駄に物を増やすことに繋がってしまうこともあります。お歳暮やお中元にいただいた品々をそのまましまい込む、今シーズン着なかった服はそのままに、新しい服を購入する、4人家族なのに、同じ種類の食器セットが複数ある、使いこなせないほど調理器具があるなど、収納に余裕があればあるほど、使わないのに保管している物が増えてしまいます。

狭い家では、家の中をすっきりさせておく為に、収納する物を厳選する習慣が付きます。生活に絶対必要なものを、最小限の数に抑える、本当に好きな物、大事な物だけを保管し、迷ったら捨てるといった習慣です。物が溢れていれば、探し物も大変ですが、このような習慣が付けば、どこに何があるか、簡単に把握できます。

間取りと広さと光熱費の関係
狭い家では、居住面積を確保する為に、細長い住宅になることが多く、日当たりや風通しが悪くなる恐れがあります。そうならないよう、陽当りや風通し、床面積の確保のために、壁の少ない間取りにします。その結果、家の中の空間が繋がり、家の中全体の温度を、一定に保ちやすくなります。

加えて、家全体にかかる光熱費が、広い家に比べて、かなり抑えられます。広い家では、日当たりや風通しが悪くなる心配はありません。しかし、広い分、家の中をすべて同じ温度にしておく為には、光熱費が嵩みます。

家事負担
狭い家は、掃除をする面積が少ないので掃除が楽です。物の置き場がないので、こまめに収納する習慣が付き、室内はいつもすっきりしています。

税金

200㎡以下の小規模住宅用地に建つ狭小住宅は、固定資産税と都市計画税が少なくて済みます。税金は、毎年納めなくてはならないので、家計に影響を与えます。

  • 固定資産税 200㎡を超す一般住宅用地では、200㎡を超した部分に対して、3分の1に減額した評価額×税率がかかります。一方、200㎡以下の小規模住宅用地では、6分の1に減額した評価額×税率だけが課税されます。
  • 都市計画税 200㎡を超す一般住宅用地では、200㎡を超した部分に対して、3分の2に減額した評価額×税率がかかります。一方、200㎡以下の小規模住宅用地では、3分の1に減額した評価額×税率だけが課税されます。
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狭い家を快適にするポイント

狭いためにおこる問題を解決しなくては、快適な住宅にはなりません。狭い家を快適にするポイントを考えてみましょう。

日当たりと風通しの良い家にする
密集した住宅地の中にある狭小住宅は、日当たりと風通しの悪い家になりやすい環境にあります。周囲には、3階建の住宅が多く、マンションもあるかもしれません。家の中に、光と風を採りこむための設計にしなくてはなりません。

具体的には、トップライトや大開口で、屋根や高い位置から光を採り入れる、吹き抜けで、階上の部屋と階下の部屋の間にある床を減らす、スキップフロアで間仕切壁を減らすなどの間取りにします。このような間取りは、採りこんだ光と風が、階下や、窓から遠い位置に届きやすい間取りです。

開放感のある家にする
吹き抜けは、空間を縦に広げ、スキップフロアは、空間を横に広げるので、室内に開放的な空間が広がります。開放的な空間は、狭さが生む圧迫感を無くし、居心地の良い部屋を作ります。

床面積を無駄にしない効率の良い収納方法
狭い家では、各居室にそれぞれ収納スペースをとると、部屋が狭くなってしまいます。また、3階建であれば、寝室や子供部屋が玄関から遠くなるケースが多く、自分の部屋にある収納スペースは、有効に使えません。その結果、玄関から最も近い部屋や玄関や階段廻りに置きっぱなしになり、物が溢れてしまいます。

床面積を無駄に使わず、玄関やリビングが散らからないようにする為には、家族の動線にあう場所に、大型クローゼットが必要です。玄関からリビングが最も近い間取りであれば、リビングに、ファミリークローゼットを作ると、リビングが散らからず、いつもすっきりします。子供部屋や、寝室には、ベッドの下や壁面を利用して、床面積を圧迫しない収納方法を工夫します。

外部からの視線が気にならない窓
陽当たりを良くする為には、大きな窓をつけたいものですが、大きな窓は、位置によっては、外部からの視線が気になる窓にもなってしまいます。密集した住宅地では、周辺の状況に合わせて、窓の大きさと位置を決めることが大切です。高い位置につける横長のハイサイドライトは、光を十分に採りこみながら、外部からの視線は入ってきません。横幅の狭い縦すべり出し窓は、光と風を採りこみながら、外部からの視線を遮ります。

狭い土地には、工夫次第で快適な暮らしやすい狭小住宅が建ちます。都心部に暮らす利便性と、シンプルな暮らしが組み合わされた家が、狭小住宅です。狭い家で、自分にとって、本当に大事な物だけを守るシンプルな暮らしをお楽しみください。

HOPEsの狭小住宅への思い

ホープスは、狭小住宅での快適な暮らしを実現させたいという思いで、すべての住宅の建築に向き合っています。根本にあるのは、狭小住宅での快適さとは、無駄を省いたシンプルな暮らしにあるのではないかという考え方です。

敷地の形、道路や周辺の環境に合わせて、日当たりと風通しの良い家、プライバシーを確保できる家、高いインテリア性と優れた住宅性能を持つ暮らしやすい家、安心して暮らせる防犯性の高い家をご提案します。

狭いから快適さをあきらめるのではなく、より快適な暮らしを目指して、施主様のご希望に沿った家にしていきます。

狭小住宅としての参考になる建築実例がたくさんございます。ぜひご覧ください。

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著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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