家族の為に家を建てることは、人生の一大事のうちのひとつです。建築の専門家でもない限り、家を建て慣れている人はいないでしょう。莫大な費用をかけ、慣れていないことをする初めての家づくりは、わからないことも多くあります。

特に、建売住宅や分譲住宅に比べて、注文住宅は、自由度が高い分、しなくてはならないことがたくさんあります。さらに、狭小住宅の場合には、一般的な住宅では起こらないような問題が発生してしまうこともあります。

注文住宅を建てるまでの流れと、東京の狭小住宅特有のチェックポイントについて、考えていきましょう。

Works(株)ホープスの建築実例

準備期間にすること

初めにしなくてはならないことは、資金計画を立てることと、土地探し、工務店選びの為の情報を集めることです。工務店の中には、土地探しを一緒にしてくれる工務店もあります。すでに土地を所有している人、工務店に土地探しも依頼する人は、工務店選び、自分で土地を探して購入する予定の人は、不動産屋と工務店選びの為の情報を集めます。

資金計画を立てる 

住宅購入にかけられる自己資金の額と、住宅ローンの借入額を割り出します。家を建てる時には、夢が拡がり、ついつい上限まで住宅ローンを借りてしまいたくなりますが、それは危険です。家が完成した後に、ゆとりを持って返済できる住宅ローンの借入額を割り出すことが大切です。

建売住宅や、分譲住宅の場合、土地と建物を同じタイミングで購入するので、住宅ローンの手続きはそれほど複雑ではありません。しかし、注文住宅の場合、まだ住宅ローンが支払われる前に、土地の購入代金を支払わなくてはなりません。また、建築費もすべての額を、住宅ローン融資されてから支払うわけではありません。工務店への契約時や、着工時には、工務店の定めている額(多くの場合、それぞれ3分の1)を支払います。その為、つなぎ融資が必要になる場合もあります。

資金計画では、家が完成してからの生活を圧迫しない住宅ローンの額、住宅ローンが融資される前に必要な費用の額、家具や家電購入、引っ越しにかかる額のやりくりを明確にしておくことが大切です。

土地選びのポイント

仕事先や学校や塾、習い事に通いやすい駅やバス停がある、日常的な買い物ができる商店やスーパーがある、治安が良い、公園や緑地帯が多い、子育て中の家族であれば、仕事先と自宅の中間に保育園がある、病院が近いなどが備わった土地が、多くの人にとって、利便性の良い土地でしょう。ただ、駅の近くで環境も良く…と希望を上げていくと、東京では、狭小であっても、高額な土地ばかりになってしまいます。家族にとっての土地の条件に優先順位をつけて、譲れない項目と譲れる項目を明確にしておきましょう。

変形地や旗竿地、ウナギの寝床のような土地は、狭小地には多く、整形地よりは価格が抑えられています。その中でも、この場所でこの価格?というような低価格な土地には、再建築不可などの条件が付けられていることもありますので、注意が必要です。

また、地盤が弱く、住宅を建築する為には、地盤改良が必要な土地もあります。地盤改良は、耐震性の為に、非常に重要ですが、深くまで改良すればするほど、費用は嵩んでいきます。せっかく手頃な価格で土地を購入できたとしても、地盤改良に高額な費用がかかってしまえば、良い買い物とは言えません。

土地の周辺の環境は、自分たちで確認できますが、土地の形や道路との関係、地盤などは、素人にはわかりにくい部分です。それを考えると、施工を依頼する工務店に、土地探しを手伝ってもらう方法が、最も安全で、効率の良い方法でしょう。

狭小住宅を得意とする工務店は、変形の敷地であっても、周辺の環境に合わせて、暮らしやすい家を設計できます。その為、工務店に依頼すれば、設計が不可能な土地を選んでしまう心配がありません。

家族が暮らしやすい家について考える

具体的な間取りプランは、契約後の話し合いで進められていきますが、その前に、基本的な家族の希望をまとめておくことが大切です。始めの段階では、「日当たりが良くて広いベランダと繋がっているリビング」「家族の暮らしの変化に合わせて変えていける間取り」「北欧風な内装」というような、ふんわりとしたイメージを思い描きます。

次に、実際の家族の暮らしに合わせた間取りにする為の項目を、考えてみましょう。生活の時間帯がほとんど同じ家族と、ずれている家族では、暮らしやすい間取りが変わってきます。子育て中の家族であれば、子供の成長に合わせて生活が変化していくので、暮らしやすさも変わっていきます。家族皆がほとんどの時間をリビングで過ごす家族と、それぞれの居室で過ごす家族、というように、家にいる時の家族の過ごし方によっても、暮らしやすい間取りは異なります。

それに伴って、キッチンや浴室などの住宅設備機器に、必要な機能も変わってきます。大人数の家族で、品数の多い料理をする家庭では、機能性の高いキッチンが必要です。反対に、ほとんど外食で、簡単な食事しか作らない共働きの夫婦であれば、最小限のキッチンにして、リビングを広くする方が、寛ぐ時間を楽しめるかもしれません。

家族の暮らし方に合わせら間取りを作る為の家族の暮らしの情報集めをしておきましょう。

外観と内装のデザインのイメージを集める

施工先が決まってからの家づくりのプラン作成時には、できるだけ正確に自分たちの希望を伝えられることが大切です。その為には、インテリア雑誌や、WEB上で見つけた好みの内装の部屋や、外観をした家の画像を、保存しておきましょう。

工務店選びのポイント

自分たちの希望の家のイメージが固まったら、施工を依頼する工務店を探さなくてはなりません。工務店には、いろいろなタイプの工務店があります。デザイン性の高い住宅を得意とする工務店、質実剛健にこだわる工務店、億単位のコンクリート住宅を建てる工務店など、様々あります。

これらの多様なタイプの工務店の中で、東京には、たくさんの狭小住宅に強いタイプの工務店があります。狭小敷地に家を建てる場合には、狭小住宅に強い工務店の中から、自分たちの理想通りの家を建てられる工務店を、見つけることが重要課題です。

どんなに優れた工務店でも、自分たち家族の要望と、かけ離れた住宅を建てる工務店であれば、家づくりは成功しません。それぞれの工務店の施工事例を見たり、完成見学会に出かけたりして、情報を集めましょう。

契約後にすること

土地を購入し、施工を依頼する工務店が見つかったら、いよいよ具体的な家づくりプランが、始まります。今までに作ってきた自分たちのイメージを、土地の形状や周辺の環境、予算に合わせた専門家の視点からのアドバイスに沿って、具体的にしていく作業です。

間取りプランの際には、スムーズな動線が作れる、適切な位置に収納スペースがある、遅く帰宅した家族が他の家族の睡眠を妨げないといった実際の家族の生活を想定することが大切です。

具体的な間取りプランの作成と同時に、家具選びも進めておきましょう。窓の位置や、部屋の広さによっては、置きたい場所に家具が置けない、というような事態を避ける為です。

外観、内装、間取り全てのプランに満足できたら、工事請負契約を結び、住宅ローンの申請をします。

着工から引き渡しまでは、何度か現場に足を運び、担当者と打ち合わせをし、家が完成したら引き渡し、入居、そして新しい家での生活が始まります。

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東京の狭小住宅特有のチェックポイント

住宅が密集している地域では、郊外型住宅では起こらないような問題が発生することがあり、問題を解決する為に費用が嵩むことがあります。

敷地の近くまで工事用の車両が入っていけない、隣家との距離が迫っていて足場が組めないというような、周辺の環境による問題です。

周辺の環境は、室内環境にも影響する為、日当たりや風通しを良くする為に、吹き抜けや、スキップフロアが取り入れられます。家の中に駐車スペースを作る為に、ビルトインガレージを取り入れる場合もあります。これらの設計の手法は、暮らしを快適にしますが、断熱性を低下させ、耐震性を揺るがします。また、3階建て住宅にする場合には、地盤強化の為の費用も嵩みます。

安全と快適を、両方叶えるためには、耐震性の高い工法、空間が繋がっていても、室内環境を維持できる高い断熱性と気密性を備えた家にしなくてはならないからです。

これらの問題は、東京の狭小住宅特有の問題点です。狭小住宅が得意な工務店に、施工とともに、土地探しも一緒に依頼することが、安心な家づくりに繋がります。

ホープスの狭小住宅への思い

ホープスは、狭小住宅での快適な暮らしを実現させたいという思いで、すべての住宅の建築に向き合っています。根本にあるのは、狭小住宅での快適さとは、無駄を省いたシンプルな暮らしにあるのではないかという考え方です。

敷地の形、道路や周辺の環境に合わせて、日当たりと風通しの良い家、プライバシーを確保できる家、高いインテリア性と優れた住宅性能を持つ暮らしやすい家、安心して暮らせる防犯性の高い家をご提案します。

狭いから快適さをあきらめるのではなく、より快適な暮らしを目指して、施主様のご希望に沿った家にしていきます。

狭小住宅としての参考になる建築実例がたくさんございます。ぜひご覧ください。

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著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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