東京で働く人が、家族で暮らせる場所を確保するためには、東京都内に家を建てる、東京都内にマンションを購入する、通勤圏内にある郊外に家を建てるといった手段が考えられます。通勤や通学時間に、生活の時間帯を奪われたくない人、戸建て住宅で暮らしたい人にとっては、東京に家を建てるという選択をするでしょう。

また、東京の中で、「暮らしたいと感じる雰囲気の地域」がある人にとっても、東京に家を建てることは魅力的です。地域の環境は、暮らしやすさや、日常的な満足感に直結するからです。利便性が良く、家族にとって好ましい環境での暮らしは、家族に幸せな充足感と、居心地の良さを与えてくれます。

ただ、東京の土地は非常に高額です。地域にもよりますが、狭小住宅であっても、郊外の一般的な戸建て住宅を、複数建てられるほどの家づくり費用が掛かります。それだけの資金をかけて、建てる家は、絶対に失敗させてはならず、微塵の後悔もない暮らしやすい家にしなくてはなりません。

Works(株)ホープスの建築実例

狭小地、狭小住宅とは?

狭小地とは、10坪~15坪の土地、狭小住宅とは狭小地に建てられる住宅のことです。国土交通省の調査では、東京全体の平均敷地面積は、66.96㎡(20,25坪)ですが、この中には、平均住宅面積が106.98 m²という西多摩郡なども含まれています。

23区内では、平均敷地面積が東京全体の、平均敷地面積よりも低く、新宿区は60,75㎡、中央区は52,82㎡、中野区は53,38㎡です。その他にも平均敷地面積が60㎡以下の区は、9区あります。60~65㎡の区は7区、65㎡以上の区は4区です。したがって、23区内で考えると、66.96㎡(20,25坪)よりも、狭い敷地に建てられている家が、多いと考えられます。

■ 狭小地に多い土地の形状

東京では、一般的な戸建て住宅を、一軒建てられるだけの面積の土地は、非常に高額で、庶民には手が届きません。そこで、土地を細かく文筆して、売却されるため、狭小地が生まれます。

もともとの土地が、ある程度広い場合は、すべての敷地が道路に面するように、文筆するため、ウナギの寝床といわれるような間口の狭く、奥行きの長い土地が生まれます。土地の広さによっては、ウナギの寝床式に分筆すると、あまりに細長くなりすぎてしまう場合もあります。そのような場合には、手前に全面が道路に面している整形の土地、奥に通行できるだけの細い路地がついた土地に分筆するため、旗竿のような形状をした旗竿地が生まれます。

その他には、都市計画や開発の為に、生まれてしまう狭小地もあります。道路や、商業施設、マンションなどの用地として、買収された土地の中で、取り残されてしまった土地です。どちらのケースであっても、密集した敷地の中に、生まれた土地なので、一般的な住宅にはない問題点を持っています。

■ 間口の幅と道路との関係

建築基準法では、住宅の敷地のうち2メートル以上が、4メートル以上の道路に面していなくてはならないと定められています。建築基準法を満たしているとはいっても、2メートルは、使い勝手の良い間口とは言えません。面している道路の幅にもよりますが、自宅の敷地内に、駐車できない場合もあります。また、駐車してしまえば、人間の出入りが、しにくくなってしまいます。竿部分の長さにもよりますが、駐車すれば、自転車が置けなくなってしまうかもしれません。

また、住宅の建築工事の際には、周辺の環境によっては、工事に必要な資材を運搬する大型車が、敷地内に入れないため、職人さんの手作業になる場合があります。このような場合には、人件費が嵩み、建築工事にかかる期間も、長くなってしまいます。

狭小住宅 東京 

■ ライフライン

水道や電気、ガスなど生活に必要なライフラインを引き込むのに、費用がかさみます。住宅が、竿部分の長さだけ、道路から離れてしまうからです。電気を引き込むためは、敷地内に電柱を設置しなくてはなりません。土地の価格が抑えられている分、このような出費や手間が発生することがあることを、覚えておきましょう。

■ 狭小住宅の坪数 敷地面積と床面積

狭小住宅の建築実例などを見ていると、10坪の狭小住宅と言葉をよく見かけます。この10坪が、敷地面積なのか、1階の床面積なのか、総床面積なのかによって、家の大きさは変わってきます。10坪の家という言葉を、より具体的にするために、面積の表し方の種類を確認しておきましょう。

  • 敷地面積 敷地の全体的な面積
  • 建築面積 1階の床面積(家を真上から見た時の面積)

同じ敷地面積であっても、建てる地域によって、建築面積には制限があります。なぜなら、各自治体によって、定められている建ぺい率が異なるからです。東京23区内でも、区によって、同じ区の中でも、用途地域によって、建ぺい率は異なります。

建ぺい率とは、敷地面積に対して、1階部分の床面積の割合を表す数値です。用途地域とは、各自治体が目指す街づくりに沿って、住宅地、商業地、工業地など、土地の使い方に対する規制と誘導を行うために、定められている地域区分です。全部で13の用途地域がありますが、戸建て住宅を建てられる地域は、そのうちの11地域です。

 

第一種低層住居専用地域 低層住宅の良好な環境保護のための地域
第二種低層住居専用地域 低層住宅の良好な環境保護を図りつつ、小規模な店舗の立地は認められる地域
田園住居地域 農業と調和した低層住宅の良好な環境保護を図りつつ、小規模な店舗の立地は認められる地域
第一種中高層住居専用地域 中高層住宅の良好な環境保護のための地域
第二種中高層住居専用地域 中高層住宅の良好な環境保護を図りつつ、一定の利便施設の立地は認められる地域
第一種住居地域 住宅の環境保護を図り、大規模な店舗、事務所の立地が制限される地域
第二種住居地域 住宅の環境保護を図り、大規模な店舗、事務所の立地も認められる地域
準住居地域 道路沿道の業務の利便を図りつつ、これと調和した住宅の環境を保護する地域
近隣商業地域 近隣の住宅地の住民のための店舗、事務所等の利便の増進を図る地域
商業地域 店舗、事務所等の利便の増進を図る地域
準工業地域 環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便の増進を図る地域

 

このうち、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域の建ぺい率は、30%・40%・50%・60%です。

第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域の建ぺい率は、50%・60%・80%です。

近隣商業地域の建ぺい率は、60%・80%、準工業地域の建ぺい率は、80%です。

  • 延べ床面積 各階の床面積を合わせた面積

延べ床面積は、すべての階の床面積を合計した面積です。平屋より2階建て、2階建てより3階建てというように、回数が増えれば増えるほど、広くできますが、自治体の定める容積率の範囲内に収めなくてはなりません。

容積率とは、敷地面積に対する、延べ床面積の割合を表す数値です。容積率も、建ぺい率と同じように、東京23区内でも、区によって、同じ区の中でも、用途地域によって、数値が異なります。

  • 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域の容積率は、50%・60%・80%・100%・150%・200%です。
  • 第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域の容積率は、100%・150%・200%・300%です。
  • 第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、準工業地域の容積率は、200%・300%・400%です。
  • 商業地域の容積率は、200%・300%・400%・500%・600%・700%・800%・900%・1000%です。
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狭小住宅の間取り

快適に暮らすため、快適な生活ができる家にするために、解決しなくてはならない要素がたくさんあります。それらの要素は、間取りと、住宅性能で解決していかなくてはなりません。

■ 狭小地で居住面積を確保する

狭小住宅の場合、坪数と家族構成にもよりますが、平屋や2階建てでは、十分な居住面積を確保できないケースが、少なくありません。そのようなケースでは、家族構成に合った居住面積を確保するため、3階建てにして、居住面積を広げるという方法があります。

この場合、総3階建てという、各階の面積が同じになる、箱型の形状の住宅が多く採用されます。箱形の家には、シンプルな造りなので、建築費を抑えられるという面もあります。ただし、3階建ての家は、隣家や道路への日当たりを遮ってしまう恐れがあります。そのような状況にならないよう、戸建て住宅に対しては、3つの高さ制限があります。

  • 絶対高さ制限 第1種・第2種低層住居専用地域内では、建物の高さは、10m、又は12m以内と定められています。
  • 道路斜線制限 道路への日当たりと環境を確保のため、建物の高さが制限されています。
  • 隣地境界線・北側斜線制限 北側にある隣家の日当たりを遮らないため、高さが制限されています。

この制限内で、3階建ての家を建てた場合、2階建ての家よりも、広い床面積の家にできます。では、家族構成に見合った床面積とは、どの程度必要なのでしょうか?

国土交通省が作成した生活基本計画にある最低居住面積水準とは、「世帯人数に応じて、健康で文化的な住生活の基礎として必要不可欠な住宅の面積に関する水準」と定義づけられています。平成20年の総務省統計局の調査では、東京の持ち家である戸建て住宅のうち、約99,3パーセントの住宅がこの基準を満たしています。

最低居住面積水準

単身 2人 3人 4人
25㎡ 30㎡ 40㎡ 50㎡

 

この水準には、未就学児童がいる場合の数字も示されていますが、家は長く住む場所であり、子供はやがて成長していくので、ここでは、大人の人数としての数値を示しています。

夫婦と子供2人という家族であれば、50㎡の総床面積があれば、最低居住面積水準を満たせます。もし3階建ての家にする場合には、1階の床面積が約16㎡必要です。建ぺい率が60%の土地に、16㎡の建築面積を確保するためには、約27㎡の土地が必要です。27平米は、坪に換算すると、8,17坪です。8,17坪の土地に、16㎡(5坪弱)×3で、約15坪の家が建てられます。

国土交通省が作成した生活基本計画には、誘導型居住面積水準も示されています。誘導型居住面積水準には、都市居住型と、郊外や都市部以外での一般型があります。誘導型居住水準とは、「世帯人数に応じて、豊かな住生活の実現の前提として、多様なライフスタイルを想定した場合に必要と考えられる住宅の面積に関する水準」です。平成20年の総務省統計局の調査では、東京で、この水準を満たす居住面積の、持ち家である戸建て住宅に住む人は、約72パーセントです。

ここでは、東京での生活に合わせて、誘導型居住面積水準の中の、都市居住型の誘導型居住面積水準を見てみましょう。

都市居住型の誘導型居住面積水準

単身 2人 3人 4人
40㎡ 55㎡ 75㎡ 95㎡

 

夫婦と子供2人という家族で、誘導型居住面積水準を満たす家を建てるためには、95㎡の総床面積が必要です。3階建てにした場合、建築面積は、31,6㎡、必要な敷地面積は、52㎡、約16坪です。16坪の敷地に、3階建ての家を建てると、都市居住型の誘導型居住面積水準を満たせます。

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■ 細長い家で日当たりと風通しを確保する

東京都内でも、世田谷区や大田区などに多い、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域では、高い建物がなく、隣家との距離も離れています。しかし、東京都内の多くの地域での住宅地は、隣家との距離が近い、マンションや背の高い住宅に囲まれているといった状況です。そのような密集した住宅地の中に建つ、建築面積が狭く、細長い狭小住宅は、健康な生活を営むために必要な日当たりと風通しが得られません。

密集した住宅にあっても、十分な陽射しと風を採り込める、細長い狭小住宅にする為には、縦に細長い場合は、3階からの陽射しを1階と2階の部屋まで届けられる間取り、間口が狭く奥に長い場合は、家の中に取り込んだ光を、家の中心部にまで届ける間取り、そして、どちらの場合であっても、家の中に風の通り道を作れる間取りにしなくてはなりません。

例えば、吹き抜けと、トップライトやハイサイドライトを組み合わせると、3階の天井から採り入れた陽射しが、1階まで届きます。スキップフロアにすると、間仕切壁がなくなるので、家の奥まで陽射しが届きます。どちらも、空間が広がるので、風の通り道も確保できます。さらに、階段を蹴込板のないスケルトン階段にすると、陽射しや風を遮る要素が減り、より日当たりと風通しが良くなります。

狭小住宅 東京 パッシブデザイン

■ 密集地でプライバシーを確保する

日当たりと風通しのためには、大きな窓をたくさんつければよいわけですが、密集地では、多くの場合、そのような窓のつけ方はできません。公園や川に面している、広い道路に面しているというような環境であれば、問題ありません。しかし、多くの場合は、隣家や、道路からの「視線が気になる窓」になってしまうからです。その為、陽射しと風は採り込みつつ、外部からの視線が気にならない窓の位置、窓のサイズ、窓の開閉方法にしなくてはなりません。

ハイサイドライトは、頭より高い位置に設置する窓です。陽射しを採り入れ、夏場の暑い空気を効率よく外に逃がします。対面する壁にローサイドライトがあれば、さらに風通しが良くなります。天井に設置するトップライトも、外部からの視線を気にせず、たくさんの陽射しを採り込めます。

リビングが道路に面している場合、縦に長いスリット窓を並べると、日当たりと風通しは確保しつつ、道路からの視線が気になりません。防犯性が高い窓なので、道路に面していても安心です。

■ 3階建ての家に暮らしやすい動線と収納を作る

3階建ての家では、家の中での移動に階段を使う率が高いため、効率の良い動線を作る必要があります。

家事動線

洗濯と掃除は、毎日する家事なので、できるだけ負担を少なくしたいものですが、3階建ての場合、負担が大きくなってしまう恐れがあります。水廻りを1階にまとめた場合、1階で洗濯をし、3階バルコニーまで、洗濯物を持って上がらなくてはならないからです。家族の人数が多く、特に子育て中であれば、洗濯物の量も多いはず、日に何度も往復しなくてはなりません。夕方には洗濯物をとり込み、1階でアイロンがけをして、再度2階、または3階の各居室に、洗濯した衣類を収めるという作業の繰り返しは、とても大変です。

そのような場合、水廻りを2階にする、1階にする場合は、3階に洗濯機を置くスペースを作る、または、1階の洗面所などに洗濯物を干すスペースを作る、浴室乾燥にするなどの選択肢があります。

家が完成してから、家事負担の大きさに気が付き、リフォームしようと思っても、新築時ほど無駄なく効率よく、家事負担を軽減できません。したがって、家づくりプランの作成時に、具体的な家事の動線について、しっかり考えることが大切です。

動線と収納

収納は、家族の動線と、収納するもののサイズに合わせて作らなくてはなりません。活きた収納にするために、必要なことを考えていきましょう。

  • リビングの収納

近年、人気の高い間取りは、リビング中心の間取りです。リビング中心の間取りで暮らす家族は、帰宅するとリビングに行き、そこでほとんどの時間を過ごします。子供たちも、就学前はもちろんのこと、学校へ行き始めても、リビングで宿題をしたり、遊んだりします。そうなると、リビングは、物が溢れ、いつも片付かない場所になってしまう恐れがあります。

特に、狭小住宅の場合、床面積を無駄にしないため、客間はつくらないケースがほとんどです。その場合、リビングは、客間としても使う場所です。突然の来客があった場合、物が溢れていれば、気持ちよくお客様をお迎えできません。来客がないとしても、リビングは常にきれいにしておきたい場所です。せっかくのくつろぎの時間は、すっきりした空間で、ゆったり過ごしたいからです。

リビングを常にきれいにしておくためには、帰宅動線にあった場所に、収納スペースを作るという方法が有効です。リビングに、物が溢れる原因のひとつは、帰宅した家族が、外出時に着用していた上着や、持っていたバッグなどを、リビングに持ち込むからです。

玄関とリビングの間に、ウォークスルークローゼットを作る、リビング内にウォークインクローゼットを作るなどの方法で、リビングは散らからなくなります。子供たちが遊んだおもちゃや、リビングで使う掃除機なども、収められます。意識しなくても散らからない部屋にするためには、収めたい物を収めやすいサイズの収納スペース、収めたい時に収めやすい位置にある収納スペースが必要です。

狭小住宅では、「デッドスペースはすべて収納にする」という考え方に走りがちですが、使いにくい収納スペースは、活きた収納スペースにはなりません。出し入れしにくいから、入れたものは入れっぱなしになっている…というような状態になってしまいます。収納はつくれば作るほど、建築費も嵩みます。無駄な収納は、建築費の無駄使いにもなってしまいます。使い勝手の良い、必ず活きた収納になる収納スペースにしなくてはなりません。

狭小住宅 東京 収納

  • 玄関の収納

リビングに収納を作らない場合、玄関の大型収納も、活きた収納になる確率の高い収納スペースです。土間収納と組み合わせると、土間側にはスポーツ用品やベビーカー、室内側には、コートや帽子、バッグなどを収められます。2階にリビングダイニングがある場合、玄関の大型収納の内部に、サブパントリーとして使える棚を作っておくと、買い出し後の重い食料品を、小分けにして2階に運べます。

  • 洗面所の収納

洗面所は、歯磨き用品や、スキンケア、ヘアケア用品の為の収納スペースが必要ですが、その他に、洗面所にタオルや下着、パジャマなどをしまえる収納スペースがあると便利です。特に、小さな子供がいる場合、子供の入浴準備にため、2階や3階から子供の下着やパジャマを運んでくる、子供を入浴させる、2階や3階にある子供部屋に連れていき、寝かしつけるという流れの中で、下着やパジャマを取りに行くという部分をなくせます。洗面所内に、洗濯物を干すスペース、アイロンがけができるスペースがあれば、さらに家事負担を減らせます。

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狭小住宅の住宅性能について

狭小住宅では、一般的な郊外型の2階建て住宅よりも、高い住宅性能が求められます。狭小住宅を、「安全で、快適な暮らしを営める居心地の良い家」にする住宅性能について考えてみましょう。

狭小住宅に十分な陽射しと、風を採り込む吹き抜けや、スキップフロアは、同時に狭さが作る圧迫感をなくし、開放的な空間を作ります。その為、狭小住宅には、とても有効な設計の手法です。ところが、その一方、耐震性と断熱性を低下させる恐れのある間取りでもあります。

■ 耐震性

木造住宅で、最も多く使われている工法は、在来工法という工法です。在来工法では、筋交いの入った耐力壁で、地震の揺れを吸収しています。したがって、必要な位置に、耐力壁を作れない家は、耐震性が低下してしまいます。そして、吹き抜けは床の面積、スキップフロアは壁の面積が減ってしまう構造です。当然ながら、在来工法の場合には、広い空間に対しては、制限があり、吹き抜けやスキップフロアを自在にはつくれません。

広い空間を、高い耐震性とともに実現できる工法はSE構法です。木造住宅に、高い耐震性を持たせながら、自由自在に広い空間を作れます。SE構法は、木造住宅も、鉄骨造の住宅のように、ラーメン構造で作ります。ラーメン構造とは、住宅の要となる柱と梁を、一体化して接合し、強力な枠を作る構造です。強力な枠内では、自由に広い空間を作れるのです。

狭小住宅では、吹き抜けやスキップフロア以外にも、ガレージハウスにするケースも、少なくありません。敷地内に、駐車スペースを作れないためです。狭小住宅をガレージハウスにすると、間口いっぱいの開口部になってしまいますので、この場合も、強力な枠を持つSE構法が有効です。

■ 断熱性

吹き抜けやスキップフロアは、断熱性も低下させる恐れがあります。冷暖房の効率が落ちるからです。冷暖房は、冷暖房をする対象の空間が広くなれば広くなるほど、効率が落ちます。暖かさや涼しさが、分散してしまうからです。吹き抜けのある家にして、おしゃれな雰囲気にはなったけれど、冬は冷えてしまう…というような状況に、なってしまうことがあるのです。このような状況を避けるためには、断熱性を高める必要があります。家の外側を包む屋根、壁、窓、床からの熱の出入りを、最小限に抑えられれば、住宅の断熱性は高まります。

■ 窓の性能

窓は、断熱性にも大きくかかわりますが、遮熱と防音にも、関わりがあります。

  • 遮熱 トップライトは、たくさんの陽射しを採り込めるので、家の中を明るくする、冬には暖かさを採りこむという働きがあります。しかし、同時に、夏場には、陽射しが強すぎて、冷房の効率が落ちるという側面も持っています。遮熱のためには、トップライト用のブラインドなどの設置が必要ですが、加えて、遮熱タイプのガラスの入った窓を選ぶことも大切です。
  • 防音 密集した地域に建つ狭小住宅には、周囲の騒音に悩まされる恐れと、自宅から出る生活音が心配になる恐れがあります。近隣の家のペットの鳴き声、楽器の練習音、商業施設や道路からの騒音などです。振動音は別にして、日常生活で家の中に聞こえてくる音のほとんどは、窓を通して出入りします。その為、二重窓にする、防音・遮音機能のあるガラスの入った窓にするといった方法で、家の外からの騒音に、悩まされない静かな室内環境が作れます。また、自宅の生活音が、外に響き渡る不安もなくなります。
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10坪以下の狭小住宅建築事例

ハウスメーカーに、匙を投げられてしまった10坪を切る狭小地に、完成した3階建て住宅です。

東京の狭小住宅 10坪

建て替え前の家は、昼間でも暗かった家が、陽射しの溢れる家に生まれ変わりました。「小さくても温かくて2人で仲良くゴロゴロできる家」とタイトルをつけられた設計図は、家づくりに対して、無限に膨らむ思いの中で、どうしても譲れないものを残して、予算内に収められるよう作られました。

収めるもののサイズをしっかり測って造られた収納は、活きた収納のお手本です。

建て坪12坪の狭小住宅建築事例

「カリフォルニアモダン」をデザインテーマにした3階建て狭小住宅です。

狭小住宅 東京 12坪

3階にある浴室の窓からは、鎮守の杜の景色や鳥の声が楽しめます。

Works(株)ホープスの建築実例

ホープスの狭小住宅への想い

ホープスは、狭小住宅での快適な暮らしを実現させたいという思いで、すべての住宅の建築に向き合っています。根本にあるのは、狭小住宅での快適さとは、無駄を省いたシンプルな暮らしにあるのではないかという考え方です。

敷地の形、道路や周辺の環境に合わせて、日当たりと風通しの良い家、プライバシーを確保できる家、高いインテリア性と優れた住宅性能を持つ暮らしやすい家、安心して暮らせる防犯性の高い家をご提案します。

狭いから快適さをあきらめるのではなく、より快適な暮らしを目指して、施主様のご希望に沿った家にしていきます。

狭小住宅としての参考になる建築実例がたくさんございます。ぜひご覧ください。

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著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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