住宅が密集している狭小地に建てる狭小住宅には、郊外型の住宅に比べて、様々な制限や問題点があります。その制限や問題点を克服するために増えてきた住宅が、細長い3階建ての住宅です。細長い3階建ての住宅を、独自の設計デザインで、暮らしやすく、視覚的な魅力を備えた住宅が、デザイン住宅です。
デザイン住宅は、一般的に必要とされる面積を、満たさない敷地に建てる、十分な居住面積を備えた暮らしやすい家です。具体的な建築実例を参考にしながら、デザイン住宅の特徴を見ていきましょう。
室内の環境を調える為の設計デザイン
住宅やマンションが密集している環境に建つ狭小住宅には、日当たり、風通しが確保しにくいという問題があります。日当たりの良さは、晴れている日には、照明をつけなくても日常生活に必要な明るさを持つ空間を造り、冬には暖かさも届けてくれます。風通しの良さは、家の中の空気を循環させ、夏には室内の熱を外部に排出してくれます。
狭小地であっても、十分な居住面積を確保しなくてはならないので、狭小住宅には、3階建て住宅が少なくありません。そして、3階建てはさらに、日当たりへの配慮が必要です。1階と2階の部屋は陽射しが入らず、晴れた日の昼間でも薄暗いという環境になってしまいやすいからです。
吹き抜けのあるリビング
陽射し溢れる吹き抜けのあるリビングの建築事例をご覧ください。
■ 中庭・吹抜けで明るいリビングに 細長い敷地の狭小住宅 ■
間口4m、奥行は14mと南北に細長い狭小住宅です。
家中に十分な陽射しを採り入れる為、中庭と、2階バルコニーとリビングを繋げる吹き抜けを組み合わせた設計デザインです。
常にリビングの雰囲気が感じることができるロフトは、ご家族それぞれが好みの使い方をできる多様性のある空間です。
■ アメリカン好き狭小住宅 ■
約10坪のコンパクトな土地に、広さも、高さも、敷地のキャパシティーを最大限に活用した住宅です。
吹き抜けからの明るい陽射しが溢れるリビングは、狭さを感じさせない開放的な雰囲気です。
■ 吹抜けリビングと半地下書斎のある家 ■
リビングに間接照明を配置した吹き抜けを持つ3 階建て狭小住宅です。
特注のタープを掛けると、アウトドアリビングが楽しめるようプランニングされた2 階バルコニーに繋がるリビングの掃き出し窓
スキップフロアのあるリビング
奥行きが長い敷地や段差のある敷地に建つ狭小住宅には、家の奥まで陽射しが届かないという問題があります。奥行きが長い敷地、段差のある敷地の場合、スキップフロアを採り入れえることで、家の中心部まで陽射しを届かせることができます。
スキップフロアは、段差を設けて、間仕切壁ではなく、段差で部屋を区切る設計デザインです。
■ 敷地10坪。スキップフロアがキャットタワーになる、こだわりの狭小住宅 ■
ハウスメーカーに匙を投げられてしまった10坪を切る狭小地に実現したこだわりの3階建て住宅です。
スキップフロアの段差は、ライニングテーブルのベンチとしても使えます。
■ 趣味を楽しむ土間と変化のあるLDKをもった狭小住宅 ■
1階には、趣味を楽しめる広い玄関土間があり、2階はフロア全体を使ったゆったりくつろげるLDK、3階は家族の居室という造りの3階建て住宅です。
ダイニングとリビングの間の段差と、無垢材の梁が現れている高い天井が、広がりを感じるLDKを生み出しました。
吹き抜けは、上の階からの陽射しを下の階まで届け、スキップフロアは、上の階からの光を、家の奥まで届けます。加えて、吹き抜けにもスキップフロアにも、風通しを良くするという効果があります。
風には、低い位置から高い位置に向かって流れていくという性質があり、吹き抜けやスキップフロアは、窓の位置に高低差を作り出すからです。また暖かい空気は上昇し、冷たい空気は下降するという性質もあるので、夏場は、熱を排出するという効果もあります。
綿密な換気計画がされている住宅であっても、窓からの風が通れば、より気持ちの良い環境が調えられます。吹き抜けやスキップフロアは、密集した住宅地に建つ家であっても、風の広い通り道を造り出せる設計デザインです。
デザイン住宅における窓の重要性
密集した住宅地に建つ狭小住宅には、視覚的な点からも、聴覚的な点からも、プライバシーを確保しにくいという問題点あります。同時に、床面積を最大限活用するため、箱形の形状にし、天井を高く取る為、片流れ屋根にするというケースが多くあります。その結果、凡庸なデザインの家になってしまうことがあります。この2つの問題を解決する方法の一つが、窓の選び方です。
プライバシーを確保する
密集した住宅地に建つ狭小住宅では、「日当たりと風通しの為に窓を設けたものの、隣家や通りからの視線が気になり開けられない」というような状況になることを、避けなくてはなりません。陽射しと風は採りこみ、プライバシーを守る窓になるよう、窓の位置、サイズ、形状に適切な計画が必要です。
また、狭小住宅には、周辺からの生活音、道路や商業施設からの騒音に悩まされるという問題と、自宅から発生する生活音が気になり、のびのびと暮らせないという問題が発生することもあります。住宅の気密性と同時に、窓の機能によって、この問題を解決できます。周辺の状況に合わせて、防音・遮音機能のある窓が聴覚的なプライバシーの確保に役立ちます。
窓とルーバーは外観デザインのアクセントに影響を与える
窓は、外観デザインにも大きな影響を与えます。加えて、プライベート感のあるバルコニーにする為に設けられるルーバーの色や質感も、外観デザインに影響します。住宅の形状に調和し、アクセントになるような窓とバルコニーのルーバーが、住宅全体を引き締め、外観デザインにより洗練された美しさを与えます。
■ 光の降り注ぐ家 ■
建物が密集している中で、いかに光を取り入れていくかをテーマに家づくりが進められた狭小住宅です。光が降りそそいでくるような明るい空間を造り上げた、縦長のスリット窓と上部のトップライトのうち、縦長のスリット窓が、外観デザインのすっきりしたアクセントになっています。
家の中心上部のトップライト
■ 遊び道具もたっぷり収納、間接照明の柔らかな光が心地よい北欧モダンハウス ■
プライベート感のあるバルコニーを備えた「木の雰囲気に包まれた広々とした空間」をテーマにした狭小住宅です。
リビングの掃き出し窓は、バルコニーへと繋がっています。
■ 大型バルコニー・造作キッチン・ロフト…リビングに家族が集まる家 ■
家族が自然に集まるリビングにこだわって家づくりが進められた狭小住宅です。そのリビングに繋がるバルコニーは、陽射しと風を通すルーバーで、プライバシーが確保されています。
変形敷地を活かしたデザイン住宅
狭小地には、旗竿地やウナギの寝床のような間口が狭く奥行きの長い土地の他に、三角形や五角形などの変形地、段差のある土地などが多くあります。そのような変形地を、弱点にせず、逆に活かせることが、デザイン住宅の強みです。
■ ダブルエントランスを持つ変形敷地の狭小住宅 ■
2 方向を道路に接する三角形の敷地に建つ3 階建ての狭小住宅です。三角形の良さをプランニングに活かし、メリハリのある空間を持つ家が生まれました。
密集した住宅地にある狭小地に建てる家は、設計デザインによって、暮らしやすい家にも暮らしにくい家にもなり、凡庸なデザインの家にも、洗練されたデザインの家にもなります。デザイン住宅とは、暮らしやすさと、視覚的な美しさを同時に叶える狭小住宅です。
ホープスの狭小住宅への想い
ホープスは、狭小住宅での快適な暮らしを実現させたいという思いで、すべての住宅の建築に向き合っています。根本にあるのは、狭小住宅での快適さとは、無駄を省いたシンプルな暮らしにあるのではないかという考え方です。
敷地の形、道路や周辺の環境に合わせて、日当たりと風通しの良い家、プライバシーを確保できる家、高いインテリア性と優れた住宅性能を持つ暮らしやすい家、安心して暮らせる防犯性の高い家をご提案します。
狭いから快適さをあきらめるのではなく、より快適な暮らしを目指して、施主様のご希望に沿った家にしていきます。
狭小住宅としての参考になる建築実例がたくさんございます。ぜひご覧ください。