狭くても、東京に家を建てたいと計画する時、最低限の敷地面積はどのくらい必要なのでしょう?狭小住宅は、10坪前後の家とも言われますが、その10坪とは、敷地の面積なのでしょうか?家の面積なのでしょうか?
敷地面積、床面積、建築面積の違い
10坪の狭小住宅には、二通りの意味があります。10坪の敷地面積に建つ家と、家自体の面積が10坪の家です。
敷地面積とは、文字通り、敷地の全体的な面積です。
家の面積には、建築面積と、延べ床面積があります。
建築面積とは、家を真上から見た時の面積です。たいていの場合は、1階の床面積と同じです。
延べ床面積とは、各階の床面積を合わせた総床面積のことです。したがって、同じ建築面積の家でも、平屋よりも2階建て、2階建てよりも3階建ての方が、延べ床面積は増えていきます。上の階に行くにしたがって床面積が小さくなっていく設計よりも、すべての階の床面積が同じ設計の方が、延べ床面積が増えます。その為、狭小住宅では多くの場合、すべての階を同じ床面積にする設計が取り入れられます。
家の面積は、建坪と呼ばれることもあります。その場合にも、1階の床面積を指す場合と、各階の床面積を合わせた延床面積を指す場合があります。
このように10坪の狭小住宅と言っても、その10坪が、敷地全体を指すのか、建築面積を指すのか、延べ床面積を指すのかによって、大きな違いがあります。
敷地面積10坪の狭小住宅の可能性と建築事例
10坪の敷地に、家を建てる場合、10坪の建築面積の家が建てられるわけではありません。地域や道路との関係によって、建築面積が制限されます。基本になるのは建ぺい率と容積率です。
建ぺい率とは、敷地の中に建てられる建物の建築面積の割合を表す数字です。容積率とは、敷地の中に建てられる建物の延べ床面積の割合を表す数字です。建ぺい率と容積率は、建物の用途、区、区内の地域によって変わってきます。
平成23年度に東京都が作成した東京の土地利用という資料を見ていきましょう。建物の用途よる建ぺい率の違いを見ると、官公庁施設、教育文化施設、供給処理施設など、公共施設の建ぺい率は低く、平均で30パーセント弱、住宅や商業施設、宿泊施設などは、平均で50パーセント強です。
区による平均建ぺい率の違いを見ると、中央区、台東区、墨田区は、60%以上、新宿区、文京区、品川区、目黒区、渋谷区、中野区、杉並区、豊島区、北区、荒川区、板橋区、葛飾区、江戸川区は、50パーセント以上、江東区は47,4パーセントです。
区による平均容積率の違いを見ると、中央区552,8%、千代田区409,7%,港区、新宿区、文京区、台東区、墨田区、江東区、品川区、渋谷区は200%以上、練馬区が123,1パーセントとなっていて、全体の平均は178パーセントです。
用途地域による平均建ぺい率の違いを見ていきましょう。同じ区内でも、用途地域によって建ぺい率と容積率の割合が細かく制限されています。さらに、同じ区域内でも特定行政庁指定の角地は、建ぺい率制限が10%増加、防火地域内の耐火建築物は、建ぺい率制限10%増加と定められています。
第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域の建ぺい率は、30%、40%、50%、60%、容積率は50%、60%、80%、100%、150%、200%と定められています。
第1種低層住居専用地域 2階建てまでの住宅と、幼稚園、小学校、中学校、高校、図書館、神社、お寺、教会、老人ホームが建てられる地域です。それぞれの住宅が、十分に日当たりと風通しを確保でき、緑豊かな環境で暮らせるようにする為、高さ制限、建ぺい率、容積率、外壁後退に細かい制限があります。第2種低層住居専用地域 第1種低層住居専用地域に建てられる建築物に加えて、2階建てまでの店舗を建てられます。
第1種中高層住居専用地域、第2種中高層住居専用地域の建ぺい率は、30%、40%、50%、60、容積率は100%、150%、200%、300%と定められています。
第1種住居地域、第2種住居地域、準住居地域の建ぺい率は、50%、60%、80%、容積率は、200%、300%、400%と定められています。
第1種住居地域は、第2種低層住居専用地域に建てられる建築物に加えて、保育所、診療所、交番、大学、高等専門学校、病院、2階建て以下で、150㎡以内の店舗や飲食店、宿泊施設などが建てられます。
第2種住居地域 第1種住居地域に建てられる建築物に加えて、スポーツ施設、パチンコ店、ガソリンスタンドなどが建てられます。
準住居地域は、第2種住居地域に建てられる建築物に加えて、営業用倉庫、劇場、映画館、危険性や環境を悪化させる恐れが非常に少ない50㎡以下の工場、150㎡以下の自動車工場が建てられます。
近隣商業地域の建ぺい率は、60%、又は80%、容積率は、200%、300%、400%と定められています。この違いは、駅や幹線道路からの距離によって変わります。
近隣商業地域は、準住居地域に建てられる建築物の条件はほぼ同じですが、駅周辺や幹線道路の周辺に指定される商業施設が多い地域です。マンション、事務所、戸建て住宅などが並び建っています。
商業地域の建ぺい率は、80パーセント、容積率は200%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900%、1000%と定められています。
商業地域は、ターミナル駅の周辺に広がる地域です。駅によって大型の商業施設が立ち並ぶ地域、オフィスが建ち並ぶ地域、高層マンションが建ち並ぶ地域があります。
具体的に10坪の敷地面積に家を建てる場合の家の広さを考えてみましょう。第1種住居地域、第2種住居地域、準住居地域、近隣商業地域など、建ぺい率が80%、容積率が300%の地域に、3階建ての家を建てると、建築面積は8坪、3階建てなので24坪の延べ床面積を持つ家が建てられます。24坪の家とはどのくらいの広さなのでしょうか?
国土交通省が作成した住生活基本計画を見ると、夫婦と子供1人の3人家族の都市居住型の理想の居住面積は、75㎡です。坪数にすると、約23坪です。10坪の狭小敷地であっても、十分ゆとりのある居住面積を確保できることがわかります。
10坪の敷地面積に建つ家の建築事例
シンプルで長屋の佇まいをもつ狭小住宅 延床面積65~80㎡
風と光にみたされた居心地のいい家 延床面積65~80㎡
建築面積10坪の狭小住宅の可能性と建築事例
階ごとの床面積が10坪ある住宅は、3階建てにすると、全体で30坪にもなります。夫婦と子供2人の4人家族の、都市居住型の理想の居住面積は、95㎡ 29坪弱です。4人家族でも十分な居住空間が得られます。
趣味を楽しむ土間と変化のあるLDKをもった狭小住宅 延床面積 80~100㎡
遊び道具もたっぷり収納、間接照明の柔らかな光が心地よい北欧モダンハウス 延床面積 80~100㎡
ホープスの狭小住宅への思い
ホープスは、狭小住宅での快適な暮らしを実現させたいという思いで、すべての住宅の建築に向き合っています。根本にあるのは、狭小住宅での快適さとは、無駄を省いたシンプルな暮らしにあるのではないかという考え方です。
敷地の形、道路や周辺の環境に合わせて、日当たりと風通しの良い家、プライバシーを確保できる家、高いインテリア性と優れた住宅性能を持つ暮らしやすい家、安心して暮らせる防犯性の高い家をご提案します。
狭いから快適さをあきらめるのではなく、より快適な暮らしを目指して、施主様のご希望に沿った家にしていきます。
狭小住宅としての参考になる建築実例がたくさんございます。ぜひご覧ください。