家を建てようと考え始めると、通りを歩いている時に見かける家が、普段より目に入ってくるものです。あの家の窓は素敵だなとか、外壁の色がきれいだなとか、無意識のうちに参考にできるような家はないか、探してしまったりします。
そういう中で、あんなふうな家は嫌だなと感じる家もあります。
なんだか安っぽくて、建売住宅みたい…
せっかく多額な費用をかけて、注文住宅を建てても、建売住宅みたいな家になってしまったら、暮らしを楽しめない毎日になってしまうかもしれません。いったい何が、住宅の外観を、建売住宅のように見せてしまうのでしょうか?
建売住宅のように見える注文住宅の外観とは?
住宅の外観を決める要素には、屋根と建物の形状、窓と玄関、外壁があげられます。これらの要素によって、デザイン性が向上し、印象の良い家になることもあれば、安っぽい家になってしまうこともあります。
同時に、これらの要素は、建築費にも影響します。建売住宅では、似た印象の家が多いのは、建築費を抑えるために、選べる屋根や建物の形状や窓のタイプが制限されるからです。その為、建売住宅の屋根や建物の形状の特徴には、面が少ないことがあげられます。屋根でいえば、三角屋根や、片流れ屋根の組み合わせ、建物の形状には、凹凸が少なく、箱型のデザインが多く見られます。
窓の開閉方法は、引き違いタイプが最も多く使われます。大きめのサイズの引き違い窓が、均等に並べられている家を、見かけたことがあるのではないでしょうか?玄関ドアは、標準的なグレードの金属製の片袖ドアが、多く使われています。外壁の色は、周囲に溶け込むよう、無難な色が使われます。薄いグレーやベージュが多いです。
狭小住宅を安っぽい外観にしない工夫
住宅の外観を決める要素について考えると、狭小住宅は、建売住宅のような外観になりやすいということがわかります。狭小住宅独特の問題点を解決するためには、避けられない屋根のタイプと、建物の形状が限定されているからです。
狭小住宅の問題点の一つは、床面積の確保です。限られた敷地内に建てる住宅なので、階数を増やして、床面積を確保しなくてはなりません。この場合、最も有効に床面積を確保できる建物の形状は、箱型の家です。上の階に行くに従って、小さくしていけば、床面積を最大限大きく取れなくなってしまうからです。その為、狭小住宅では、総二階建ての家、つまり箱型の形状が、採用されます。
また、屋根には、屋根裏空間を使いやすい片流れ屋根が使われます。床面積だけではなく、ロフトを作るなど、屋根裏空間を有効に使えるからです。屋根裏空間が有効に使えると、収納場所を確保したり、インテリア性を向上させたりできるのです。ところが、この組み合わせが、狭小住宅を安っぽい外見にする要素になりかねないのです。
狭小敷地とは言え、郊外の平均的な坪数の土地より、はるかに高額な土地に建てる家が、狭小住宅であるがゆえに、建売住宅のような外観になってしまっても良いものでしょうか?そうではないはずです。優れたデザイン性を持つこだわりのある家にしなくてはなりません。
それにはどのような方法があるのでしょうか?注文住宅らしいこだわりのある家にする為には、必要な要素について考えてみましょう。
必要な要素のひとつは、建材のグレードです。
全く同じ外観の家だったとしても、標準的な建材で建てられた家と、高品質な建材で建てられた家では、印象が全く違います。窓や玄関ドアも、同じサイズ、同じタイプであっても、グレードによって、安っぽくも見え、高級にも見えます。
特に、築3年以上すると、その違いはいよいよ明白になります。グレードの高い建材を使った住宅は、築3年程度では、ほとんど新築時のような印象を維持しますが、グレードが標準以下の住宅は、すでに劣化が始まります。
もう一つは、デザイン的な要素です。凹凸のない箱型の家に、アクセントをつけることで、こだわりのある外観にするのです。
そのうちの一つが窓です。狭小住宅にとって、窓は、室内環境を向上させるために、非常に重要なパーツです。郊外型の住宅では、大きめの引き違い窓をつけることで、日当たりと風通しを良くできます。しかし、狭小住宅は、隣家との距離が近い、周辺をビルや背の高い住宅に囲まれているといった環境にあります。その為、そのようなそのような環境にあっても、快適な室内環境を作れる窓が求められます。具体的には、密集地であっても、常に十分な日当たりと風通しを確保できることと、隣家や道路からの視線が遮れることが、その条件です。
その条件を満たす為に、トップライト、高い位置につける横すべり出し窓、細長い縦すべり出し窓などが採用されます。これらの窓は、引き違い窓と違い、箱型の形状の家との相性が良く、外観デザインを向上させる効果があり、狭小住宅には最適な窓です。
玄関ドアも外観デザインに大きな影響を与えます。狭小住宅では、間口の幅が狭いことが多いので、片開きタイプがほとんどですが、デザインと、建材の選び方で、洗練された雰囲気が作り出せます。
アクセントには、袖壁が使われることもあります。袖壁は、玄関の目かくしとしても、ウィンドキャッチャーとしても、役立ちながら、外観デザインのアクセントとして効果を上げます。
バルコニーも外観デザインのアクセントとして役立ちます。建売住宅では、物干しの機能だけを考えたバルコニーがほとんどです。しかし、注文住宅のバルコニーは、実用目的だけではありません。外観のデザイン性を上げるための働きもします。バルコニーと、バルコニーの目かくしに使うルーバーで、箱型の形状に凹凸を生み出すことに加えて、色彩上のアクセントも作ります。
こだわりのある家づくりには費用がかかる
面の少ない屋根と、箱型の形状の家は、高いデザイン性を持つこだわりの注文住宅にもなり、安っぽい建売住宅のような注文住宅にもなる家です。
日本では、ここ数十年、経済が良くない時代が続いてきたため、価値観に対する考え方が、偏ってしまった部分があります。コストパフォーマンスで価値観を計るという考え方です。
一方、日本には、昔から安物買いの銭失いという言葉もあります。服やバッグなら、安いから買ったけれど、質が悪く、失敗だったというようなことがあっても、人生を左右するようなことはないでしょう。けれども、家は、一生の買い物です。コストパフォーマンスという面だけから価値観を計れば、建売住宅のような家が建ってしまう恐れも充分にあります。外観が建売住宅のように見えるというだけならまだしも、早い時期から家のメンテナンスが必要になってしまうこともあります。
本物の価値があり、家族の暮らしに寄り添った家は、終の棲家となる家です。そのような家を建てるためには、家に対する価値観を、明確にさせることが大切です。自分たち家族の理想の暮らしを作り出す家を、確実に完成させるための優先順位を見つけなくてはなりません。
もちろん、家が完成した後の暮らしが圧迫されるようなことがあってはなりません。ただ、良い家を建てるためには、費用がかかるということを覚悟して、家づくりを始めることが大切です。
HOPEsの狭小住宅への思い
ホープスは、狭小住宅での快適な暮らしを実現させたいという思いで、すべての住宅の建築に向き合っています。根本にあるのは、狭小住宅での快適さとは、無駄を省いたシンプルな暮らしにあるのではないかという考え方です。
敷地の形、道路や周辺の環境に合わせて、日当たりと風通しの良い家、プライバシーを確保できる家、高いインテリア性と優れた住宅性能を持つ暮らしやすい家、安心して暮らせる防犯性の高い家をご提案します。
狭いから快適さをあきらめるのではなく、より快適な暮らしを目指して、施主様のご希望に沿った家にしていきます。
狭小住宅としての参考になる建築実例がたくさんございます。ぜひご覧ください。