暮らしやすい家、洗練された雰囲気の家、納得のいく家づくりが成功した家…このような住宅には、共通する条件を備えています。

  • 家の中の温度管理がしやすく、夏涼しく冬暖かい室内環境を作る断熱性能
  • 地震や台風などの大災害が起きても、安全に過ごせる耐震性能
  • 移動や家事がストレスなくでき、家中どこにいても、居心地の良さを感じる間取り
  • 周囲の環境に溶け込みながら、住む人のイメージを向上させる外観デザイン

これらの条件を確実なものにする要素には、住宅全体の形状や、壁や屋根の建材、間取プランなどに加えて、窓も重要な要素としてあげられます。

外観デザインや間取りと比べると、家づくりプランの中では、あまり重要視されないことの多い窓ですが、実際には、外観デザインにも暮らしにも、大きな影響を与えます。

Works(株)ホープスの建築実例

窓で外観デザインが変わる

家の外観デザインは、屋根と外壁、窓と玄関の組み合わせです。屋根の形状や外壁の色や質感とともに、窓のサイズ、位置、開閉方法によって、家の外観の印象は大きく変わります。室内からの見え方、室内のインテリア性という方向で、窓のことを考えてしまいがちですが、外から見え方が、家の印象を変えます。

大きさの違う窓を並べる場合には、窓の上部を同じ線上に配置する、階の違う窓は、縦に並べて配置すると、すっきりした印象の外観が作られます。引違窓は、のっぺりした印象になってしまうことがありますが、反対に円形の窓や出窓を多用すると、煩い印象になってしまうことがあります。

サッシの色と外壁や屋根の色との調和も大切です。同じ引違窓でも、サッシの色と外壁の色の組み合わせ方で、洗練された印象にも、安っぽい印象にもなります。外壁と同じ系統の色にして、サッシを外壁に溶け込ませる方法もあれば、外壁より濃い色にして、アクセントにすることもあります。また、サッシの質感もデザイン性に影響を与えます。木製のサッシは、北欧風の雰囲気、濃い色のサッシは、モダンな雰囲気を演出します。

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窓で室内環境が変わる

窓には、太陽の光と自然の風を採り入れるという働きがあります。日当たりが悪い家は、晴れた日でも暗い家になってしまいます。風通しの悪い家は、家の中の空気が淀んでしまいます。どちらも、健康に良い家とは言えません。太陽の光と自然の風は、健康な暮らしを維持する為には、とても大切です。

ところが、太陽の光と自然の風は、家の中の快適性を阻む要素にもなってしまいます。日差しは、室内を明るくし、冬は暖かさも届けてくれますが、夏は室温を上昇させます。窓は、屋根ほど太陽に近いわけではなく、外壁ほど面積が広い訳ではありません。そうであるにもかかわらず、夏の暑さのほとんどは、屋根や壁ではなく、窓から入ってきます。夏に冷房の涼しさや、冬の暖房の暖かさが逃げていく経路も窓です。さらに冬は、暖かさを逃がすだけではなく、窓からの隙間風を採りこみ、より室内を冷やします。

室内環境を変える窓の断熱性
窓は、夏には暑さと眩しさ、冬には寒さと結露の主な原因を作ります。その為、窓の断熱性が、室内環境に大きな影響を与えます。日本では、昭和から平成の半ば頃までは、断熱性が極めて低いアルミサッシと、単体ガラスの窓が使われてきました。しかし、その後は住宅の断熱性を高める為、新築住宅には複層ガラスが取り入れられています。

ただ、複層ガラスというだけでは、十分な断熱性は得られません。木製、又は樹脂サッシとトリプルガラスなど、より断熱性の高い窓にすることで、家の断熱性は大きく変わります。窓ガラスの中には、眩しさを抑え、室内に紫外線が入り込まないようにする付加価値のついたガラスもあります。

断熱性の高い窓がついている家は、夏の太陽の直射熱や、冬の冷気が室内に侵入せず、冷房の涼しさや暖房の暖かさが逃げません。その結果、冷暖房の効率が良くなり、電気やガスの節約にもなります。

室内環境を変える窓の開閉方法
窓の開閉方法によって、風通しの良さ、気密性の高さが変わります。

【ウィンドキャッチャーになる窓】
向かい合った位置に窓があるのに風通しが悪いというような部屋もあれば、間取りの関係上、窓を一つしかつけられないというような部屋があります。どちらも、風を採りこめない部屋です。風を採りこめなければ、室内の換気が十分にできなくなるので、カビやダニを発生させてしまいます。24時間換気であっても、窓からの風は必要です。

このような場合、窓の開閉方法のタイプの選び方で、風を採りこめる部屋に変えられます。最も効果的な開閉方法の窓は、縦すべり出し窓です。縦すべり出し窓は、家の外側に開く窓です。外側に開いた窓ガラスに、風が当たって室内に入り込んできます。

引違窓に比べると、面積が小さいので、風通しが悪い印象を、受けるかもしれません。しかし、縦すべり出し窓を横に並べると、壁に沿って吹く風を採り入れられない引き違い窓に比べると、格段に風が通りやすくなります。

【気密性を高める窓】
サッシの隙間からの熱や冷気に侵入を防ぎ、気密性を高めることは、断熱性を高めることにも繋がります。窓の気密性は、開閉方法の違いによって変わってきます。

気密性の高い窓は、ドレーキップ窓、縦すべり出し窓、横すべり出し窓、上げ下げ窓です。特に、内倒しにも内開きにもできる木製のサッシのドレーキップ窓は、断熱性と気密性が非常に優れています。

【室内環境を変える窓の位置とデザイン性】

窓の位置は、家具の配置とプライバシーに影響を与えます。窓の位置、サイズ、開閉方法を決める時に、家具の配置も合わせて考えていくことが大切です。窓の数、位置やサイズによっては、置きたい場所に家具が配置できなくなることがあるからです。

また、窓の位置によっては、外部からの視線が入ってしまい、プライバシーが確保できなくなることがあります。そのような位置にある窓は、せっかく窓があるのに、開けられない残念な窓になってしまいます。

窓の位置、サイズ、開閉方法はインテリアにも影響を与えます。窓辺の雰囲気は、部屋全体のインテリアを変えるからです。天井まである窓は、室内を広く感じさせ、窓の外に花が飾れる内開き窓は、北欧風な雰囲気を演出します。

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狭小住宅と窓の関係

狭小住宅では、一般的な住宅より、窓の重要性が高まります。周囲を住宅やマンションに囲まれているので、日当たりや風通しを確保しつつ、プライバシーも考慮しなくてはならないからです。

密集した住宅地にある狭小住宅は、1階と2階に日差しが取り込めないケースが多いので、吹き抜けやスキップフロアを間取りに採用します。その結果、家の中の空間が繋がり、断熱性が低下し、夏暑く、冬寒い家になってしまいます。その為、通常の住宅より、高い断熱性と気密性を持つ窓が求められます。

そして、プライバシーを確保する為に、高い位置につける横すべり出し窓や、細長い縦すべり出し窓などが使われます。これらの狭小住宅に必要な機能を備えたタイプの窓は、ちょうど良いことに、狭小住宅の外観のデザイン性の向上に役立つタイプが多いです。

狭小住宅では、床面積を確保する為、総二階建て、総三階建てにすることがほとんどです。このような箱型の外観の決め手となるのは、窓の開閉方法とサイズ、配置です。箱型の家は、のっぺりしたセンスの感じられない外観にもなり、アクセントの利いたデザイン性の高い外観になるのです。

 

HOPEsの狭小住宅への思い

ホープスは、狭小住宅での快適な暮らしを実現させたいという思いで、すべての住宅の建築に向き合っています。根本にあるのは、狭小住宅での快適さとは、無駄を省いたシンプルな暮らしにあるのではないかという考え方です。

敷地の形、道路や周辺の環境に合わせて、日当たりと風通しの良い家、プライバシーを確保できる家、高いインテリア性と優れた住宅性能を持つ暮らしやすい家、安心して暮らせる防犯性の高い家をご提案します。

狭いから快適さをあきらめるのではなく、より快適な暮らしを目指して、施主様のご希望に沿った家にしていきます。

狭小住宅としての参考になる建築実例がたくさんございます。ぜひご覧ください。

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著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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