雰囲気の良い家が出来上がったと、完成時には嬉しさしかなかったのに、暮らし始めてみると、間取りによっておこる生活の支障が気になるケースは、少なくありません。収納スペースの使いにくさや、家事効率の悪さなど、その内容は様々です。

注文住宅は、自分たちが建てた間取りプランと、まったく同じ家を見ることができません。また、住宅展示場のように、まったく同じモデルハウスを見たところで、数週間程度、そこに暮らしてみなければ、暮らしやすさは、判断できないでしょう。

家は、完成してから、家具や家電を置き、家族が暮らし始めてみないと、わからないことも多いのです。その為、多くの人が、住宅が完成してから、失敗したと感じるのではないでしょうか?

家は、失敗したと感じても、簡単には建て直せません。ほとんどの人は、生涯をそこで過ごします。それならば、建てる前の労力を惜しまず、綿密に間取りプランを作ることが重要です

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家族の動線と収納の関係

暮らしやすい家の条件の一つは、家族の動線が自然に整う間取りの家です。そして、使いやすい収納の位置は、家族の動線と、大きなかかわりがあります。使いやすい収納のある家は、狭くても、物が溢れない家、自然と片付く家です。

使いやすい収納の条件は、使いやすい位置にあることと、収納する物のサイズにあっていることの2つです。使いやすい位置は、家族の暮らし方によって、変わってきます。家族全員が家にいる時間は、ほとんどリビングで過ごすという家族は、家の中心にリビングを作ることが多いです。

このリビング内に、家族が使える大型の収納スペースを作ると、家族の動線にあった使いやすい位置にある収納が出来上がります。

朝、出かける時に、玄関で、自分の部屋に置いてあるものを、取りに行きたいと思うことがあります。少し肌寒いから上着が必要だと感じた時や、仕事の会議に必要な書類を忘れたことに気が付いた時です。狭小住宅では、3階建てが多いので、寝室や書斎が3階にある家も多いです。朝、電車の時間が迫っているのに、3階まで取りに行くのは大変でしょう。

リビングにクローゼットがあれば、上着などはもちろんのこと、次の日出かける時に、必要な荷物を置いておけます。子供は、ランドセルの中身を揃えて、置いておけるので、学校への忘れ物も防げます。

子育て中の家庭では、昼間、子供がリビングで遊びます。遊ぶ終わった後に、階段を上がって、子供部屋までおもちゃを運ぶ必要もなくなります。リビングに収納があれば、小さなうちから、安全に自力でおもちゃをしまう習慣が身につきます。

帰宅後の動線を考えても、リビングの収納は便利です。帰宅して、リビングで過ごすことの多い家族は、玄関からリビングを通り過ぎて、階上の自分の部屋まで荷物を置きに行かなくてもすむからです。

疲れて帰宅しても、大人はリビングが散らかると嫌なので、荷物を自室に運ぶかもしれません。でも、子供はどうでしょうか?狭い家に住んでいる主婦に多い悩みの一つは、リビングが片付かないということです。

帰宅した子供が、荷物をリビングに置きっぱなしにする、小さな子供が大きなおもちゃを持って階段を上り下りするのは危ないので、リビングに置きっぱなしにさせてしまうというようなことが原因でしょう。

上着や荷物以外にも、買い置き品、掃除用具、CDや本など、リビングで使う物で、出しっぱなしにしておきたくない物を、効率良く収納できます。

この収納スペースを活かす為、使い勝手を良くする為には、内部の作り方に注意が必要です。

しまう物を具体的に考えて、棚や仕切りを作らないと、位置は良くても、収納内に無駄なスペースができてしまったり、収納しにくくなったりしてしまう恐れがあります。

コートなど衣服をかけるエリアには、最も分厚いコートを、ハンガーにかけても充分な幅を持たせます。子育て中には、小さな子供が、しまいやすい高さの棚が必要です。CDや本をしまう棚は、浅い奥行きにします。収納ボックスや、衣装ケースをしまう予定であれば、そのサイズに合わせた棚を作ります。具体的に、しまうものに合わせたサイズの棚や仕切り、ハンガーパイプを設置すると、無駄なスペースができません。

収納スペースのタイプとしては、ウォークインクローゼットが向いています。間取りによっては、両側から出入りできるウォークスルークローゼットにする選択肢もあります。

さらに、このような大型収納スペースの場合、荷物を入れる前には気が付かないのですが、実際に荷物を入れてみると、暗い部分ができてしまいがちです。天井につけた照明が、荷物で遮られ、灯りが届かない部分ができてしまうからです。その為、壁面の照明や、コンセントをつけておくと便利です。

コンセントは、大掃除で、クローゼットの中身を全部出す時に、掃除機にも使えるので便利です。CDや本用の浅い棚の付近に、コンセントをつけておけば、充電器も置けます。

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吹き抜けやリビング階段と室内環境の関係

「吹き抜けは素敵だと思っていたけど寒かった」

「リビング階段のある家に遊びに行ったら、エアコンがついているのに、とても暑かった」

よそのお宅におじゃまして、そんな風に感じたことはありませんか?特に、家を建てることを検討中の人は、よその家におじゃますると、普段より、いろいろなことに気が回るのではないでしょうか?

吹き抜けは、狭小住宅では、よく使われる設計の方法です。縦に細長い家で、周りに他の住宅が密集していると、階下の部屋は、日当たりが悪くなってしまうからです。吹き抜けがあれば、3階建ての住宅でも、3階で採りこんだ日差しが、1階と2階の部屋まで届きます。

ところが、吹き抜けやリビング階段のある家では、空間が繋がっている為、冷暖房の効率が、落ちてしまうことがあるのです。この原因は、家の性能にあります。

断熱性、気密性が高くない家では、吹き抜けやリビング階段が、夏暑く、冬寒いという室内環境を作ってしまうのです。その為、吹き抜けや、リビング階段を間取りに取り入れる場合には、高い住宅性能が求められます。

反対に、断熱性、気密性が高い狭小住宅では、吹き抜けやリビング階段を取り入れることによって、少ないエネルギー量で、家中の温度を一定に保てるという強みにもなります。家の中の空間が繋がっているので、日差しや風だけではなく、冷房の涼しさや、暖房の暖かさが、家中に拡がるからです。

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間取り、窓と家具、家電の関係

家具や家電を、実際に置いてみたら、デッドスペースが何か所もできてしまった、家具の一部が窓にかぶってしまい、予定した場所に置けないという失敗もよくあるケースです。この失敗は、間取りプランと家具、家電選びを並行して進めないと、起こってしまう失敗です。

特に、床面積が限られている狭小住宅では、このような問題は、暮らしにくさに直結してしまいます。間取りプランを作る際には、家具、家電選びを並行して進めることが、このような失敗を、防ぎます。

また、窓は、採光と採風の為には、必要不可欠なものですが、同時に家具が置きにくくなるという、間取り上の問題を生み出します。加えて、都市部の狭小住宅では、起きやすい<外部からの視線を取り込んでしまう>という問題があります。

せっかく大きい窓を作ったのに、視線が気になり、1日中ブラインドを下ろしたままにしているというケースもあります。このような状況を避けるためには、周辺の家の窓や道路との位置関係に合わせて、窓の位置を決める必要があります。

窓のサイズ、位置、開閉方法によって、外からの視線が気にならない窓にする為です。

せっかく建てる新築住宅に、失敗を持ち込まない為には、間取りプランを作る際に、暮らし方、家具や家電のサイズ、収納する物の量とサイズなどを、取り入れることが大切です。

HOPEsの狭小住宅への思い

 

ホープスは、狭小住宅での快適な暮らしを実現させたいという思いで、すべての住宅の建築に向き合っています。根本にあるのは、狭小住宅での快適さとは、無駄を省いたシンプルな暮らしにあるのではないかという考え方です。

敷地の形、道路や周辺の環境に合わせて、日当たりと風通しの良い家、プライバシーを確保できる家、高いインテリア性と優れた住宅性能を持つ暮らしやすい家、安心して暮らせる防犯性の高い家をご提案します。

狭いから快適さをあきらめるのではなく、より快適な暮らしを目指して、施主様のご希望に沿った家にしていきます。

狭小住宅としての参考になる建築実例がたくさんございます。ぜひご覧ください。

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著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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