都心部で増えているデザイン住宅は、狭小敷地や変形敷地でその良さを発揮します。都市部に建てる住宅は、郊外型の整形地に建てる一般的な面積の住宅より、様々な制限をクリアする必要があります。その為、狭小地や変形地には、型にとらわれない自由な発想とデザイン性で創り上げるデザイン住宅が向いているのです。

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デザイン住宅は現実的に暮らしやすい住宅?

デザイン住宅と聞くと、デザイナーズ住宅を思い浮かべる人も多いかもしれません。若くて独身のうちはおしゃれでいいかもしれないけれど、子育てをする家族には向かないのでは?と考える人もいるでしょう。

でもそんなことはありません。デザイン住宅とは、実用性のない住宅ではないからです。反対に、狭小地や変形地にも柔軟なアイディアを駆使して、暮らしやすい空間を持たせられる家です。

多くの場合、狭小地に建てる家は、狭小地の家がクリアしなくてはならない問題点を解決する為に、郊外型の整形地に建てる家よりも建築費が嵩みます。その為、外観デザインはシンプルにして建築費のコストを抑え、設計の工夫で狭小地の家が抱える暮らしにくさという問題点を解決します。そしてそのシンプルな外観は、デザイン住宅のデザイン性を高める大きな特徴でもあります。

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暮らしやすさを作る基本 間取り

どんなに外観や内装がおしゃれであっても、暮らしにくい間取りの家では快適な生活ができません。これからデザイン住宅を建てようと計画する場合、どのような間取りにすれば、暮らしやすいデザイン住宅にできるのか考えてみましょう。

家族に合わせた間取り

これから建てる家に、夫婦だけで暮らす家族もあれば、子育て中の家族、親世代と暮らす二世帯家族もあることでしょう。そして、それぞれの家族には、それぞれ違ったライフスタイルがあります。毎日必ず一緒に夕食を摂り、食後は家族揃ってリビングで家族団らんを楽しむ家族、仕事や塾で帰宅時間が遅く、帰宅後はそれぞれの居室で仕事の続きや受験勉強をすることの多い家族など、その暮らし方によって、暮らしやすい間取りは変わってきます。

家族にあった間取りにする為には、家族の生活の仕方にあった間取りにすることが大切です。

家族の時間帯 家にいる時間がほとんど同じ家族の場合の間取りのポイント

家族の動線
朝の時間帯には、洗濯、調理をする主婦の家事動線と、洗面、トイレなどの家族の生活動線がぶつかるような間取りは、ストレスを生みます。洗濯機を洗面所に置く予定であれば、主婦の水回りを回遊できる動線と、家族の生活動線がぶつからないよう、キッチンから洗濯機のおいてある場所への出入り口と、家族のリビングダイニングから洗面所への出入り口を作るなどの工夫が必要です。

洗面所とトイレ
朝は洗面所とトイレが混みあいます。家族の人数が多ければ、洗面ボールが2つついた洗面台にする、洗面台を玄関わきなど洗面所以外にもう一つ作る、トイレは各階に作るなどの工夫が必要です。

リビングダイニングキッチン
限られた床面積の中で、家族全員がゆったり座れるダイニング、配膳や調理のお手伝いがしやすいキッチンのレイアウトなどを考えなくてはなりません。リビングで過ごすことの多い家族は、できるだけリビングを広く取りたいと考えるものです。しかし、リビングを広く取り過ぎて、ダイニングとキッチンにしわ寄せが行き、調理しにくいキッチン、立ったり座ったりしにくい狭さのダイニングになってしまわないようにしなくてはなりません。その為、キッチンのレイアウト、キッチンとダイニングの繋げ方に工夫が必要です。

収納
帰宅後はリビングで過ごすことが多い家族は、リビングに物が溢れてしまいがちです。その為、玄関、又はリビング内に家族が使える大型のクローゼットを作るなどの工夫でリビングをすっきりさせられます。

家族の時間帯 帰宅が遅い家族がいて生活の時間帯がバラバラな家族の場合の間取りのポイント

音への配慮
帰宅の遅い家族が早めに就寝する子供、二世帯住宅の場合は親世帯の睡眠を妨げないような間取りにしなくてはなりません。早めに就寝する家族の寝室と、水回りが縦に重ならないようにする、吹き抜けやリビング階段を取り入れる場合は、音が響きやすいので、階段の上か下に引き戸をつけるなどの方法が考えられます。

収納
帰宅後は自分の部屋で過ごすことの多い家族の場合、寝室や子供部屋にそれぞれ収納スペースを作っておくと、室内がすっきりします。子供部屋が2つある場合には、2つの子供部屋の間にウォークスルークローゼットを作ると、子供全員が一緒に使える収納スペースにできます。

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お客様の多い家族の場合の間取りのポイント

お客様と家族の関わり
吹き抜けやリビング階段のある家では、リビングを通らないと階上に行けません。その為、リビングにお客様がいる場合、リビングを通らなくては玄関に行けないので、2階にいる家族が出かけたくても出かけにくい、トイレが2階にない場合には、トイレに行きにくいなどの問題が起こりがちです。お客様がいる時にも、家族が気兼ねなく家の中を移動できるようにする工夫が必要です。

キッチンのレイアウト
リビングとダイニング、キッチンが繋がっている間取りで、客間を作らない場合には、リビングでお客様をおもてなしします。その場合、キッチンのレイアウトによっては、キッチンが全てお客様の視線に入ってしまいます。キッチンの生活感が見られるのは嫌だと考えるのであれば、腰壁付きの対面キッチンにして、手元を隠すという方法があります。反対に、アイランドキッチンにして、鍋やフライパン、スポンジなども全ておしゃれに統一し、見せるキッチンにする方法もあります。

洗面所
洗面所に洗濯機を置いている、家族が多く洗面所に物が溢れているというような状況では、洗面所をお客様に使っていただきにくいと感じることがあります。お客様が多い家庭では、洗面所に充分な収納スペースを設け、物が溢れないようにする、リビングのそばにサブの洗面台を作るなどの工夫が必要です。

周辺の環境に合わせた間取り

敷地の周辺に家やマンションがたて込んでいる環境には、郊外型住宅にはないような問題があります。暮らしやすい家にする為には、その問題を解決しなくてはなりません。

窓とプライバシー
窓は、光や風、景観を室内に採り入れるという重要な働きを担っていますが、その反面、プライバシーを損なってしまうこともあります。窓の位置や大きさ、開閉方法によっては、道路や隣家からの視線が気になって窓が開けられない状況になってしまうこともあるのです。

そのような状況を避ける為には、高い位置や天井に窓をつける、縦長の窓にするなどの工夫が必要です。

窓と音
道路や周辺の商業施設からの騒音、隣家の生活音などが気になる立地条件だった場合には、窓が防音、遮音という働きをします。周辺の環境に合わせ、防音が必要であれば、二重窓にするなどの工夫が必要です。

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暮らしやすさを作る基本 間取りを支える住宅性能

都心部のデザイン住宅では、たて込んだ環境の中で、快適な室内環境と開放的な空間を作る為に、トップライト、吹き抜け、ロフト、スキップフロア、スケルトン階段などを取り入れることがあります。その結果、日当りと風通しが良くなり、空間が有効に使え、室内のデザイン性も向上します。

しかし、その一方、トップライトや吹き抜けを取り入れた為に、冷暖房の効率が悪くなった、冬は寒く、夏は西日で暑いというケースもないわけではありません。住宅の断熱性や気密性が十分ではないと、そのような室内環境になってしまうのです。

外観や内装は目に見えるものですが、室内環境は暮らし始めてなくてはわかりません。目に見えない室内環境を快適にする為には、住宅の性能が重要なのです。デザイン性にばかり目が行ってしまいがちですが、そのデザイン性を支える住宅性能にも目を向けることが大切です。

HOPEsの狭小住宅への思い

ホープスは、狭小住宅での快適な暮らしを実現させたいという思いで、すべての住宅の建築に向き合っています。
根本にあるのは、狭小住宅での快適さとは、無駄を省いたシンプルな暮らしにあるのではないかという考え方です。

敷地の形、道路や周辺の環境に合わせて、日当たりと風通しの良い家、プライバシーを確保できる家、高いインテリア性と優れた住宅性能を持つ暮らしやすい家、安心して暮らせる防犯性の高い家をご提案します。

狭いから快適さをあきらめるのではなく、より快適な暮らしを目指して、施主様のご希望に沿った家にしていきます。

狭小住宅としての参考になる建築実例がたくさんございます。ぜひご覧ください。

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著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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