間口が狭く奥行きが長い土地、変形の土地などの狭小敷地に建てる家は、居住面積を確保する為に、3階建の縦に長い家になるケースが少なくありません。周囲を住宅やマンションに囲まれた環境にある縦に細長い3階建ての家の1階2階は、十分な日差しを採り入れられません。また、狭さによって、圧迫を感じる空間になってしまう恐れもあります。

また、住宅が密集している地域では、周辺の騒音などに煩わされることもあります。そのような狭小住宅が持つ悪条件をクリアし、暮らしやすい家を完成させる為には、どのような間取りのアイデイアがあるのでしょうか?

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明るく風通しの良い室内環境を作るアイディア

日当たりと風通しは健康な生活にとって必要不可欠な要素です。例え、独身で仕事が忙しく、帰宅はいつも深夜というような生活であっても、毎朝、薄暗い室内で朝食を食べる生活は精神に悪影響を与えるでしょう。風通しが悪い室内では、カビが発生するかもしれません。健康的な生活ができる家にする為には、そのような環境にならないような間取りにしなくてはなりません。

窓・吹き抜け・スケルトン階段・床用強化ガラス
建物が密集している地域であっても、天井から採光できれば、日当たりの良い室内を実現できます。周辺からの視線を気にせずに済む環境であれば、壁一面の大開口からの採光も採り入れられます。ただし、トップライトや大開口を3階への部屋に設置しただけでは、光は1階、2階にまで届きません。

階下の部屋まで光を届けるためには、いくつかの手法を組み合わせて採用します。吹き抜けで空間を縦に広げる方法は、明るく開放的な空間を作ります。また、階段で光や風通しを遮ってしまわないように、スケルトン階段と組み合わせることもあります。吹き抜け以外には、床の一部に強化ガラスを組み込み、光が床を通して階下の部屋まで届くようにするというアイディアもあります。

バルコニー


リビングや寝室を掃き出し窓にして、広めのバルコニーと組み合わせると、明るい室内にできます。しかし、周辺からの視線でプライバシーが確保できそうにないという環境にある場合には、せっかく広めのバルコニーに作っても、窓はブラインドを下げたままということになりかねません。このような場合には、背の高いルーバーをバルコニーの全面につけて、プライバシーを確保します。

中庭
間口が狭く、奥行きの長い狭小敷地では、中庭で採光量を増やすというアイディアもあります。中庭が吹き抜けのような働きをするからです。どの部屋も外部からの視線を気にせず、窓を開けられるので、中庭からの光と風を存分に取り入れられます。都心部の暮らしでは、子供を外で遊ばせるのが心配ですが、中庭であれば、家の中とほとんど同じなので安心です。

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狭さによる圧迫感を無くし居住面積を広げるアイディア

狭小住宅では、細かく居室と区切ると、採光量が減ることに加えて、閉塞感のある家になってしまうそれがあります。その為、できるだけ狭さを感じさせないようにする間取りのアイディアが求められます。

壁を減らす
共用するスペースを増やす、家の中を目的別に細かく分けないという発想が、壁を減らすことに繋がります。壁がないと、空間が横に拡がるので、狭さから発生する圧迫感がなくなります。

  • リビング、ダイニング、キッチンを繋げる

→ キッチンカウンターからダイニングテーブルまで繋げるなどの方法で、細長いダイニングキッチンの床面積を有効に利用できます。

  • 子供部屋は区切らず、家具やロフトを利用する
  • スキップフロアを採用して段差で区切りを作る

→ スキップフロアとは、中2階中3階を作る設計の手法です。空間が開放的になり、日差しや風も通りやすくなります。

デッドスペースを利用する

  • 階段の壁面を利用して本棚を作る

  • 階段の踊り場を利用して書斎コーナーを作る
  • スキップフロアの段差を利用してリビングに子供の勉強コーナーを作る
  • スケルトン階段の階段下を利用してキッチンにする

視線の抜けを作る

  • 扉をガラス張りにする
  • スケルトン階段にする
  • 壁面に鏡をつけ広さを演出する

間取りのアイデイアで考えておかなくてはならないこと
光や風を採り入れる、圧迫感を無くすといったことの為に、吹き抜けやスキップフロアを取り入れた場合、それに見合うだけの住宅の性能が必要です。十分な断熱性のない家で、縦にも横にも空間を繋げてしまえば、冷暖房が効率良く働かなくなってしまうからです。壁や床の量が減れば減るほど、より高い断熱性と気密性が求められます。

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周辺の環境に煩わされない生活にするアイディア

住宅が密集している地域では、道路や商業施設からの騒音、周辺の住宅からの生活音が生活にストレスを与えるような環境も少なくありません。また、隣家や道路からの視線が家の中に届いてしまい、プライバシーの確保が難しいという問題もあります。このような周辺の環境によっておこる問題を解決しなければ、快適な暮らしが出来る家にはなりません。


住宅地には多かれ少なかれ音の問題は存在します。ただ、隣家や道路との距離が近ければ近いほど、その問題は深刻になっていきます。道路や商業施からの騒音で睡眠が妨げられる、隣家のペットの鳴き声が煩わしくストレスになるというような日常は、精神的にも身体的にも悪影響を及ぼします。反対に、周囲に自分の家のたてる音が響きそうで、気を使いながら暮らすという毎日も、快適とは言えません。

外部からの騒音の流入と、自宅からの生活音の流出を防ぐ為には、遮音性と防音性を高める必要があります。赤ちゃんがいる、楽器の練習をする家族がいる、ペットを飼っているというような場合には、特に高い遮音性が、交通量の多い道路や、騒がしい商業施設が近くにある場合には、特に高い防音必要です。

一般的な遮音、防音をする場合には、窓を樹脂製の二重サッシにするだけで十分です。音の出入りのほとんどは、窓を通しているからです。サッシの密閉性が優秀なほど、二重サッシの間隔が広いほど、遮音性、防音性が向上します。それよりも高い防音性や遮音性が必要な場合には、天井や壁、床に吸音性のある断熱材を組み込むという方法が考えられます。

視線
日当たりと風通しを良くする為に、大開口を設置しても、道路からの視線が気になり窓を開けられない、隣家の窓と自宅の窓が向き合っている為、窓が開けにくいというような窓は、活きた窓にはなりません。閉めたままになってしまう窓なら、ない方が住宅の断熱性が上がります。せっかくつける窓は、活きた窓にしなくてはなりません。プライバシーを確保しながら、光と風を採りこむ為には、窓の工夫が必要です。

  • 窓のデザインと開閉方法  縦長や横長のすべり出し窓は、視線を防げます。
  • 窓の位置 頭より高い位置、膝より低い位置につける横長の窓は視線を妨げます。高い位置につけるハイサイドライトは、光を十分に採りこみます。寝室やキッチン、浴室、トイレなどに向いています。低い位置につけるローサイドライトは、雰囲気作りには効果的ですが、採光量は多くありません。玄関に設置して外の植栽の額縁のようにする、和室で庭の景色を楽しむなどの使われ方が一般的です。狭小住宅の場合、ハイサイドライトと組み合わせて設置すると、視線を遮りつつ、部屋全体を明るくできます。

ニオイ
窓は閉めているのに周辺の家からの調理のニオイが家の中に流入してくることがあります。これは、換気扇の位置が隣家の換気扇と向かい合っている、又は、隣家の換気扇のそばに自宅の換気扇があると発生する問題です。反対に言えば、自分の家のニオイが隣家に流出している場合もあります。そのような事態を避ける為には、換気扇の位置に注意が必要です。

狭小住宅はアイディア次第で、暮らしやすい愛すべき我が家にできます。間取りのプランを熟考して、素敵な家をお建てください。

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HOPEsの狭小住宅への思い

ホープスは、狭小住宅での快適な暮らしを実現させたいという思いで、すべての住宅の建築に向き合っています。
根本にあるのは、狭小住宅での快適さとは、無駄を省いたシンプルな暮らしにあるのではないかという考え方です。

敷地の形、道路や周辺の環境に合わせて、日当たりと風通しの良い家、プライバシーを確保できる家、高いインテリア性と優れた住宅性能を持つ暮らしやすい家、安心して暮らせる防犯性の高い家をご提案します。

狭いから快適さをあきらめるのではなく、より快適な暮らしを目指して、施主様のご希望に沿った家にしていきます。

狭小住宅としての参考になる建築実例がたくさんございます。ぜひご覧ください。

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著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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