親から譲りうけた土地があるというような幸運がない限り、家を建てる為には土地が必要です。都心部では、土地の価格が高額なので、狭小敷地を選ぶ人が少なくありません。そして狭小敷地の中には、変形地もあります。狭小敷地の中でも、変形地はさらに土地の価格を抑えられるので、予算的には魅力のある物件です。しかし、実際に変形敷地に建てる狭小敷地に、快適な暮らしが出来る家を建てられるのでしょうか?

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狭小住宅は土地選びが大切

土地選びから始める家づくりの場合、暮らしやすい家にする為には、土地選びが重要です。駅までの距離、電車や地下鉄の乗り継ぎの良さ、日常的な買い物ができる店舗の数や種類などに関しては、都心の狭小住宅を選ぶ家族であれば、最優先課題として調べられていることと思います。

しかし、土地探しの条件はそれだけではありません。チェックしておくべき土地探しの条件には他にどのような項目があるでしょうか?

住宅の性能に対する規制
都内の多くの地域は国土交通省が作成した都市計画法によって、防火地域、または準防火地域に定められています。住宅が密集している地域で火災が起これば、延焼被害が広がってしまうからです。特に、大地震が起きた際に、複数の家で火災が発生してしまえば、多くの家に燃え広がってしまう恐れがあります。その為、地域の状況に合わせて、防火地域と準防火地域が定められています。加えて、東京都都市整備局によって木密地域不燃化10年プロジェクトも進められています。

  • 防火地域 3階建て以上の建物や、100㎡以上の延べ床面積を持つ住宅は、耐火建築物にしなくてはならない地域です。耐火建築物とは、コンクリート、又は国土交通省が認定した耐火性を持つ木造住宅のことです。狭小住宅では、床面積を確保する為に3階建てにすることが多く、耐火建築物にする必要があります。耐火建築物にすると、建築費が嵩むので、注意が必要です。
  • 準防火地域 4階建て以上の建物や、1500㎡以上の延べ床面積を持つ住宅は耐火建築物に、500㎡から1500㎡の延べ床面積を持つ住宅は準耐火建築物にしなくてはならない地域です。準耐火建築物とは、耐火構造の外壁、火災によって有害物質が発生しない屋根、不燃材が使われている柱と梁などを備えた建築物のことです。

狭小住宅で延べ床面積が500㎡以上になることはありませんが、500㎡以下の3階建ての場合には、3階建て建築物の技術的基準を満たさなくてはなりません。3階建て建築物の技術的基準を満たす家とは、耐火構造の外壁と軒裏、不燃材料の屋根、防火扉などを備えた家のことです。

準防火地域の範囲は広く、ある程度、駅や商業地域から距離があったとしても、購入しようとする敷地がその範囲内である可能性があります。防火地域に建てるほどではありませんが、3階建て建築物の技術的基準を満たす家にする為には、通常の住宅より建築費が嵩みます。土地を購入する前に防火地域、準防火地域に関して、確認しておけば、建築費の予算が立てやすくなります。

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土地の形
変形地、旗竿地などは整形地に比べて土地の価格が比較的抑えらます。ただし、道路や隣家との位置関係によっては、制限が発生する場合があります。

  • 建ぺい率と容積率 建ぺい率とは、敷地の面積内に建てられる建築面積の割合のことです。容積率とは敷地面積に対しての各階の床面積の合計の割合です。どちらも、敷地のある地域によって、その率が異なります。また、敷地が面している道路の幅によっても、容積率は変わってきます。したがって、同じ面積を持つ敷地であっても、道路との位置関係や、地域によって、建てられる家の大きさが変わってきます。
  • 道路と住宅の距離  敷地が4メートル以上の道路に、2メートル以上接していることが、基本的な接道義務です。もし、敷地が4メートル以下の道路に面している場合、道路の中心から住宅までの距離は2メートル開けなくてはなりません。
  • 高さ制限 周辺の家や道路への日当たりを妨げないよう、住宅の高さが制限されています。その為、土地の形状と広さによっては、3階建てを建てることが難しい場合もあります。そのような場合には、屋根の形や家の形を工夫しなくてはなりません。

旗竿地の注意点
旗竿地とは道路に面している間口が竿のように狭く、奥に旗の部分のように敷地が拡がっている変形地のことです。竿部分の長さと幅にもよりますが、隣家との位置関係によっては、お互いに視線が気になり、出入りがしにくい家になる恐れがあります。また、見通しが悪いので、防犯性が低下します。反対に、外構の工夫でおしゃれなエントランスにすることもできますので、一概に悪い面だけではありません。

地盤
土地によって地盤の強度が異なります。家を建てるだけの強度がない地盤の敷地を購入した場合、地盤の改良に費用がかかります。

隣家や周辺の土地との位置関係
狭小敷地では周辺の家との距離が近いので、周辺の環境によって、暮らしやすさが大きな影響を受けます。建て込んだ地域の狭小住宅は、時にはマンションよりも近隣の音やニオイに悩まされることがあります。土地探しの際には、交通の利便性や土地の形状だけではなく、周辺の住宅の様子も見ておく必要があります。

下見の時には気が付かなかったが、周辺にブリーダーをしている家があり、家の間を通りかかると、吠える声がうるさく、風向きによっては臭いがしてくるというようなケースもあります。また、敷地の隣は、古い平屋だったのに、自分たちが2階建ての家を建てた数年後に3階建ての家に建て替えられ、日当たりが悪くなったというようなケースもあります。

交通の利便性や土地の形状は、1回の下見で見て取ることができますが、周辺の環境は何度か足を運ばないと、十分に知ることはできません。

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ライフスタイルの変化を考えておくべき

狭小敷地の家では、道路との関係によっては、敷地の前まで大型車が侵入できないことがあります。したがって、将来的にリフォームや建て替えをする際には、通常よりも高額な費用がかかる恐れがあります。その為、後悔のない狭小住宅にする為には、大掛かりなリフォームや建て替えをする必要のない資産価値の高い家にしておくことが大切です。

狭小住宅の暮らしやすさを支えるのは住宅の性能

狭い敷地に建てる家の快適さと安全は、住宅の性能によって担保されます。また、住宅の性能を高めることは、資産価値の高い住宅にすることでもあります。

断熱性と気密性
狭小住宅は、居住面積を確保する為に3階建てにすることが多い住宅です。加えて、周囲を住宅やマンションに囲まれている環境にあります。その為、一般的な住宅よりも、快適な居住区間を作る為の工夫が設計に採用されます。日当たりや風通しを良くし、視線の抜けを作り、狭さによる圧迫感を無くす為に、吹き抜け、スキップフロア、トップライトなどが取り入れられるのです。

ところが、吹き抜けやスキップフロアには、冷暖房の効率を悪くするという問題点があります。居住面積と日当たり、風通しを確保できても、夏は暑く、冬は寒い家は快適とは言えません。エネルギーの消費量も上がり、光熱費が嵩んでしまいます。

十分な居住空間と、快適な室内環境を両方とも備えた家にする為には、断熱性と気密性が優れた家でなくてはなりません。リビングに吹き抜けを作ったけれど、冬は寒くて後悔しているというような意見が見受けられます。このようなケースは、家の間取りに充分な住宅の機能性が備わっていなかったためにおこる後悔です。

耐震性
敷地が狭い為に駐車スペースが作れない場合、インナーガレージを作ることがあります。陽当りや風通しを確保する為には、吹き抜けやスキップフロアが取り入れられます、これらの手法には、どれも優れた建築技術が求められます。なぜなら、通常の間取りよりはるかに壁や床の面積が減るからです。壁や床の面積が少なく、縦にも横にも広がる空間の家は、一般的な住宅よりも耐震性が低下します。その為、そのような設計の家に対応するだけの高い耐震性が求められるのです。

HOPEsの狭小住宅への思い

 

ホープスは、狭小住宅での快適な暮らしを実現させたいという思いで、すべての住宅の建築に向き合っています。
根本にあるのは、狭小住宅での快適さとは、無駄を省いたシンプルな暮らしにあるのではないかという考え方です。

敷地の形、道路や周辺の環境に合わせて、日当たりと風通しの良い家、プライバシーを確保できる家、高いインテリア性と優れた住宅性能を持つ暮らしやすい家、安心して暮らせる防犯性の高い家をご提案します。

狭いから快適さをあきらめるのではなく、より快適な暮らしを目指して、施主様のご希望に沿った家にしていきます。

狭小住宅としての参考になる建築実例がたくさんございます。ぜひご覧ください。

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著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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