狭小住宅は、ハイサイドライトやトップライトなど、高い位置の窓が多く、住宅の密集地にあり人目が多いことを考えると、侵入強盗の被害は少ないと考える方が多いと思います。
しかし、狭小住宅には、侵入されやすい面もあります。侵入強盗被害を避ける為に、狭小住宅の防犯のポイントについて考えてみましょう。
ビルトインガレージ
狭小住宅では、駐車スペースを確保する為に、ビルトインガレージのある住宅が多くあります。ビルトインガレージは、住宅の1階部分に作るガレージです。
雨の日でも濡れずに車から乗り降りできる、たくさん荷物があっても家の中に運び込みやすいという便利さがあります。そして自動車を大事にする人にとっては、雨や風、紫外線に愛車をさらさずに済み、いたずらをされる心配もありません。
さらに延べ床面積の5分の1未満の広さのビルトインガレージは、床面積に加えられないので、固定資産税も抑えられます。都心部では月々数万円かかる駐車場料金も使わずに済むので、良い面ばかりが目につきます。
しかし、ビルトインガレージの形状によっては、侵入強盗犯のリスクが高まることもあることを知っておきましょう。
ビルトインガレージに出入り口開閉できる、ガレージの内部が居室からガラスなどを通して見通せるというようなタイプであれば、侵入強盗のリスクはほとんどありません。しかし、出入り口にシャッターが設置されていない、出入り口がシャッターで閉じられていても、道路からビルトインガレージまでのエントランスの両側の見通しが悪いというような場合には、侵入強盗犯にひそめる物陰を提供してしまうことになります。
ビルトインガレージの防犯ポイント
シャッター
下見であきらめさせる・潜める場所を作らない
シャッターを閉めておくと、自動車がガレージ内に駐車しているかどうかを外部の人が確認できません。侵入強盗犯は、洗濯物や自動車などで、留守宅であることを確認してから侵入します。その為、シャッターは、実際の侵入を防ぐだけではなく、下見であきらめさせることにも繋がります。
シャッターのタイプ
せっかくシャッターを設置しても、使い勝手の悪いシャッターであれば、開けっ放しになってしまうということもあります。使い勝手の良いシャッターを選びましょう。電動式で軽量なシャッターの方が、手動式で重量のシャッターより使いやすく、リモコン操作ができるので、女性でも簡単に開け閉めできます。
また、巻き上げ敷きにシャッターに比べ、天井のガイドレースにシャッターを収納するオーバースライダーの方がシャッターの開閉音が少なく、短時間で開閉できます。住宅が建て込んでいる地域では、深夜のシャッターの開閉音などが近隣の迷惑になることもあります。それに気を使ってシャッターを閉められないということにならないよう、音の静かなタイプのシャッターが使いやすいです。
シャッターの中には高い訪販性能が認められたCPマークのついている製品もあります。外壁との色や質感の調和も大切ですが、防犯性能や使い勝手も考慮してシャッターを選ぶことが大切です。
【グレーチングの引き戸が出入り口に設置されているガレージ
夜間は家の中から外が見え、外からは家の中の灯りが暖かさを演出するシャッターよりおしゃれで防犯性の高いガレージです。】
窓
ビルトインガレージは、排気ガスの対策として換気が重要です。その為、窓をつけることもありますが、窓からの侵入強盗を防ぐ為には、周辺の環境と考え併せて窓の位置と大きさを決める必要があります。大型の換気扇をつけて、窓はつけない、又は高い位置に侵入できないような横長の窓を設置するなどの対策で、防犯性を高められます。
センサーライト
ビルトインガレージの出入り口付近にセンサーライトを設置しておくと、侵入強盗犯が近づきにくくなります。
旗竿地にある狭小住宅
旗竿地は、旗と竿のような形状の土地です。竿部分である間口の狭い通路を通り抜けた先に、旗の部分である部分に住宅が建っています。このような環境の場合、通路の部分には道路と隣家からの視線がありますが、住宅の後ろ側の部分は死角になってしまいます。
エクステリア
通路の部分は、隣家からの視線があり防犯上は良いのですが、通路に面している部分が隣家のリビングだったりすると、通るのが気まずく、目隠しフェンスを設置するケースが多くあります。その結果、通路部分も死角になってしまい、どこからでも侵入しやすい家になってしまいます。その為、旗竿地では通路の部分のエクステリアが非常に重要です。
旗竿地では、通路部分が長ければ長いほど、住宅への見通しが悪くなるので侵入強盗のリスクが高くなります。
しかし、反対に考えれば、長ければ長いほど、個性的なエクステリアが楽しめるということでもあります。旗竿地の場合、住宅そのものが道路から見えないので、エクステリアが家の外観となります。その為、センスの良いエクステリアは家の印象を非常に良くします。
もちろん、最も大切なことは防犯性を高めることですが、それと並行して素敵なエクステリアにしたいものです。
門扉
オープン外構が主流になっていますが、門扉は防犯性を高めます。特に旗竿地には門扉が大切です。
位置
通路が長い場合、ポストと錠付きの門扉は住居に近い部分に、錠付きではない門扉は通路の入り口に設置する方法と、通路の入り口に錠付きの門扉を設置する方法があります。家の近くまで配達員や、セールスの人が入り込んでくるのが嫌な場合は、通路の入り口に、雨の日などに郵便物を通路の入り口まで取りに行きたくない場合は、家のそばに錠付き門扉を設置し、通路の入り口には、乗り越えにくい高さの門扉を設置します。錠がついていなくても、不要な通行人が入り込んでくるような事態を避けられます。
タイプ
見通しの悪い門扉は潜む場所として利用されてしまいかねないので、格子やルーバー、メッシュなど見通しの良いタイプが向いています。門扉のカギには、玄関と同じようにスマートキーがついているタイプもあり、鍵の選び方でさらに防犯性を上げられます。
ドアホンとポスト
ドアホンとポストは、錠付き門扉の門柱に設置します。ドアホンはモニター付きで、訪問者の記録も残せるタイプが安心です。留守中に侵入強盗犯が下見のためにドアホンを鳴らすこともあるからです。不審な人物が映っていた場合、警察に通報するなど、具合的な予防対策ができます。
ポストは、郵便物が多い家庭であれば、大型のポストにします。侵入強盗の犯人は、下見の際にポストがいっぱいになっている家に目星をつけるからです。ポストのキーシステムにも防犯性の高いタイプ、宅配便が受け取れるタイプなど様々あります。
センサーライト
家のそばの錠付き門扉の近くにセンサーライトをつけます。通路が長い場合は入り口付近にも設置しておくと安心です。
死角になりがちな住宅の防犯対策
警察庁の統計によると、侵入強盗の侵入経路のうち最も多い経路は窓で、平成28年度では全体の58,2パーセントにも上ります。その為、狭小敷地の家の裏側にあたる部分では、特に窓の防犯対策が必要です。
窓の防犯性を上げる
窓からの侵入手口は、ガラス破りです。窓ガラスを割り、割った部分に腕を入れて鍵を開けてしまうのです。引き違い窓の鍵の周辺のサッシにドライバーをこじ入れて音を立てずに小さな穴をあけ錠を開けるこじ破りという方法や、庭にある植木鉢などを利用して窓ガラスにたたきつけ、ガラスを破壊する打ち破りという方法、バーナーを使ってガラスを割る焼き破りなどの方法があります。
これらの犯罪を防止する為には、割れにくいガラスを使った窓を採用します。また、玄関では標準になっている2ロックを窓ガラスにも取り入れる、錠を動かすクレセントを着脱できるタイプにし、夜間や外出時には取り外す、二重窓にするなどの方法でさらに防犯性を高められます。
侵入強盗犯が最も恐れることは見つかることです。その為、ガラス破りやドア開けに5分以上かかった場合、ほとんどの犯人が侵入をあきらめます。割れにくい窓や、二重窓は犯行に時間がかかるので、犯行をあきらめさせる確率が非常に高いのです。
2階や高い位置にある窓への足場を作らない
エアコンの室外機などは、侵入経路への足掛かりになってしまいます。窓への足場にならないような位置に設置することが大切です。
防犯性能の高い窓ガラスには防犯建物防犯部品としての性能が認められているCPマークがついています。
玄関、勝手口のドア
玄関は一般的に2ロックであり、防犯性能の高い電子キーが搭載された玄関ドアが標準的ですが、勝手口は盲点になりがちです。勝手口のある家を建てる場合には、勝手口のドアに、も防犯性能の高いタイプを採用しましょう。
面格子
浴室やトイレに窓は、最も人目につきにくい位置にあることが多いので、防犯性能の高い面格子を取り付けます。
暮らし始めてから防犯のために注意すること
侵入強盗で最も多い侵入経路は窓ですが、最も多い侵入手口をご存知ですか?こじあけでも打ち破りでもありません。鍵のかかっていない窓からの侵入です。
ガレージのシャッターもそうですが、窓や玄関も、どんなに防犯性の高い製品を採用したとしても、施錠しなければ、防犯機能は働きません。
ゴミ出しに行くだけだから…と思って玄関にカギをかけなかったり、すぐ帰るからと思って、窓を開けたまま出かけたりする人が実に多いのです。
鍵をかける
家を建てる時に防犯性能の高い家にする為の費用をどんなに使っても、シャッターを閉めなかったり、鍵をかけなかったりすれば、防犯性の高い家ではなくなってしまいます。住宅の玄関と窓のカギ、ガレージのシャッターは必ず閉めましょう。
犯人に目星をつけられない状況を作る
家の周囲がきれいに調えられていると、犯人が犯行の下見をした時に、入りにくそうな家だと思わせることができます。反対に、三輪車やポリタンクなどが庭先に散乱している、ポストに郵便物が詰まっている、暗くなっても洗濯物が干してあるというような状況だと、入りやすい家と認識されてしまいます。共働きの場合、郵便物や洗濯物を昼間は取り込めないので、大きなポストを選ぶ、平日は室内干しにするなどの工夫が必要です。
HOPEsの狭小住宅への思い
ホープスは、狭小住宅での快適な暮らしを実現させたいという思いで、すべての住宅の建築に向き合っています。
根本にあるのは、狭小住宅での快適さとは、無駄を省いたシンプルな暮らしにあるのではないかという考え方です。
敷地の形、道路や周辺の環境に合わせて、日当たりと風通しの良い家、プライバシーを確保できる家、高いインテリア性と優れた住宅性能を持つ暮らしやすい家、安心して暮らせる防犯性の高い家をご提案します。
狭いから快適さをあきらめるのではなく、より快適な暮らしを目指して、施主様のご希望に沿った家にしていきます。
狭小住宅としての参考になる施工例がたくさんございます。ぜひご覧ください。