「敷地が狭いから外構は、地面をコンクリートにするくらいしかできないだろう」
狭小敷地の外構を考える時、こんな風にあきらめてしまうことは少なくありません。
「味気ない玄関回りにはしたくない」
「子供たちの自転車を置く場所も必要」
同時に、雰囲気の良い玄関回りにしたい、使いやすい外構にしたいという思いもあるでしょう。

暮らしやすい住まいは、満足できる家+満足できる外構で出来上がります。暮らしやすい住まいの一端を担う外構の役割について考えてみましょう。

Works(株)ホープスの建築実例

外構の役割

外構とは、門やフェンス、玄関へのアプローチ、ポスト、植栽など、住宅の周囲の設備を含めた敷地内の全空間のことです。普段、それほど意識することの無い外構の役割について考えてみましょう。

  • 住宅の印象を良くする
    家の見た目は、住宅の外観と外構で決まります。どんなに美しい外観の住宅であっても、外構と調和していなければ、良い雰囲気の家にはなりません。雰囲気の良い家は、周囲の景観を向上させるとともに、その家に住む家族への好印象に繋がります。
  • 防犯性を高める
    外部の人が自宅の敷地内に入りこまないようにする為には、敷地の境界線を明確にすることが必要です。泥棒などの被害はもちろんのこと、敷地内に犬を散歩させている人や、近所の子供たちが入りやすい状況を作らない為です。
  • プライバシーを確保する
    道路や周辺の家から、家の中が丸見えになってしまわないようにします。
  • 足元の良さを作る
    雨や雪が降っても、足元が汚れない、夜間でも安全に通行できるという状況を調えます。道路から玄関までのアプローチが調っていると、悪天候時に玄関内が汚れる、夜間転倒するなどの問題が起こりません。
  • 家族のくつろぐ場を作る
    テラスやウッドデッキなどで、家の内部と外を融合させ、家族がくつろげるスペース、ゆとりを感じるスペースを作ります。
  • 家事効率を上げる
    サービスヤードを作ると、ゴミの一時置き場、雨の日の洗濯物干しなど家事効率が上がります。
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外構のタイプ

都市部では、狭小敷地が多い為、オープン外構が主流ですが、敢えてクローズド外構にするケースもあります。外構のタイプの違いを確認しておきましょう。

  • オープン外構
    敷地の境界線に門扉やフェンスを設置せず、床材や植栽で自宅の敷地と道路と区切るタイプの外構です。外構にかかる費用を抑えられる、開放的な雰囲気が作れる、道路や周辺の環境との位置関係によっては、視界が広がるので防犯性が高まるなどの良さがあります。ただ、外部の人が簡単に敷地内に入り込めるという問題点があります。散歩中の人が、悪気もなくふらりと敷地内に入ってきてしまったり、ボール遊びをしている子供たちのボールが飛んできてしまったりすることがあるからです。また、小さな子供がいる場合、又は好奇心の強いペットがいる場合、道路に急に飛び出してしまい、思わぬ事故に繋がるという恐れもあります。
  • クローズド外構
    敷地の周囲を塀やフェンスで囲むタイプの外構です。プライバシーがしっかり確保されることに加えて、敷地内に自転車や自動車を置いてもいたずらさせる心配がありません。子供やペットを安全に敷地内で遊ばせることができる、外部の人が侵入してこないなどの良い面があります。都心部でも繁華街に近い地域に建つ狭小住宅で、外部の喧騒と自宅を区切る為に、高い塀を用いたクローズド外構にするケースもあります。ただし、外構にかかる費用が嵩む、プランによっては敷地面積が取られ過ぎ、住宅が狭くなってしまう、適切なセキュリテイ対策をしないと、犯罪者が潜みやすくなってしまう、閉鎖的な雰囲気になる恐れがあるなどの問題点があります。
  • セミクローズド外構
    オープン外構とクローズド外構の中間タイプの外構です。低いフェンスや光や風を通すフェンスを使う、部分的に目隠しフェンスを取り入れるなど、敷地の境界線を明確にしつつ、開放感を持った空間を作ります。自宅の敷地の形状、周辺の環境に最も適した外構設備の組み合わせ方ができます。
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狭小住宅の外構

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

狭小敷地では、周辺の住宅が建て込んでいるので、プライバシーを確保する為に外構が大きな役割をします。周辺を他の住宅やマンションに取り囲まれている、玄関と道路が近いというような環境では、どのような問題が発生するのでしょうか?

隣家、又は道路とリビングが面している為、外部からの視線が気になり窓を開けられない、リビングで寛げない このような場合には、外部からの視線を遮る工夫が必要です。しかし、外部からの視線とともに、太陽の光や風まで遮ってしまっては、暮らしにくい住まいになってしまいます。圧迫感がないことも大切な条件ですから、半透明のスクリーンや、ルーバー状のフェンスを用いると良いでしょう。

  • 玄関を開けると、外から家の内部が丸見えになってしまう
    玄関と道路が近い、玄関が隣家の窓に面しているというような場合、玄関を開けると、家の中が外部から見通せる状況になってしまいます。宅配便や、回覧板を持った近所の人が来た場合、玄関ドアを開けたままにすることが多いので、対応中には気を使うのではないでしょうか?
    そのような状況にならないようにする為には、玄関前のフェンスが効果的です。幅を広くすると圧迫感が出てしまうので、幅が狭く、透過性のあるフェンスが向いています。低めのフェンスでもある程度の効果が期待できますが、梁を住居の固定するルーバー状はすっきりした印象でありながらより高い効果が得られます。
  • 玄関アプローチが隣家の窓に面している
    旗竿地では、門から玄関までのアプローチが隣家に沿っているケースが多いです。アプローチに面している面が隣家の壁であれば問題ないのですが、居室の窓だった場合、お互いに気まずい思いをします。
    隣家の人にしてみれば、寛いでいる時に、隣家の人が窓の前を通行することになり、プライバシーが守れないと感じるかもしれません。自分たち家族からすれば、門から玄関まで歩くたびに隣家の人に見られているので居心地悪い気がします。このような場合にも、フェンスが必要です。ただ、隣家の窓が面している向きによっては、隣家の居室への日当たりを遮ってしまう恐れがあるので、隣家との話し合いの上で設置することが大切です。
  • 自転車置き場がない・勝手口が外から丸見えなので、勝手口の付近にゴミの仮置きができない
    勝手口の周囲にテラス屋根をつけると、自転車置き場としてもサービスヤードしても活用できます。狭小敷地に、郊外の住宅でよく見かけるサイクルポートを作ると、敷地面積が大幅に削られてしまいますが、テラス屋根であれば、少ない面積でも設置できます。
  • 敷地内に人が立ち入る
    オープン外構にして後悔している人の多くは、敷地内に人が入ってきやすいと感じています。特に角地にある敷地ではそのような問題が起こりやすいでしょう。敷地が狭いし、圧迫感があるのも嫌、何よりも日当たりと風通しが悪くなると考えるとオープン外構になるわけですが、門扉と門柱があれば、このような問題は回避できます。門扉や門柱は、いかめしい雰囲気のするタイプばかりではありません。シンプルでモダンな雰囲気のおしゃれなデザインもたくさんあります。狭小住宅だからオープン外構しかないということはありません。住宅のデザインに調和する門扉や門柱をつけるという選択肢もあります。

狭小住宅で起こりやすい暮らしの悩みは、住宅の設計とデザインでほとんど解決できます。しかし、外構にも目を向けると、より暮らしやすい家が実現します。建てる前は狭さが心配だったけれど、暮らし始めてみれば快適な毎日だったという家を手に入れてください。

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HOPEsの狭小住宅への思い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホープスは、狭小住宅での快適な暮らしを実現させたいという思いで、すべての住宅の建築に向き合っています。
根本にあるのは、狭小住宅での快適さとは、無駄を省いたシンプルな暮らしにあるのではないかという考え方です。

敷地の形、道路や周辺の環境に合わせて、日当たりと風通しの良い家、プライバシーを確保できる家、高いインテリア性と優れた住宅性能を持つ暮らしやすい家、安心して暮らせる防犯性の高い家をご提案します。

狭いから快適さをあきらめるのではなく、より快適な暮らしを目指して、施主様のご希望に沿った家にしていきます。

狭小住宅としての参考になる建築実例がたくさんございます。ぜひご覧ください。

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著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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