自宅の敷地内に駐車スペースを作るだけの余裕がない場合、近隣で駐車場を借りなくてはなりません。しかし、住まっている地域によっては、駐車場の料金は高額です。中央区や港区では、月極め駐車場の相場は5万円を超しています。23区内で最も低額で利用できる練馬区でも、1,8000円以上が相場価格とされています。
また、自宅の敷地内に駐車できなければ、せっかく車を所有していても、わざわざ車を取りに行ったり置きに行ったりしなくてはなりません。通勤に使う、子供の送り迎えや買い物に使うなど、毎日使う人にとっては、非常に不便です。週末にしか使わない人であっても、車を大事にしている人にとっては、目の届かない場所に常時駐車しておかなくてはならない状況に、不安を感じるかもしれません。
狭小敷地の住宅に駐車スペースを作るには?
どうしても自宅の敷地内に駐車したい、しかし敷地に余裕はない…
このような場合には、インナーガレージという解決法が考えられます。インナーガレージとはビルトインガレージとも言われますが、住宅に組み込むガレージを指します。1階部分の一部をガレージとして使うのです。
ただ、狭小敷地に建てる住宅では、居住面積を圧迫されてしまう恐れがあります。その為、多くの場合、インナーガレージを作る為には3階建てにする必要があります。夫婦だけの暮らしであれば、インナーガレージのある2階建ての家でも居住面積は確保できるでしょう。しかし、4人家族が住む家を10坪~15坪の建坪で建てるというような場合には、理想的な居住面積を確保できなくなってしまいます。しかし、3階建てにすれば、1階のほとんどの面積をインナーガレージにとられてしまったとしても、快適に暮らせるだけの居住面積を確保できます。
住宅に駐車スペースを組み込むインナーガレージ
インナーガレージの良さは、何と言っても車がいつでもすぐに使えるということです。家の中にあるので、雨の日でも天候を気にせず乗り降りしたり、荷物を出し入れしたりできます。特に小さな子供のいる家庭や、車椅子の家族がいる家庭では、車の利用が楽にできます。車の中にバッグを置き忘れてしまったというような場合でも、盗難にあう心配がありません。
また、家の中にガレージがある為、雨風や紫外線による褪色や劣化が防げます。強風で飛ばされてきたものがぶつかって、車が傷ついてしまう事態も避けられます。通りがかりの人に車に傷をつけられたり、鳥のフンで汚されたりする心配もありません。その結果、庭や屋外の駐車場に車を置いておくよりも、愛車を良いコンデイションに維持できます。
その他、狭小敷地では、自転車置き場に困るケースもあります。敷地が狭い為、玄関前に数台の自転車を置くことになり出入りがしにくい、せっかくおしゃれな外観の家にしたのに、通りから見える位置に自転車やベビーカーを置かなくてはならず、見た目が悪いというような問題がおこります。しかし、インナーガレージがあれば、自転車やベビーカーもすっぽりしまえるので、玄関回りに生活感が出ず、すっきりした印象を演出できます。
家計の面から考えると、月極め駐車場の料金を使わなくて済むことに加えて、雨風で車が汚れることがないので、月に何度も洗車場に行く必要がなくなります。また、ガレージ部分の面積が延べ床面積の5分の1以下であれば、固定資産税にその分は組み込まれません。したがって、同じ建坪の家であってもインナーガレージのない家よりも、固定資産税の税額が抑えられます。
インナーガレージを作る際の注意点
せっかくインナーガレージを作っても、家族の生活の暮らしやすさが失われてしまっては、暮らしにくい家になってしまいます。それと同時に、インナーガレージを快適に使う為には、インナーガレージの安全性と、近隣への配慮も必要です。
間取りの注意点
狭小住宅にインナーガレージを作る場合、1階部分はほとんどガレージになってしまうので、建坪によっては、玄関、水回り程度しか1階には作れません。その為、リビングやキッチンは2階、寝室や子供部屋は3階という間取りになることが多くなるでしょう。この場合には、玄関からリビング、玄関からそれぞれの居室が遠くなります。帰宅動線を考えて、収納スペースの位置を決めないと、帰宅時のバッグや上着がリビングに散らかりやすくなってしまいます。
反対に、3階リビングで2階に寝室や子供部屋を配置すると、家族の生活の時間帯と、車を出し入れする時間帯にもよりますが、車を出し入れする音が家族の睡眠を妨げてしまうことがあります。その為、家族構成と、家族のライフスタイルに合わせて、インナーガレージがあっても暮らしやすい間取りを工夫することが大切です。
また、インナーガレージと居住部分への繋がり方によっては、排気ガスの臭いが居住部分に拡がってしまうので、注意が必要です。
インナーガレージ内の安全性の注意点
インナーガレージの安全性を確保する為には、シャッターが必要です。開閉がめんどう、建築費を抑えたいなどの理由で、シャッターをつけないケースもありますが、防犯性は低下してしまいます。外部の人間が入り込んで車にいたずらをすることもあれば、ガレージ内の物陰に潜み、居住部分への侵入のチャンスを狙うこともあるからです。シャッターに加えて、人感センサー付きのライトを設置しておくと、より防犯性が高まります。
もう一つ注意しなくてはならないことは、インナーガレージ内の環境です。排気ガスがこもってしまうので、常時換気できる強力な換気扇が必要です。特に、狭小敷地では、ガレージから出して暖機運転ができない周辺環境であることも少なくありません。十分な換気装置なしにガレージ内で暖機運転をするのは、健康上非常に危険です。
また、ガレージ内は、昼間でも薄暗いので、太陽光が差し込む窓や、照明設備が必要です。
近隣への注意点
防犯上必要なインナーガレージのシャッターですが、シャッターのタイプによっては、開閉音が近隣に響いてしまい、迷惑になってしまうことがあります。特に、早朝や深夜に車を出し入れすることが多い場合には、静穏タイプのシャッターを選ぶなどの注意が必要です。
住宅の耐震性への注意点
狭小住宅にインナーガレージを作る場合、住宅を囲む4面のうちの1面がほぼ開口部になってしまいます。さらに、居住面積を確保する為、3階建てになっていることが多いので、細長い家の1階部分の一面ががら空きという形状です。
このような形状の住宅で安全性を確保する為には、強靭な構造が必要です。その為、3階建てでインナーガレージのある家を建てる場合には、RC造、木造であるならばSE構法の家が安全に住まえる家です。SE構法とは、ラーメン構造という在来工法には必要不可欠な筋交いがない家です。
在来工法では、筋交いを壁の中に組み込まなくてはならない為、耐震性を持たせる為には、一定量の壁が必要です。一方、SE構法ではその分、柱と梁を特殊な金具で強固に接続することによって、高い耐震性を確保します。その結果、自由度の高い空間であっても優れた耐震性を持たせることができるのです。もちろん間口いっぱいの開口部があるインナーガレージでも、高い耐震性を確保できます。
建築費への注意点
インナーガレージを作ると、インナーガレージのない家よりも建築費が嵩みます。その為、車を持つ必要性の高さ、インナーガレージのある生活とない生活の家族の快適さの違い、月極め駐車場を借りた場合の料金と固定資産税の税額などを考え併わせることが大切です。
建築費が嵩んだとしても、車が自宅の敷地内にある生活に価値を見出すのか、建築費が嵩むのであれば、車のない生活を実行するかは、家族のライフスタイルによって決まります。
HOPEsの狭小住宅への思い
ホープスは、狭小住宅での快適な暮らしを実現させたいという思いで、すべての住宅の建築に向き合っています。
根本にあるのは、狭小住宅での快適さとは、無駄を省いたシンプルな暮らしにあるのではないかという考え方です。
敷地の形、道路や周辺の環境に合わせて、日当たりと風通しの良い家、プライバシーを確保できる家、高いインテリア性と優れた住宅性能を持つ暮らしやすい家、安心して暮らせる防犯性の高い家をご提案します。
狭いから快適さをあきらめるのではなく、より快適な暮らしを目指して、施主様のご希望に沿った家にしていきます。
狭小住宅としての参考になる建築実例がたくさんございます。ぜひご覧ください。