注文住宅は、何から何まで自分たちの希望に沿って家づくりができるという大きな魅力があります。しかし、同時に、建売住宅を購入するのとは違い、完成するまでは予定通りの家が建たないかもしれないという不安があります。実際に家が完成してから、こんなはずではなかった…と落胆するようなケースも全くないわけではありません。

家づくりは一生に何度も経験することではありません。多くの人にとっては、一生に一度の経験となるはずです。知らないことばかりで戸惑うこともあり、慣れないことばかりで気疲れもするでしょう。そのような状況の中で、暮らしやすい家、満足できる家を建てる、納得のいく家づくりをする為には、どのようなことに注意するべきなのでしょうか?

Works(株)ホープスの建築実例

周辺の環境と間取りに関する注意点

人里離れた田舎に建てる一軒家ではない限り、自分たちが家を建てる敷地の周囲には、他の住宅が建ち並んでいます。都心部の狭小敷地では、2階建ての戸建て住宅だけではなく、3階建ての戸建て住宅やマンションも多いでしょう。その為、周辺の環境との兼ね合いを考慮した家にしなくてはなりません。

玄関の位置
道路との位置関係、周辺の家やマンションとの位置関係によっては、玄関ドアを開けると、玄関内が丸見えになってしまうことがあります。さらに、間取りによっては玄関を通して家の内部まで見えてしまいます。玄関の位置や、間取りの工夫をしても、玄関の向きがどうしても道路に面してしまう、間取り的に玄関からリビングが繋がるので家の内部まで視線が通ってしまうというケースもあります。そのような場合には、玄関前に植栽や、ポストと組み合わせた目隠しフェンスを設置するなどの外構の工夫も必要です。

窓の位置 窓によって暮らしは大きな影響を受けます。しかも、窓は家が完成してから位置を動かしたり、サイズを変えたりすると、高額な費用がかかります。ケースによっては不可能な場合もあります。そもそも、新築早々窓のリフォームなど、誰もしたくはありません。窓が暮らしに与える影響を項目ごとに確認しておきましょう。

  • プライバシー 道路との位置関係、周辺の家やマンションとの位置関係によっては、日当たりや風通しの為にせっかく設置した窓が開けられないことがあります。道路を歩く人や隣家からの視線が気になって、ブラインドを下ろしたままというような状態になってしまうのです。その為、窓の位置とサイズは、周辺の状況に重ね合わせて決めることが大切です。隣家の窓と面している場合には、頭より上の位置に設置する横に長いハイサイドライトや、天井につけるトップライト、道路からの視線が気になる場合には、縦に長く幅の狭い形状の縦長窓を取り入れます。
  • 防音 道路や周辺の商業施設からの騒音、隣家からの生活音やペットの鳴き声が、生活に支障をきたすような状況であれば、防音機能のある窓にする必要があります。閑静な住宅街であれば、問題はありませんが、地域によっては騒音の多い地域もあります。また、土地選びをした時間帯には静かだったが、時間帯や曜日によっては騒がしくなる地域もあります。土地を選ぶ際に、曜日と時間帯を違えて、何度か見に行くことをおすすめします。
  • 家具の配置 風通しを良くする為には、一部屋に2か所の窓が理想です。しかし、部屋には窓の他にドアもあります。その為、3か所家具が置けない場所ができてしまいます。ドアの開閉方法、窓のサイズと位置によっては、窓やドアのせいで思ったように家具が配置できないという状況になってしまうこともあります。窓の位置を決める時には、具体的な家具の配置も考えながら決めていくことが理想です。
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家の性能に関する注意点

外観や内装と違って目には見えませんが、家の性能は室内環境と安全性と家計に大きな影響を与えます。特に、狭小住宅の場合、日当たりや風通し、開放的な空間造りの為に取り入れる設計手法によって、より高い家の性能が求められます。

断熱性と気密性
吹き抜けやスキップフロアなどは、開放的な空間を作り、狭小敷地に建つ家にも、十分な光と風が取り込める環境を作ります。しかし、同時に家の中の空間が繋がる為、暖房で暖めた空気、冷房で冷たくした空気が拡散してしまい、夏暑く冬寒い家になってしまうことがあります。

吹き抜けやスキップフロアが取り入れられていても、断熱性が優れている住宅ではそのようなことはありません。寧ろ、狭小住宅であることがプラスに働き、家の中がどこも一定の温度に保たれる快適な環境が作られます。そして、冷暖房が効率よく働くので、光熱費の倹約にも繋がります。

耐震性
大地震が起こるたびに耐震に関する建築基準法の基準は厳しくなっているので、これから建てる家で、地震で倒壊するような家はまずありません。しかし、吹き抜けやスキップフロア、インナーガレージなどが取り入れられている家は、壁や床が少なくなるので、より高い耐震性能が求められます。吹き抜けやスキップフロア、インナーガレージなどを取り入れるのであれば、広い空間を持つ家でも高い耐震性を維持できる構法の家を建てることが大切です。

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予算に関する注意点

追加費用が発生し、契約時よりも建築費用が嵩んでしまうことがあります。日常的な買い物に比べて、建築費は桁が違うので追加費用も高額です。追加費用が発生するケースについて確認しておきましょう。

地盤改良費
契約前に地盤調査をしていなかった場合、地盤改良にかかる費用の額はわかりません。そして調査の結果、地盤が弱かったとなれば、高額な地盤改良費が追加費用として発生します。地盤調査と地盤改良のタイミングは、施工会社によって異なります。地盤調査も地盤改良も施主側がその費用を持つことになるので、契約前に地盤改良にかかる費用についても確認しておくことが大切です。

間取り変更
契約後に間取りの変更や追加をすると、その分は追加費用が発生します。窓の位置やサイズを変えたい、収納スペースをウォークインからウォークスルーに替えたいなどの変更や造り付け家具を増やしたい、ロフトを作りたいなどの追加です。

設計上、構造計算からやり直しが必要になってしまうような場合には、非常に高額な追加費用が発生します。反対に、クロスの柄を同じグレードの中から変更したいというような場合には、追加費用が発生しないこともあります。

住宅設備機器のグレード変更やオプション
契約時には標準で選んだシステムキッチンやシステムバスのグレードを上げる、オプションをつけるなどに対しては、追加費用が発生します。システムキッチンやシステムバスには多彩なタイプがあり、つい夢が膨らんで追加してしまうことが多いようです。一つ一つの追加費用はそれほど高額ではなくても、まとめると結構な額になってしまうので注意が必要です。

また、照明とスイッチ、コンセントを増やす場合も、追加費用が発生します。契約後に家具や家電の配置を考え始めてから、足りないことに気が付くケースが多いのです。

項目別に注意点を確認してきましたが、暮らし始めてからのことを具体的に考えながら家づくりのプランを進めるということが注意点の基本です。

  • 周辺の環境に関しては平日と休日、時間帯による状況の変化と家族の暮らし方を考え合わせる
  • 間取りに関しては配置する家具や家電のサイズと家族の生活動線を考え合わせる
  • 家の性能に関しては間取りに見合うだけの性能を持たせる
  • 予算に関しては、施工会社に上限費用を伝える、追加費用が発生しないよう十分に打ち合わせを重ねる

家づくりは、施工先選びと、契約までの打ち合わせ内容によって大きく変わります。一生に何度もあることではないので、慎重に計画し、十分に打ち合わせを重ねて、家づくりを成功させてください。

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HOPEsの狭小住宅への思い

ホープスは、狭小住宅での快適な暮らしを実現させたいという思いで、すべての住宅の建築に向き合っています。
根本にあるのは、狭小住宅での快適さとは、無駄を省いたシンプルな暮らしにあるのではないかという考え方です。

敷地の形、道路や周辺の環境に合わせて、日当たりと風通しの良い家、プライバシーを確保できる家、高いインテリア性と優れた住宅性能を持つ暮らしやすい家、安心して暮らせる防犯性の高い家をご提案します。

狭いから快適さをあきらめるのではなく、より快適な暮らしを目指して、施主様のご希望に沿った家にしていきます。

狭小住宅としての参考になる建築実例がたくさんございます。ぜひご覧ください。

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著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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