吹き抜けとスケルトン階段のあるリビングは、明るく、開放感があります。加えて、最近は、リビング中心の間取りが主流です。その為、新築の家には吹き抜けを採り入れたいと考える人も、少なくありません。特に、狭小住宅においては、家の中の環境を整えるために、必要不可欠な要素となる場合もあります。

ところが、せっかく採り入れた吹き抜けが失敗だったと後悔するケースもあるのです。吹き抜けが失敗してしまう原因は、主に二つあります。ひとつは、吹き抜けのある家に対応できるほどの住宅性能がなかったというパターン、もう一つは、吹き抜けのある間取りに適した工法ではなかったというパターンです。それぞれの原因について詳しく考えてみましょう。

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吹き抜けに必要な断熱性と気密性

東京の狭小住宅は、マンションや、他の住宅に囲まれています。隣家との距離も近く、十分な陽射しと風を採り入れられません。また、狭小地で居住面積を確保しなくてはならないので、家は縦に伸びていき、3階建てにすることもあります。2階建てであっても、間口が狭く、奥行きが長いウナギの寝床のような家も多いです。

そのような条件の家では、日当たりと風通しを確保しなくては、健康で快適な生活ができる家にはなりません。そこで採用される設計の手法が、吹き抜けです。吹き抜けと、スケルトン階段の組み合わせは、壁、床、階段の蹴込板によって、陽射しと風を遮られないからです。

周辺の環境によっては、縦に細長い狭小住宅の場合、1階と2階は、日当たりが悪く、晴れた日にも照明をつけなくてはならないというようなケースもあります。

吹き抜けを採り入れれば、3階の窓からの陽射しが、1階と2階の部屋に届き、風も通り抜けていくので、明るく風通しの良い環境が作れるのです。ただ、壁や床が減るので、空間が縦に繋がり、開放的な空間が生まれるということは、同時に冷暖房の効率が落ちるということでもあります。吹き抜けのある家は寒いという話を聞いたことはありませんか?夏の午後はエアコンをつけても涼しくならないという話もあります。そうなれば、エアコンの稼働率が上がり、当然、光熱費も通常の家よりも嵩みます。

吹き抜けを採用したがために、そのような室内環境と、省エネが進められている現代社会に逆行するような状況になってしまうということです。そのような吹き抜けになってしまう原因は、住宅の断熱性と気密性が、吹き抜けのある家に見合うだけの高さを持っていなかったということにあります。どのような間取り住宅にも、断熱性と気密性は必要ですが、吹き抜けを採用した家には、壁の多い住宅よりも高い断熱性と気密性が必要です。充分な気密性と断熱性があれば、吹き抜けがあっても、最小限の冷暖房で、冬の寒さ、夏の暑さを快適な環境に換えられます。

家の断熱性を上げるためには、家の外側を包む部分、屋根、壁、床に使う建材、外壁に使う塗料などに、高性能な品質の製品を使う必要があります。また、窓も重要です。住宅に流入する夏の暑さや冬の冷気、住宅から流出していくエアコンの涼しいさや暖かさのうちの半分以上が、窓から出入りしているからです。窓には、一般的な複層ガラスではなく、木製や樹脂などの高い断熱性のあるサッシと、トリプルガラスや、Low-E複層ガラスなどのガラスを組み合わせた窓が必要です。つまり、吹き抜けのある家は、より断熱性能により費用をかけなければ、失敗してしまうのです。

もう一つの問題は、気密性です。家の気密性を上げるためには、隙間の少ない家にしなくてはなりません。日本の家は、昔の人の知恵で、建材や建具の隙間から空気が出入りするように作られています。今のように24時間換気などがなかった時代には、隙間風は、家の中の空気を流通させるためには必要だったのです。現在でも、在来工法の家には、隙間風が通る部分があります。その為、木造住宅は、RC造の住宅に比べると、気密性が低いと言われるのです。

木造住宅で、気密性の高い家を建てたい場合には、SE構法が向いています。SE構法は、化学的に計算して造られた構造用集成材が使われています。在来工法で使われる木材は、乾燥の度合いや強度が均等ではありません。その為、熟練した大工さんの勘によって、家の完成度に大きな差ができます。そしてどんなに腕の良い大工さんの建てた家でも、集成材で建てた家ほどの気密性を持たせることはできません。

SE構法で使われる構造用集成材は、含水率が低く、すべての部分で強度が均等です。化学的な計算で、使われる部分に合わせた強度とサイズの建材が作られます。その為、高い気密性のある家が実現できます。吹き抜けのある3階建て住宅のような縦に長い空間を持った家であっても、高い気密性を保持できます。

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吹き抜けに必要な耐震性

あれ?と思うような拭き抜けを見たことはありませんか?せっかく吹き抜けがあるにもかかわらず、吹き抜けの周りが壁で囲われていたり、余分な壁があったりする為、十分な光と風が取り入れられていない吹き抜けです。

このような吹き抜けになってしまう理由は、耐震性を損なわないようにする為です。吹き抜けを間取りに採り入れたいという要望を満たす為に、耐震性を落とすわけにはいきません。しかし、在来工法の場合、筋交いの入った耐力壁が減ると、耐震性が保持できなくなってしまいます。耐力壁とは、地震の横からの揺れを吸収する為の大事な壁です。吹き抜けを作る為に、減らしてしまえば、地震に襲われた時に、損壊してしまう恐れが出てくるのです。その為、設計者が苦労して、耐震性を損なわず、吹き抜けのあるリビングという要望に応えるようとすると、あれ?というような吹き抜けになってしまうことがあります。

思い通りの吹きのある家にする為には、空間の自由度が高い工法が必要です。木造で空間の自由度を求めたければ、SE構法が最も適しています。SE構法は、柱と梁を強固に接続する為、耐力壁は外側を包む部分だけに使われます。その耐力壁は、在来工法で使われる筋交いの入った耐力壁の3,5枚分の厚さと2倍以上の強度を持つ優秀な壁です。家の外側を強固に支えられているので、家の中の空間は自在に変えられます。

吹き抜けは、洗練された雰囲気を作り出す、明るく開放的な空間でなくてはなりません。それは、吹き抜けを、贅沢の為に採り入れる広大な敷地に建つ家であっても、室内環境を整えるために、吹き抜けを採り入れる狭小住宅であっても同じです。どのような環境で、どのような間取りであっても、SE構法が吹き抜けのある家の安全性を確保します。

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ホープスはSE構法で狭小住宅を建てています。

東京の狭小住宅には、生活環境を快適にする為に、様々な設計の手法が必要です。安全で、快適な狭小住宅を造る為に、ホープスがたどり着いた結果が、SE構法の住宅です。ホープスは、東京都内に、SE構法の家をたくさん建ててきました。どの家も、設計者が自在に空間を操れるので、デザイン性が高く、快適で、安全な家です。

阪神大震災での木造住宅の被害の大きさをきっかけに開発されたSE構法で建てられた家は、その後に発生した大地震の際に、どの家も壊れませんでした。狭小住宅を建てるなら、SE構法で建てることを強くお勧めします。

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ホープスの狭小住宅への想い

ホープスは、狭小住宅での快適な暮らしを実現させたいという思いで、すべての住宅の建築に向き合っています。根本にあるのは、狭小住宅での快適さとは、無駄を省いたシンプルな暮らしにあるのではないかという考え方です。

敷地の形、道路や周辺の環境に合わせて、日当たりと風通しの良い家、プライバシーを確保できる家、高いインテリア性と優れた住宅性能を持つ暮らしやすい家、安心して暮らせる防犯性の高い家をご提案します。

狭いから快適さをあきらめるのではなく、より快適な暮らしを目指して、施主様のご希望に沿った家にしていきます。

狭小住宅としての参考になる建築実例がたくさんございます。ぜひご覧ください。

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著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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