東京都内は、住宅密集している地域が多くあります。それらの地域では、火災の燃え広がりを防ぐ為と、避難経路の確保が必要です。その為、防火地域や、準防火地域に指定されている地域は、少なくありません。
防火地域や、準防火地域に指定されている地域には、様々な法規制があります。住宅を新築する為に購入した土地が、そのような地域内にあった場合、法規制を守るために、家の建築条件が変わってきます。その結果、防火地域や準防火地域に住宅を新築するよりも、費用が嵩んでしまいます。その為、思わぬ予算オーバーになってしまったということになりかねません。
選んだ土地が、防火地域、又は準防火地域である場合、その地域にどのような法規制があり、建築費がどの程度嵩むのかということを、確認しておくことが大切です。
初めに施工の依頼先を決め、一緒に土地探しをする場合には、施工先からのアドバイスを受けられます。土地探しを自分たちでする場合には、自分たちが、住む予定である地域の状況について、インターネットで調べられます。
防火地域に求められる耐火構造の家
防火地域と、準防火地域では、建築条件に対する法規制が異なります。
防火地域に求められる耐火構造の家
鉄筋コンクリート造(SRC造)鉄骨の柱と鉄筋にコンクリートを打ち込んだ建造物 主にマンションやビルなどの大型建築物に採用されます。
耐火構造の鉄筋コンクリート造(RC造)鉄筋にコンクリートを流し込んだ建造物 マンションやビル、ハウスメーカーの住宅などに採用されます。
耐火建築物の木造 建築基準法に定められた防耐火性能のある木造の建築物 火災にあったとしても、構造躯体が燃えず、崩壊しないことが条件です。その為に、3つの性能が求められます。
- 非損傷性 火災で温度が上がっても、変形したり、溶けたり、壊れたりといった構造耐力が脅かされるような状態にならない性能
- 遮熱性 室内の壁や床が燃えてしまっても、温度が一定以上、上がることを抑え、他の部分に飛び火しないようにする性能
- 遮炎性 燃えている部分の炎を、外壁や屋根、ドア、窓などから、外に出さず、外部への炎症を防ぐ性能
耐火建築物にすることが、求められる建築物の条件のうち、防火地域に建てる木造の狭小住宅には、下記のような条件が当てはまります。
- 延べ面積が100㎡を超える建築物
- 階数が3以上の建築物
- 地階を除く階数が4以上の建築物
準防火地域に求められる耐火構造の家
準防火地域に求められる耐火構造の家には、構造部が、建築基準法に定められている準耐火構造を満たしている建造物、又は準耐火性能を持つ建造物が求められます。
具体的には、炎が飛び出して、延焼する恐れのない防火ドアや防火窓が設置されていること、屋根や外壁になどに、延焼を防ぐ準不燃材料が使われていること、梁や床、階段などに使われる木材が、規定以上の厚みを持っていること(表面が燃えても、内部まで燃え広がらない厚さ)が求められます。この基準を満たしていれば、集成材だけではなく、含水率15パーセント以上の無垢材も準耐火地域の建造物に採用できます。
このように、防火地域や準防火地域では、建築費が嵩む要因が少なくありません。ただし、その分、駅の周辺などの防火地域では、耐火建築物であれば、建ぺい率が緩和されるという良い面もあります。建ぺい率が緩和されれば、同じ敷地面積でも、床面積を拡げられます。今後、準防火地域にも、緩和が拡がる予定もあります。
細かな規制内容は、区によって、異なりますので、土地探しの際には、そのことも含めて、検討することが大切です。
防火地域と準防火地域と新たな防火規制
東京に限らず、都市や市街地には、都市計画法という法律があります。都市を計画的に整備し、安全で、快適な地域にする為の法律です。都市計画事業の認可や制限、市街化調整区域の決定、変更など、様々な項目があります。
そしてこの中には、住宅が密集した地域や、駅の周辺の地域に対して、火災による延焼被害を防ぐ為の規制も、定められています。それが、防火地域と準防火地域です。
防火地域
駅の周辺、千代田区や中央区など、銀行や官公庁が集中している地域、渋谷区や新宿区など、大きな繁華街ある地域が、防火地域に定められています。
この地域には、かけられている建築制限は、延べ床面積100㎡以下の平屋、又は2階建ての建物は、耐火建築物、または準耐火建築物であること、延べ床面積100㎡以上の平屋、又は2階建ての建物3階建て以上の建物は、耐火建築物であることというものです。
狭小住宅では、3階建てにすることが多いので、防火地域に建てる場合には、耐火建築物にしなくてはなりません。
準防火地域
防火地域の周囲にある地域が、準防火地域です。準防火地域であっても、500㎡を超す建築物は、耐火建築物にしなくてはなりません。狭小住宅の場合は、500㎡以下ではあります。しかし、3階建ての建物には、耐火建築物、準耐火建築物、又は、一定の技術基準に、適合している建築物の中のいずれかが、地域の規制に合わせて、求められます。
地域によっては、この規制に加えて、不燃屋根材を使うことが、義務付けられることがあります。500㎡以下の平屋や2階建てに対しては、外壁、軒裏、ドアや窓に定められた防火措置が施されていることが求められます。
新たな防火規制
木造密集地域での、地震や火災での延焼被害を防ぐ為に、防火地域、準防火地域だけでは足りない部分を、補足するために改正された東京都の条例です。東京都には、山手線の外側を中心に、新耐震基準導入以前に建てられた、老朽化した木造住宅が密集している地域が、まだまだ残っているからです。
これから建てる家は、燃えない家にし、燃えない地域にする為の取り組みの一環として、建築制限が定められています。そして、準防火地域の防火性能を強化した地域として、新たな防火地域が指定されます。
新たな防火地域の指定は、区が選定し、それに従って、都が指定します。その為、準防火地域の中から、新たな防火地域に指定される割合は、区によって異なります。新たな防火規制の指定区域図はこちらから調べられます。防火規制の指定区域図
木造と鉄骨造の家の違い
土地を買う予定の地域は、防火地域だから、鉄骨造の家にした方が良いかな…と考えますか?せっかくの戸建ての家だから、木造住宅に住みたいと思いますか?
木造と鉄骨造の家の暮らしやすさを比較すると、圧倒的に木造住宅に軍配が上がります。湿度の高い日本の住宅には、木造住宅が適しているからです。その理由の一つは、断熱性です。木材には、熱を伝えにくいという特性があり、コンクリートには、熱を伝えやすい特性があるからです。木造住宅は、夏は太陽の熱を伝えにくく、冬は外の冷気を伝えにくい家です。
一方、コンクリートの住宅は、夏には太陽の熱を、壁に貯め込んでしまうので、陽が落ちてからも、室内は涼しくなりません。冬は、壁や床が冷たくなって、室内がなかなか暖まりません。
また、木造住宅は、調湿性が高いので、湿度が高くなりにくいのですが、コンクリートの住宅は、調湿性が低く、室内の湿度が高くなりやすいという問題もあります。湿度が高くなると、結露、カビ、ダニが発生しやすくなるからです。
その他には、木造住宅の方が、コンクリートの住宅より、建築費を抑えられるという面もあります。マンション住まいであれば、コンクリートの建物に住むことは避けられませんが、戸建ての家であれば、木造住宅の快適な暮らしが手に入ります。
HOPEsの狭小住宅への思い
ホープスは、狭小住宅での快適な暮らしを実現させたいという思いで、すべての住宅の建築に向き合っています。根本にあるのは、狭小住宅での快適さとは、無駄を省いたシンプルな暮らしにあるのではないかという考え方です。
敷地の形、道路や周辺の環境に合わせて、日当たりと風通しの良い家、プライバシーを確保できる家、高いインテリア性と優れた住宅性能を持つ暮らしやすい家、安心して暮らせる防犯性の高い家をご提案します。
狭いから快適さをあきらめるのではなく、より快適な暮らしを目指して、施主様のご希望に沿った家にしていきます。
狭小住宅としての参考になる建築実例がたくさんございます。ぜひご覧ください。