3階居室を確保するスキップフロアのある狭小住宅
「ここに家を建てることができるか、まずそれが問題だった」というM様邸。電気をつけないと昼間でも薄暗かったという家が、今は自然光が降り注ぐ家に。ご実家の床屋さんを見事な狭小住宅に生まれ変わらせることができました
生まれ育ったこの家に住みたい
「住宅会社のセミナーに行ったり、展示場に行ったり。でも諦められちゃうんです。ここに家は作れないと。」
M様邸は、奥様のお父様が床屋を営み、奥様が生まれ育った思い出の家。土地の広さはおおよそ11坪しかない。本当にここに住める家が建てられるのかとご夫婦は悩んだ。
「家を建てるにあたっては、課題が3つありました。まずここに家が建てられるのか。当時住んでいた家が売れるかどうか。それと、隣と長屋だったのでどう壊して切り離すか。この3点がクリアできないと建てられないという状況でした。」
M様は、それから実に3年という年月をかけて3つの課題をクリア、ついに素晴らしい家が完成した。
「柱ができて、壁ができて….とだんだん家らしくなっていくのがうれしくて。前の家では梯子しかなかったところに階段がついているのを見たときは、ああ本当にここに住めるんだと実感しました。」
愛猫と2人+1匹の暮らしを思い描いて
「ホープスさんに、何LDKの家に住みたいかじゃなくて、どういう住まい方をしたいかが大事で、それは狭小住宅でも同じだと言われました。それで、おっ、この会社ならと思ったんです。ここなら私たちが思っているような家が実現できるんじゃないかと。OB訪問で伺ったお宅も素敵で、この会社で建てようと決めました。」
打合せの前半は、いかに要望を削ぎ落していくかがポイントだった。誰でも家づくりに無限の思いが膨らむが、実際に家を建てるとなると、現実には予算との戦いになる。どうしても譲れないものを残して、どう上手に他を削ぎ落していくかが重要だとホープスさんは言う。
「小さくても温かくて2人で仲良くゴロゴロできる家」とタイトルをつけられた設計図は、それを低コストでどう実現していくかに力が注がれた。
床は当初、焦げ茶色のウォールナットを希望していたが、それに近い素材を探して使用し、本物と見間違う美しいフロアに。駐車場も諦めたが、そのおかげでハーフユニットではない普通のユニットバスを入れて減額できた。
夫婦2人+愛猫1匹の暮らしを考えていたため、キャットウォークを作りたいという希望もあったが、スキップフロアにすることで家全体をキャットウォークのような空間に仕上げた。
必要なものだけを厳選して作られた家は、当初の予算と最終的にかかった費用に数千円の差しかなかったという。残念ながら愛猫は引越し前に亡くなってしまったが、2人で何度も話し合った猫のトイレ収納は今もきちんと残されている。
「あ、この土地でも建てられるんだ」狭小住宅のお手本に
M様邸で見学会を行うと「通りから家の奥まで見渡せるような家だけれど、一歩家の中に入ればちゃんと暮らせる空間になっている。できるんですね、本当に。」とみな口をそろえていう。ハウスメーカーの規格品では絶対にできない家づくりを実現させたM様邸は、今では狭小住宅を建てたい人のお手本となっている。
それまで住んでいた家は庭付きで天井が高い広い家。今回、家を建てるにあたっては、天井の高さと収納、家の明るさにこだわった。
「庭付き一戸建てもマンションも経験しているけれど、それでもどこか満たされない、落ち着かない気持ちがありました。それで、自分たちの生活を見直して、本当に必要なものは何だろうと話し合ったんです。結論は“小さくても大丈夫”“2人がゆっくりできる心地いいリビングが欲しい”ということでした。」
収納は多めに、隙間がないという位たくさん作ったという。キッチンも必要なサイズをしっかり測っていれたため、まったく無駄がない。
いつもご夫婦仲良くプランを考えていたM様だが、話し合いながら意外な発見もあって驚いたという。「子どものころは何が好きだったかという話をしていたら、夫が実は天体が好きで望遠鏡が実家にあるというんです。その時まで全然知りませんでした。じゃあ、そういうことができるように作ろうよとなりまして。ベランダでこれから楽しみたいですね。」
お施主様と工務店とは運命共同体
「家は一緒に作っていくもので、いいも悪いも私たちは運命共同体。私たちだけでも家は建ちますが、お施主様が積極的に関わってたほうが、出来上がったものが絶対違ってくると思います。」とホープスさんは言う。
これに対してM様も、「上棟式をなぜ行うか尋ねたときに“チームワークを作るため”と言われて、なるほどと思いました。私たちがいて、ホープスさんがいて、大工さんがいて…というチームワークが大事なんだと。」上棟式は寒い時期だったからおしるこを用意しましたよね、とM様は笑う。
「提案してもらったプランをそのまま受け入れたころは少なかったかもしれないですね。二度三度、ダメ出したことも。あの時やっぱり言っておけばよかったと思うのは嫌なので、言いたいことは全部言わせてもらいました(笑)。でも、いつも気持ちを汲み取ってくれて、再提案してもらえましたね。」
こういうM様に、ホープスさんも笑いながら答える。「私たちはプロでなければいけないと常々言ってるんです。最初からできないじゃなくて、ちゃんと考えないとだめだと。どうすれば?をきちんと考える。簡単にできないと言わないで、まずは考えるようにしてます。」はじめての家づくりは不安を感じて当たり前だが、不安はまったくなくワクワク感ばかりだったという奥様。
「完成してみていかがですか?」と尋ねると、にっこり笑ってこう答えた。「やっぱりこうしとけばよかったというところはないですね。大満足です。」
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