パッシブデザイン住宅のメリットとは?間取り決めの際のポイントもご紹介します!

デザイン重視の家づくりにおいて自身の好きなデザインを取り入れつつも、快適性の高い家にできれば満足度の高いマイホームを手に入れられますよね。
これを実現できるのがパッシブデザイン住宅で、自然エネルギーを用いて生活の中に省エネを導入できるため環境にもお金にも優しい住宅です。
今回は快適性抜群で、かつおしゃれさも兼ね備えたパッシブデザイン住宅についてご紹介します。

□パッシブデザイン住宅って何?

パッシブデザイン住宅は、日光や風、熱などの自然エネルギーを用いて日常生活の快適性をアップさせた住宅です。
従来であれば、冷暖房を駆使して温度調整するのが一般的ですが、自然エネルギーを用いることで自然な温度調整が可能になり冷暖房への依存度を下げられます。

このパッシブデザイン住宅に認定されるには非常に厳しい基準がありますが、逆に言うと認定済みのパッシブデザイン住宅はきちんと省エネを実現できるといっても過言ではありません。

□パッシブデザイン住宅のメリットとは?

そんなパッシブデザイン住宅のメリットは、「夏は涼しく冬は暖かい」「光熱費が削減できる」「カビや結露を防止できる」の3つあります。

1. 「夏は涼しく冬は暖かい」
パッシブデザイン住宅は断熱性・気密性が高いため、夏と冬に外気や直射日光の影響を受けづらいのです。
例えば夏の場合、直射日光の影響で室内温度が高くなりやすいのが一般的ですが、パッシブデザイン住宅だと断熱材の効果で温度の上昇を最小限に抑えられます。
冬の場合、室内で暖まった空気を外に逃がさないようにする効果があるのに加えて、寒い空気が中に入ってくるのを防いでくれます。

2. 「光熱費が削減できる」
これは上でも述べたメリットの影響が大きく、断熱性・気密性が高いことによる冷暖房効率の上昇によって、稼働時間・稼働負荷が抑えられます。
その結果光熱費が削減されるので、費用面でも気が楽ですよね。
最近は物価だけでなく光熱費が上がってきているので光熱費削減のメリットは絶大なものです。

3. 「カビや結露を防止できる」
パッシブデザイン住宅は風通しも良いため、住宅内にカビや結露が発生するのを防止できます。
カビが増えてしまうことでぜんそくやアレルギーなど健康面での被害が考えられますし、結露が慢性化すると建物の老朽化が進みやすくなります。
将来的な面でも、このパッシブデザイン住宅は恩恵が大きいということですね。

□間取り決めの際のルールとは?

パッシブデザイン住宅の間取りを決めるうえで意識しておくべきルールが「総2階建てにする」、「風の通り道を確保する」、「外気の流入は玄関で止める」、「隣家が近ければリビング吹き抜けを導入」、「片流れ屋根か切妻屋根を選ぶ」、の5つあります。

1.「総2階建てにする」
総2階建てとは、1階部分と2階部分が同じくらいの面積に合わせることです。
総2階建ての特徴は無駄な材料費や施工の手間が省けるので、初期費用を抑えられます。
これによって、他の内装設備や高気密高断熱加工の方へ費用を回せるため、予算オーバーする可能性が減るのではないでしょうか。

また、特殊な造形の住宅に比べて熱損失が少ない、構造が安定しているため耐久性が高いといったメリットもあります。

2.「風の通り道を確保する」
風通しを良くしておくことで換気がスムーズに行えます。
そのためには風の通り道が必要になるので、同じ空間に窓を2つ設けて風が適切に通り抜けるように工夫しましょう。

換気のためにエアコンを稼働させるとその分電気代が増えてしまうので、風だけで換気できるように整える方が得策です。

3.「外気の流入は玄関で止める」
玄関は外気の出入りが非常に多い場所であるため、外気の出入りを極力減らすために玄関の設計には注意が必要です。

・ドアの種類
気密性の高いドアを選ぶことでドア自体からの外気の出入りが抑えられます。
片開き・親子ドアと呼ばれる種類のドアがおすすめです。

・風よけスペースの確保
これを設置するのは玄関とリビングを隔離することで、直接的な外気の流入を防ぐ目的です。
外気をいったん風よけスペースで落ち着かせることで、急激な温度変化を防げます

4.「隣家が近ければリビング吹き抜けを導入」
パッシブデザイン住宅において自然エネルギーを有効活用するのは重要ポイントです。
しかし立地によっては隣の家との距離が近く、日当たりが悪くなってしまう可能性もあるでしょう。
このようなケースではリビング上部に吹き抜けを導入することで、上から日光を存分に取り入れられます。

「片流れ屋根か切妻屋根を選ぶ」
寄棟屋根と呼ばれる屋根の場合、4方向に屋根が流れているため屋根裏に熱がこもりやすい特徴を持ちます。
そのためシンプルな構造の片流れ屋根か切妻屋根の方が熱がこもらないことに加えて施工費用も抑えられます。

□パッシブデザイン住宅にするうえでのポイント

パッシブデザイン住宅は冒頭でも述べた通り、省エネかつ快適性の高い住宅のことを指します。
その基準となる5つの要素を見ていきましょう。

*高断熱・高気密

パッシブデザイン住宅といえば「夏は涼しい・冬は暖かい」という最大の特徴を持つため、これを支える断熱・気密性能は無くてはならないものです。
冷暖房効率化はもちろんですが、身体面でのメリットもあります。
例えば夏は室内での熱中症予防、冬は寒暖差によるヒートショック予防に繋がります。

*直射日光を受けさせない

いくら断熱効果が高くても、直射日光をずっと受け続けるわけにもいきません。
対策として、直射日光を遮るための「軒」「庇(ひさし)」と呼ばれるものを導入しましょう。
これによって程よく日光を取り入れつつも、直射日光による過度な温度上昇を避けています。

*風の有効活用

冷暖房や扇風機ではなく、外からの風をうまく使うことで新鮮な空気を取り入れられるのもパッシブデザイン住宅の特徴です。
これによって室内の空気循環が進みやすくなり、温度を一定に保てるようになるのです。

*電気無しでも明るく

昼は日光があるため、うまく取り入れられれば電気をつけなくても部屋中が明るくできます。
これによって電気代の節約にもつながるでしょう。
パッシブデザイン住宅では、日光がどのように取り込まれるのかを計算して設計されるため、「昼間に電気をつけずに」生活できる機会が増えるのです。

□パッシブデザインは魅力がたくさん!

パッシブデザイン住宅における魅力は「生活に余裕ができる」「健康的ライフスタイル」の2つです。

*「生活に余裕ができる」

自然光の利用・高気密高断熱性能の恩恵によって冷暖房やその他設備の稼働時間、電気をつけっぱなしにしておく時間などが削減され、その結果光熱費が浮くというのは冒頭でもお話ししましたね。
これによって生活に余裕ができるため、浮いた費用を貯金に回したり自分へのご褒美に使ったりと、今までよりも少し余裕のある生活が可能です。

*「健康的ライフスタイル」

自然な温度調整によって日々を過ごせるため、身体への負担を抑えられるのも魅力です。
冷暖房から出る風を浴び続けると、アレルギーや鼻炎、ヒートショックなどの原因になるので、自然に近い温度で過ごす方が人間本来の健康状態を保てます。

□まとめ

パッシブデザイン住宅は自然エネルギーを用いることで快適な生活を送れます。
夏の暑さ、冬の寒さの中でも、断熱・気密性能の効果で快適に過ごせるだけでなく、光熱費削減という恩恵もあるのです。
これから家づくりをされる方は、ぜひパッシブデザイン仕様にしてみてください。

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著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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