環境に配慮した住宅ならパッシブデザインがおすすめ!特徴とポイントをご紹介!

「マイホームを作るなら、環境に配慮した家にしたい」
「パッシブデザインとは何なのだろうか」
このようにお考えの方もたくさんいらっしゃるでしょう。
近年では、生活の様々な部分に環境に配慮した取り組みが施されています。
住まいも環境に配慮したものにすることで、さらに環境にやさしい生活ができます。
今回の記事では、環境に配慮した暮らしをしたい方に向けて、パッシブデザイン・アクティブデザインの特徴やデザインの例などをご紹介します。
ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

□環境に配慮されたパッシブデザインとは?

環境に配慮した家を作りたい方には、「パッシブデザイン」がおすすめです。
パッシブデザインとは、太陽光や風などの自然エネルギーをうまく活用できるように配慮して設計された建築デザインのことを指します。
ここからは、パッシブデザインで利用される自然エネルギーを3つご紹介します。

1つ目は、太陽光です。
家づくりで利用できる自然エネルギーと聞いて、太陽光を連想される方は多いでしょう。
太陽光パネルを屋根の上に設けている家はたくさんありますよね。
このように、太陽光は生活を行うためのエネルギーに変換可能です。

しかし、パッシブデザインでは太陽光をエネルギーとして活用しません。
パッシブデザインでは、太陽光を室内に可能な限り取り込むことで、電気を極力使わないことを目指します。
そのために、太陽光を取り込みやすい大きな窓を設計したり、吹き抜けを作ったりします。

太陽光をエネルギーに変換して使用するというプロセスを踏まなくても、太陽光の温かさや明るさなどを簡単に利用できるようにします。
こうすることで、電気を使用せずとも室内で快適に過ごせるのです。

2つ目は、風です。
夏に窓を閉め切っていると、熱がこもって部屋の温度が高まってしまいます。
このような場合には、窓を開けて空気の入れ替えを行いますよね。

日本の夏は湿気が多く蒸し暑いため、エアコンを多用してしまいがちです。
しかし、風を上手に室内に取り込めるような設計にすることで、エアコンを使わずとも快適に過ごすことが可能です。

風通しの良い室内は快適に過ごせるだけでなく、カビ対策を行えます。
部屋の中に熱を止めることなく、空気の循環をうまくできます。

3つ目は、地熱です。
近年、再生可能エネルギーとして注目を集めているのが地熱です。
そのエネルギーは太陽光に匹敵するとも言われています。

地熱とは、その名の通り地中の熱のことを指します。
例えば地熱が一年中17度前後だとすると、この地熱を活かすことで夏は涼しく冬は暖かく過ごせます。

□アクティブデザインの特徴とは?

パッシブデザインともう一つ、「アクティブデザイン」という設計手段も存在します。
パッシブデザイン同様、アクティブデザインもエネルギー消費を抑えた環境負荷低減を目的としていますが、その設計手段には大きな違いがあります。

パッシブデザインは、太陽光や自然の風を最大限に活かして快適な住空間をつくり出しますが、アクティブデザインは、先進技術を駆使してエネルギー利用の最適化を目的とします。

つまり、アクティブデザインを実現するためには、太陽光発電やエコキュートなどの先進技術、いわゆる「アクティブシステム」が重要な役割を果たすのです。
ただ、これらの設備を導入するためには高額な費用がかかるということを頭の片隅に入れておきましょう。

なお、アクティブシステムの例は以下の通りです。

・太陽光発電システム
・太陽熱利用の給湯システム
・高効率空調
・全館空調システム
・高性能断熱材
・高気密サッシ

これらを活用し、エネルギー消費を抑えるのがアクティブデザインの特徴です。

パッシブデザインとアクティブデザインについてまとめると、省エネを実現するために自然の力を利用するのがパッシブデザイン、ハイテクの力を利用するのがアクティブデザインと言えます。

□パッシブデザインの5つのデザイン例をご紹介!

1つ目は、断熱性の高いデザインです。
日本の冬は底冷えするため、エアコンや床暖房を使いがちですよね。
しかし、これらを利用するために消費されるエネルギー量は膨大です。
地球温暖化を進めることにもつながってしまうため、見直す必要があります。

そこで、住宅の断熱性を高めることがおすすめです。
断熱性を高めると外気が室内に伝わりにくくなるため、保温性能が高まります。
そのため、冬の寒い時期でも室内の温度を一定に保ちやすくなります。

2つ目は、日射を遮へいしたデザインです。
夏の日差しを避けるために日射を遮へいできる設計を取り入れるのがおすすめです。
太陽光によって部屋が温められることを防げるよう、ひさしや軒などを取り入れてみると良いでしょう。

3つ目は、自然風を利用したデザインです。
室内の風が上手く循環すると、エアコンのような機械を用いなくても快適に過ごせるようになります。
家全体の風通しを良くするためには、天窓を設けたり吹き抜けを設けたりすると良いでしょう。
住宅の縦や横方向を意識して、風通しを考えることが大切です。

4つ目は、昼光を利用したデザインです。
日が昇っている時間帯は、自然光を利用することで光熱費の削減にもつながり、環境にもやさしい生活ができます。
日中に照明機器を使わなくても良いように、大きめの窓を設計したり室内のドアを半透明にすると良いでしょう。

太陽光を取り込む設計はこの他にもたくさんあるため、自身の理想の住宅像に合わせて選ぶことをおすすめします。
デザインを選ぶ時には、デザイン性や使い勝手の良さなどにも注目してみてくださいね。

5つ目は、日射熱利用暖房を取り入れたデザインです。
日射熱利用暖房は、冬の時期に室内に太陽光を取り入れてその温度で部屋を温めるデザインのことを意味します。
このデザインを実現するためには、土地の特徴を把握して日照のシュミレーションをすることで、太陽光の恩恵をしっかりと受けられます。

□パッシブデザインのメリットとデメリットについて

パッシブデザインのメリットの1つ目は、光熱費の削減ができることです。
自然のエネルギーの力を借りるため、機械を使用して電気を消費する機会が少なくなります。
空調の使用を抑えられるため、夏と冬両方の季節において光熱費の跳ね上がりを抑えられます。

2つ目は、自然を感じられる生活ができることです。
自然エネルギーをベースとして生活するため、自然をより身近に感じられます。
外気の温度や太陽の光などを感じながら生活できます。
太陽の光を浴びることで、体調が優れ規則正しい生活ができるでしょう。

パッシブデザインのデメリットの1つ目は、建築費の高額化です。
一般的な家よりも、自然のエネルギーを活用して生活することに重点を置いているため、特殊な設計になります。
高気密で高断熱のデザインにするためには、その分建築や建材代が高くなります。

2つ目は、地域の特徴を把握する必要があることです。
日本は縦に長い国であるため、住む地域によってわずかに気候や天候条件が異なります。
そのため、自分が住む地域の気候を下調べして、その条件をうまく活かせるような設計にする必要があります。

また、太陽光を効率的に取り入れるためには、周辺地域の地形や、開口部の広さや向き、方角など様々なことを考慮する必要があります。
しかし、土地や地域のことを調べたうえで建設するため、デザイン性や快適度がグッと上がります。

□パッシブデザインのキーワードをご紹介!

ここまでパッシブデザインの詳細について説明してきましたが、パッシブデザインのキーワードは「断熱性、機密性、蓄熱」の3つです。
パッシブデザインにするうえで何を意識すれば良いのかわからなくなってしまった場合は、この3つのキーワードを思い出してみてください。

自然エネルギーを存分に活かした家づくりを行うためには、気候や土地の条件などを最大限に活かせるようなデザインにする必要があります。
高断熱で高気密な家づくりを心がけることで、近年問題になっている空調の使い過ぎなどを防げます。

環境にやさしい家になるだけでなく、太陽光や風の動きを感じながら暮らせるため、心の余裕も生まれるでしょう。
パッシブデザインは自然と共存していくための1つの方法です。
環境に配慮した生活をしていきたいとお考えの方は、ぜひ1度検討してみてくださいね。

□パッシブデザインの設計のコツ

パッシブデザインの設計のコツは「日当たりや風の通りを考えること」です。
パッシブデザインを最大限に活かすためにも以下を参考に心地よく住める設計を考えてみてください。

*総2階建て

そもそも総2階建てとは、1階と2階の面積にほとんど差がない家のことです。
総2階建ての家は外壁がフラットですので、1階部分の屋根を作る必要がありません。
そのため、家自体の性能を十分発揮しながら、初期コストを抑えられます。

また、廊下を少なくしてコンパクトな設計にすることで、熱が逃げることを抑えることもできます。

*屋根は「片流れ屋根」か「切妻屋根」

パッシブデザインにおすすめの屋根の形状は、三角屋根の片方の辺だけを残したような片流れ屋根か、三角屋根の切妻屋根です。
屋根裏の湿気や熱が排出しやすいためです。
また、屋根の形状が比較的単純であることから雨漏りが発生しにくく、工事費も抑えられる点も魅力の一つと言えます。

一方、4つの三角形の面を合わせたような寄棟屋根は屋根裏に籠る湿気や熱を排出することが難しいため、省エネの観点からも避けた方が良いでしょう。

*風通しの良さを考える

風通しの良い部屋をつくることもパッシブデザインの家を建てるにあたって重要です。
風通しを良くすることで、エアコンの使用頻度を抑えることができるのです。
ポイントはそれぞれの部屋に窓を2面に対面配置で通風を設計することです。
中部屋で風の確保が難しい場合は、ウィンドキャッチャーや欄間を取り入れてみましょう。

*吹き抜け構造のリビング

吹き抜け構造にすることで、高い位置から太陽光を取り入れられ、部屋全体が明るくなります。
特に、立地の関係で日当たりの良い南側にスペースを確保できない場合はリビングを吹き抜けにすることで、十分な光を確保できます。

*方角によって窓の大きさを調整する

日当たりの良い南側には、できるだけ大きな窓を取り付け、たっぷりと太陽光を取りこめるようにしましょう。
加えて、断熱性能が高い窓にするとさらにパッシブデザインの効果を得られます。
コストが気になる場合は、他の方角にある窓を小さくするといった工夫を検討しましょう。

□パッシブデザインで家を建てる際のポイント

パッシブデザインで家を建てる場合、忘れてはいけないのは「気候」についてです。
いくつかのポイントを押さえておくことで、実際に家を建ててから失敗したと後悔する事態を回避できます。

まず、パッシブデザインは気候に大きく左右されるため、家を建てる地域の気候に合った設計にすることが非常に大切です。
気候を意識して建てることで、太陽光や風など自然エネルギーを導入したパッシブデザインの効果を最大限に発揮できるのです。

例えば、冬の寒さが厳しく日照時間が少ない地域であれば、室温が外に逃げない設計や日光を取りこむ設計を多く取り入れるようにしましょう。
また、夏の暑さが気になる地域であれば、窓の庇や軒を大きくする工夫をしましょう。

つまり、気候の特性に合わせたパッシブデザインの工夫が必要だと言えるでしょう。

また、パッシブデザインの効果が十分に発揮できる場所かどうか事前にシュミレーションをしておくことも重要です。
パッシブデザインの設計を立てる前に家を建てる土地の特性を把握しておかなければ、せっかくパッシブデザインの家にしても、その効果を最大限に活かせない可能性があります。

そのため、季節によって異なる地域の気候や周辺の環境などを調べて、日光や風をどのように取り込むのかを予め計画しておくことが大切です。
緻密なシュミレーションをしっかり行うことが、パッシブデザインの成功のカギです。

□まとめ

今回の記事では、パッシブデザインの特徴とデザインアイデアなどをご紹介しました。
環境に対する取り組みは、生活スタイルを環境に配慮したものにすることで、さらに進めていくことが可能です。
パッシブデザインの家は環境にやさしい造りであるため、自然と共存しながら生活できます。
パッシブデザインや環境に配慮したマイホームづくりをご検討中の方は、ぜひ当社までお気軽にご連絡ください。
当社のスタッフが、お客様の理想を考慮したアイデアをご提案させていただきます。
また、今回の記事をぜひ参考にしてみてくださいね。

 

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著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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