リビングやダイニングなど、家族が揃う部屋とは違い、寝室は眠るだけの部屋です。

「寝るだけだから日当たりが悪くてもいいかもしれない」

「家族が揃うリビングをゆったり取りたいから寝室は狭くても仕方がない」

狭小住宅で床面積が限られていれば、多くの人がそのような結論に至るのではないでしょうか?

しかし、朝、間が覚めた時にカーテンを開けても薄暗い部屋、コンパクトサイズのベッドだけで部屋がいっぱいになってしまい、室内での移動がしにくい部屋では、快適な生活と睡眠は期待できません。豊かな生活を維持する為には、寝室の快適さと睡眠の質はとても大切です。睡眠は、長時間がとれればよいというものではありません。心と身体を癒す働きをする質の良い睡眠が、健康で快適な毎日の基本なのです。

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寝室に必要な室内環境

日当たり

日当たりは、階数と部屋の向き、窓の位置と大きさによって季節ごとに変化します。

東や南に窓がある寝室は、1年を通して明るい朝が迎えられますが、夏場は早い時間から室温が上がります。西に窓がある寝室は、夏場でも朝から強い日差しが入ってくることはありませんが、午後、非常に室温が高くなるので、寝る前からエアコンをつけておかないと寝苦しい部屋になってしまいます。北に窓がある1階の寝室は、日当たりが良くありません。

寝室にあてる予定の部屋の窓に、このような日差しの入り方の違いがあったとしても、窓の位置や大きさの工夫で、日当たりを確保することが大切です。

風通し

寝室にあるベッドや布団は室内の湿度に影響を受けやすく、湿度が高くなると湿気が溜まります。室内は、梅雨時には高温多湿になり、冬には窓を開ける回数が少なくなるうえに、加湿器を使うので、湿度が高くなります。湿度が高くなると、マットレスの裏側にカビが生えたり、布団にダニが繁殖したりする原因になり、アレルギー性の喘息や皮膚炎を引き起こす恐れがあります。その為、風通しが確保できる間取りが必要です。

寝室の窓が交通量の多い道路に面している場合、安眠を妨げられる恐れがあります。このような場合には、窓に防音性能のあるガラスを使うなど、寝室に外部の騒音が入らないようにしなくてはなりません。

また、家全体の間取りとしては、1階寝室の真上に2階トイレを設置しない、二世帯の場合は、お互いの生活のリズムが違うので、リビングや浴室など、生活音が発生する場所と、親世代の寝室が隣り合わない、真上、真下にならないように配慮する必要があります。

プライバシー

寝室の窓が隣家の窓に面していると、朝、カーテンを開けにくくなったり、夕方には早めにカーテンを閉めたりしなくてはならなってしまいます。このような場合には、隣家の視線が気にならない窓の位置や大きさにしなくてはなりません。

広さ

夫婦で使う寝室に必要な広さは、ベッドを置く場合、ちょっとしたベッドサイトテーブル程度しか置けませんが、最低でも6畳は必要です。また、布団であれば問題ありませんが、ベッドを置く場合には、開き戸にするとベッドにぶつかる恐れがあります。

8畳あれば、ベッドの他に、ドレッサーや小ぶりな収納家具が置けます。8畳以上の余裕がある場合には、部屋の中央に引き戸を作り、別けたい時には2寝室にできるようにしておく間取りにもできます。

収納

寝室は、眠る以外に着替えをする部屋でもあるので、衣類の収納スペースが必要です。

室内に置き型収納家具はおかず、すっきりさせたい場合には、ウォークスルークローゼットが便利です。ウォークスルークローゼットは、廊下と繋げると、廊下からも寝室からも出入りできます。帰宅して、コートや上着をクローゼットにかけ、必要な着替えを持って寝室に移動できます。

また、設計上、寝室が勾配天井になる場合には、寝室の上部の天井が高い側にロフトをつけ、収納スペースとして利用する方法もあります。ロフトの下部分はウォークインクローゼットにしたり、置き型のクローゼットを置いたりできます。

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狭小住宅の室内環境確保に役立つ工夫

吹き抜け

狭小住宅での日当たりと風通しの為に取り入れたい要素が吹き抜けです。リビングの吹き抜けを寝室に繋げることで、日当たりと風通しが確保できます。寝室の窓からの直接の光ではない為、夏場は直射日光の強さが和らぎ、冬場は窓からの冷気が抑えられます。

また、十分な広さがない寝室であっても、視覚的に広く感じ、開放感のある空間が演出できます。

ただ、リビングとキッチンがつながっている間取りでは、調理のニオイが寝室にまで入ってきてしまう、帰宅の遅い家族がリビングで食事をしたり、会話をしたりしていると、寝室での睡眠が妨げられるなどの問題が起こる恐れもあります。吹き抜けと寝室を繋げる場合には、家族構成やライフスタイルに配慮することが大切です。

寝室の日当たりと風通しの為には窓が必要です。しかし、窓の位置によっては、陽射しが強すぎる、窓はあるがほとんど日が入らない、プライバシーが守れないなどの日当たりに関する問題がおこります。また、風が通らない、冷風が侵入してくるなどの風通しに関する問題もあります。

このような問題を解決するポイントは、窓の大きさと開閉のタイプ、そして位置です。

大きさ
窓は、大きいほど採光量が増え、室内が明るくなります。また、視覚的にも室内を広く見せ、開放的な雰囲気に演出します。しかし、窓の向きによっては夏場に直射日光が入り過ぎて、エアコンをつけても室温が下がりにくい状態になることがあります。

また、窓が隣家の窓や道路に面している場合、外部からの視線によってプライバシーを確保できなくなることもあります。窓の向きや、窓が面している周辺の状況が好条件であり、高い耐震性のある建築方法であれば、大きい窓がつけられます。

吹き抜けと組み合わせて日当たりと風通しが確保できる場合には、無理に大きい窓を作る必要はありません。

位置

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大きい窓をつけたくてもつけられない周辺環境である場合には、窓の位置を工夫して、日当たりと風通しを確保しなくてはなりません。

  • トップライト 窓の中で最もたくさんの太陽の光を採りこめる窓です。
  • ハイサイドライト 頭より高い高さの位置につける窓です。光を均等に取り込め、外部からの視線も防げます。

開閉タイプ

様々ある窓の開閉タイプの中で、寝室に適している窓を確認しておきましょう。

  • 引き違い窓 横に滑らせて開閉する最も一般的なタイプです。寝室が狭い場合や、窓の外の敷地に余裕がない場合でも、横に滑らせるタイプなので、通行の邪魔にならない便利な窓です。
  • 片上げ下げ窓 上下にガラスが並んでいて、下のガラスを動かして開閉する窓です。上げ下げ窓も室内側、室外側に飛び出ないので、室内や室外の通行の邪魔になりません。
  • たてすべり出し窓 室内側にすべりだして開くタイプです。引き違い窓では風が採り込めないような場所につけると、家の外側に沿って吹く風を採り込めます。
  • ドレーキップ窓 窓が内側にも外側にも倒れ、上部も側部も開開けられるタイプの窓です。倒して開けるので、横に開けても縦に開けても、外部から人が侵入できるほどの隙間が開きません。また、雨の日でも小雨程度なら雨が降りこむことはありません。その為、換気のために開けっ放しにしておけます。さらに、気密性が高いので断熱性が上がります。

居心地の良い寝室は、質の良い睡眠を提供してくれます。質の良い睡眠は健康と、豊かな心を作ります。狭くても、間取り、窓、収納の工夫で使いやすい寝室を実現し、快適な生活をお楽しみください。

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HOPEsの狭小住宅への思い

 

 

 

 

 

 

ホープスは、狭小住宅での快適な暮らしを実現させたいという思いで、すべての住宅の建築に向き合っています。
根本にあるのは、狭小住宅での快適さとは、無駄を省いたシンプルな暮らしにあるのではないかという考え方です。

敷地の形、道路や周辺の環境に合わせて、日当たりと風通しの良い家、プライバシーを確保できる家、高いインテリア性と優れた住宅性能を持つ暮らしやすい家、安心して暮らせる防犯性の高い家をご提案します。

狭いから快適さをあきらめるのではなく、より快適な暮らしを目指して、施主様のご希望に沿った家にしていきます。

狭小住宅としての参考になる建築実例がたくさんございます。ぜひご覧ください。

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著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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