都内で働いている人にとって、東京での暮らしは魅力的です。何よりも通勤時間を減らせるので、毎日の生活にゆとりが持てます。また、子供の教育にとっても、公立中高一貫教育校や、有名な習い事の教室が多いので、学校や習い事の選択肢が豊富です。
ただ、東京に家を建てる為には、莫大な費用がかかります。東京都内でも、港区や千代田区、中央区では、億単位の費用が必要です。その為、手の届く範囲で東京に戸建ての家を持ちたいと考えると、狭小敷地に建てる住宅が選択肢に上がります。
東京での一般的な延べ床面積は、国土交通省の2017年のデータでは約20坪です。東京への通勤園内のある埼玉や千葉では、26坪程度の延べ床面積を持つ家が多く、地方によっては、50坪という県もありますが、東京では面積が少なめです。一方、国土交通省が生活基本計画において示している都心部の住宅の基準があります。具体的には、4人家族に対して最低でも約15坪、理想としているのは、約30坪という延べ床面積です。
土地には建ぺい率という制限がある為、敷地=階ごとの延べ床面積という訳にはいきません。したがって、約30坪の延べ床面積を確保する為には、3階建てであれば、10坪前後の建坪が必要です。建ぺい率から考えて10坪の家が建てられる敷地を見つけられれば、東京で4人家族が快適に暮らせる狭小住宅を建てられる可能性が出てきます。
東京の狭小敷地に建てる家の注意点
暮らしにかかわる注意点
狭小敷地に建てる狭小住宅では、周囲の環境が暮らしに大きく影響を与えることがあります。具体的にはどのような問題点があるのでしょうか?
室内環境 日当たりと風通しの悪い家になってしまう恐れがあります。
生活音 道路からの騒音、周辺の家からの生活音に煩わされることがあります。反対に、自宅から発生する音が気になり、のびのびと生活できなくなってしまうこともあります。
プライバシー 道路や、隣家からの視線が気になることがあります。
建築費に関わる注意点
もう一つの注意点は、費用に関わることです。都市部に家を建てる場合、法規制や周辺の状況によって、建築費が一般的な住宅よりも高額になってしまいます。具体的にはどのようなことから建築費が嵩んでしまうのか、確認しておきましょう。
法的な規制
- 防火地域 建物が密集している地域では、火災が発生した際に、延焼が拡がらないよう、防火地域、準防火地域に指定されています。防火地域に3階建ての住宅を建てる場合には、RC造、又は木造耐火建築物が求められます。これらの住宅は、一般的な木造建築よりも建築費が嵩みます。
- 準防火地域 準防火地域に3階建ての住宅を建てる場合には、柱や梁が火災によって倒壊しないような措置が施されていることが求められます。このような措置を施すために建築費が嵩みます。
工事の難しさ
- 道路との関係 敷地の前まで工事に必要な車両が侵入できないことがあります。そのような場合、職人さんが手作業で建築資材を搬入しなくてはなりません。また、小型の車両にして何度も往復することもあります。その結果、時間と手間がかかり、その分建築費が嵩みます。
- 隣家との位置関係
足場が必要な工事をする際に、隣家との距離が狭く足場が組めないことがあります。そのような場合、クレーン車などの特殊な方法での作業になることがあります。特殊な作業を行うと、その分建築費が嵩みます。 - 資材の保管
敷地に余裕がない為、建築資材を敷地内に保管できないことがあります。このような場合、近所に資材を仮置きする場所を借りなくてはならず、建築費が嵩みます。
狭くても暮らしやすい家にする為の工夫
居住面積を確保する為に、3階建ての家にすることの多い狭小住宅では、居住環境を調える為の工夫が必要です。
日当たりと風通しが良く開放的な空間
住宅やマンションに囲まれている敷地に建つ縦に長い家で、健康で快適な生活をする為には、日当たりと風通しを確保しなくてはなりません。その為、狭小住宅では、吹き抜け、吹き抜けと組み合わせた窓やスケルトン階段、スキップフロアが取りいれられます。吹き抜けやスキップフロアは、空間を繋ぎ、視線の抜けを作るので、開放的な空間を作り、狭さによる圧迫感を無くします。
プライバシーを守る窓
隣家や道路との距離が近い狭小住宅では、日当たりや風通しの為に窓を設置しても、自然が気になり、開けられなくなる恐れがあります。そのような状況にならないよう、窓の設置を工夫しなくてはなりません。その為、トップライトやハイサイドライトなど、光と風を採りこみつつ、視線を妨げられるタイプの窓を取り入れます。
自動車や自転車の為のスペース
狭小敷地では、駐車、駐輪の為のスペースを敷地内に作れない場合があります。その場合、インナーガレージを取りいれると、自宅内に自動車や自転車を置くことができます。
生活動線
3階建ての家では、生活動線と調和した間取りにすることが暮らしやすさに繋がります。具体的にが、帰宅後の動線に合わせた場所に家族が使える大型収納を作る、洗濯機を置く場所と洗濯物を干す場所を同じフロアにするなどがあげられます。家族構成や、家族の生活の時間帯等に合わせて、新しい家での生活動線を具体的に想定し、間取りを決めることが大切です。
間取り
廊下や間仕切り壁をできるだけ減らすことで、居住面積を拡げられます。その為、スキップフロアの段差やスケルトン階段で緩やかな区切りを作る、階段の踊り場を利用したコーナーを作るなどの工夫が取り入れられます。
収納スペース
狭小住宅では、置き家具で収納しようとすると、どうしても床面積に無駄が出てしまいます。造り付けの収納スペースにすれば、無駄な空間ができず、高い場所まで収納に使えます。ただし、家族の生活動線に合わせた場所に収納スペースを作らないと、使いにくい収納になってしまいます。3階建ての場合、生活動線が2階建ての住宅より長いからです。
例えば、1階で使う物を小屋裏収納にしまえば、運搬に手間がかかります。3階に寝室や子供部屋があり、1回にリビングがあれば、帰宅後、いったん自室に荷物を置きに行くのは面倒です。しまうものをしまいやすい場所に収納スペースを作れば、自然と家の中が片付きます。
暮らしやすい家を支える住宅性能
狭小住宅におこりがちな日常生活を煩わせる問題を解決する為には、間取りだけではなく、住宅の性能も重要です。
断熱性・気密性
間仕切壁が少なく、空間が繋がっている家では、冷暖房の効率が低下します。吹き抜けやスキップフロアで、日当たりと風通しは確保できたものの、冬は寒く、夏は暑いという環境になる恐れがあるのです。
吹き抜けやスキップフロアがある家は、各居室が細かく区切られている家より、高い断熱性が求められます。反対に考えると、家の中の空間が広がっているので、部屋による温度差がなくなり、全館冷暖房の快適さが得られます。
防音性
道路からの騒音や、周辺の住宅からの生活音は、状況によってはマンションより響くことがあります。その為、周辺の状況に合わせて、窓や外壁の防音効果を高める必要があります。
耐震性
吹き抜けやスキップフロア、インナーガレージを取り入れた家は、床や壁の面積が減るので、高い耐震性が求められます。SE構法は、木造住宅でありながら、広い空間と優れた耐震性を併せ持つ建築工法です。木造で建てる3階建ての狭小住宅に優れた耐震性を持たせる為には、最適な工法です。
HOPEsの狭小住宅への思い
ホープスは、狭小住宅での快適な暮らしを実現させたいという思いで、すべての住宅の建築に向き合っています。
根本にあるのは、狭小住宅での快適さとは、無駄を省いたシンプルな暮らしにあるのではないかという考え方です。
敷地の形、道路や周辺の環境に合わせて、日当たりと風通しの良い家、プライバシーを確保できる家、高いインテリア性と優れた住宅性能を持つ暮らしやすい家、安心して暮らせる防犯性の高い家をご提案します。
狭いから快適さをあきらめるのではなく、より快適な暮らしを目指して、施主様のご希望に沿った家にしていきます。
狭小住宅としての参考になる建築実例がたくさんございます。ぜひご覧ください。