快適な暮らしを送るためには、家の使い勝手を追求することが重要です。
中でも注目すべきなのがコンセントの配置です。
家電製品が増えている現代において、コンセントの位置は利便性や快適性に直結します。
新築やリフォームの際は、コンセントの配置計画にしっかりと時間をかけ、後悔のない家づくりを目指しましょう。

本記事では、暮らしやすい家を実現するためのコンセント配置のポイントを解説します。
各部屋での最適な位置や、新築時の後悔しがちな点、そしてリモートワーク時代のコンセント事情についてお伝えします。
これからマイホーム計画を進める方も、リフォームを検討中の方も、ぜひ参考にしてみてください。

□暮らしやすい家づくり:コンセントの位置の重要性とおすすめ

コンセントの位置は、日常生活の利便性と快適性に直接影響します。
使いたいときにすぐ使える位置にコンセントがあれば、ストレスなく快適に過ごせます。
しかし、家づくりの際は間取りやデザイン、設備選びに注力しがちで、コンセントの配置計画が後回しになることも。
その結果、入居後に使い勝手の悪さに気づき、後悔するケースが少なくありません。

快適な暮らしのためには、コンセントの配置にこだわることが大切です。
以下に、場所別の使いやすいコンセント位置と検討ポイントをまとめました。

1: 玄関
玄関でのコンセント用途は、掃除機や電動自転車の充電、季節の飾り付け、照明器具、水槽などが挙げられます。
年中使うものは必要数を事前に把握し、目立たない位置に設置するのがおすすめ。
扉や下駄箱の影などが適しています。

2: 廊下
廊下では主に掃除機や照明でコンセントを使用します。
コードレス掃除機が主流ですが、コード式も根強い人気。
足腰の負担を考え、床から30〜40cm程度の高さに設置しましょう。
照明用には、自動点灯スイッチ一体型のコンセントもあります。

3: リビングダイニング
家族が集い、長時間過ごすリビングは、テレビやエアコン、充電器、季節家電、掃除機など、多様な用途でコンセントを使います。
目的に合わせて臨機応変に使えるよう、必要数以上を設置するのが賢明です。

コンセントの配置は、暮らしやすさに直結する重要なポイントです。
快適な住まいづくりのために、入念に計画を立てましょう。

□新築でコンセント位置を後悔しないために

新築時のコンセント配置では、後悔してしまうことがよくあります。
その理由と、適切な計画のためのポイントを見ていきましょう。

1: 図面だけでは想像しづらい
家づくりの打ち合わせでは、主に図面を見ながら進めます。
しかし、慣れない図面から細部まで把握するのは難しく、立体的なイメージを描きづらいもの。
とくにコンセント位置は見落としがちで、入居後に後悔するケースが多いのです。

2: 必要数が不足する
テレビ周りのコンセントが足りなかった、といった経験をお持ちの方も多いのでは? テレビ以外にもレコーダーやゲーム機、Wi-Fiルーターなど、必要数は意外と多くなります。
部屋全体で考えると、冷暖房や加湿器、空気清浄機、PC周辺機器など、さらに口数が必要です。

3: 使用頻度の低い場所は忘れがち
毎日使うものだけでなく、時々使ったり特定の時期だけ使ったりするものもあります。
掃除機や季節家電などは、コンセントの計画から漏れやすいポイント。
使用頻度が低いからこそ、しっかりチェックしましょう。

4: 配置が適切でない
コンセントをつけたものの、使い勝手が悪かったり、そもそも不要だったり。
ドアの開閉で隠れる位置や、ベッドでは手の届かない場所などに設置すると、使えないことも。
家具の配置なども考慮した、適切な位置選びが肝心です。

後悔しないコンセント配置のためには、実際の生活動線をよく考え、必要な場所に必要な数を設けることが大切。
図面だけでなく、立体的に部屋をイメージしながら計画を練りましょう。

□リモートワークとコンセント増設の現実

コロナ禍でのステイホームや在宅勤務の増加に伴い、家庭内の電化製品が増えています。
しかし、コンセントの数はそのままというご家庭も多いのではないでしょうか。

1: パソコン周りのコンセント不足
テレワークが増えた今、パソコン周りのコンセント不足に悩む声が目立ちます。
PC本体はもちろん、モニターや周辺機器、ネット環境の整備で必要な口数は増える一方。
タコ足配線で対応している方も少なくありません。

2: 新築時の計画不足
新築時に入念に計画したつもりでも、実際に住んでみると想定外の不便さに気づくこともあります。
とくにコンセントは図面だけでは把握しきれず、後悔のタネになりがち。
ステイホームの現在、必要な数や位置の再考が求められています。

3: 増設時の注意点
コンセントを増やす際は、電気容量に注意が必要です。
リフォームで数を増やしてもブレーカーが落ちるようでは意味がありません。
また、エアコンなどは1回路に1台が基本。
配線の問題でブレーカーが落ちるケースもあるため、専門家に相談しながら慎重に進めましょう。

4: 分電盤の容量アップだけでは不十分
各家庭で使える総電気容量は契約で決まっており、これを超過すると主ブレーカーが落ちます。
ただし、分電盤の容量アップをしても、配線の太さなどに原因がある場合は効果が限定的。
やみくもな増設は避け、計画的に行うことが肝要です。

コンセントは快適な暮らしに欠かせない設備ですが、使用環境の変化に合わせた見直しが必要不可欠。
タコ足配線や放置したコンセントは火災の危険もあるため、リフォーム時などのチャンスを活用し、計画的な増設・移設をおすすめします。

□まとめ

本記事では、暮らしやすい家づくりに欠かせないコンセントの配置について解説しました。
玄関や廊下、リビングなど、各部屋に適した位置選びや必要数の把握が快適な住まいづくりのカギを握ります。

新築時は図面だけでは立体的なイメージを描きづらく、必要数の不足や使用頻度の低い場所の見落とし、適切でない配置などの後悔ポイントがあります。
入念な計画と事前の考慮が肝心です。

また、昨今のリモートワークの普及で、コンセント需要は高まる一方。
パソコン周りの不足や、新築時の想定不足など、実情に合わせた増設・移設の必要性が高まっています。

ただし、増設時は電気容量や配線の太さなど、専門的知識が求められます。
リフォームの際は専門家に相談し、計画的に進めることをおすすめします。

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著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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