建築基準法には、耐震等級1が、耐震性能を満たす耐震性能として定められています。
耐震等級とは、地震に耐えられる性能を、等級で表した数字です。
多くの人は、建築基準法で認められているのだから、耐震等級1を満たしている家は、安全だろうと考えています。でも、本当にそうなのでしょうか?
注文住宅を建てるための情報集めをする際には、外観と内観のイメージ、間取りなどと並行して、耐震性能についても、ある程度の知識を持っておくことが大切です。

Works(株)ホープスの建築実例

耐震等級とは?

耐震等級1
震度6~7の地震は、数百年に一度起こる大地震に分類されています。耐震等級1は、震度6~7の地震が発生しても、倒壊、崩壊しない強さを表しています。一般的な戸建て住宅は、この等級を満たしていれば、建築基準法に触れることはありません。
日本国内では、震度5程度の地震が、数十年に一度は発生し続けています。耐震等級1に住宅は、震度5程度の地震が起きた場合、まったく被害を受けないという保証はありません。
耐震等級2
耐震等級1の1.25倍の耐震性を表します。長期優良住宅としての認定を受けるために、求められる等級です。災害時の避難場所になる学校、病院、警察などの公共施設は、耐震等級2以上の耐震性を持っています。
耐震等級3
耐震等級1の1.25倍の耐震性が表します。災害時の拠点となる消防署などは、耐震等級3以上の耐震性を持っています。

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ホープスが考える耐震性能

基本的に、耐震等級1では、十分な安全が確保できないと考えています。
東京都内の狭小住宅には、高い耐震性が求められるからです。
ほとんどの東京の狭小住宅は、周囲を背の高い住宅やマンション、商業ビルに囲まれている環境にあります。
その為、郊外型の戸建て住宅のような住宅は建てられないケースが多くあります。

敷地の広さ
平均的な郊外型の住宅の敷地面積は35~40坪です。地方によっては、もっと広い県もあります。一方、平均的な東京都内の戸建て住宅の敷地面積は、15~20坪です。区によってはもっと狭い地域もあります。東京都内の敷地面積には、高級住宅街と、狭小住宅が密集する地域での差が大きい為、確実な平均面積は求められませんが、10坪前後の狭小地も少なくありません。
10坪の敷地の場合、建ぺい率が60%だった場合、建築できる面積は6坪です。6坪で、家族の居住面積を満たす為には、階数を増やさなくてはならず、3階建て、4階建ての家にしなくてはなりません。このような縦に細長い住宅には、高い耐震性が求められます。

室内環境
周囲を建物に囲まれ、隣家との距離が狭い環境では、健康的な生活に必要な日当たりと風通しを十分に採り入れられない家になってしまいます。その為、東京の狭小住宅には、吹き抜け、スキップフロア、大開口などが、設計に採り入れられます。
吹き抜けは、上からの陽射しを、下の階まで届けられます。スキップフロアは、ウナギの寝床のような形状の家であっても、家の奥まで陽射しを届けます。大開口は、たくさんの陽射しと風を採り入れます。吹き抜けもスキップフロアも、壁に遮られないので、広い風の通り道ができ、風通しの良い家を造ります。このような設計は、室内環境を良くする一方、家の中の空間が繋がる為、床や壁が一般的な設計よりも、高い耐震性が求められます。

ガレージ
敷地が狭い場合、敷地内にガレージや自転車置き場を作れないケースがほとんどです。その一方、東京都内では、月極め駐車場の料金が非常に高額です。平均的には3~4万円、中央区、港区のように5万円台の区もあります。加えて、せっかく車を所有しているにもかかわらず、敷地内に駐車できなければ、車を所有していることで得られる利便性が、半減してしまいます。
そこで、狭小地にも車を敷地内に置くためには、インナーガレージが採用されます。横に広い住宅であれば、1台分のインナーガレージが、著しく耐震性を損なうことはありません。しかし、狭小住宅においては、間口いっぱいの開口が必要になる為、高い耐震性が求められます。
このように、東京の狭小住宅には、内部空間が大きい家になるケースが非常に多い為、高い耐震性が必要になるのです。その為、耐震等級1では、十分ではないとホープスは考えます。

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ホープスは、重量木骨・SE構法で家を建てています

大きな空間を自在に造れることが、密集した地域に建つ狭小住宅にも、快適な室内環境を与えます。ただし、大きな空間は、耐震性を揺るがすリスクも抱えています。そして、大きな空間を自在に造っても、住宅の安全を完璧に保証する構法がSE構法です。

構造計算
現在の建築基準法では、2階建てまでの木造住宅には、構造計算が義務付けられていません。しかし、地震や台風の威力に対して、絶対的に安全な家を建てるためには、必ず構造計算をする必要があるとホープスは考えています。実際、ここ数年に起きた大地震で、倒壊、崩壊した家は、構造計算がされていなかった家です。その為、3階建てはもちろんですが、2階建ての家であっても、必ず科学的根拠に裏付けられた構造計算を行います。
構造計算とは、地震や台風に襲われた際に、住宅が損傷を受ける度合いを割り出す計算です。構造計算の為に、建築基準法には、積載荷重が定められています。住宅には、屋根や壁など、住宅自体の重さを総計した重さを表す固定荷重と、積載荷重があります。積載荷重には3つの基準があります。

床設計用の積載荷重
室内に、どの程度までの重さがある家具や、家電を置いても家の安全が保たれるか、という数字を算出します。住宅には、家具や家電、住人の重さなどが床にかかります。ピアノや大型クローゼットなど、重いものが部分的に置かれていても、室内の重さの総計が1㎡に対して約180kgまでが、安全を守れる重量です。

架構設計用の積載荷重
家の中の床には、多くの重量がかかっている床と、それほど重量のかかっていない床があります。ピアノや書棚が置いてある部分の床や、納戸の床は、重量が多くかかっている床です。反対に、何も置いていない床、籐の家具など、軽い家具が置いてある床は、重量がかかっていない床です。しかし、床にかかった重量は、梁、柱、基礎に支えられている為、部分的な重量を家全体で支えています。家全体で支える重量の総計が、1㎡に対して約180kgまでが、安全を守れる重量です。

地震力算出用の積載荷重
地震に襲われた時、家は地震の揺れで、横から大きな負荷をかけられます。その負荷は、家自体の重さである固定荷重と、家具や家電などの積載荷重が大きければ大きいほど、強くかかります。その為、地震に襲われた時には、1㎡に対して約60Kgまでが、安全を守れる重量です。

骨組み
SE構法が、高い耐震性を持ちつつ、自由に大空間を作れる理由の一つは、ラーメン接合の骨組みです。木造であるにもかかわらず、ラーメン接合の骨組みを可能にしているのは、重量鉄骨造のような「柱」と「梁」の強固な接合です。この接合がある為、在来工法には外すことのできない筋交いのない広い空間が作れるのです。

強い耐力壁
筋交いの入った耐力壁の代わりに、SE構法の住宅に使われる耐力壁は、在来工法の3,5枚分の厚さがあり、2倍以上の強度と性能を持つ耐力壁です。
この他にも、SE構法には、耐震性を確実に高めるたくさんの要素が詰まっています。どんなに細長い3階建て住宅であっても、吹き抜けやスキップフロアで家の中の壁や床が少ない住宅であっても、絶対的に安全な家が生まれます。

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ホープスの狭小住宅への想い

ホープスは、狭小住宅での快適な暮らしを実現させたいという思いで、すべての住宅の建築に向き合っています。根本にあるのは、狭小住宅での快適さとは、無駄を省いたシンプルな暮らしにあるのではないかという考え方です。

敷地の形、道路や周辺の環境に合わせて、日当たりと風通しの良い家、プライバシーを確保できる家、高いインテリア性と優れた住宅性能を持つ暮らしやすい家、安心して暮らせる防犯性の高い家をご提案します。

狭いから快適さをあきらめるのではなく、より快適な暮らしを目指して、施主様のご希望に沿った家にしていきます。

狭小住宅としての参考になる建築実例がたくさんございます。ぜひご覧ください。

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著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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