狭小住宅では、限られた床面積を有効に利用する為、家の中の空間がつながっている間取りが多くみられます。
日当たりや風通しを遮らず、明るく、換気の良い室内環境を作る為に、間仕切りを減らし、吹き抜けやスキップフロアを取り入れます。その結果、開放的な空間が生まれるのです。しかしその反面、家の中に散らかっている場所や、生活感の出ている場所があると、家中の雰囲気に影響してしまいます。
常にすっきりした室内を実現できる収納について考えてみましょう。
片付けなくても散らからない部屋
使ったものがすぐしまえる、必要なものはすぐ取り出せる収納スペースがあると、部屋は自然に片付きます。特にリビングは家族が全員使う部屋なので、物が多い部屋です。
家族構成やライフスタイルによってリビングで使う物は変わってきます。小さな子供がいれば、おもちゃ、小学生や中学生がいれば勉強道具やゲーム、リビングで家事をする主婦であれば、アイロンやアイロン台、その他家族全員が使うパソコンや本、DVDなどがリビングに置かれている家庭は多いのではないでしょうか?
リビングの物は、アイロン、パソコン、本、DVDなど、常時リビングに置いてあるものと、子供の勉強道具やお稽古バッグのように一時的に置いておくものに分けられます。
また、アイロン台や掃除機など見えないようにしまっておきたい物と、本やDVD など見えるように収納したいもの、パソコンやスピーカーなど操作しやすい場所に置いておきたい物にも分けられます。
それらを用途に応じて適切に分け、詰め込め過ぎずに収納することが大切です。せっかく用途に応じた収納スペースがあっても、詰め込み過ぎてしまうと、出し入れしにくい収納になってしまうからです。
収納する物の種類に合わせた収納場所
見えないようにしまっておきたい物と一時的に置いておく物
- ファミリークローゼット
家族全員が使えるウォークインクローゼットにしまいます。。家族全員が使えるウォークインクローゼットがあると、子供たちが成長して衣服が嵩張るようになっても、安心です。 - 壁面収納
壁面収納に籐のカゴなど、好みに合わせた収納ボックスに入れてしまいます。収納ボックスの色や質感を揃えると、インテリア性が上がります。 - スキップフロアの下の部分
キャスター付きの収納ボックスを用意すれば、子供が自分でおもちゃをしまう習慣を作れます。箱階段の場合は、格段の下を引き出しにすることもできます。
見えるように収納したい物
- 壁面収納
壁面収納は空間を効率よく使えることに加えて、間接照明との組み合わせや、棚に置くものによってインテリア性を上げる効果があります。ただし、見せる収納はセンスが問われるので、室内の雰囲気に調和するように置くことが大切です。置くものの色調や質感に統一感がない場合には、扉付きの部分にしまえるよう、見せる棚と見せない棚の部分のバランスを考えておく必要があります。
壁面収納のタイプ
- 壁面いっぱいの収納
テレビボードも兼ねられる壁いっぱいの収納は、本やDVDの他にも観葉植物や趣味の小物を飾るスペースとしても使えます。扉付きの部分も作っておくと、買い置き品やアイロンなど、見えないようにしまっておくものも収納できます。また、置く予定の物に合わせて、奥行きの深い棚と浅い棚を組み合わせると無駄のない使いやすい棚にできます。ただし、天井の高さや部屋の広さによっては、圧迫感が出てしまうこともあります。キッチンの収納でこのタイプにする場合、収納の手前に引き戸をつけておく方法もあります。キッチンとダイニングがつながっていて、リビングにお客様がある時には、引き戸をひいてリビングを客間として使えます。引き戸にする建材の選び方で、好みの雰囲気に部屋を演出できます。
- 腰高の収納
扉のついた部分と収納のない部分のあるデザインにしておくと、椅子を組み合わせてパソコン作業をしたり、子供が宿題をしたりするスペースとしても使えます。 - 低い収納
上にはテレビを置き、下を収納部分として使います。 - 壁の一部に作る収納
腰高収納や、低い収納と組み合わせても使うと、収納量が増えますが、壁いっぱいの収納ほど圧迫感がありません。 - 箱型収納が斜めに階段のように並んだ収納
室内が楽しい雰囲気になる壁面収納のデザインです。低い場所は子供用、高い場所は大人用にしたり、部分的に扉をつけたり、様々に活用でき、猫の遊び場所としても活躍します。
操作しやすい場所に置きたい物
- 壁面のカウンターやキッチンカウンター
- 腰高収納の上
収納する場所
収納する場所は、造り付けのクローゼットや棚、カウンターにすると、無駄な空間を作らないことに加えて、質感や色調が内装と調和し、落ち着いた雰囲気を作れます。狭小住宅は、スキップフロア、ロフト、片流れ屋根などを取り入れるので、デッドスペースを利用した収納スペースが作りやすい家でもあるのです。
収納と間仕切りに使える置き家具
収納の置き家具はできる限り避けた方がすっきりします。しかし、ソファやテレビボードまですべて造り付け家具にしてしまうと、模様替えの際の自由度がなくなってしまいます。それを考えると、ソファなどは可動できる置き家具にしておいた方が無難です。
テレビボードや腰高収納、ソファなどを置き家具にする場合には、間仕切としての働きもできるよう、裏表のないタイプが向いています。間仕切りの働きをさせる為には、必ずしも背の高い家具である必要はありません。
背の高い置き家具を間仕切りにしたり、間仕切り用の家具を使ったりすると、部屋に圧迫感が出てしまいます。それよりも、低めの家具でゆるい仕切りにする方が、日当たりと風通しのよい開放的な空間を活かすことができます。
- 収納付きソファ
収納付きソファは、ソファの内部に収納スペースがついています。座面の下に引き出しがついているタイプ、座面を開けるタイプ、直線型、L字型などのデザインがあります。ベッドになるタイプもあり、客間のないお宅には便利です。収納付きソファと聞くと、チープなイメージがあるかもしれませんが、質の良い高級なソファもあります。 - 両側から取り出せるオープン棚
リビングとダイニングの間仕切りに設置すると、リビングを客間としても使いやすくなります。見せる部分と見せない部分がバランスよく配置されているタイプは、高い収納力があります。
収納スペースをすっきりさせる為に必要なこと
使い勝手の良い収納スペースにする為には、具体的に収納する物に合わせて、収納スペースの奥行と間口、棚の高さを決めることが大切です。また、しまうものの種類にあった位置に収納スペースを作ることも必要です。しかし、どんなに使い勝手の良い収納スペースを作ったとしても、根本的に収納する物が多すぎる、又は収納する物が増え続けるという状態では、収納スペースは機能しません。
ゆとりを持って収納できることが、収納スペースの使い勝手の良さを維持させるからです。ぎゅうぎゅうに物が詰め込まれていれば、出し入れしにくくなり、最終的には出しっぱなしになってしまう恐れもあります。使いやすい収納スペースの基本は、出し入れしやすい位置にあり、出し入れしやすい余裕があることです。そして自然に片付く部屋の基本は使いやすい収納スペースです。では、使いやすい収納スペースを維持する為には、何が必要でしょうか?
無駄なものを持たないこと、不要な物を思いきって処分することです。2シーズン続けて着なかった服や靴、返礼品などで頂いてから何年も経つが使わない食器など、いつか使うかもしれないと思っているものは、思い切って処分してしまえば、せっかくの収納スペースを効率よく活かせます。
無理をしなくても常に自然に片付いている部屋での暮らしをお楽しみください。
HOPEsの狭小住宅への思い
ホープスは、狭小住宅での快適な暮らしを実現させたいという思いで、すべての住宅の建築に向き合っています。
根本にあるのは、狭小住宅での快適さとは、無駄を省いたシンプルな暮らしにあるのではないかという考え方です。
敷地の形、道路や周辺の環境に合わせて、日当たりと風通しの良い家、プライバシーを確保できる家、高いインテリア性と優れた住宅性能を持つ暮らしやすい家、安心して暮らせる防犯性の高い家をご提案します。
狭いから快適さをあきらめるのではなく、より快適な暮らしを目指して、施主様のご希望に沿った家にしていきます。
狭小住宅としての参考になる建築実例がたくさんございます。ぜひご覧ください。