部屋をすっきりさせる為には、散らからない部屋にする必要があります。散らからない部屋とは、使いたい時に、スムーズに必要なものを取り出せ、使い終わった時には、簡単にしまえる収納がある部屋です。ただし、部屋が狭いからと言って、収納スペースを多く作れば良いというものではありません。

使いやすい収納、無駄にならない収納だけがあれば良いのです。使いやすく、無駄にならない収納にする為に必要なポイントとは何でしょうか?

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収納家具を使わない工夫

収納には、収納家具を使う方法と造り付け家具を設置する方法があります。収納家具は、デザイン性に優れた美しいタイプが多数あり、室内の雰囲気作りに役立ちます。ただ、収納力という点から考えると、置き家具には、造り付け家具ほどの収納力は望めません。その為、同じ面積を使った場合、造り付け家具の方が効率良く収納できます。特に、狭小住宅では、造り付けの収納プランによって、暮らしやすさが大きく変わります。

置き家具は、間取りプランの進行と並行して、探していく方法が理想的です。したがって、間取りプランを進めながら、家具探しもしなくてはなりません。さらに、収納家具の場合、実際に置いてみると、わずかなデッドスペースができてしまうこともあります。しかし、造り付け家具であれば、間取りプランの中に組みこまれるので、家具を探しに行く手間が省けます。加えて、現場で作成するので、無駄な隙間ができる心配はありません。建築と家具が一体化し、室内がすっきりした印象になり、さらに機能も充実します。

造り付け家具の中でも、ガラスが使われていたり、細かな装飾が施されていたりするタイプは、家具職人が家具工場で製作し、現場に搬入します。その為、高級な置き家具と同じ程度の費用がかかってしまいます。しかし、大工仕事の範囲内でできるシンプルなクローゼットや壁面収納であれば、高価な置き家具を購入するよりも、予算を抑えることができます。狭小住宅では、一般的な住宅よりも建築費が嵩むので、シンプルな造り付け家具にすることで、床面積も予算も抑えられます。

それでは、造り付け家具には、具体的にどのような収納スペースがあるでしょうか?

  • 子供部屋に勉強机、ベッドと組み合わせた収納スペース
  • 階段、スキップフロア、小上がりなどの下に作る収納スペース
  • キッチンやリビングの壁面収納
  • テレビボードと組み合わせた収納スペース
  • 玄関やリビングの壁面クローゼット、ウォークインクローゼット、ウォークスルークローゼット

これらの収納スペースは、天井までの高さにすることもできるので、高い収納力があります。

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生活動線に合わせるための工夫

どんなに多くの収納スペースを作っても、使い勝手の良くない収納スペースであれば、無駄な収納スペースになってしまいます。収納スペースで最も大切なことは2つ 生活動線にあっていることと、しまう物のサイズにあっていることです。

生活動線にあった収納スペースであれば、無理なくその場所にものをしまえるからです。その為、収納スペースの位置を決める際には、デッドスペースをやみくもに利用するのではなく、家族の生活を具体的に想定して設置位置を決めることが大切です。

帰宅後はリビングに行くことが多い家族の収納スペース
ウォークインクローゼット、又はウォークスルークローゼットを玄関やビング、玄関とリビングの中間などに設置すると、リビングが散らかりません。玄関わきに子供部屋や寝室があるというような間取りであれば、上着やバッグを自分の部屋においてからリビングに入るかもしれません。しかし、玄関からリビングが最も近く、帰宅後はリビングで過ごす、子供部屋や寝室は階上にあるというような場合には、リビングに荷物を持ち込みがちです。

その結果、リビングが片付かない、いつも散らかっているという状態になってしまうのです。帰宅したら、いつの間にか上着やバッグがしまえる位置に収納スペースがあれば、いつでもリビングはすっきりします。

また、二世帯住宅など、家族の人数が多い場合には、玄関が散らかりやすくなってしまいます。その為、玄関に大型収納を作る場合には、土間収納にしておくと、靴やコートだけではなく、ベビーカーやスポーツ用品などもしまえます。

パントリーの位置
勝手口のある間取りであれば、勝手口とキッチンは繋がっているでしょう。その場合には、勝手口の近くにパントリーを設置すると、食料品の運び入れが楽にできます。3階建てで、2階にキッチンがある場合には、リビングや玄関のファミリークローゼット内に、重い食料品を置くスペースも作っておくと便利です。

季節の物を収納するスペース
クリスマスツリーやお雛様など、年に1回しか使わない季節の物は、日常的には使い勝手の悪い位置にあるデッドスペースに作った収納を利用します。しまうものがそれほど大きくなければ、小屋裏が利用できます。

壁面クローゼット
寝室に大型の壁面クローゼットがあると、衣替えの為の入れ替えをしなくても済みます。ウォークインクローゼットにしてしまうと、床面積が減ってしまいます。壁面クローゼットであれば、ハンガーに厚手のコートをかけても収納できる奥行きがあれば良いので、それほど床面積を圧迫されません。ハンガーパイプの他に棚を設置すると、その中にすべての衣服が収まります。

洗面所の収納
洗濯物を干す場所にもよりますが、洗面所に下着やパジャマ、タオルをしまえる収納スペースがあると便利です。特に子育て中の場合、洗濯物をしまうだけではなく、入浴準備のために階上の子供部屋と洗面所を行き来しなくてはなりません。他の家族にとっても、洗面所に着替えがあれば、入浴準備が楽になり、自分の部屋のクローゼットは吊るすものが中心になるので整頓しやすくなります。

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無駄な収納スペースにしない為の工夫

床面積を倹約するにデッドスペースを全て収納にしたとしても、しまう物の大きさに合わないと、使いにくく、無駄な収納スペースになってしまいます。使いやすい収納にするポイントは、しまう物の大きさに合わせた間口と奥行きにすることです。

大型クローゼットの場合は、内部の棚の位置と幅、奥行きによって、収納力と使い勝手が大きく変わります。しまうものに対して奥行きがあり過ぎれば、奥の物が取り出しにくいのでしまいっぱなしになりがちです。間口が狭ければ、収納したい物が入れられないことがあります。衣装ケースや収納スペース内に置く収納ボックスのサイズに合わせておけば、無駄がありません。

また、収納スペースの位置や高さによっても、使い勝手は変わります。

  • 小屋裏を収納にする場合の工夫 小屋裏収納+収納式階段にした場合、両手いっぱいに抱える荷物は、収納しにくいという問題があります。小屋裏収納に、布団や衣装ケースなどをしまう予定であれば、収納式の階段や梯子ではなく、通常の階段を設置することも考えるべきでしょう。
  • 階段下やスキップフロア下を利用する場合の工夫 階段下のスペースは、内部の区切り方によって使い勝手が変わります。掃除用具、ペットのトイレなど、具体的な使用目的に合わせて区切り方にする工夫が大切です。
  • 壁面を収納に利用する場合の工夫 壁面収納は、室内のインテリア性に大きな影響があります。天井までの壁いっぱいの壁面収納では、収納力は高いのですが、圧迫感を生み出す恐れがあります。また、家具の配置を考える前に壁面収納の位置や大きさを決めてしまうと、家具の配置が思い通りにできなくなるそれもあります。その為、間取りプランと、造り付け家具、置き家具のプランを並行して進めることが大切です。
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HOPEsの狭小住宅への思い

ホープスは、狭小住宅での快適な暮らしを実現させたいという思いで、すべての住宅の建築に向き合っています。
根本にあるのは、狭小住宅での快適さとは、無駄を省いたシンプルな暮らしにあるのではないかという考え方です。

敷地の形、道路や周辺の環境に合わせて、日当たりと風通しの良い家、プライバシーを確保できる家、高いインテリア性と優れた住宅性能を持つ暮らしやすい家、安心して暮らせる防犯性の高い家をご提案します。

狭いから快適さをあきらめるのではなく、より快適な暮らしを目指して、施主様のご希望に沿った家にしていきます。

狭小住宅としての参考になる建築実例がたくさんございます。ぜひご覧ください。

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著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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