おしゃれなLDK

60代、70代になると考え始めること

子供が独立すると、家の中の様子が変わります。使わない部屋が増え、がらんとした感じになり、寂しさを感じることもあるのではないでしょうか?

それと同時に、年齢的に10年後、20年後の暮らし方についてそろそろ考え始めるきっかけにもなります。

今住んでいる家が広い人も、3階建ての狭小住宅に住んでいる人も、今のままでは暮らしにくくなるだろうと感じることがあると思います

なぜなら、家族揃っての暮らしに合わせて設計された間取りの家は、夫婦2人だけで住むには、不便な点が出てきてしまうからです。

例えば、若いころには気にならなかった家事労働が次第に負担になってきます。重い洗濯物を持って2階に上がる、掃除のたびに1階と2階を、掃除機を持って昇り降りする、もしキッチンが2階にある家であれば、買ってきた食料品を毎回2階のパントリーに運び込むなど、階段が家事労働の負担を大きくします。

また、子供達がいなくなり、使わない部屋が増えると目の届かかない範囲が広がり、防犯性が低下します。

さらに3階建ての家に住んでいる場合には、2階や3階は全く使わないという状況になってしまうかもしれません。

そうなれば、日当たりや風通しの良い2階3階の部屋は無駄になり、日当たりも風通しも悪い1階の部屋だけで暮らすことにもなりかねません。

そのような懸念を払しょくする為に、老後は家を売ってマンションで暮らすというのも一つの選択です。また、長年暮らしてきた土地で暮らしやすい家に建て替えるという選択や建物を賃貸として貸してしまい自分たちは別の場所で暮らすという選択もあります。

答えはひとつに決まっているわけではなく、家族ごとの暮らし方にそれぞれの選択肢があるのではないでしょうか?

アメリカンテイストなLDK


年老いても安心して暮らせる終の棲家とはどんな家なのでしょうか?

老後まで暮らせる家に必要な機能と家の形態について考えていきましょう。

暮らしに対する考え方

今までの暮らしの中で徐々に増えてきた物がたくさんあることと思います。思い出があり捨てられない物、もしかしたらまだ使えるかもしれない物、何かの時の為に持っておきたい物…年をとればとるほど、そのような物は増えていきます。

でも、そのような物の数々は、本当に必要な物でしょうか?

豊かな暮らしとは、たくさんの物に囲まれている生活でしょうか?

必要最小限の物だけで暮らす生活は、整理整頓がしやすく、清潔で快適な毎日に繋がるのではないでしょうか?

老後は広くてたくさん収納スペースのある家に住むより、本当に必要な物だけがあるシンプルな暮らしができる家の方が快適に過ごせるのではないでしょうか?

広々としたリビング、たくさんの収納スペース、夫婦それぞれの趣味の部屋、ゆったりした寝室、子供夫婦が孫を連れて来た時に泊まれる部屋などの希望を狭小住宅ですべて実現しようとすれば、住宅は縦に伸びていく以外に方法がありません。

それよりも、兼用できる部屋の使い方を考える、収納スペースの量を抑えるなど、無駄を省いて得られる空間を利用し、快適な暮らしのできる家にしようという考え方の方が老後の暮らしを豊かにするのではないでしょうか?

老後に必要となってくる家の機能

バリアフリー

家を建て替える年代が40代、50代であれば、まだまだ先のことと感じられますが、20年後、30年後のことを考えると、バリアフリーにしておくことは最優先すべきことです。

杖や車いすを使って生活することになった時にでも安全に移動する為のポイント

  • 安全な移動の為の工夫

室内の段差をなくし、階段には手すりをつけておくと年老いても安全に住居内を移動できます。

また、玄関ドアや室内のドアなどの開口部を広くし、リモコンで開閉できるタイプにしておくと、荷物が多く両手が塞がっている時にも便利です。

玄関アプローチを車いすが通行しやすいよう、スロープにしておくと安心です。ただし、スロープは雨の日に滑りやすいので、車いすが通行しやすい凸凹のない建材で、なおかつ滑りにくい建材が安心です。またスロープ部分には転倒防止の為、手すりをつけておくとより安全に通行できます。

  • 快適さと健康管理の為の工夫

快適に暮らし、ヒートショックなどのリスクを下げ、家の劣化を防ぐ為には、住居内の温度差がなくす必要があります。暖房や冷房している部屋と、していない部屋の温度差を小さくする為には、高い断熱性を持った家にしなくてはなりません。

  • 使い勝手を良くする為の工夫

座って使える洗面台の高さにしておくと、車椅子になった時にも洗面できますし、元気な間も、ゆったりメイクができます。

また、バスタブ、浴室の床は滑らない素材を使い、バスタブの脇には手すりをつけておく必要があります。

  • 間取りの工夫

夫婦だけの暮らしになったら、寝室のそばにトイレを配置しても不便がありません。さらに将来的には、夜間のトイレにも行きやすく、冬場のヒートショックのリスクも低減します。

ごろんとできる小上りのあるLDK

家の形態

平屋

平屋はバリアフリーにしやすく、階段がないので年老いても安全に暮らせる最も理想的な家の形態です。室内の温度を一定にしやすく、階段もないからです。しかし、周囲を住宅に囲まれている都市部の狭小敷地に建てる平屋には、陽当り、風通しを確保しにくい、必要な部屋数が足りなくなる恐れがあるという悪条件が伴います。これらの悪条件を克服する為にはどんな工夫があるのでしょうか?

  • 天窓(トップライト)高窓(ハイサイドライト)をつける

天井部につけた天窓や、高い位置につけた高窓から陽当たりを確保できます。天窓は普通の窓よりも採光量が多いので、明るい室内になる上に、冬は室内が暖かくなります。ただし、夏場は熱も相当取り込んでしまう為、ブラインドなどの光の量を調整する設備も必要です。また、開閉できるタイプの窓にしておけば、風も通ります。

  • 間取りへの考え方

夫婦が暮らしていくのに最低限必要な部屋数を確保するという方向で考えるのではなく、用途に合わせて兼用できる部屋にするという方向に考えるという選択肢があります。部屋を細かく区切らず、スキップフロアを取り入れる、家具や衝立で仕切るなどの工夫で、少ない坪数でも夫婦で快適に暮らせる家がデザインできます。

2階建て・3階建て

夫婦が寝室以外にそれぞれの独立した部屋を持ちたい、広々としたリビングルームが欲しいという希望がある場合には、2階建て・3階建ての狭小住宅が選択肢に上がります。

2階建てや3階建てにすれば、部屋数も収納スペースも十分に確保でき、採光や風通しの問題もありません。お孫さんが遊びに来た時に泊まれる部屋も用意できます。

ただし、安全に体に負担をかけずに昇り降りをする工夫が必要です。

安全に体に負担をかけずに昇り降りをする為には、段差が緩く幅のある階段にする必要があります。そして車椅子になった時や、80歳を過ぎて階段の昇り降りがつらくなった時のことを考慮すれば、移住・住み替え支援適合住宅にしておくことという選択肢があります。

モダンでかっこいい外観

3階建て狭小住宅での老後

実際に新築で家を建てる方の多くは30代、40代です。この年代は、まだまだ現役でバリバリ仕事をされていて、家族と色々な場所へ出かけたり、暮らしを楽しんでいる真っ最中です。

そして、多くの方が土地を新しく買われて家を建てています。

新しく土地を買う場合、東京などの都市圏では1坪300万以上する土地が多いため、しっかりとした大きさのある土地ではなく狭小地となってきます。それを考慮すると必然的に建物も3階建ての狭小住宅となるのです。

こうした3階建て狭小住宅の場合は、どこまで老後を考えるべきなのでしょうか?

  • 建てるときは今を楽しむことを優先(未来はわからない)

折角新しく家を建てるのであれば、できるだけ長く住んでいたいし、長く住めるような家にしたいと思いますよね。だからと言って老後の事を考え過ぎて今は必要ないものを取り入れていくと逆に今の生活が窮屈になったり、暮らしずらい家になっていってしまいます。そうなってしまうと本末転倒で何のために家を建てるのかわからなくなってきてしまいます。

年齢を重ねるにつれて家族構成やライフスタイルが変わってくるのは当然のことです。また、老後いつまで元気で生活できるのかは誰にもわかりません。もしかしたら90歳を超えても元気かもしれませんし、もっと早く階段が辛くなるかもしれません。

そのため、老後のためにと言って様々なものを作りこむのではなく、リフォームできる余裕を残して作りこみすぎずに今を楽しめる家とすることをお勧めします。

ライフスタイルが変わったら変わったときに家も一緒に変えていけばいいのです。一生変わらないずっと変わらずに住みやすいという家はありません。どういう状況になるかわからない未来の予想にあわせていくのではなく、今を大切にして幸せに生きていくことが大切です。

仲良く家事のできるオリジナルキッチン

移住住み替え支援適合住宅という選択

3階建ての狭小住宅に住んでいた場合、老後はどういった選択肢があるのでしょうか?

  • 建て替え

3階建てから2階建てもしくは平屋に建て替えるという選択です

今まで住んでいた土地にこれからもずっと住んでいたい。と思われる方も多いと思います。そういった場合は、今の家を面積を小さくし必要最低限の大きさで手すりや昇降機など必要な機能の備わった住宅に建て替えることがいいでしょう。

  • 売却

今の住宅を売却して、新しくマンションなど利便性のいいところに住み替えるという選択です。

1フロアですべてが完結するので圧倒的に生活は楽になります。また、病院や駅の近くの物件を選べば外出する際の負担も軽減します。

しかし、今での戸建住宅とは違い集合住宅なので環境によってはストレスを感じてしまうこともあるので注意しましょう

  • 貸し出す

今ある家を賃貸として貸し出し、自分たちは必要な設備が整った場所で暮らすという選択です。

移住住み替え支援適合住宅というものをご存じでしょうか?

移住住み替え支援適合住宅とはマイホーム借り上げ制度を利用できるJTI(移住・住みかえ支援機構)が定める機能満たした新築住宅のことです。今、日本国内では老朽化した両親の家を持て余し、子や孫が相続放棄をせざるを得ないという問題が多くあります。そのような現状を改善し、持ち家を資産として活用できるようにする為に生まれた、良質な住宅ストックを循環させる制度です。

この制度を利用すると、自宅に住めなくなった時にJTIと借家契約を結び、家賃収入が得られます。したがって3階建ての家に住みにくくなった時に、資産として活用できるのです。

移住住み替え住宅「かせるストック」についてこちらもご覧ください。

一般社団法人JTI(移住・住みかえ機構)のHPはこちら

Works(株)ホープスの建築実例

 HOPEsの建てる狭小敷地でも快適に暮らせる家

ホープスは、狭小住宅での快適な暮らしを実現させたいという思いで、すべての住宅の建築に向き合っています。
根本にあるのは、狭小住宅での快適さとは、無駄を省いたシンプルな暮らしにあるのではないかという考え方です。

狭小敷地に老後まで安心して暮らせる終の棲家となる家を建てたいというご希望があれば、ご夫婦にとって最も暮らしやすい家をご提案します。
リタイア後を老後の暮らしと考えると、それは非常に長い年月に渡る暮らしです。一口に老後と言っても、ライフワークは変化していくでしょう。
そのライフワークの変化にも思いをはせて家づくりのお手伝いをいたします。

悪条件が多かったとしても、敷地の形状や面積に合わせて、利便性が高く、居心地の良い空間を作り出します。

狭いから快適さをあきらめるのではなく、より快適な暮らしを目指して、施主様のご希望に沿った家にしていきます。

HOPEsの建築実例はコチラから

 

 

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著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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