屋上・ルーフバルコニーは、敷地面積に含まれないので、狭小住宅のスペースの少なさをカバーできる場所です。以前は木造住宅の屋上バルコニーに対しては、面積に対して法的な制限があったのですが、現在ではありません。
さらに屋上バルコニーは延べ床面積に含まれないという利点もあります。延べ床面積とは、住居すべての床面積を合わせたものですが、除外される部分もあるのです。玄関の出入り口の外にある玄関ポーチ、延べ床面積の5分の1以内の面積のビルトインガレージ、延べ床面積の3分の1以内の地下室、居室としては使えないという一定の条件を満たした小屋根収納、外壁面からの突出幅が2メートル以下ベランダやバルコニーです。屋上バルコニーは壁面からの突出幅がないので、面積に関係なく延べ板面積から除外されます。
実際に狭小住宅に屋上・ルーフバルコニーを設置することが、暮らしやすさに繋がるのでしょうか?却ってトラブルの元になることはないのでしょうか?狭小住宅に屋上・ルーフバルコニーの相性について考えてみましょう。
狭小住宅に屋上は必要?
狭小住宅では、敷地面積や隣家との位置関係から、十分な広さがあるバルコニー、南向きのバルコニーを設置できない場合があります。
設置できたとしても、隣家の視線が気になって下着が干せない、布団のホコリが隣家の窓から侵入してしまいそうで、布団を取り込むときに布団がたたけないというようなことがおこり、有効利用できない場合もあります。
広い庭があり、周辺の環境が別荘地のようであれば、気候の良い季節に外の空気を楽しみながら庭で寛ぐこともできますが、都市部の住宅ではそれはなかなか叶わない夢です。
このような問題を解決する方法の一つとして屋上を作るという選択肢があります。
屋上であれば、隣家の窓と隣接してしまうバルコニーで発生するようなトラブルは避けられます。どの向きからの日差しも浴びられるので、洗濯物や布団を気持ちよく乾かすことができます。また、周辺が立て込んでいる地域では、庭で寛ぐことはできませんが、屋上なら周辺の視線を気にせず、ゆったりと過ごすことができます。
しかし、このようなことを現実にする為には、解決しなくてはならない問題点があります。
屋上・ルーフバルコニーでできるかもしれないことと問題点
屋上付きの家と考えると夢が広がりますが、それを実現する為には問題点がいくつかあります。
屋上・ルーフバルコニーを設置することによっておこる問題…屋根のタイプによる家の劣化を防ぐ為の防水工事と、水栓や排水設備の設置
ルーフバルコニーのない傾斜した屋根の住宅
通常住居に採用される屋根は、屋根の頂上から地上に向かって二つの傾斜面をもつ切妻屋根や4方向に傾斜している寄棟屋根など、雨水が溜まらないように傾斜している屋根です。しかし屋上を作る場合には、通常の屋根ではなく陸屋根という屋根にします。その為、防水工事をしっかりする必要があります。不十分であれば家そのものが劣化してしまうので、重要な工事であり、非常に高度な技術を要する工事です。
- 屋上庭園を造る
屋上庭園にする場合は、通常の陸屋根よりも強固な防水工事が必要です。また、屋上庭園を造る場合には、プランターをいくつか置くのとは違い、重量のことも考慮する必要があります。水やり後の土の重さに耐えられる構造の家にしなくてはなりません。さらに、給水の為の水栓と排水設備も必要です。
屋上・ルーフバルコニーに上がる方法の種類と問題点
- 布団や洗濯物を干す
- 屋上にミニ菜園を作る
- 子供の遊び場にする
- ペットの為のドッグランを作る
屋上ルーフバルコニーに上がる方法には、屋上に塔屋を設置して内階段、又はエレベーターを使う、屋外に階段、またはベランダから上がれる梯子をつけるという選択肢があります。
布団やプランターなどを運び込むためには、階段が必要です。特に家事で使用する場合には、使用頻度が高いので、外階段より内階段やエレベーターの方が家事負担を軽減できます。また、子供やペットが安全に屋上に移動する為にも、内階段の方が安全です。
梯子をかけるだけならそれほど費用は掛かりませんが、階段をつけるとなると、費用がかかることに加えて内階段であれば、屋上下の階に階段の為のスペースを取らなくてはならなくなります。
階段の為のスペースを節約する方法として、狭小住宅用エレベーターを設置するという選択肢もあります。家庭用エレベーターと聞くと、豪邸につけるものというイメージがあるかもしれませんが、反対に狭小住宅での問題点を解決する移動手段でもあるのです。
特に洗濯物や布団を毎日干さなくてはならない主婦にとって、階段の昇り降りは非常に大変です。その家事負担を軽減できるという大きなメリットがあります。
屋上・ルーフバルコニーでの過ごし方によっておこる問題…近隣からの視線
- 屋上で寛ぐ
屋上は、同じ住宅通しの視線による問題は起こりませんが、周辺のビルが多ければプライバシーを守ることが難しくなってしまいます。その為、落下防止や雨水の侵入を防止するために設置される低い壁だけではなく、目隠し効果のあるフェンスや、高めの壁が必要です。
プライバシー確保・通風・採光を考慮した胸壁(パラペット)
屋上・ルーフバルコニーでの過ごし方によっておこる問題…近隣への迷惑
- 屋上でバーベキューをする
- 子供をビニールプールで遊ばせる
屋上では視線を遮ることはできても、屋上で発生する音を防ぐことはできません。庭でバーベキューをしようと思ってアウトドアテラスを設置したが、近隣の迷惑になりそうで実現できなかったというようなケースは少なくありません。屋上であっても、バーベキューや子供のビニールプールなどは、周辺の環境によっては迷惑をかけてしまう場合があります。その為、そのような目的で屋上・ルーフバルコニーを作るのであれば、周辺の環境を考慮する必要があります。
屋上・ルーフバルコニーを設置した場合に必ずしなくてはならないこと…メンテナンス
どんなに精巧な防水工事をしたとしても、確実に防水された状態を維持する為に、定期的なメンテナンスが必要です。
HOPEsの屋上付きの狭小住宅の実例
15坪の狭小地に実現した機能性あふれるガレージ空間を持つこだわりガレージハウスです。
このルーフバルコニーへの移動手段は、塔屋を設置して内階段を使う方法が採用されています。
左手に見える四角形は、トップライト(天窓)の採光部分です。
ルーフバルコニーを採光部分として活用しているケースです。
床部分はウッドデッキになっているので、夏場も裸足で歩けます。
望遠鏡を設置して、夜間の天体観測が楽しめそうなルーフバルコニーですね。
住居全体の外観
屋上からの陽射しが降り注ぐ室内
ルーフバルコニーからの日差しで、品川という住宅密集地でありながら明るい室内です。
冬場は太陽の光が暖かさも運んでくれます。
屋上のある家・ルーフバルコニーを失敗させないポイント
屋上を活用するルーフバルコニーは、上手に活用すると、暮らしを快適にします。しかし、使う目的と周辺の環境、また屋上への移動方法などを考慮して計画しないと、有効活用できません。
屋上のある家という言葉でイメージばかりが膨らみ過ぎて、せっかく設置したのに使えなかったという残念なケースもあります。大切なことは、ルーフバルコニーを活用する目的と周囲の環境との兼ね合いを明確にしておくことです。
そして、ルーフバルコニーのある家を安全に維持する為には、特別な防水工事も必要です。その為、屋上のある家に住みたいという希望があれば、施工会社との綿密な打ち合わせが必要です。
HOPEsの建てる快適な家
ホープスは、狭小住宅での快適な暮らしをお手伝いしたいという思いで、すべての住宅の建築に向き合っています。
屋上のある家を建てたい、ルーフバルコニーを設置したいというご希望があれば、有効活用できる方法をご提案します。
悪条件が多かったとしても、敷地の形状や面積に合わせて、利便性が高く、居心地の良い空間を作り出します。
狭いから快適さをあきらめるのではなく、より快適な暮らしを目指して、施主様のご希望に沿った家にしていきます。