狭小住宅をお考えの方へ、制震と免震の違いとは
狭小住宅とは一般に約15坪以下の土地に建てられる住宅のことで、読み方はきょうしょうじゅうたくです。少子高齢化や核家族化で広い戸建が必要とされず、土地が狭い分都心の一等地にも建てられることから需要がのびています。スペースが限られているため中二階や三階建てなど縦に空間をとっていく建物になり、災害時に備えた強靭な耐震性が必要です。
地震対策には耐震と制震と免震の三通りの考え方があり、耐震は強固な壁や柱で揺れない家作りをします。制震は静振などとも呼ばれ、ダンパーなどを設置して地震と一緒に揺れながら揺れ幅を小さくする考え方です。免震は基礎と建物との間にローラーなどを設置して地面と建物を切り離し、地震が起きた時は土台から上の建物部分を移動させて揺れを回避します。
狭い土地の場合は隣家との間も狭いため建物の揺れるスペースを確保したり、揺れ幅に合わせた配管をしなければならないローラーなどは狭小住宅には向いていません。揺れても揺れない免震より、揺れても壊れない制震が狭小住宅には合っています。静振装置は素材が軽く構造が軟らかい建物でなければならないため、元より中二階や三階建てにするため軽い素材で建てられた狭小住宅は相性が良いのです。地震だけでなく強風や台風の影響を受けにくくなるというメリットもあり、リーズナブルで性能が高いという魅力もあります。近年は広い土地に注文住宅を建てる人々からも免震住宅より制震住宅が人気があり、需要の高まりとともに部品の大量生産でコストがおさえられ益々安価になり好評です。
静振構造の住宅は地震の揺れを3割から4割ほど軽減できるため、国や自治体の調査から判断される耐震等級2程度の判定が出ます。耐震等級は1から3まであり、2であれば生涯ほぼ安全に暮らせる家で一階より二階、二階より三階ほど揺れが小さいため縦長の狭小住宅にはメリットの多い耐震整備です。静振設備を設置することで確定申告で住宅耐震改修特別控除の対象になったり、住宅ローン減税の最大控除額が大きくなり耐震等級割引などの助成も受けられます。住宅耐震改修特別控除は住宅特定改修税額控除や認定住宅新築等特別控除と共に三大住宅控除枠とも言われており、災害時の備えだけでなく日々の控除や助成の面でも経済的にお得です。注文住宅には最初から静振構造の設置をすすめる工務店やメーカーも多く、メリットや税金面のことなども相談するとうまく減税や節税ができます。制震だけでは心もとないという場合は、免震設備と併用して更に耐震性を高める工事もおすすめします。