狭小住宅を広く感じさせる工夫について解説します

住まいの広さを感じる鍵は、ただの面積ではありません。
高さと光、そして収納の工夫が、限られた空間に広がりと潤いをもたらします。
天井を高くし、窓を大きくすることで、部屋は明るく開放的に変わります。
また、狭小住宅ならではのインテリアの選び方もあります。
この記事を通じて、狭小住宅を広くするコツや、狭い空間を豊かで快適な住まいへと変えるアイデアを見つけましょう。

□天井を高く、窓を大きく

広さを演出する上で重要なことは、面積と高さです。
面積が大きければ広く見えるのは当然ですが、実は高さも大きく関係してきます。
広く感じるには、いかに視界が開けているかが重要になってきます。
そのため、同じ面積の部屋であっても、天井の高さがほんの数センチメートル高いだけでも違って見えることでしょう。
また、リノベーションによって吹き抜けを作ったお宅を想像してください。
もともとの土地の面積は変わっていませんが、室内で感じられる広さは劇的に改善していることでしょう。
それほどに、高さとは広さを演出する上で重要な要因となっています。
次は、窓に注目してみましょう。
窓の大きさも住宅を広く見せる上で大きな役割を持っています。
その役割とは、光を多く取り込み室内を明るくすること、です。
明るさは室内に入った人が感じとる部屋の広さが変化させ、暗い部屋なら狭く、明るい部屋なら広く感じます。
なので、より多くの光を取り入れることができたほうが、広さを感じさせるためには有効でしょう。
そのため、より多くの光を取り込むためにも、窓のスペースを大きくとることは重要です。
しかし、窓の大きさを決定するときにインテリアや防犯の都合もあるので注意しましょう。

□収納スペースを縦に設ける

通常、収納スペースは広さを必要とする上に、そのスペースは中身を隠した箱状になることが多いので広さを演出する上で大きな課題となります。
また、収納スペースは、暮らしを便利にするためにも一定の大きさが必要なので、なんの工夫もなしに収納を減らすことはできません。
しかし、この問題を解決する方法として、収納スペースを縦向きに確保する方法があります。
この縦向きに確保する方法によって、収納スペースに割く面積が少なくすることが可能です。
具体的には、棚などの収納に割く面積を小さくしその分の内容量を高さでカバーする方法や、ロフトや床下収納を少し高く設定する方法があります。
棚などの収納は、日常生活の様々な場面で活躍するので、その内容量をある程度は確保しておきたいですよね。
しかし、その棚が場面によっては部屋に圧迫感を与え、中の人に部屋を狭く感じさせてしまうことがあります。
この問題を解決するために、そういった収納に割く面積を少なくする代わりに、その減らした分の容量は高さで補うという方法があります。
この方法によって、必要となる収納の大きさは確保でき、かつ必要となる面積を少なく済ますことができるでしょう。
また、ロフトや床下収納を少し高く設定する手法もあります。
ロフトは天井を高くしてその分のスペースを収納として活用するので、場所を取らない上に天井を高くするので、広さを演出する方法として非常に優れています。
さらに、床下収納は基本的に視界に入らないので、広々とした空間を感じさせる手法としては、とても効果的です。

□仕切りをなくし、鏡を設置する

当然ですが、広さに限界がある土地の中で、部屋の数を多くすれば、一部屋当たりの面積は小さくなります。
逆に、この部屋の数を減らしてしまうことで、広々とした空間を演出できます。
つまり、壁などの仕切りをなくし、部屋を細かく区切らない間取りにすることで、中にいる人には狭さを感じにくくさせるという方法があります。
具体的には、キッチンとリビングをつなげることで本来2つの部屋だったものが、同じ機能を備えた1つの大きな部屋となり、面積は変わらずに広々とした空間になるでしょう。
また、この方法は広さを感じ取れるだけでなく、お子さんやペットがいる場合でも視界に入れやすくなるという利点もあります。
それ以外のも鏡を設置するという方法があげられます。
ダンススタジオを思い出して下さい。
ダンススタジオには、あの大きな鏡が設置されていることによって、本来持っている広さを超えた空間を感じ取ることができるでしょう。
さらに、鏡が持つ光を反射する能力は、照明の光を反射して室内をより明るい空間へと変化させます。
このように、鏡を設置することの効果は非常に優れているのです。
しかし、鏡を設置する場合、鏡の場所や形は十分吟味しなくてはいけません。
なぜなら、鏡に多くの物が映り込んでしまうと煩雑な印象を与えてしまうことや、鏡があることにより落ち着かなくなるなど、設置したが逆効果になってしまっては逆効果です。

□狭小住宅のメリット

狭小住宅は都市部の限られたスペースでも快適な生活を実現するための解決策として注目されています。
ここでは、狭小住宅の建築により得られる主なメリットを見ていきましょう。

1:交通アクセスの利便性

都心近くの駅に近い場所では、狭小地が珍しくないため、狭小住宅を建てることで、通勤や外出の際のアクセスが非常に便利になります。
交通の利便性は日常生活において大きな価値を持ち、都市部における生活の質を大きく向上させる要因の1つです。

2:コスト削減

狭小地は一般的な住宅用地に比べて価格が低く、初期投資を抑えられます。
建築にかかる費用も面積が少ない分、削減できるため、資金面での負担を軽減できます。
これにより、家計に余裕が生まれ、他の生活資金に回せるようになります。

3:税金・維持費の削減

狭小住宅はその面積の小ささから、固定資産税や維持費用が少なくなる傾向にあります。
特に、都市部では土地の価値が高いため、小規模な住宅による税金削減は大きなメリットと言えます。
また、修繕費用も小規模であればそれほど高額にならず、長期的なコスト管理に有利です。

4:家事の効率化

狭小住宅では限られた空間を効率良く活用する設計がなされるため、家事の動線が短くなり、日々の家事労働が軽減されます。
掃除や洗濯などの日常的な家事がスムーズに行えるようになり、家事にかかる時間と労力を削減できます。

以上の点から、狭小住宅は都市部での住宅選びにおいて、コスト削減、利便性、維持の容易さといった多方面でのメリットがあります。
特に、資金面での負担を軽減しつつ、日々の生活を便利にしたい方には最適な住まいの形態です。

□狭小住宅を広くするコツ!インテリア選びのポイントをご紹介!

狭小住宅におけるインテリア選びは、限られた空間を効果的に活用し、スタイリッシュで快適な住環境を実現するための重要な要素です。
ここでは、狭小住宅を美しく見せ、同時に機能的に保つためのインテリア選びのポイントを紹介します。

*コンパクトで機能的な家具の選択

1:スペースの活用

狭小住宅では、限られたスペースを最大限に活用することが重要です。
例えば、収納機能を備えた家具や、折りたたみ可能な家具を選ぶことで、空間を無駄なく使えます。
また、壁面収納やロフトスペースの活用も効果的です。

2:デザインと機能のバランス

デザイン面でも注意が必要です。
美しさだけでなく、機能性も兼ね備えた家具を選ぶことが重要です。
コンパクトながらも十分な収納力を持ち、スタイリッシュなデザインの家具を選ぶことで、空間を広く見せる効果も期待できます。

*空間を開放的に見せる工夫

1:色使いと明るさ

狭小住宅では、色使いが空間の印象を大きく左右します。
明るい色合いの壁や家具を選ぶことで、部屋を広く明るく見せる効果があります。
また、鏡を設置することで、光を反射させ、空間を広く感じさせられます。

2:視線の流れを意識

家具の配置は、視線の流れを意識することが大切です。
例えば、家具を壁際に配置し、部屋の中央部を空けることで、部屋全体が広く感じられます。
また、低い家具を選ぶことで、視界が開け、開放感を生み出せます。

*多機能・省スペースアイテムの活用

1:収納兼用家具

ベッド下の引き出しや、ソファーに収納スペースを持つ家具など、1つの家具で複数の機能を持つアイテムを活用すると、スペースを有効に使えます。

2:壁面利用の工夫

壁面は狭小住宅における貴重なスペースです。
壁掛けテレビや壁面収納、フックやシェルフを活用することで、床面を空け、部屋をすっきりと見せられるようになります。

□狭小住宅における注意点

狭小住宅を建てる際には、限られたスペースの中で快適さを追求するための重要なポイントがいくつかあります。
ここでは、狭小住宅の建築における3つの主要な注意点を解説します。

1:生活導線を考えた間取りの工夫

狭小住宅特有の縦長の間取りや高低差を考慮した生活導線の設計が必須です。
台所は動きやすさを考慮してスペースを確保し、効率的な作業ができるように設計します。子供部屋と寝室は2階に配置し、生活空間とプライベート空間を明確に分ける工夫をします。

2:ご近所への配慮と防音対策

狭小住宅では隣家との距離が近くなるため、騒音問題への配慮が不可欠です。
生活音が発生しやすい場所では防音壁や特殊断熱材を使用します。
窓やドアの防音性を高め、外部からの騒音を遮断することが重要です。
また、家具の配置や部屋の用途を考慮し、家族間の騒音を減らす努力も大切です。

3: 安全性を重視した建築設計

狭小住宅が高層になることが多いため、耐震性への注意が必要です。
安全な住居を確保するためには、以下の点が重要です。
地震時の揺れに強い設計を心がけ、耐震性の高い建材を選択します。
建物の重心バランスに注意を払い、不安定にならないよう配慮することが大切です。
また、定期的な建物の点検を実施し、安全性を維持します。

これらのポイントを押さえておけば、狭小住宅でも住みやすく、安全な住空間を実現できます。

□まとめ

部屋の広さは、面積だけでなく天井の高さや窓の大きさ、収納の方法によって大きく変わります。
天井を高くしたり、窓を大きくしたりすることで、空間は明るく開放的な印象に変わります。
また、縦向きの収納やロフト、床下収納などの工夫で、限られたスペースを有効活用できます。
これらのポイントを押さえれば、狭小住宅でも快適でスタイリッシュな住まいを実現できるでしょう。

 

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著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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