パッシブデザインをお考えの方必見!無垢フローリングのメリットとデメリットを紹介します

自然を上手く活用して設計するパッシブデザインをお考えの方はいらっしゃいませんか。
夏の暑さや冬の寒さも緩和される快適な住まいでのびのびと暮らす生活は素敵ですよね。
そこでこの記事では、パッシブデザインの1つである無垢フローリングのメリットとデメリットを見た上で、無効フローリングを選ぶ際のポイントを紹介します。

□パッシブデザイン検討中の方にお勧めの無垢フローリングとは?

パッシブデザインでは、太陽の光や熱、風などの自然のエネルギーを活用することで、1年中快適な家を目指します。
具体的にパッシブデザインが施す機能は主に5つです。
それは、断熱、日射遮蔽、通風、昼光の利用、日射熱の利用です。

これによってエアコンや床暖房といった空調設備の使用を抑えられる、寒暖や部屋の暗さによるストレスがなくなる、といった様々な魅力があると言えるでしょう。

そして、無垢フローリングも自然エネルギーを活用するものです。
無垢フローリングの素材は無垢材です。
無垢材とは、丸太から切り出した一枚板を加工した自然の状態の素材です。
他方、複合フローリングは薄い木版を接着剤で張り合わせたものや木目のプリントシートによってできたものであるため、人工的と言えるでしょう。

□無垢フローリングのメリットを紹介

無垢材にどんなイメージをお持ちでしょうか。
実は無垢フローリングにはたくさんのメリットがあります。
無垢フローリングを住まいに採用するメリットを4つご紹介します。

1つ目は、何と言っても木の本来の良さが味わえることです。
木そのものが持つ重厚感は空間に落ち着きを与えてくれるでしょう。
さらに、無垢材は一つとして同じものがありません。
唯一無二の木目や節の大きさ、色合いなど豊かな個性が楽しめるでしょう。

2つ目は、高い機能性です。
無垢材の持つ調湿性によって、部屋の湿度が一定に保たれます。
そのため、蒸し暑い夏場には無垢材が部屋の水分を吸収し、湿度を下げることに貢献します。一方、部屋が乾燥しがちな冬場には無垢材が水分を放出し、湿度を上げてくれるでしょう。

さらに、無垢材は保温性や断熱性にも優れています。
これは、無垢材が空気を多く含んでいるためです。
そのため、冬でも冷気によって床が冷たくなってしまうことが少なく、快適に過ごせるでしょう。

3つ目は、素材の経年変化を楽しめることです。
無垢材は丈夫で長持ちする素材で、年数を経るごとに違った表情を見せてくれます。
例えば、初めの頃は新鮮な木の香りや木目を、その後は年々変化する素材の色やツヤを楽しめるでしょう。
家族の歴史と共に、移り変わっていくフローリングにはきっと他にはない愛着が湧くのではないでしょうか。

4つ目は、木そのものの香りが楽しめることです。
樹木が発するフィトンチッドと呼ばれる成分は、そのリラックス効果からアロマテラピーの原材料として利用されるほどです。
そのため、家の中でも森林浴をした時のような落ち着いた気持ちになれるでしょう。
さらに、この成分は消臭や脱臭の効果もあるため、人工的な消臭剤を置く必要がなくなるかもしれません。

□無垢フローリングのデメリットとは?

家の中で自然そのものの良さを感じられるなど、メリットがたくさんある無垢フローリングですが、デメリットもあります。
そこで、無垢フローリングの欠点を4つご紹介しましょう。

1つ目は、反りや割れの可能性があるということです。
水分の吸収や放出を行う調湿作用の際に、無垢材が膨張と収縮を繰り返すことになります。
そのため、フローリングに隙間や反りが発生してしまうということも考えられます。
しかし、このような事態を事前に回避する方法もいくつかあるでしょう。

例えば、特殊な加熱処理がされたものを選ぶ、あらかじめ含まれる水分の少ない無垢材を選ぶ、実際に使用する部屋にしばらく置くことでその環境に順応させるといった方法があります。

2つ目は、床鳴りの可能性があることです。
フローリング材と下地材の接着が甘い、下地材と基礎の固定が甘いなどの原因が考えられます。
しかし、少しずつ床鳴りがなくなっていくケースもあるので、軽度であれば様子を見ながら待ってみても良いでしょう。

3つ目は、導入コストが比較的高いということです。
しかし、無垢材は耐久性があるため長い目で見れば、決して無駄であることはありません。
さらに、無垢材と一口に言っても価格は様々であるため、ご自身の好みに最も合ったものを選ぶと良いでしょう。

4つ目は、場合によってはメンテナンスの必要があるということです。
経年変化する無垢材は塗装や素材に合わせてお手入れをすることが大切です。
しかし、複合フローリングに使われる合板の補修が困難であることを考えると、傷の修復などのお手入れができることは無垢フローリングの強みであるとも言えます。

□無垢フローリングを選ぶ際のポイント

無垢フローリングは、その自然な風合いや温もりが魅力のインテリア素材です。
家の雰囲気を大きく左右するため、選び方にはいくつかの重要なポイントがあります。
以下に、無垢フローリングを選ぶ際の主要なポイントを紹介します。

1:風合いや肌触りを確かめて樹種を選ぶ

無垢フローリングを選ぶ際の最も重要な点は、樹種による風合いや肌触りです。
樹種によって、硬さや色み、肌触りが異なるため、実際に触れて確かめることが重要です。特に、床暖房を使用する場合は、床暖房に適した材質を選ぶ必要があります。
ショールームを訪れ、実際に目で見て、手で触って、自分の好みに合った樹種を見つけましょう。

2:建具や家具などと色みを合わせて、空間をトータルコーディネート

フローリングは部屋の印象を決定づける要素です。
したがって、建具や家具との色の調和を考え、空間全体のバランスを考慮することが大切です。
また、異なる空間で樹種を変えることで、部屋ごとに異なる雰囲気を作り出せます。
高価な樹種を選ぶ場合は、リビングや玄関など特定のスペースだけに使用することで、コストを抑えつつ高級感を演出できます。

3:環境への配慮がされている木材を選ぶ

環境への配慮は、現代の住宅選びでは欠かせない要素です。
無垢材も同様に、違法伐採されたものではなく、合法的に伐採され、環境への影響が最小限に抑えられた木材を選ぶことが重要です。
「脱炭素社会」への貢献も念頭に置き、計画的な植林や木材の循環システムが整っているものを選ぶことで、環境に配慮した選択が可能になります。

以上のポイントを踏まえることで、無垢フローリング選びはより豊かな住空間を創造する重要なステップとなります。
自分のライフスタイルや好み、そして環境への配慮を考慮しながら、最適な無垢フローリングを選びましょう。

□無垢フローリングにかかる費用

無垢フローリングにかかる費用は、その美しさと耐久性のバランスを考えると、投資の価値があるものです。
ここでは、無垢フローリングのコストを探ってみましょう。

1:樹種による価格の違い

無垢フローリングの価格は、使用される樹種によって大きく異なります。
一般的には1平方メートルあたり約1万〜4万円の範囲で変動します。
例えば、国産の樹種である桧や杉は比較的手頃な価格で手に入りますが、オークやウォールナットなどの外国産樹種は高価な傾向にあります。

2:無垢材の厚みと加工

無垢フローリングの価格には、材の厚みや加工方法も影響を与えます。
厚みが増すごとに材料費は上がり、また特殊な加工が施されている場合(例えば、手削りの加工や特別な仕上げ)も価格を押し上げる要因となります。

3:設置工事のコスト

無垢フローリングの設置には、専門的な技術が要求されるため、設置工事の費用も見積もりに含める必要があります。
部屋の広さや複雑さ、床の状態によっても変わるため、一概には言えませんが、設置にはそれなりのコストがかかることを把握しておきましょう。

このように、無垢フローリングへの投資は、その美観と耐久性を考慮すると、長期的に見て価値があります。

しかし、樹種の選択、材料の厚み、加工方法、設置工事の費用など、多くの要素が最終的な価格に影響を及ぼすため、事前に把握しておきましょう。

□無垢フローリングを取り入れた間取りの実例

ここでは、実際の間取りについて見ていきましょう。

1:ペットに優しい自然素材の活用

動物の体に優しい自然素材の利用は、ペットを飼う家庭にとって重要な要素です。
無垢材のフローリングは、ペットの足にもやさしく、快適な生活空間を提供します。
さらに、自然素材の温もりは、家全体に穏やかな雰囲気をもたらし、ペットとの共生に最適な環境を創り出します。

2:無垢材を使った和室のデザイン

リビングに隣接する和室の例では、無垢材を活かしたデザインが特徴です。
可動式の棚や押入れ、床の間が設置されており、小上がりのスタイルが和の雰囲気を一層高めています。

3:明るく快適なLDKの実現

無垢材のフローリングは、LDK(リビング・ダイニング・キッチン)を明るく爽やかな空間に変えられます。
断熱性に優れ、温かみのある素材は、家族が心地よく過ごす場所を作り出します。
特に、子供たちが裸足で遊ぶ様子は、無垢フローリングならではの快適さを物語っています。

4:自然素材で健康に配慮した家作り

アトピーやアレルギーを持つ家族がいる場合、健康に配慮した家作りが求められます。
無垢材の床や漆喰の壁は、健康に配慮した住宅設計において重要な役割を果たします。
ウイルス不活性化といった工夫を施すことで、安心して暮らせる住環境を提供できます。

5:無垢材を活かしたリビングのデザイン

無垢材のフローリングを活用することで、リビング空間はより心地よく、温かみのある場所へと変わります。
また、間接照明と組み合わせることで、落ち着いた雰囲気を演出し、日々の生活にリラックス感をもたらします。

□まとめ

今回は、パッシブデザインを取り入れたい方々にとっての無垢フローリングの重要性について紹介しました。
自然の恩恵、独特の風合いや調湿性、健康への配慮など、無垢フローリングには多くのメリットがあります。

しかし、反りや割れのリスク、メンテナンスの必要性も理解し、適切な選択をする必要があります。
自然素材の魅力を最大限に活かし、快適な住まいを実現しましょう。

 

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著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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