清野廣道の建もの探訪@中銀カプセルタワービル
たまには、ちょっと変わった建築物の話をご紹介させていただこうと思います。
タイトル名は、ちょっと某番組名をマネさせていただきました・・悪しからずよろしくお願いいたします。
先日、銀座にあります中銀カプセルタワービルの見学に行ってきました。
こちら、1972年に黒川紀章さん設計のメタボリズム建築の代表作です。
都心に暮らすビジネスマンのセカンドハウスをコンセプトでして、
分譲住宅として販売されたとのこと。
わずか10㎡のワクワク空間、中を拝見できるツアーがあるとのことで、
参加させていただきました。
実際にここに暮らしていらっしゃる方々がおりますので、勝手には見学できないようです。
マンションの入口ですが、
・・ん?「かふせる?たわーひる?」
濁点とか、半濁点は、取れてしまってますが、そのままわざと放置しているとのこと(笑)
自然に任せていい味を出していますね。
移動中にもこちらの建物の保存活動をされている方より諸々の説明をいただきました。
竣工から47年経ちますから、あちこち不調があるようで・・
実際は25年経った際にカプセル交換の予定だったようですが、
費用面等で頓挫しているとのことです。
全室お湯が出ないとか、玄関上あたり(カプセルのつなぎ目部分あたり)から、雨漏りする部屋も多々あるとか・・
建物共用部分のデザインも徹底したものがあり、47年前は斬新だっただろうなあ・・と思わずにはいられません。
キョロキョロしているうちに、見学用の部屋へ案内されました。
おお・・!狭い!カッコいい!可愛い!
が、第一印象です。
当時のままのセットとのこと。
液晶テレビ、カセットデッキ、ラジオ、固定電話などが備え付けられています。
「今はこれら全てスマホ1つで済んでしまいましたもんね。」と仰っていましたが、
確かに技術の進歩はすごいものですね。
収納も効率よく設計されていて、こちらは、黒川さんのスタッフで、ヨット好きの方がいらしたそうで、デッキをイメージしたアイデアのものだそうです。
実際、お住まいの皆様は、小さな空間をリノベーションして、
趣味の空間や、居心地の良い秘密基地のようにして使用されているようです。
素敵ですね。
最後に、当時の物件販売パンフレットを復刻されたとのことで購入しました。
時代を感じる貴重な資料です。
抜粋ですが、サービスの内容です・・
「ビジネスエリートのあなたに効果あるサービスを提供します。会議資料の作成や、本日の打合せのまとめの為のゼロックス、コピー等複写のサービス、タイプライターや小型計算機の貸し出しサービス等・・」
・・すごいですね!秘書的なサービスも受けられたとのこと。またベッドメイキング等のホテルのようなサービスも受けられたとのこと。
ハイクラスの方々のセカンドハウスだったようですね。
いずれにしても、今となっては諸々、傷んだところの多い建物ですが、未だにひっきりなしに入居の問い合わせがある建物とのことで、
こちらに入居される方々は、建物のデザイン性に惹かれた方々ばかり。
小さな小さな空間に、自身の好きなように暮らす幸せそうな方々、
またその建物の全体のシルエットに惹かれてたくさんのファンが集まり、
この建物を愛する方々で埋まった住まい、なんだかとても温かな気持ちに包まれた建物でした。
素敵な暮らしとは、「幸せだなあ~」といつも感じて暮らせることなのだなあ、と強く思う毎日です。
いつまでも愛される、そんな住まいをご提供できるように、日々、精進していきたいと思います。