エレクトリックギターとは?
先日はアコースティックギターのメーカーについての記事をお届けしました。アコースティックギターは一本もっていればどこでも楽しめますが、エレクトリックギター通称「エレキギター」は違いアンプに「シールド」と呼ばれるコードで繋がなければ音は鳴りません。今回はエレクトリックギターがどのような歴史を経て発展してきたかと、海外製のメーカーの種類を使用アーティストを含めてご紹介します。
エレクトリックギターの歴史
古い歴史を経てエレキギターは進化をしてきました。
弦楽器の振動を電気的に増幅する実験は20世紀初頭までさかのぼります。原型となったのは1910年代、ヴァイオリンとバンジョーの内部に電話の受信機を取り付け音を増幅させる特許が出ました。1920年代にはカーボンマイクロフォンを弦楽器の駒に取り付け、音を増幅させる実験が行われました。1920年代から1930年代初頭に掛けて数多くの人が電気楽器の実験・制作を行っており最初のエレキギターの発明者であるという様々な主張がなされています。
このように諸説様々あるエレキギターですが本記事では最初期のエレキギターをリッケンバッカ-社が発明した「フライングパン」とします。
リッケンバッカー社「フライングパン」
さて世の中にエレキギターのメーカーは数多くありますが、どういったメーカーが主にあるのでしょうか。海外の主要メーカーを以下に列挙しモデルを比較してみました。
フェンダー
レオ・フェンダーが1946年に創業したギターメーカーです。母国アメリカ以外にもフェンダージャパン、フェンダーメキシコなどのメーカーが傘下にあります。楽器に詳しい方はご存じかと思いますが、フェンダーと同じ形のギターでスクワイアというものがありますがこれはフェンダー社のギターの廉価版を指します。
テレキャスター
世界初のソリッドボディ(中身が中空のホロウタイプではなく埋まっている形)のギターです。
ストラトキャスター
おそらく最も多くの方が“エレキギター”と聞いて思い浮かぶ形ではないでしょうか。基本構造はテレキャスターを発展させたものです。
ムスタング
1964年に発売開始されたエレキギターです。1982年にアメリカでの生産は終了しましたが1986年からフェンダー・ジャパン社でも生産を開始して現在も販売されています。米国のパンクバンド・ニルヴァーナが使用したことで幅広く認知されるようになりました。
ジャズマスター
ストラトキャスターやテレキャスターをジャズで使用するアーティストがいなかった為、ジャズに対応出来るギターの開発に着手したレオ・フェンダーが生み出したギターです。
古くはザ・ヤードバーズのクリス・ドレヤ、最近ではレディオヘッドのボーカル、トムヨークが使用しています。
ジャガー
フェンダー社の最高機種として発売されました。見た目で分かる通りジャズマスターと兄弟機種ですがボディシェイプなど細部が異なっています。ザ・ビーチボーイズのカール・ウィルソンなどサーフミュージックシーンで愛されました。日本では寺内邦彦さんが有名です。
ギブソン
アコースティック・ギターの他にもエレキギター、マンドリン、バンジョー、アンプ、弦、ストラップ、ピックなどを製造販売している業界において世界一有名な会社の一つです。
ビートルズのジョンレノンが使っていたエピフォンはギブソンの廉価版メーカーで傘下に数えられます。
レスポール
レスポールはギタリスト・故レスポール氏の名前を取ったギターです。フェンダーのストラトキャスターと並んでギターといえば思い浮かべる方は多数いるかと思います。レスポールはギブソン社初のソリッドギターでレスポールとの共同開発とされ、様々なモデルが存在します。
SG
SGは1961年にギブソンがニューモデルとして発売したエレキギターです。AC/DCのアンガスヤングがデビュー当時から使用していて幅広く知られています。ギブソンのエレキギターはピックアップ(弦の振動を拾うマイク)がすべてのモデルでハムバッカーというどちらかといえば「太い音」が出るタイプのギターを製造しています。その為ハードロックやヘヴィメタルで愛用されます。
ファイヤーバード
1963年に発売されたエレキギターです。カーデザイナーによってデザインされた個性的なフォルムが特徴です。B’zの松本孝弘さんが使用していることで日本でも知られています。本国アメリカではエアロスミスのジョーペーリーが使用していることで知られています。
フライングV
変形ギターの先駆け的存在で1958年に発売が開始されるもその奇抜なデザインが受け入れられず翌年には一旦生産が中止されます。しかし1960年代に入るとアルバートキング、ジミヘンドリックス、キースリチャーズなどのロックのレジェンド的存在が使用を始め世に出回るようになりました。日本ではL’Arc-en-CielのKenさんが使用していることで知られています
リッケンバッカ-
前述した通り世界で初めてのギターを生み出したアメリカのメーカーです。1931年ロサンゼルスにおいて設立されました。1934年にはエレクトロ・ストリング・インストゥルメンタル社として社名を変更しました。ビートルズのジョンレノンとジョージハリスンが使用したことで世の中に知れ渡る事となりました。
300シリーズ
セミアコースティック(ソリッドとアコースティックの中間)のギターシリーズで全体的に角張っているものと角が取れて丸くなっているものがあります。
400シリーズ
キャロル解散前のジョニー大倉が使用していたモデルですが国内にはあまり出回っていません。
600シリーズ
300シリーズがセミアコースティックなのにたいして600はソリッドギターです。波状のカッタウェイが特徴です。椎名林檎さんの代表曲「丸の内サディスティック」の歌詞に登場したことで有名なモデルです。
Cシリーズ
初期に製造されたモデルの復刻版です。325はジョンレノンが使っていたモデルです。
グレッチ
アメリカの老舗楽器メーカーでエレキギターと、ベース、ドラムなどで知られています。現在販売されているグレッチのギターはほとんど東アジアで生産されていますが一部アメリカ製のカスタムショップモデルもあります。
ホワイトファルコン
世界一美しいギターとも称されます。美しい純白のルックスで人々を魅了してきました。グレッチの中でも最も高価で最上位機種のギターです。「ギターのキャデラック」とも称されます。レッドホットチリペッパーズのジョンフルシアンテが使用していることで知られています。ミュージシャンではありませんが漫才師フットボールアワーの後藤さんが愛用していることでも知られており、バラエティ番組でも取り上げられました。
テネシーローズ
テネシーローズは始めは「テネシアン」という名前で1959年にホワイトファルコンの廉価版として開発されました。廉価版といえど愛用者が多い人気の高いモデルです。
1959年当時、グレッチの基本構造はそのままに装備や装飾を少なくしてコストダウンをはかっていましたが1962年にカントリージェントルマンがモデルチェンジしてそれまでのカントリージェントルマンを継承する形で現在の姿にモデルチェンジしました。そこからはマイナーチェンジを経て現在の姿に落ち着きました。
1979年にはテネシアンの名前の由来となった故チェット・アトキンス氏(”テネシアン”の名前は同氏の楽曲名が由来)が亡くなった為”テネシアン”の名が使えなくなりました。その代わりにつけられた名前が「テネシーローズ」です。2007年には遺族と再契約して名称は使えるようになりましたがテネシアンの名前はそのまま使われています。世界的にはビートルズのジョージ・ハリスンが使用していたことで有名で、日本では元Blanky Jet Cityの「ベンジー」こと浅井健一さんが使用していることで知られています。
デュオジェット
デュオジェットはグレッチ初のソリッドボディとして発表されました。外観で分かるとおりデュオジェットはレスポールに近いルックスをもったソリッドボディのギターで、フェンダーが開拓したソリッドギター市場に参入して成功しました。これもまたジョージハリスンが使用していたことで有名です。
カントリージェントルマン
カントリージェントルマンはテネシアンと並ぶ故チェット・アトキンス氏との共同開発によるグレッチの代表機種です。カントリージェントルマンは17インチの幅のあるボディが特徴でこのサイズゆえに深みのあるサウンドが得られますが、大きすぎる為エレキギターではフィードバック(マイクでいうハウリング)という現象が起こり易いです。その為ボディトップのFホールを空けず代わりにそれをあしらったペイントを施しました。これもジョージハリスンが使用していたことで有名です。
まとめ
以上、いかがでしたでしょうか。ここに紹介した例はほんの一例で日本のメーカーを含めギターメーカーは膨大にあり、種類も多数あります。音色もそれぞれの種類で違いますのでバンドマンでギターを購入したいとお考えの方は自分の嗜好に合わせたギターをチョイスする事をお勧めします。またこの記事に挙げた海外製のものは値段が10万円を超えることがほとんどですが、廉価版を発売しているメーカーを傘下に持っていることが多いので、まず廉価版を買ってみて、気に入ったら本格的に探されるという方法が推奨されます。