車を駐車するスペースは、敷地内にガレージやカーポート、ゲートなどを設置する方法と、家の中にガレージを組み込む方法があります。

敷地の広さや、道路との位置関係、周辺の環境によって、使いやすい駐車スペースのスタイルは変わります。特に、住宅の密集地では、家族の所有する車だけではなく、来客の車の駐車スペースも考えておかないと、近隣トラブルに繋がってしまうこともあります。

家族の暮らし方、所有する車の台数、車を使う頻度と時間帯、車で訪れる来客の頻度を踏まえた上で、駐車スペースのスタイルを考えていく必要があります。

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ガレージのある家の暮らし

通勤や子供の送り迎えなど、毎日、車を使っている家族にとって、自宅の敷地内の駐車スペースは、どうしても欲しい場所です。

敷地内に駐車スペースを作れなければ、近隣で、月極め駐車場を借りなくてはなりません。東京では、区によって幅はありますが、平均的な料金の相場は、2万7千円~といったところです。もし、敷地内に駐車スペースが作れれば、この出費が抑えられます。

また、駐車場を借りている場合には、車を取りに行く→車で出かける→車を置きに行く→帰宅するという面倒さがあります。

高齢者の病院や、子供の習い事の送り迎えを、日常的にしている場合には、車を取りに行く→自宅から高齢の家族、又は子供をピックアップする→車で送る→車を置きに行く→帰宅する→車を取りに行く→病院や習い事先から高齢の家族、又子供をピックアップする→帰宅して子供を下ろす→車を置きに行く→帰宅するという手順を踏まなくてはなりません。

買い物の荷物が多ければ、いったん帰宅して、荷物を下ろしてから、車を置きに行かなくてはなりません。天候の悪い日には、さらに大変な労力になってしまうでしょう。このような車の使い方をしている家族にとって、敷地内の駐車スペースは必要不可欠です。

反対に、車は所有しているが、月に数回しか使わない家族にとっては、無理をしてまで、敷地内に駐車スペースを作る必要はないかもしれません。敷地に余裕がある、愛車を月極め駐車場には置きたくないという場合は、駐車スペースが必要だと思います。ただし、敷地の面積が狭い場合、住宅に使う面積を狭めてまで、駐車スペースを作ると、暮らしやすい家が作れなくなる恐れがあるからです。

特に狭小敷地で敷地内に駐車スペースを作れない、しかし、敷地内に駐車スペースがないと、日常生活に支障が出るという場合には、ビルトインガレージが向いています。平均的な敷地面積はあるが、庭を広く使いたい、車を降りてから家の内部までのアクセスを最短にしたいという希望を叶えることもできます。

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住宅の広さに合わせたビルトインガレージ 木造住宅でも可能?

ビルトインガレージは、住宅の広さによって、造り方が変わります。建築事例をもとに、違いを見てみましょう。

狭小でも2台駐車の家

間口が狭い狭小地に車を2台駐車できる家です。

住宅の床面積を確保する為、3階建てにし、1,5階分のピロティに立体駐車場が設置されています。縦に車を駐車することによって、1階に居室を作る空間ができました。

床面積を効率よく使う為、階段下のスペースにキッチンが設置されています。

明るいキッチンにする為、光と風の通り抜けるスケルトン階段が採用されています。

趣味の空間に住む、ガレージをいつでも感じる家

愛車の為に建てられた住宅です。車をいじったり、絵を描いたりする趣味の空間の中に、住んでいたいという思いが形になりました。

1階には車を置くガレージ、2階3階が居住スペースです。

どちらのケースも、木造住宅です。木造住宅ですが、在来工法で建てられた家ではありません。重量木骨 SE構法で建てられた家です。

狭小でも2台駐車の家の場合、住宅の1面はすべてビルトインガレージの出入り口になっているので、壁がありません。

趣味の空間に住む、ガレージをいつでも感じる家の場合、リビングからも愛車を見られるように、縦の空間が繋がっている為、その部分は床がありません。リビングには、外の景観を楽しめるよう、天井までの大開口が設けられています。

どちらも、従来の木造建築では、十分な耐震性が確保できない設計です。木造住宅でありながら、ラーメン構造で骨組みを作るSE構法だからこそ、実現できた設計です。SE構法の家には、高い耐震性を維持しながら、少ない量の耐力壁で、大空間を支えられるという強みがあり、縦にも横にも空間を繋げられるので、間取りの自由度は無限です。

SE構法は、狭小でも2台駐車の家のように、間口いっぱいのビルトインガレージのある家にも、趣味の空間に住む、ガレージをいつでも感じる家のように、大空間と大開口を持つ家にも、十分な耐震性を持たせることができます。

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狭小住宅でビルトインガレージを作る場合の間取りと注意点

ビルトインガレージは、愛車を雨風や紫外線から守ります。雨の日でも濡れずに車の乗り降りができます。さらに駐車場代も節約できますが、問題点もあります。

土地の形状や道路との位置関係など、条件によっては、1階部分が使えなくなる恐れがあることです。狭小住宅の場合、最も優先しなくてはならないことは、居住面積の確保です。家族全員が居心地よく暮らせるだけの居住面積を確保しつつ、ビルトインガレージを作れる間取りにしなくてはなりません。

排気ガスの臭いや音も問題です。ガレージ内に臭いがこもるだけではなく、間取りによっては、居室にも臭いが流れ込んできてしまいます。排気ガスの臭いが充満しないよう、換気扇や窓を取り付けなくてはなりません。

音には、エンジン音とシャッターの開閉音があります。生活の時間帯にずれがある家族では、車で遅く帰宅した時のエンジン音が、他の家族の睡眠を妨げる恐れがあります。家族の暮らし方に合わせ、車のエンジン音が、家族の迷惑にならない間取りにすることが大切です。また、早朝や深夜に車を出すことが多い場合には、シャッターを開閉する音が、近隣に迷惑をかける恐れがあります。シャッター以外の開閉方法を採り入れる、静穏設計のシャッターを選ぶなどの方法で、近隣への音の迷惑を回避できます。

狭小ガレージの家

グレーチングの引き戸が採用されているインナーガレージです。東京都内の密集した住宅地ですが、開閉による騒音の問題は起こっていません。

 

夜間はグレーチングからの暖かい灯りが外観を演出します。

ビルトインガレージは、住宅の一部なので、車の出し入れ時にぶつけてしまうと、車も家も傷ついてしまいます。特に、密集した地域にある狭小住宅の場合、道路の状況や、道路との位置関係が重要です。交通量が多い道路、坂道になっている道路、見通しの悪い道路、幅の狭いからの車庫入れは難しいです。その為、ビルトインガレージのある家を建てる場合、土地探しの時点で、自宅の車のサイズ、周辺の環境、道路との関係を考慮に入れておく必要があります。

フルビルトインガレージのある猫たちと暮らすモノトーンな家

フルビルトインガレージを持つ3階建ての住宅です。狭小住宅ですが、車を出し入れしやすい道路との位置関係です。

ビルトインガレージは、狭小敷地に建つ家にとって、条件を満たせば、使い勝手の良い駐車スペースにできます。安全で家族に役立つガレージを完成させるためには、耐震性の高い住宅にすることと、土地探しの時点から、計画的にビルトインガレージのある家の家づくりプランを進めることが大切です。

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ホープスの狭小住宅への思い

 

ホープスは、狭小住宅での快適な暮らしを実現させたいという思いで、すべての住宅の建築に向き合っています。根本にあるのは、狭小住宅での快適さとは、無駄を省いたシンプルな暮らしにあるのではないかという考え方です。

敷地の形、道路や周辺の環境に合わせて、日当たりと風通しの良い家、プライバシーを確保できる家、高いインテリア性と優れた住宅性能を持つ暮らしやすい家、安心して暮らせる防犯性の高い家をご提案します。

狭いから快適さをあきらめるのではなく、より快適な暮らしを目指して、施主様のご希望に沿った家にしていきます。

狭小住宅としての参考になる建築実例がたくさんございます。ぜひご覧ください。

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著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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