リビングは、多くの家族にとって、くつろぎの場であり、家族のコミュニケーションを楽しむ場でもあります。家族の誰もが、帰宅すると、リビングでほっとした気分を味わうのではないでしょうか?

子供が小さいうちは、ほとんどの時間を母親とともにリビングで過ごすでしょう。小学校に上がり、中学生になっても、リビングで遊んだり、宿題をしたりする子供達も、少なくありません。

そのような家族のくつろぎの場であると同時に、リビングは、お客様をお迎えする場でもあります。夫婦だけの暮らしであれば、狭小住宅の限られた条件の中で、リビングと別に客間を作る、又は独立型のキッチンを作るというような間取りにもできます。

しかし、子供のいる家族では、子供の人数に合わせた子供部屋が必要なので、リビングは、ダイニング、キッチンと繋げる間取りが多くなります。そのような場合、リビングを家族にも、お客様にも心地よい空間にする為には、どのような工夫が必要なのでしょうか?

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リビングのキッチンとの位置関係

キッチンとリビングが繋がっていて、お客様をリビングでもてなす場合、気になるのはキッチンの見え方です。

見えてしまうのではなく、敢えて見せるキッチンにする

生活を感じさせないアイランドキッチンと引き戸収納が組み合わされたリビングダイニング

キッチン背面の収納を引き戸にする アイランドキッチンの後ろ側に収納スペースには引き戸がついているので、リビングから生活感のある部分が見えません。

見せる壁面収納のあるリビングダイニング

見せる収納にする 壁面収納を利用して、調理器具や食器をインテリアに溶け込ませたリビングダイニングです。

見せるキッチンにした場合には、ダイニングとリビングを共用する使い方ができます。ダイニングセット、又はとして使えるソファと、ソファと高さの合うダイニングテーブルのセットだけにするのです。

ダイニングテーブルとチェア、ソファとサイドテーブルというように、2組のセットを置くより、広々とリビングダイニングを使えます。

キッチンとリビングの間に、ゆるい区切りをつける間取りにする

キッチンとダイニングの生活感をリビングから見えないようにしたいという場合には、間仕切壁ではなく、スケルトン階段やスキップフロアで、緩い区切りをつける間取りも考えられます。間口が狭く奥行きの長い敷地に建つ狭小住宅の場合、フロアごとの床の形状も、細い長方形です。その場合には、この間取りが効果的です。

キッチンのすべてが視界に入らないようになることに加えて、縦方向にも、横方向にも空間が広がるので、開放的な雰囲気のリビングにできます。

スケルトン階段で緩く区切られたリビング

キッチンとリビングの間をスケルトン階段で緩く区切る スケルトン階段の奥がダイニング、手前がリビングです。リビングからキッチンの細かい部分には視線が届きませんが、リビングからキッチンまで視線が抜けるので圧迫感がありません。

スキップで緩く区切られたリビング

キッチンとリビングの間をスキップフロアで緩く区切る スキップフロアと造作家具を組み合わせたリビングです。空間は繋がっているのに、リビングとして独立した雰囲気になっています。

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リビングの空間を広げる間取り

狭小住宅の場合、ワンフロアを全てリビングダイニングにする間取りが多いです。例えば、ワンフロアごとの床面積が8坪の家であれば、およそ15畳、26㎡です。リビングとして使える部分は、実質8畳、14㎡程度になるでしょう。間口が狭い分、壁による圧迫感が生まれてしまいます。

圧迫感をなくすためには、窓、吹き抜け、スキップフロアを取り入れた間取りが役立ちます。ただし、狭小住宅の場合、周囲に住宅やマンションが、密接している為、別荘によくあるような、壁面いっぱいの大開口は向いていません。プライバシーが確保できなくなってしまうからです。

立地条件が良かった幸運な狭小住宅のリビング 窓からの緑がきれいです。

その為、天窓や、ハイサイドライトなど、光を十分に取り入れつつ、外部からの視線が防ぐ窓が取り入れられます。これらの窓と相性が良く、さらに壁の圧迫感をなくして、開放的な空間を作れる間取りが吹き抜けのあるリビングです。空間が縦に拡がるので、広々としたリビングを演出できます。キッチンとの間の緩い区切りをつけられるスケルトン階段と組み合わる間取りにもできます。

1階の2階、2階と3階の間に、中2階、中3階を作るスキップフロアは、視線が遠くまで届き、上の階の窓からの光が、下の階の奥まで届きます。その為、明るく、視線の抜けるリビングが実現します。

吹き抜けとスキップフロアでは、同じ広々とした空間であっても、異なる雰囲気があります。敷地の形、家の形状、周辺の環境に合わせることは基本ですが、どちらが好みの雰囲気を演出できるかということも、間取りを決める時の大切な要素です。

そして吹き抜けとスキップフロアには、注意しなくてはならない点があります。吹き抜けや、スキップフロアのある間取りは、断熱性が低下するということです。

間仕切壁や、床が減るので、空間が繋がる分、冷暖房の効率が低下してしまうからです。冬になると足元が冷える、夏は窓からの直射熱が強いというような状況になってしまいます。そのような状況を避ける為には、住宅の断熱性能と気密性を高めておく必要があります。屋根、壁、床、窓の断熱性と気密性が優れていれば、吹き抜けやスキップフロアのある間取りの家でも、快適な室内環境が調います。

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もう一つの空間を広げる工夫として、ベランダやバルコニーと繋げるという間取りがあります。この場合、密集した地域に建つ狭小住宅では、ベランダやバルコニーの目隠しルーバーが必要です。ベランダやバルコニーに目隠しルーバーがついていれば、隣家や道路との距離が近くても、リビングに掃き出し窓が設置できます。掃き出し窓のあるリビングは、ベランダやバルコニーと一体化して、広々とした空間を持つリビングです。そしてこの目隠しは、住宅の外観デザインのアクセントにもなり、一石二鳥です。

家の外観デザインと調和する木のルーバーが設置されたプライベート感のあるバルコニー

リビングと一体化したバルコニー

収納の工夫

リビングは家族が集まる場所です。その為、帰宅した家族の上着やバッグ、子供のおもちゃなどの物が溢れやすい場所とも言えます。

家族がくつろぐ為にも、いつでもお客様がお迎えできるようにする為にも、散らからないリビングにしておかなくてはなりません。

その為には、収納の工夫が必要です。玄関に大型収納を作らない予定であれば、リビング内に大型のファミリークローゼットを作っておくと、散らからないリビングにできます。

クローゼットの内部は、上着やコートをかけられるパイプハンガー、子供が収納しやすい位置にあるおもちゃ用の棚、次の朝出かける時に必要な書類や、帰宅した時にリビングに持ち込みたくない荷物を仮置きできる棚など、リビング内に溢れそうな物を、効率よく収納できるようにしておくことが大切です。

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造作家具の工夫

狭小住宅のリビングの床面積を無駄なく使い、内装の雰囲気に調和させる家具を見つけるのは、なかなか大変です。

特に変形敷地に建つ狭小住宅で、家の形状も正方形や長方形ではないケースでは、造作家具で、デッドスペースを減らせます。

家の形状が、正方形や長方形であっても、家具のサイズによっては、思うような場所に設置できないこともあるでしょう。サイズが少し足りなくて、無駄な隙間ができてしまうこともあれば、サイズが大きすぎて置けないというようなことがおこることもあります。ピッタリのサイズで、内装の質感や色に調和する家具にする為には、造作家具が便利です。

家具の高さと、室内の広さの調和がとれていれば、視覚的にもより広く感じられます。

スキップフロアの段差を活かしたダイニングテーブル

造り付けのダイニングテーブルには、スキップフロアの段差が椅子になります。

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色の工夫

天井、床、壁の色の組み合わせで、リビングを広々と見せられます。

また、色のアクセントのつけ方で、洗練された雰囲気、明るい雰囲気など、好みに合わせた雰囲気を作りだせます。

アイランドキッチン、柄のついたキッチンパネル、茶室が組み合わされた奥行きのあるリビング

アイランドキッチンと和室の組み合わせをキッチンパネルが引き立てています。

リビングと共用するダイニングのベンチと壁面収納の棚

室内の雰囲気と、造り付けのベンチや棚が調和しているリビングダイニングです。

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ホープスの狭小住宅への思い

ホープスは、狭小住宅での快適な暮らしを実現させたいという思いで、すべての住宅の建築に向き合っています。根本にあるのは、狭小住宅での快適さとは、無駄を省いたシンプルな暮らしにあるのではないかという考え方です。

敷地の形、道路や周辺の環境に合わせて、日当たりと風通しの良い家、プライバシーを確保できる家、高いインテリア性と優れた住宅性能を持つ暮らしやすい家、安心して暮らせる防犯性の高い家をご提案します。

狭いから快適さをあきらめるのではなく、より快適な暮らしを目指して、施主様のご希望に沿った家にしていきます。

狭小住宅としての参考になる建築実例がたくさんございます。ぜひご覧ください。

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著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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