階段下トイレを設置する前に知っておくべき費用と設計のポイント

階段下は、住宅において活用方法に悩むデッドスペースになりがちです。
しかし、巧みに設計すれば、快適なトイレ空間として生まれ変わらせることができます。
限られた空間を有効活用し、家全体の広さや利便性を高める階段下トイレ。
そのメリット、デメリット、そして設計上の注意点について、具体的な事例を交えながらご紹介します。

階段下トイレのメリットとデメリット

 

空間の有効活用とコスト削減

階段下トイレの最大のメリットは、デッドスペースを有効活用できる点です。
通常、トイレには0.8畳程度のスペースが必要とされますが、階段下であれば、約1〜1.5畳のスペースを確保できる場合が多いです。
これにより、トイレのための新たなスペースを確保する必要がなくなり、住宅全体の広さを確保できます。
また、トイレを別の場所に設置する場合と比較して、工事費用を抑えることも可能です。

生活動線の向上と利便性

階段は、家の中でも頻繁に利用する動線上に位置することが多いため、階段下にトイレを設置することで、生活動線の効率化を図ることができます。
特に、2階に寝室や子供部屋がある場合、夜間のトイレ利用がスムーズになり、利便性が向上します。

採光・通風の問題点と解決策

階段下トイレのデメリットとして、採光と通風が不足しがちな点が挙げられます。
天井が低く、窓の設置が困難なため、自然光を取り込みにくく、湿気や臭気がこもりやすい環境になりがちです。
解決策としては、換気扇の設置は必須です。
さらに、可能な限り窓を設け、明るさを確保しましょう。
窓が設置できない場合は、明るい色のクロスや照明器具の工夫で、空間を明るく見せる工夫が必要です。
また、換気システムを強化し、定期的な換気を心がけることで、湿気や臭いの問題を軽減できます。
 

階段下トイレの設計における注意点

 

天井高と空間寸法の確認

階段下トイレを設計する際には、まず天井高と空間寸法を正確に把握することが重要です。
特に、天井の勾配や段差によって、圧迫感を感じやすい空間になりがちです。
そのため、実際に人が使用した際の使い勝手を考慮し、十分な高さや広さを確保する必要があります。
設計図だけでなく、モデルハウスなどを利用して、実際に空間を体感してみることをお勧めします。
階段10段分の高さ(約2m)は確保したいところです。
 

収納スペースの確保と工夫

階段下トイレは、通常サイズのトイレと比較して収納スペースが限られています。
トイレットペーパーや掃除用具などを収納するためのスペースを確保するために、壁面にニッチを設けたり、背面や側面に棚を取り付けたりするなどの工夫が必要です。
また、扉の上部や、階段の折り返し部分など、デッドスペースになりがちな場所も有効活用しましょう。
 

適切な換気システムの導入

湿気や臭気がこもりやすい階段下トイレでは、適切な換気システムの導入が不可欠です。
強力な換気扇を設置するだけでなく、窓の設置や、壁に小さな換気口を設けるなどの工夫も有効です。
定期的な清掃と換気を心がけ、清潔で快適な空間を保つようにしましょう。

ドアの種類と開口部の設計

階段下トイレのドアは、開閉スペースが限られているため、開き戸よりも、折れ戸や引き戸が適しています。
折れ戸は、省スペースで開閉でき、使い勝手の良い選択肢です。
また、開口部のサイズも、人がスムーズに出入りできるよう、十分な広さを確保しましょう。
 

階段下トイレ設置に関する費用と注意点

 

工事費用と追加費用

階段下トイレの工事費用は、既存のトイレ改修なのか、新築時の設置なのか、使用する設備機器の種類などによって大きく異なります。
事前に業者から費用について相談し、検討することが重要です。
また、追加費用として、配管工事や壁・床の改修費用などが発生する可能性があるため、予め予算に余裕を持たせておくことが大切です。
 

設備機器の選定とコスト

トイレ空間を広く見せるために、コンパクトなサイズのトイレを選ぶことが重要です。
タンクレストイレや、手洗い器一体型のトイレを選ぶことで、スペースを有効活用できます。
また、節水機能付きのトイレを選ぶことで、ランニングコストを抑えることも可能です。
 

設計変更による費用増の可能性

設計段階で、階段下トイレの設置場所やサイズ、設備機器の種類などを変更した場合、追加費用が発生する可能性があります。
そのため、設計段階で十分な検討を行い、変更を最小限に抑えることが重要です。
 

業者選びと契約時の確認

信頼できる業者を選ぶことは、階段下トイレの設置を成功させる上で非常に重要です。
業者から工事内容やアフターサービスなどを確認しましょう。
契約前に、工事内容や費用、保証内容などをしっかりと確認し、不明な点は質問するようにしましょう。
 

まとめ

階段下トイレは、デッドスペースの有効活用、生活動線の効率化、コスト削減といったメリットがあります。
しかし、採光・通風、収納スペースの確保、天井高の低さといったデメリットにも注意が必要です。
快適な階段下トイレを実現するためには、天井高や空間寸法の確認、適切な換気システムの導入、収納スペースの工夫、そして費用面についても十分な検討が必要です。
設計段階から綿密な計画を立て、専門家と相談しながら進めることが、後悔のないトイレ空間の創造につながります。
空間の雰囲気づくりにも配慮し、快適で心地よいトイレを目指してください。

著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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