玄関から続く土間のある暮らし!「通り土間」の魅力と間取りアイデア!

「通り土間」という言葉、耳にしたことはありますか。
近年、個性的な間取りで快適な住空間を実現したいと考える人が増えています。
その中でも、玄関から土足で入れる廊下状の土間である「通り土間」は、伝統的な建築様式を取り入れつつ、現代のライフスタイルに合わせた機能性も兼ね備えた魅力的な空間として注目されています。

この記事では、こだわりの家づくりを目指すあなたのために、「通り土間」の魅力や間取りへの取り入れ方、具体的なアイデアを紹介します。
「通り土間」を取り入れた理想の住空間をイメージし、家づくりの参考にしていただければ幸いです。

□「通り土間」とは?

「通り土間」とは、玄関から土足で入れる廊下状の土間のことです。

*歴史と特徴

「土間(どま)」とは、床組みをすることなく、地面に対して直接施工された床を意味します。
現代では、単純に出入り口(玄関など)から土足で入れる住宅内部の床を土間と呼んでいます。
「通り土間」は、主に玄関とキッチン・勝手口を結ぶ動線として、また空間を機能的に分ける仕切りとしても活用されてきました。
特に、京都の長屋建物などに多く見られ、食材を購入して帰宅した際に、土足のままでキッチン(炊事場)まで入れることを目的としてつくられました。

*現代における活用方法

現代では、伝統的な建築様式を取り入れつつ、現代のライフスタイルに合わせた機能性も兼ね備えた空間として注目されています。
例えば、玄関から土足のまま、リビングや庭にアクセスできる動線として利用したり、インテリアの一部としておしゃれにデザインしたりと、様々な活用方法があります。
また、空間を仕切る役割も果たし、リビングとダイニングをゆるやかに分けるなど、生活空間をより快適にする効果も期待できます。

□間取りアイデア!「通り土間」を生かした住空間

「通り土間」は、玄関だけでなく、様々な空間と繋がることで、住空間の機能性とデザイン性を高めます。

1:玄関とキッチン・勝手口をつなぐ動線

最もベーシックな通り土間となるのが、玄関とキッチンをつないだデザインです。
特に、食材の買い出しや料理の際に、土足のままキッチンへ移動できるため、使い勝手の良さが魅力です。
キッチンを独立させて通り土間と一体化させるのか、それとも「LDK」にして、通り土間を通路として分離させるのか、2つのパターンが考えられます。

2:玄関と庭(ガーデンスペース)をつなぐ動線

一戸建て住宅では、リビングから庭へ出入りする動線が一般的ですが、通り土間を活用することで、玄関と庭を連結できます。
靴を履いたまま、庭へと移動できる空間が創出され、ガーデニングやアウトドアを楽しむ際に便利です。

3:玄関スペースと駐車スペース(車庫)をつなぐ動線

玄関も駐車スペースも前面道路方向に計画されることが多いですが、通り土間でつなぐことで、デザイン性も兼ね備えた機能的な空間となります。
特に、雨の日や荷物が多い時などに、玄関から車まで濡れずに移動できるのは大きなメリットです。

4:二世帯居住空間を分離する境界スペース

二世帯住宅では、壁などで生活スペースを完全に遮断してしまうのではなく、「通り土間」を上手に配置することで、二世帯空間を分離することができます。
視覚的には空間のつながりがありますが、生活行動上は通り土間にて二世帯が分離される形となります。

5:玄関とリビング・ダイニングを兼ねた空間

広い部屋の通り土間を用いれば、玄関をリビング・ダイニングと一体的な空間にできます。
この場合は、通り土間が“通路”といった感じではなく、玄関扉をくぐるとすぐに、生活空間(リビング・ダイニング)となるイメージです。

□「通り土間」をおしゃれに取り入れるポイント

「通り土間」は、ただ機能的な空間だけでなく、インテリアや空間設計と組み合わせることで、住空間をおしゃれに演出することも可能です。

1:吹き抜けと組み合わせる

通り土間部分は地面と同じ高さなので、一般的な床高のスペースよりも天井高が高くなるのが特徴です。
そこに吹き抜けを組み合わせることで、視界が広がり大スケールの空間がつくり出せます。
窓から入る自然光もゆったりと広がり、明るく開放的な雰囲気を楽しめるでしょう。

2:キッチンと組み合わせる

勝手口とキッチンを通り土間でつなげる場合、コンクリート仕上げの土間とステンレス製キッチンを組み合わせて飲食店の厨房のような雰囲気を演出するととてもおしゃれです。
居住スペースをナチュラルテイストやクラシカルスタイルのインテリアにしてもバランスがとりやすく、メリハリのある空間になります。
買い物から帰ってきて食材を片付けるまでの動線がスムーズなので、プロになった気分で料理を楽しめるでしょう。

3:和室と組み合わせる

玄関からリビングやキッチンまで通り土間を設けるなら、和室を隣接させてみましょう。
一般的な床高のリビングの中に小上がりスペースをつくると天井高が低くなりがちですが、通り土間から直接上がるため天井高がしっかり確保できます。
茶室のような独立性の高い静かな空間にすることで、大切な来客をもてなす特別感あふれる雰囲気も演出できるでしょう。

□まとめ

「通り土間」は、玄関から続く廊下状の土間であり、伝統的な建築様式を取り入れつつ、現代のライフスタイルに合わせた機能性も兼ね備えた魅力的な空間です。
玄関とキッチン、庭、駐車スペース、二世帯住宅など、様々な空間への「通り土間」の活用方法があります。
吹き抜け、キッチン、和室など、インテリアや空間設計と「通り土間」を組み合わせることで、住空間をおしゃれに演出することも可能です。
「通り土間」を取り入れることで、個性的な間取りと快適な住空間を実現できるでしょう。

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著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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