ナイトパージとは?効果的な使い方と注意点について解説

猛暑が続く夏、エアコンの電気代が気になる方も多いのではないでしょうか。
電気代の高騰に加え、地球温暖化の影響もあり、少しでもエアコンの使用を抑えたいと考える方は少なくないでしょう。
そこで注目したいのが、夜間の涼しい外気を利用して室温を下げる「ナイトパージ」という省エネシステムです。

ナイトパージは、適切に活用することで、冷房負荷を軽減し、電気代を大幅に節約することができます。

しかし、効果的な使い方や注意点などを理解していないと、思ったほどの効果が得られないだけでなく、場合によっては室温が上昇してしまうこともあります。
本記事では、ナイトパージの仕組みやメリット、効果的な使い方、そして注意点を解説します。

□ナイトパージとは?

ナイトパージとは、夜間や早朝に外気を建物に取り込み、室内の熱を排出して冷房負荷を軽減する省エネシステムのことです。
建物の内部では、人体やOA機器、家電製品などからの発熱に加え、建物の躯体からの放熱など、空調設備の冷房負荷を大きくする要素が数多く存在します。

ナイトパージは、このような熱を効率的に排出することで、翌朝の室温の上昇を抑え、冷房の立ち上がりをスムーズにする効果が期待できます。

1:ナイトパージの仕組み

ナイトパージの仕組みは、非常にシンプルです。夜間や早朝、外気温が室温よりも低い時間帯に窓を開け、外気を建物内に取り込みます。
同時に、室内の熱気を外に排出することで、室温を下げるのです。

2:ナイトパージのメリット

ナイトパージには、次のようなメリットがあります。

・電気代節約
ナイトパージによって室温が下がるため、エアコンの使用時間を短縮することができます。
結果として、電気代を大幅に節約することが可能です。

・冷房効率の向上
ナイトパージによって、室温が事前に下げられるため、エアコンの稼働効率が向上します。

・快適な室温環境
ナイトパージによって室温が適切に管理されることで、快適な室温環境を維持することができます。

3:ナイトパージの原理

ナイトパージは、熱力学の法則に基づいています。
熱は高温の物体から低温の物体へと移動するという熱力学の法則に基づき、室内の熱を、より温度の低い外気に移動させることで、室温を下げるのです。

□ナイトパージの効果的な使い方

ナイトパージの効果を最大限に引き出すためには、適切な方法で実施することが重要です。

1:窓の選び方

ナイトパージを行う際は、風通しの良い窓を選ぶことが重要です。
南向きの窓は、日差しを多く浴びて室温が高くなりやすいので、北向きの窓や東向きの窓を選ぶのがおすすめです。

2:扇風機やサーキュレーターの使い方

扇風機やサーキュレーターを活用することで、室内の空気の流れを作り、熱気を効率的に排出することができます。
窓に向けて扇風機やサーキュレーターを回し、外気を取り込みながら室内の空気を循環させることで、より効果的に室温を下げることができます。

3:室内の空気の流れを作る工夫

室内の空気の流れを作ることで、熱気を効率的に排出することができます。
例えば、部屋の隅に置かれた家具を移動させたり、カーテンを開け閉めしたりすることで、空気の流れを作り出すことができます。

4:時間帯の選択

ナイトパージを行う時間帯は、外気温が室温よりも低い時間帯を選ぶことが重要です。
一般的には、夜間や早朝が適しています。

5:室内の温度管理

ナイトパージ中は、室内の温度管理も重要です。
室温が上がりすぎないように、こまめに窓の開け閉めを行い、室温を適切に管理しましょう。

6:適切な換気

ナイトパージを行う際は、適切な換気を行うことも重要です。
窓を開けっぱなしにするのではなく、定期的に窓を開け閉めして、室内の空気を入れ替えるようにしましょう。

□ナイトパージを行う際の注意点

ナイトパージは効果的な省エネシステムですが、安全に配慮して行うことが重要です。
ここでは、ナイトパージを行う際の注意点について解説します。

1:外気を取り込む際の安全対策

夜間や早朝は、外気温が低いだけでなく、湿度も高くなりがちです。
そのため、外気を直接取り込む際は、室温の変化に注意し、体調不良にならないように注意が必要です。
特に、小さなお子さんや高齢の方など、体調がすぐれない方は、無理せずエアコンを使用しましょう。

2:適切な時間帯

ナイトパージは、外気温が室温よりも低い時間帯に行うことが重要です。
外気温が室温よりも高い時間帯に行うと、室温が逆に上がってしまう可能性があります。

3:室内の温度管理

ナイトパージ中は、室内の温度管理も重要です。
室温が下がりすぎたり、上がりすぎたりしないように、こまめに窓の開け閉めを行い、室温を適切に管理しましょう。

4:防犯対策

夜間に窓を開ける場合は、防犯対策も忘れずに行いましょう。
特に、1階に住んでいる場合は、窓に鍵をかけておくなど、防犯対策をしっかりと行うようにしましょう。

5:天候への注意

雨や風が強い日は、ナイトパージを行うと、室内の湿気が高くなりやすくなったり、窓から雨が入ってしまう可能性があります。
天候に注意して、適切な判断を行いましょう。

6:適切な換気

ナイトパージ中は、適切な換気を行うことも重要です。
窓を開けっぱなしにするのではなく、定期的に窓を開け閉めして、室内の空気を入れ替えるようにしましょう。

□まとめ

ナイトパージは、夜間の涼しい外気を利用することで、室温を下げ、冷房負荷を軽減する効果的な省エネシステムです。
適切な方法で実施することで、電気代を大幅に節約することができ、快適な室温環境を維持することができます。

しかし、安全に配慮し、効果的な使い方や注意点を理解した上で実施することが重要です。
本記事で紹介した内容を参考に、快適で省エネな夏を過ごしましょう。

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著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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