平屋をデザイン住宅にするためのポイントや注意点についてご紹介します!

一生の中でも貴重な家づくり。
まず最初に、家のタイプについて悩むと思います。
例えば、一戸建てといっても2階建ての注文住宅、建売住宅、そして平屋と豊富にある種類の中から選ぶことになります。
2階建ての注文住宅、建売住宅は何となくイメージできても、平屋の概要について中々イメージがわかずに、選択肢から排除してしまうという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

平屋は、近年人気が出てきたタイプの家なので、イメージできないのも無理はありません。
しかし、蓋を開けてみれば平屋にも数多くの魅力があり、生活の快適さやデザイン性も抜群です。
そこで今回は、みなさんに平屋の魅力を知ってもらうために、平屋のメリットやデザイン住宅としてのコツなどをご紹介します。

□平屋に住むメリットとは?

平屋は、2階以上の部分が無くワンフロア集結型の住宅です。
2階部分のない平屋に住むメリットは、以下の4つが挙げられます。

1. 日常生活の負担が少ない

平屋では、上下階への移動が無く全てワンフロアのみの移動で完結するため、移動だけでなく普段の家事における負担が減ります。
例えば、掃除の際に階段や2階部分の掃除は必要無くなりますし、洗濯に関しても取り込んだ洗濯物を上に干しに行く必要もありません。
このように、普段の生活で手をこまねくことが無くなるのがメリットです。

2. 設計の自由度が高い

ワンフロア集結型のため、ある程度広めの土地が必要にはなりますが、2階建てに比べると間取りの自由度は高いです。
例えば、中庭を導入することで、自然のあたたかみ溢れる雰囲気を持たせつつ、家族との時間を確保できます。
ご自身のこだわりを導入した素敵な平屋を実現しましょう。

3. 太陽光発電も可能

平屋は屋根が広いので、これを活かした太陽光発電が可能です。
特に2023年現在、世界的な物価高の影響を受けており、日本も例外ではありません。
日本における物価高の影響といえば、みなさんご存知の通り「光熱費の増加」ですよね。
今後も電気代が上がることが予想され、各世帯の生計を圧迫しているという事実。

この状況下で「少しでも光熱費を抑えられたら」と思っている方が多いでしょう。
平屋であれば、太陽光発電の恩恵を受けられるため、今後の生活費に対する不安も解消できるのではないでしょうか。

4. 家族とのコミュニケーションが増える

「さっき帰ってきた家族が気づいたらもう自室に」、なんてこともありません。
特に親世代は、子どもたちとのコミュニケーションを取りたくても、自室にすぐ戻ってしまうことで中々接する機会がないことがあると思います。
個室をリビングを通らないと入れない設計にすれば、少しでもコミュニケーション回数が増え、家族との時間を自然に生み出せるのです。

□平屋に住むデメリットとは?

1. 土地の広さはどうしても必要になる

やはりワンフロア集結型であるため、理想の間取りや広さを担保するには土地の広さが必要です。
また、自分では土地が十分だと思っていても実際は狭かったという場合があります。
と言うのも、土地には建ぺい率と呼ばれる敷地面積に対する建築面積の割合が定められており、建ぺい率が50パーセントと定められている場合、その土地の半分の面積の広さでしか家を建てられません。
以上のことを考慮して、想定しているよりも広めの土地を確保しておくのが確実です。

2. 日当たりを考慮した設計を

平屋は高さがあまり無いので、周囲に高い建物があると日光が遮られてしまう可能性があります。
日当たりが悪くなると、洗濯物がなかなか乾かなかったり、室内の雰囲気が悪くなってしまったりと、思いの外デメリットがあるのです。
そのため、土地選びの際は周囲の建物の状況をよく考慮しましょう。

□平屋をおしゃれなデザイン住宅に!デザインの種類について

1. モダンデザイン

モダンデザインは、現代のスタイリッシュさをイメージしたデザインで、かっこよさとシンプルさを兼ね備えています。
色の組み合わせ方も多種多様なので、シンプルなおしゃれさを追い求める方にとっておすすめのデザインだといえます。

2. ナチュラルデザイン

自然のあたたかみ、優しい雰囲気を持つデザインです。
木目をうまく取り入れたり、余裕があれば庭を導入したりすることで、自然味がより上がるでしょう。
白、ブラウン、ベージュなどをメインカラーにするとあたたかみを演出できます。
また、自然素材を用いることでデザイン面だけでなく、快適性にも直結するのでおすすめです。

3. 和モダン

日本にゆかりのある和風デザイン、そこに現代風のかっこよさを加えたのが、この和モダンデザインです。
日本家屋独特の雰囲気の中に、スタイリッシュさも組み合わせており、少し威厳さえも感じる落ち着きのあるデザイン住宅です。

□平屋デザイン住宅の外観をナチュラルでおしゃれにするポイント

1.自分の好みを具体化する

自分の好みを具体的に理解することは、平屋の外観デザインにおいて非常に重要なステップです。
具体的なイメージがあると、設計者とのコミュニケーションがスムーズになり、理想とする外観に近づく確率が高まります。
この過程で、自分が好きな色、素材、形状などを明確にし、それをビジュアルボードやスケッチにまとめることで、より具体的なプランが生まれやすくなります。
また、参考にするデザインや既存の建物の写真を集め、それを設計者に示すことで、より理想的な外観に近づけるでしょう。

2.外観に凹凸をつける

外観に凹凸をつけることで、陰影が美しく、高級感が漂います。
特に、L字型やコの字型のプランは、多方向から庭を楽しめて、平屋の長所をうまく生かせます。
凹凸をつけることで、日中の太陽の位置によって変わる陰影が楽しめ、一日を通しても美しい外観を保つことが可能です。
また、凹凸によって生まれるスペースを利用して、小庭やテラス、プランターなどを配置することで、よりリッチな外観に仕上げることも可能です。

3.外構にもこだわる

平屋のデザインは、建物だけでなく、外構も非常に重要です。
ナチュラルな雰囲気を醸成するためには、植物や石材をうまく取り入れることが必要です。
具体的には、庭には季節の花や常緑樹を植えることで、一年中美しい景色を楽しめます。

また、石材は、敷石やガーデンパス、さらには小川や池などに使用することで、より自然体な外観に仕上がります。
外構の予算もしっかりと計画することで、後から修正や追加が少なく、スムーズな工事が可能です。
予算を計画する際には、メンテナンス費用も考慮に入れ、長期的な視点で行ってくださいね。

□平屋デザイン住宅の外観をモダンでかっこよくするポイント

1.屋根の形状と勾配

屋根の形状や勾配は、平屋の外観をモダンでかっこよくするための重要な要素です。
片流れや切妻、寄棟など、屋根の形状によっても印象は大きく変わります。
特に、平屋の場合、屋根が目立ちやすいため、そのデザインには特に工夫が必要です。
例えば、片流れ屋根はシンプルでモダンな印象を与え、切妻屋根はクラシックながらもスタイリッシュな雰囲気を生み出します。
また、勾配の角度を変えることで、日光の取り込み方や雨水の流れもコントロールでき、機能性とデザイン性を両立させられますよ。

2.軒を活用する

軒を深くすることで、テラスやデッキを設けられるので、平屋ならではの魅力を最大限に引き出せます。
このようなデザインができるのは、平屋ならではの特性です。
軒の深さによっては、外部空間と内部空間の境界が曖昧になり、開放感が増します。

また、軒を活用することで、夏場の強い日差しや冬季の雪からも守れるため、エネルギー効率も向上します。
さらに、軒下に照明を設置することで、夜間でも美しい外観を演出できますよ。

3.異なる要素を組み合わせる

異なる要素を組み合わせることで、個性的で自分らしい平屋を作れます。
例えば、外壁をツートーンにする、木材と金属を組み合わせるなど、対比要素があると、良い意味で「違和感」が生まれます。
このような違和感は、他の住宅と差別化を図る上で非常に有用です。
具体的には、外壁にはコンクリートと木材を組み合わせることで、硬さと柔らかさのバランスを取り、独自のスタイルを確立できます。
また、窓枠やドアに金属素材を用いることで、モダンな印象を強調できます。

□平屋デザイン住宅のデザイン全体を考慮する要点

1.外観・内装のデザイン

平屋の場合、特に外観デザインでは、車の出入りの方向や植栽、そしてフェンスが建物と調和していることがポイントです。
車の出入りの方向を考慮することで、駐車スペースやガレージの配置がスムーズになり、日常生活が便利になります。

また、植栽に関しては、季節ごとの変化を楽しめるような植物を選ぶことで、一年を通して外観が楽しめます。
フェンスのデザインも重要で、高すぎると閉塞感が出てしまいますが、低すぎるとプライバシーが保てない可能性があります。

内装においても、家具や照明、カーテンなどの選び方1つで全体の印象が大きく変わるため、慎重に選んでくださいね。

2.暮らしのデザイン

ライフスタイルに合わせたデザインや将来の変化を考慮することが、長期的な満足度につながります。
特に、家事を効率化できる間取りでないとストレスが溜まってしまいます。
例えば、キッチンとリビング、洗面所が近い配置にすることで、家事の動線が短くなり、効率が上がります。

また、子供が成長するにつれて必要なスペースが変わる可能性も考慮し、多目的に使える空間を設けることも重要です。
さらに、高齢になったときのバリアフリー対策も忘れないでくださいね。

3.資金のデザイン

多くの方は住宅ローンを組んで家を建てますが、月々の返済はどのくらいになるのかを想定し、無理のない額でローンを組む必要があります。
具体的には、初めての住宅ローンであれば、金利や返済期間、ボーナス払いの有無など、多くの要素を総合的に考慮する必要があります。
また、将来的な収入の変動や、急な出費(修繕費や教育費など)も考慮に入れ、余裕を持った計画を立てることが賢明です。

□さらにデザインを良くするためには?

平屋のデザインをさらに良くするために、細かい部分にこだわってみるのはどうでしょうか。
小さなこだわりが全体で見た時におしゃれさに直結します。
大きく3つにわけて見ていきましょう。

*色にこだわってみる

色の使い方によって与える印象は千差万別で、例えば黒とベージュでは真逆の印象を与えます。

・黒の場合:カッコ良い・スタイリッシュ
・ベージュの場合:あたたかみがある・落ち着いた雰囲気

このように色の持つ印象を把握することで理想のイメージに近づけます。

*外壁にこだわってみる

外壁の素材にもこだわることで、仕上げ時のデザインをさらにおしゃれにできます。
おすすめは、「窯業系サイディング」と「金属系サイディング」と呼ばれる2つです。
窯業系サイディングはセメントと繊維を混ぜたもので、タイルやレンガ調と組み合わせることで、より良いデザイン効果を発揮します。
金属系サイディングとは、​​​ガルバリウム鋼板を組み合わせたもので、デザイン的には少し無機質な印象を持たせますが、耐久性は非常に秀でています。

□後悔しないための注意点について

*プライベートをしっかりと確保する

平屋はワンフロアであるため、外からの視線が通りやすくなってしまう可能性があります。
特に女性や小さい子どもの場合は、不安も大きいことでしょう。
そこで、外構や塀を設置して視線を切ることを意識すると良いですね。

*防犯対策を施す

上で挙げたように、外からの視線が通りやすい上に、出入りが容易であるため、泥棒や犯罪に巻き込まれないための対策が必要です。
防犯ガラスやセンサーライトなどが一般的な方法ですが、家の敷地内に砂利を入れておくのもおすすめで、誰かが入ってきたことを砂利の音でわかるので安心できます。

*風通しを考慮する

平屋は日当たりを考慮するのももちろんですが、風通しも快適な生活を送る上で大切なキーとなります。
ワンフロアに部屋が集結しているので、空気の流れを確保しなければ、空気のこもった居心地の悪い空間になってしまいます。
風の通り道を作るために、窓を対角線上に配置したり高窓を設置したりすると良いでしょう。

□まとめ

平屋は日常生活の快適性を上げるだけでなく、理想の間取り設計を実現できるのが魅力。
また、デザインとの組み合わせ方も様々で、デザインの種類や色・素材などによっておしゃれなデザイン住宅にできるのももうひとつの側面です。
ただ、快適性を保つためにも土地の広さや風通しの良さ、防犯対策などの面にも着目することで、おしゃれなデザインに加えて快適な平屋を実現できるでしょう。
家づくりをお考えの方は、ぜひ平屋も選択肢に入れてご検討ください。

 

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著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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