SE工法って何?メリットデメリットや実例についてご紹介します!
木造の家づくりにおいて、近年SE工法が人気を博しています。
これは最近できた新しい工法で、従来の木造建築よりも間取りや設計に自由度が増すという魅力があります。
ただし、最近できた工法であるためデメリットも多い工法ではあるものの、実用性も高いという側面もあります。
そこで今回はこれから家づくりをお考えの方に向けて、選択肢の1つとなりうるSE工法についてご紹介します。
当記事でSE工法の知識をつけつつ、不安を解消していただければ幸いです。
□SE工法のデメリットとは?
SE工法は、できて間もないということで、どうしてもデメリットが多くなってしまいます。
「施工可能店が限られている」「コストが高い」「長期間の耐久性に懸念がある」「シックハウス症候群になる可能性がある」の4つに分けて挙げていきます。
1. 「施工可能店が限られている」
このSE工法で施工できるのは、正式に認定を受けたSE工法施工店に限られます。
そのため、SE工法で家づくりをしたいと思っていても、依頼先の施工業者が認定を受けていないとSE工法での家づくりが不可能になるのです。
施工認定を受けているのは日本全国でおよそ500社ほどあるのですが、地域によってはうまく見つけられないかもしれません。
2. 「コストが高い」
従来の工法に比べて、SE工法の建築コストは高い傾向にあります。
SE工法は建物の基礎部分をより強化し、それに伴って下地や外壁部分を支えるための資材や手間のかかる施工が必要なのが、コスト高の要因になっています。
基本的には坪単価で数万円の上昇が見込まれるので、予算をオーバーしてしまう可能性を考慮して予算を多めに設定しておく事をおすすめします。
3. 「長期間の耐久性に懸念がある」
SE工法に用いられる木材は強度が高いものが選ばれており、複数の木材を金属や接着剤でつなげて補強しているものもあります。
まだできて間もない工法ということもあり、これらが数十年持つのかどうかは現時点ではわからないという状況です。
理論上は問題無いとされていますが、実際の環境では直射日光や雨風、その他の要因で劣化することが考えられます。
4. 「シックハウス症候群になる可能性がある」
SE工法で使われる木材には化学物質が含まれており、これによりシックハウス症候群になってしまう可能性があります。
シックハウス症候群とは新築住宅でよくある喉が痛くなったり咳が出たり、何かしらのアレルギー的な症状が出るもので、これは接着剤や建材に含まれる化学物質が原因です。
もちろん化学物質が大量発生しないように濃度の調整などは行われていますが、それでも完全になくなるわけでは無いので、体の弱い方にとっては大きなデメリットになるかもしれません。
□SE工法のメリットはある?
SE工法はデメリットばかりではなく、もちろんメリットも多く存在します。
「基本的な性能が高い」「自由度が高い」「コスパが良い」の3つです。
1. 「基本的な性能が高い」
SE工法は従来の工法に比べて耐震性・断熱性が高いというメリットがあります。
そのため住宅全体の性能が高く、普段の生活を快適に、そして安全に過ごせるのです。
例えば断熱性が高いと、夏は涼しく冬は暖かく過ごせます。
というのも夏は外からの暑さが断熱材によって遮断され、冬は室内の暖気が外に漏れづらくなるので、室温の変動が少なくなり快適性が上がるのです。
また、これによる冷暖房効率化が進み、過度な使用を抑えられ省エネにもなるのが魅力的ですね。
2. 「自由度が高い」
SE工法では従来の工法よりも柱や壁が少ないため、その分スペースができ、間取りの設計自由度が上がります。
スペースに余裕ができる分、広さを必要とする間取りオプション、例えばビルトインガレージや中庭などの設置も可能です。
3. 「コスパが良い」
基本的にSE工法は工務店に依頼することになります。
工務店に依頼する際の費用は、大手ハウスメーカーに比べてコスパが良いです。
なぜかというと大手ハウスメーカーの場合、広告やモデルハウス費用などが含まれるため、どうしても割高になってしまうのです。
一方で、工務店は地域密着型が多くハウスメーカーと比べて広告費用やその他の費用がかからないため、コスパの良さが魅力です。
□SE工法による重量木骨の家とは?
SE工法によって建てられる家の種類に、「重量木骨の家」があります。
次はこの重量木骨の家について見ていきましょう。
*「構造用集成材」による性能の高さ
一般的な工法の家に用いられる木材は、それぞれ乾燥度合いや強度が異なるため、家の部位によっては耐久性が不安定になることがあります。
これではメンテナンス時期がバラバラかつ不定期で、頻繁にしなければいけなくなってしまいます。
しかしSE工法による重量木骨の家では、木材をきちんと乾燥させ強度によって分類しているので、家全体の質や耐久性が下がる心配はご無用です。
*接合部の強度が高い
従来の工法では建材同士を接着する際に、「ほぞ」と呼ばれる大きな穴をあける加工を施しています。
しかし一般的な住宅に用いられる建材において、この加工は強度不足になることがあります。
一方でSE工法の場合は建材に小さな穴を開け、そこに「SE金物」と呼ばれる金属を用いて接着を行います。
これによって、ねじれを防ぎ建物にかかる負荷や衝撃をSE工法全体で吸収することで、耐久性の高さを実現しているのです。
*大きなビルやマンションと同じ設計
SE工法では構造計算をすることが義務付けられており、これはビルやマンションでも同様です。
構造計算によって強度や耐久性、安全性を把握するので、きちんとしたデータに基づいた安全性が保証されるのです。
大きなビルやマンションと同じ構造計算がされているので、心理的安全性も高く安心できますね。
□SE工法の実例集
それではSE工法によってどのような間取りが実現できるのかを、具体的な実例をもとに見ていきましょう。
*ワンフロアリビング
SE工法独特の設計によって、柱や仕切り、壁は最小限に留められています。
そのためリビングには最小限の壁や柱しかなく、ワンフロアの広々としたリビングが実現できています。
加えて耐震性も高いため、安心して過ごせますね。
*吹き抜け
吹き抜けは家内部において、上に開放感を持たせる間取りです。
従来の工法では構造や耐久性の観点から、大きな吹き抜けの導入は厳しい場合がありますが、SE工法の場合は構造計算をして耐久性を保証しつつ、開放感をもたらせられるのです。
*ビルトインガレージ
ビルトインガレージとは、住宅の1階部分を利用してガレージにするものです。
従来の工法ではビルトインガレージの導入時に耐震工事や基礎部分の強化をしなければいけないのですが、SE工法であれば構造計算によって強度が保証されているので、比較的スムーズに導入できます。
加えて都市部の場合、駐車場の確保が難しいことがあるので、自宅にガレージがあると車の置き場所に困ることもないでしょう。
□SE工法のコストっておさえられるの?
結論から言うとSE工法のコストは抑えられません。
しかし必要な土地の広さという観点から見ると、かなりコスパが良いことは確かです。
実際従来の工法の方が費用が安いのは事実ですが、耐久性に不安が残ったり広い土地が必要になったりします。
特に土地が広くなると土地にかかる費用が増えますし、場合によってはそもそも広い土地の確保が難しいこともあります。
そうなると、限られたスペースの土地で耐久性に不安を残した家を建てることになるのです。
一方でSE工法だと十分な耐久性があり、土地の広さが限られていても柱や壁が最小限なので、広さを確保できます。
加えて前章で挙げたような吹き抜けやビルトインガレージの導入も可能であることが魅力です。
以上のことから全体的に見れば、SE工法のコスパが良いことがわかりますね。
□まとめ
SE工法という比較的新しい工法は、もちろん多くのデメリットをはらみつつも、それ以上のメリットを持っています。
基本的な耐震性や耐久性、断熱性能が高いので普段の生活を快適に過ごせることに加えて、十分な広さを確保できることで間取りの自由度が高いことも魅力的です。
加えて構造計算もされているので、データに基づいた安全性の高さが保証されています。
家づくりをお考えの方は、ぜひSE工法による施工をご検討ください。