注文住宅は値段ごとにどのような特徴がある?

住宅にこだわりや憧れがある方ほど迷う、注文住宅と建売住宅の選択肢。
それぞれに良さがありどちらが確実に優れているということはありませんが、細かなところまで自分で考えこだわりを詰め込んだ住宅に住みたいのなら注文住宅の方が向いていることは確かでしょう。
そんな注文住宅を建てるにあたって一番気になるのは、建売住宅と違い最初からはっきりとは提示されない値段ではないでしょうか。
今回は注文住宅の値段ごとにどのような特徴があるか説明していきたいと思います。

□注文住宅の値段ごとの違いについて

注文住宅ではまず予算があり、土地代や建築費などに割り振っていきます。
まずは各価格帯でどんな家が建てられるのか、今回は地域差の多い土地代を省き、延床面積は30〜40坪程度と仮定して説明します。

1. シンプルイズベストの1000万円台

コスト重視の方が多い値段帯で、シンプルな住宅が多くなります。
単価が高い材料や凹凸の多いデザインを減らし、さまざまなコストを軽減することで建築費を抑えますが、凝った材質やデザインの家は扱いが難しく、それは建築時の話だけではなく住んでいる住人にとっても難しいものです。
シンプルに作られた空間はどんな家具でも置きやすく、どんな生活スタイルにも寄り添ってくれ、また模様替えで全く違った顔を見せてくれる。
それがシンプルな家の魅力です。

2.一点特化の2000万円台

この値段帯でどんな家になるかは注文者の好みによるところが大きく、一概には断言ができません。
1000万円台に比べればやはり予算は多いのでこだわりも出ますが、あれもこれもとつぎ込んでしまっては予算が足りなくなるので、こだわりを絞って住宅を建てる必要があります。
とはいえ注文住宅の面白いところは、力の入れる箇所を細かく設定できるところです。
建築費用は控えめにした上でドアや窓を良いものに変えたり、1000万円台のシンプルなつくりを保ったまま素材をワンランク上にすることで汎用性の高い間取りで好みの空間を作ったり、考えれば考えるほど選択肢はあることでしょう。

3.夢溢れる3000万円台

この辺りになると注文住宅の平均建築費用程度からやや多い程度になり、実現できる夢も増えてきます。
注文住宅の平均的な建築費用は3500万円程度ですから、やはりこのあたりが注文住宅のボリュームゾーンと考えて差し支えはないでしょう。
何もかもを叶えることは難しいですが、豪華なものをひとつ、全体的に少しずつ、と力の入れ方にも幅が出てきて、注文住宅の良さもより強まってくる値段帯ではないでしょうか。

できること、できないことを取捨選択する必要があるので、迷い、話し合い、考え抜いた家になります。
その話し合いの中で自分たちが最も望むものやライフプランを明確にした上で建てた家は、全てが叶っていなくとも思い入れの強い住宅となっていることでしょう。

4.わがままプランも叶う4000万円台

今回は延床面積が30〜40坪程度と仮定したので、この程度になるとかなり余裕が出てきます。
住宅へのこだわりが強い方が夢を詰め込んで計画していくと4000万円以上の建築費になりやすいことから、大抵の夢は叶う価格帯といって良いでしょう。
ここまで来ると形も凹凸が多く外壁面積の多くなるプランも室内の素材に自然素材をふんだんに盛り込むことも可能です。
ここまで用意できるのであれば予算内に収めることは一旦傍において、夢を詰め込んだ住宅を計画するのが良いでしょう。

□どのような費用内訳になっている?

1. 住宅を建てる土地の費用

多くの割合を占めるのが土地の購入費用ですが、中にはすでに所有している方もいるでしょう。
そういった場合土地代はかかりませんが、地盤が弱かったり整備がされていなかったりすれば、追加で住宅を建てるために手を加えなければなりません。

2. 会社に依頼する建築費用

材料費から設備工事まで、なにもない土地から住宅ができあがるまでのすべての費用がここに含まれます。
同じような希望でも会社によってできあがる住宅には大きな差がありますので、注文住宅の場合は当社のようにホームページにある建築事例のような外観の写真やコンセプトなど多角的な情報の載っている会社がおすすめです。

3.その他の諸手続き費用

一戸建てを取得する場合にかかる手続きに登記があり、以下の費用が必要となります。

・登録免許税

・司法書士税

・その他交通費や登記事項証明書取得費用などの実費

また、登記は土地と建物それぞれに所有者をはっきりさせなければならないため、土地も購入する際は両方に対して登記する必要があります。

□コストをできるだけ抑えて注文住宅を建てるには?

注文住宅は夢を詰め込んだ分、ついうっかり予算をオーバーしがちなもの。
大抵の注文住宅では予算との睨み合いになります。
住宅を予算内に抑えるため、コストを抑えるポイントについてもいくつかご紹介します。

1. あとから変えられる場所

一般的に5〜10年で張り替える壁紙や10〜15年で取り替えるキッチンやバスなどの水回りのことです。
壁の中に作ってしまう断熱性能や間取りに比べると簡単に取り替えられるため、一旦値段を優先してあとから夢を詰め込むのもありでしょう。

2. 複雑な見た目

色や素材ではなく、外観のデザインの話です。
単純な話として複雑な外観は外壁の面積が増え、その分材料費、時間、人件費とすべてを圧迫します。
もちろん外観が一番大事という方はほかでコストを抑えることで夢を実現すべきですが、そうでないのなら四角形の外観はコストが抑えられ耐震性にも優れるので、かなりおすすめです。

3. 水回りの位置

水回りには配管設備が必要になるので、住宅のあちこちに設置すると配管設備が複雑になります。
一階と二階にそれぞれトイレがある、ベランダのそばにランドリースペースがある、といった水回りがあちこちにあることによる便利さもありますが、コスト的にはひとまとめになっていた方が抑えられます。

4. 部屋の数

より具体的にいうならば間仕切りの壁です。
建材だけでなく施工費もかかるポイントですので、階段をリビング内に設ける、趣味部屋を私室の一角に設置する、といった可能な範囲で考えてみてください。

□予算を決める方法とは

*二割の頭金

まず頭金がいくら用意できるかを考えます。
一般的に建築費用の20パーセント以上、少なくても10パーセントはあった方が良いしょう。
これは現在の貯蓄から賄われるため、引っ越しで必要となる諸費用を貯蓄額から差し引いて、残りがいくらになるかを計算してみてください。
基本的にはその額が頭金に回せる最高額となります。

*八割の住宅ローン

頭金がわかったら、次に住宅ローンを考えます。
住宅ローンの場合には定年までに完済できるかどうかが関わってくるため、金額と同時に年数も重視しなければなりません。

□費用に関する注意点

1. 設計費の金額

ハウスメーカーの場合は総額に含まれるので具体的な金額は分かりませんが、工務店であれば2〜5%パーセント、設計事務所であれば工事費の10〜15パーセント程度を請求されることが多いです。
依頼先によって具体的な額や扱い方が変わってくるので頭の片隅に入れておいた方が良いでしょう。

2. どこまでが延床面積か

家を建てる際に坪単価いくら、と出されることがありますが、この坪単価には延床面積という解釈の幅があります。
吹き抜け部分やベランダなど、床ではなくとも延床面積に含められる部分があるのです。
この部分を含めると延床面積が増えることで延床面積÷金額、で算出する坪単価が安く見えます。
依頼してみたら思っていたより高い、といったミスマッチを防ぐためにも延床面積にどこまでを含めているのかはチェックした方が良いでしょう。

□まとめ

注文住宅について、値段帯によって建てられる住宅の特徴からコストの抑え方、予算の決め方と説明してきましたが、予算とはあくまでひとつの限界です。
住宅とは人生に連れ添う一生の買い物。
自分に必要なものや一番欲しい家へのこだわりを考え、それを叶えるのに必要な分があれば、予算も広さも少なくて構わないのです。
値段から考えるのではなく、必要なもの、一番欲しいものを中心として手に入れるのにいくら必要かを考え、どうすれば手に入るのかを試行錯誤する。
そんな家づくりこそ、後悔の残らない家づくりではないでしょうか。

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著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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