住宅の耐震性を高めるSE構法についてご紹介します!
日本は世界でも地震が多い国の1つで、近年でも大きい地震が予測されています。
万が一という場合に備えて、防災グッズや避難経路を日ごろから確認することが大事です。
しかし大地震とはいえ、住んでいた家が壊れてしまうというのは残念でたまらないことです。
そこで今回は、耐震性が高いSE構法について解説します。
1995年に開発され、まだ歴史の浅いSE構法ですが、耐震性以外にもメリットがあるので、ぜひ参考にしてみてください。
□SE構法とは?
SE構法のSEは、Safety Engineeringを略したもので、「工学的に安全な構法」という意味で使われます。
では、工学的に安全な構法とは、一体どのような構法なのでしょうか。
ここでは、SE構法の特徴について詳しく解説します。
*計算された耐震性
建物の耐震性を高めるには、その土地の状況や建築材料を考えることが大事です。
それらを決めるには、設計士による計算が欠かせません。
ビルやマンションなど鉄骨やコンクリートで建築される建物には、「構造計算」が義務付けられています。
SE構法では、義務付けられていない木造の建物にも、構造計算を用いて設計します。
建物の強度や地盤強度などを計算し、梁の大きさや位置を決定することで、耐震性が高い建物が完成するのです。
このように計算が施されたSE構法の建物は、地震や台風にも耐えられます。
*高い強度の構造用集成材
SE構法の建築材料には、「構造用集成材」が使われています。
自然のままの木材は、乾燥や強度に違いがあり、設計上の計算が耐震性の向上に活かされないことが多くあります。
一方で、構造用集成材は、十分乾燥させて、強度を精密に計算しながら張り合わせたもので、経年変化も起きにくい建材です。
JAS規格が設けられているため一定以上の品質であるだけではなく、強度や性能が明確なことで構造計算をしっかりと設計に活かせます。
*自由度の高いデザイン
計算し尽くされた耐震性が高い構造と聞くと、間取りや外観の選択肢の幅が狭くなるのでは、と疑う方もいらっしゃると思います。
しかし、そのイメージとは異なり、SE構法は耐震性とデザインの自由度を兼ね備えています。
フレームが強い構造であるため、壁や天井の面積を小さくしても耐震性を確保できるのです。
そのため、吹き抜けのある開放的な間取りや大きな駐車スペースの確保も可能です。
□SE構法のデメリットとは?
耐震性も高くデザインの自由度も高いSE構法ですが、デメリットも存在します。
ここでは、SE構法のデメリットを解説します。
デメリットの1つ目は、設計変更が難しいことです。
SE構法は、建材や地盤強度などの精密な構造計算を必要とします。
そのため構造を大幅に変更しようとする場合、一から構造計算しなくてはなりません。
もちろん変更可能な部分も存在しますが、素人の知識では判断できないことなので、建築前にどこまでが変更可能かを建築士に確認しておきましょう。
最近では、ライフスタイルの変化でリフォームするご家庭も増えてきています。
将来のリフォームを見据えて、確認しておくだけでも参考になります。
2つ目は、建築コストが高いことです。
基礎工事費用が高いだけではなく、構造集成材の費用もかかるため、坪単位の工事費は通常の設計よりも約2万円から3万円高くなります。
工事費用は高いですが、耐震性が高いことで地震保険料が安くなる可能性もあるので、確認しておきましょう。
3つ目は、シックハウスが心配されていることです。
シックハウスとは、建材から発生する化学物質による室内空気汚染とそれに伴う健康被害のことです。
SE構法で使用される構造集成材は、化学物質を発生する接着剤で張り合わせているものもあります。
JAS規格を満たす構造集成材は、自然素材と同等の安全性であると言われていますが、こうした心配を解消するために、24時間自動換気システムの設置が義務化されています。
□SE構法のコストを下げられない理由とは?
SE構法のデメリットの1つとして、建築コストが高いことが挙げられます。
高い耐震性がある建物で予算内に収めるには、土地面積を小さくしなくてはならないのでしょうか。
SE構法のコストが高い理由は、工事費用と建材費が高いことが要因です。
しかし、この2点はSE構法の特徴であり目的である耐震性に欠かせないものであるため、コストを下げることは難しいのです。
一般的な構法は、安い建材を使ってある程度の耐震性を確保していますが、確保のためには柱や壁の数を多くしなくてはなりません。
そのため、建物のデザイン性は、SE構法よりむしろ自由度が低くなります。
一方で、フレームが強いSE構法は、柱や壁を少なくできるので間取りに融通が利きます。
縦方向に間取りを増やせるため、土地面積が小さくても一般的な構法と同じくらいの間取りを予算内で設計できる場合もあります。
□SE構法の高い耐震性の秘訣
SE構法に高い耐震性の秘訣は、構造用集成材や構造計算以外にも3つ存在します。
理由の1つ目は、接合部分の断面欠損が少ないことです。
一般的な構法では、細い柱の接合部分に穴加工をするため、強度が低く、大地震に耐えられないケースが散見されています。
一方で、SE構法では、特殊な金物で接合するため、断面の欠損が少なく、連続した揺れにも耐えられます。
2つ目は、柱の引き抜き強度が高いことです。
引き抜き強度とは、大きな揺れが起こった際にかかる引き抜きの力に、柱が耐えられる力のことです。
引き抜き強度には限界があり、大地震が起こると柱ごと引き抜かれてしまう場合があります。
SE構法では、連結部分を「柱脚金物」という特殊な金物で補強しているため、一般的な木造建物の5倍以上の強度にできます。
3つ目は、精度の高い加工です。
構造計算通りの部材に加工することは、耐震性の向上に欠かせません。
指定プレカット工場で加工されています。
□SE構法の建物が空間に自由度が高い理由とは?
高い耐震性があることに加え、SE構法はデザイン、特に空間の自由度も高いという特徴があると紹介しました。
ここでは、SE構法が空間の自由度が高い理由について解説します。
理由の1つ目は、ラーメン構造であることです。
一般的な木造建物では、横揺れに耐えるため「筋合い」と呼ばれる棒を何本も設置する必要があります。
そのため、壁や柱の数が多くなり、閉鎖的な空間になってしまうのです。
一方で、SE構法では、柱や壁が少なくても耐震性を確保できる「ラーメン構造」を採用しています。
ラーメン構造では、特殊な金物で接合部が補強されているため筋合いを必要とせず、家の中を開放的な空間にできます。
2つ目は、耐力壁の強度です。
ラーメン構造であっても、金物によって耐えられる強度にも限界があり、さらにはコストもかかってしまいます。
そこで耐力壁を採用することで、コストを抑えながら耐震性の確保が可能です。
通常の2倍の強度を持つ耐力壁は、少ない数でも耐震性を維持できるため、空間にも余裕を与えられます。
□まとめ
今回は、耐震性が高いSE構法について解説しました。
歴史が浅く、デメリット要素も残るSE構法ですが、それ以上の耐震性と空間の自由度を兼ね備えています。
耐震性は、地震が多い日本では建物に欠かせない要素になりました。
SE構法で、より耐震性が高い建物にしてみてはいかがでしょうか。
狭い東京の土地でも、SE構法では開放的な住宅を実現できます。
当社はSE構法のプレミアムパートナーです。
SE構法の住宅をご検討中の方は、ぜひご相談ください。