住宅瑕疵担保責任保険についてご存知ですか?

「夢のデザイン住宅を建てる予定だが、住宅に欠陥が出た時が心配」
「都心で狭小住宅を建てる予定だが、耐震性の欠陥が心配」
このような心配をお持ちの方はいませんか?
安心して住宅を建てられるように、住宅瑕疵担保責任保険があります。
今回は、住宅瑕疵担保責任保険の特徴をご説明します。

□住宅瑕疵担保履行法とは

住宅瑕疵担保履行法は、住宅に何らかの欠陥が発覚した際に業者の修繕義務を履行させるために2009年に国土交通省の法制度として誕生しました。
元々不動産業者や建築業者に引き渡しから10年間で発覚した住宅の瑕疵に対して無償の修繕義務が規定されていたのですが、業者の倒産や資金力不足で義務が果たされないケースがあり消費者の安全が確保されていなかったため新たに法律が施行されました。

住宅瑕疵担保履行法で不動産業者や建築業者が万が一の修繕費用を確保するために加入が義務付けられている保険を住宅瑕疵担保責任保険と言います。
住宅瑕疵担保履行法では、業者が義務履行のために事前に保険に入ることが義務付けられたため、安心して住宅を建てられるでしょう。

□住宅瑕疵担保責任保険とは

住宅瑕疵担保責任保険とは、住宅瑕疵担保履行法において業者が修繕義務を資金力の欠如を理由に履行できない状況を防ぐために業者が加入を義務付けられている保険で未加盟の場合罰則が設けられています。

*保証対象

引き渡しから10年間で発生した瑕疵は建築業者が修繕の義務を負います。
瑕疵とは消費者自身に責任がなく建築当初の業者の責任によって発生した欠陥である必要があります。
そのため、保証対象には制限があることを念頭に置いておきましょう。
保証対象となる瑕疵は2つに分けられます。

1つ目は、構造耐力上の主要部分の問題によって発生する瑕疵です。
構造耐力上の主要部分とは、住宅の床下や基礎部分から柱、床、屋根などの住宅の骨組みとなる部分を指します。
これらの部分に欠陥があると、地震や台風などの災害が発生した場合に住宅が損傷するまたは住宅が倒壊するなどの危険性が高まり、常時でも住宅の傾きが発生する可能性が高まるでしょう。

2つ目は、雨水の侵入を防止する部分の問題によって発生する瑕疵です。
雨水の侵入を防止する部分は、屋根、外壁、開口部(壁や屋根に設置された窓)を指し、これらの部分の防水性の欠陥によって水漏れや雨漏りが発生するでしょう。

一方、住宅に瑕疵が発覚しても保証対象とならないケースがあります。
それは、住宅の持ち主自身が管理を怠ったことで発しした欠陥、地盤沈下や隆起、土砂崩れなどで発生した欠陥、シロアリや自然劣化などの外的要因による欠陥、引き渡し後の増築によって発生した欠陥です。
これらの欠陥は業者の瑕疵とはならず、ご自身で対応する必要があるでしょう。

*仕組みと保険料

住宅瑕疵担保責任保険は、国土交通省が指定した保険法人に宅建業者や建築業者が加入するため消費者が手続きや保険料を直接支払う必要はありませんが仕組みを理解しておくのが大切です。
業者が施工前に保険に加入して保険金を支払い、瑕疵によって住宅を修繕する時に修繕費用として保険法人が業者に保険金を支給する仕組みで修繕工事が行われます。

瑕疵発生時に業者が倒産している場合は、消費者が直接保険法人に保険金を請求できる仕組みなので業者の倒産を心配する必要はないでしょう。
保険料は戸建ての場合6万円から8万円で業者が支払う仕組みですが、住宅価格や工事費用に保険料が含まれていることが一般的です。
最終的には、消費者が保険料の一部を支払う仕組みとなっているでしょう。

支払われる保険金の上限は2000万円以上となり、倒産時は100パーセント消費者に保険金が支払われます。
国土交通省が指定している住宅瑕疵担保責任保険を扱う保険法人は全国で5つしかありません。

*手続きの流れ

住宅瑕疵担保責任保険は、業者と国土交通省指定の保険法人で結ばれるので消費者が手続きをする必要はありませんが、保険付保証明書が補助金などの申請で必要になる場合があります。

事業者が届け出を行った後、保険契約を申請してから住宅建設時に保険法人によって現場検査が行われます。
工事完了後、保険証券発行の申請を行い消費者に住宅は引き渡されます。
手続き自体は業者が行いますが、事業者が届け出をする際の保険法人や保険内容を確認し保険付保証明書を忘れずに受け取りましょう。

保険付保証明書は住宅引き渡し後1週間から2週間を目処に引き渡されますが、証明書の引き渡しが行われないまたは、消費者自身が保険付保証明書の存在を十分に理解しておらず紛失してしまうケースが稀にあります。
また保険付保証明書は、すまい給付金という補助金の受給を申請する場合、手続きのなかで提出を求められるので大切に保管しておきましょう。

□まとめ

今回は、住宅瑕疵担保履行法と住宅瑕疵担保責任保険について説明しました。
住宅を建てる前は不安が多いと思いますが、安心した暮らしのための法整備が整っています。
消費者自身の手続きの必要はありませんが、保険の確認と保険月保証明書の受け取りは忘れないようにしましょう。

著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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