家族の団欒の場であるリビングはできるだけ広く、居心地の良い部屋にしたいものです。面積が限られている狭小住宅では、3階建てにし、ワンフロアをリビングとダイニングとキッチンにあてる間取りが多くあります。ワンフロアを全てリビングダイニングキッチンにあてたとしても、建坪10坪であれば、各フロアは約20畳程度、その中から階段のスペース、1階であれば玄関、収納スペースも確保しなくてはなりません。その状況の中で広々とした居心地の良い空間を作るにはどのような工夫が必要でしょうか?

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間取りの工夫

キッチンやダイニングとの位置関係、開放的な空間を作る設計によって、間取りを工夫し、広々としたリビングを作ります。

キッチンやダイニングとの位置関係
キッチンとダイニングには、約10畳程度必要です。全体で20畳程度の広さであれば、リビングとして使えるスペースは6畳~7畳程度です。できるだけリビングを広く取る為には、リビングとダイニングとキッチンの配置の仕方、キッチンのレイアウトを工夫しなくてはなりません。

キッチンのレイアウトには、壁付タイプと対面タイプがありますが、部屋の形によって使い勝手と空間の広がりが異なります。壁付キッチンはキッチンにとられるスペースを少なく抑えられます。ただ、奥に壁付キッチンを配置すると、キッチンがダイニングやリビングからの視界にすべて入ってしまいます。その為、壁付きタイプのレイアウトにする場合は、奥の面ではなく、奥側の一方の壁に沿ってキッチンとダイニング、そして手前にリビングにすると、リビングが広く取れます。ただし、間口が狭い形状だと、ダイニングとキッチンの間が狭くなり、使い勝手が悪くなるそれがあります。

対面タイプにする場合には、奥から順に収納、対面キッチン、ダイニング、リビングと縦に繋げる方法、アイランドキッチンを縦に配置し、ダイニングテーブルを繋げ、手前にリビングを持ってくる方法などが考えられます。対面キッチンにすると、前面に腰壁があるのでキッチンのスペースは多めにとられてしまいますが、リビングからはキッチンが隠れるので、リビングにいる人の視界に生活感が入らなくなります。アイランドキッチンにする場合には、リビングからキッチンが視界に入ってしまいますが、アイランドキッチンにはおしゃれなデザインがたくさん揃っています。キッチンの生活感を隠すのとは逆に、キッチンがリビングからの視界に入っても、インテリアの一部として活かすことができます。

開放的な空間を作る設計
視覚的な開放感があり、日当たりの良いリビングにする為に取り入れられる設計上の工夫は、吹き抜けやスケルトンタイプのリビング階段、スキップフロアです。吹き抜けは1階と2階、2階と3階の縦の空間を繋げ、スキップフロアは間切りの代わりに段差を作って横の空間を拡げます。

限られた空間の中で、広々としたリビングを作る為には、間仕切りを減らすことに加えて、置き家具を設置しないことも効果的です。設計の段階から、リビングに必要な家具の種類と配置を考え、収納やダイニングテーブル、テレビボードなどを造り付け家具にするという方法です。造り付け家具は、模様替えができなくなるという難点もありますが、狭い空間を広く使え、インテリアと調和するので視覚的にも広く見せる効果があります。

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散らからない部屋にする工夫

同じ広さのリビングであっても、広く見えるリビングと狭く見えるリビングがあります。家具の配置なども影響しますが、すっきり片付いている部屋と、物が溢れている部屋の差が、室内を広くも見せ、狭くも見せます。その為、物が溢れないリビング、整理整頓を心がけなくてもいつの間にかすっきり片付くリビングにしなくてはなりません。

具体的な方法としては収納の工夫です。収納スペースは、たくさんあれば良いというものではありません。すっきりした部屋にする為に役立つ最小限の収納スペースがあれば良いのです。どこに何をしまうか、出し入れしやすい位置に、しまうものにあったサイズの収納スペースが部屋をすっきりさせます。

子供がいる家庭では子供のおもちゃやお稽古バッグ、アイロンかけなどの家事をリビングでする家庭ではアイロンやアイロン台、玄関に大型クローゼットを作らない場合には、帰宅した家族の上着など、家族構成や生活の仕方によってリビングに溢れるものは異なります。自分たち家族にあう収納スペースが、散らからない部屋に繋がります。

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インテリアの工夫

 

 

 

 

家具やカーテンの高さ、並べ方、配色、照明などによって、リビングを広々としたとした印象に演出できます。

家具
ソファはできるだけ低いタイプにし、ラグや壁の色と同系色にすると、圧迫感を抑えられます。または、低いダイニングテーブルとソファを組み合わせれば、ダイニングとリビングを兼ねるスペースにできます。ダイニングテーブルと椅子、ソファとローテーブルの組み合わせより、部屋を広く使えます。反対にソファを無くして、ダイニングテーブルと長時間寛いで座れる椅子にすることも選択肢の一つです。そうすれば大きめのダイニングテーブルが設置できるので、ゆったり食事ができます。アイロンかけなどの家事をしたり、子供が宿題をしたりする時にも使いやすいです。

部屋が繋がっているので、無理にリビングとダイニングを分けることだけを考えず、リビングとダイニングを兼用するという考え方で家具を選び、配置することも選択肢の一つです。

カーテンやドア
カーテンやドアは、天井からの高さにすると、部屋が広く感じられます。カーテンはレールだけのタイプではなく、天井位置にカーテンボックスを取り付けると、印象が変わります。カーテンの色調は壁やラグ、ソファの色と同系色にすると、部屋に圧迫感を与えません。同じアイヴォリー系でも、カーテンは壁より薄めの色、ラグはそれよりも少し濃い目、ソファはラグより少し濃い目というように、濃淡をつけると、ぼんやり感を避けられます。

照明
リビングの照明には、天井に設置するシーリングライト、天井から吊り下げるペンダントライトやダウンライトがあります。リビングの部屋全体を明るくし、空間を邪魔しない照明器具はシーリングライトです。吊り下げるタイプは、どうしても空間を狭く見せてしまいます。

吊り下げタイプでも、ダウンライトであれば、それほど空間を圧迫しません。壁面の見せる収納と組み合わせると、洗練された空間を演出できます。また、壁につけるブランケットライトを高い位置に設置すると、部屋を広く見せる効果があります。

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広々とした空間を支える耐震性能

吹き抜けやスキップフロアは、限られた面積の中で開放的な空間を作ることができますが、同時に耐震性能を揺るがす恐れもあります。壁や床の面積が通常の間取りの家よりも減ってしまうからです。その為、広々とした空間を支えるためには、一般的な家よりも高い耐震性能が必要です。狭小住宅で広々としたリビングの家を建てる場合には、広い空間と高い耐震性能を同時に実現できる木造建築の家でなくてはなりません。

重量木骨の家は、SE構法という高い耐震性を持つ工法で建てられる住宅です。広々としたリビングにする為には、間取りやインテリアの工夫が必要ですが、それと同時にそれらの工夫を支えることのできる家の性能が求められるのです。

安心して暮らせる広々としたリビングのある家を支えるのは、高い耐震性能です。

HOPEsの狭小住宅への思い

 

 

 

 

 

 

ホープスは、狭小住宅での快適な暮らしを実現させたいという思いで、すべての住宅の建築に向き合っています。
根本にあるのは、狭小住宅での快適さとは、無駄を省いたシンプルな暮らしにあるのではないかという考え方です。

敷地の形、道路や周辺の環境に合わせて、日当たりと風通しの良い家、プライバシーを確保できる家、高いインテリア性と優れた住宅性能を持つ暮らしやすい家、安心して暮らせる防犯性の高い家をご提案します。

狭いから快適さをあきらめるのではなく、より快適な暮らしを目指して、施主様のご希望に沿った家にしていきます。

狭小住宅としての参考になる建築実例がたくさんございます。ぜひご覧ください。

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著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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