都心に暮らす利便性は、生活していく上で捨てがたいものがあります。それゆえ、郊外のゆったりした戸建てではなく、都心に狭小住宅を建てる人が増えています。しかし、現実には、建てたものの暮らしにくく、失敗したと感じて後悔しているケースも全くないわけではありません。

多額の資金を使って建てた家が満足できない家、後悔の多い家であれば、日々の暮らしは幸福ではなくなってしまいます。後悔しない狭小住宅、暮らしやすい狭小住宅を実現する為にはどうしたらよいのでしょうか?

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狭小住宅を後悔している理由

狭小住宅で暮らし始めて、後悔している事柄の中で多く聞かれるのは、周辺の家との関わりです。具体的に暮らしにくさが作られる理由と解決法を確認していきましょう。

生活音
隣家との距離が近い為、隣家の生活音がまるで同じ家の中の他の部屋から聞こえているかのように明瞭に聞こえるという状況になることがあります。気候の良い時期に窓を開けているならともかく、窓を閉めていても防げないような周囲の生活音は、ストレスを生みます。

マンションならコンクリートだから、ここまで隣家の生活音が聞こえたりしなかったのでは?と後悔する人もいるでしょう。さらに、自分達の生活音も隣家に響いているかもしれないと思い、ひそひそ声で話したり、トイレや入浴にも気を使ったりする生活になってしまうこともあります。

このような状況に陥ってしまう原因は、住宅全体の気密性、住宅に使われている断熱材、間取り、窓の位置と窓にタイプにあります。

  • 気密性 気密性とは、家の内部と外部を流通する空気量のことです。気密性が高いほど、空気の出入りは少なくなり、気密性が低いほど、空気の出入りが多くなります。そして、空気の出入りとともに、音も出入りします。その為、気密性の低い家は、隣家の生活音が聞こえやすく、自分の家の生活音も周囲に聞こえやすい家になってしまうのです。日本の在来工法の家は隙間が多い為、気密性が低く、高断熱、高気密がされていなければ、音が通りぬけやすい家だと言えます。
  • 断熱材 屋根や壁に使われる断熱材や断熱塗料の中には、吸音、遮音など防音機能の高い断熱材や塗料があります。隣家との距離が近い、トラックが常時走行するような幹線道路に面しているというような環境であっても、グレードの高い断熱材や塗料が使われている高断熱の家であれば、静かに暮らせます。
  • 間取りと窓の位置 窓の位置が面している隣家の部屋によって状況が変わります。リビングとトイレ、浴室と寝室、階段と居室の窓、換気口と換気口、換気口と居室の窓、換気口とエアコンのダクトというような組み合わせは、お互いに生活音が気になる恐れがあります。隣家の生活の時間帯にもよりますが、隣家の間取りを調査して、お互いの生活音がストレスにならないような間取りと窓の位置にすることが大切です。

窓のタイプ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

窓は壁や屋根に比べると極めて薄い為、空気の振動が伝わりやすく、音が通りぬけます。さらにサッシの隙間からの空気の流入とともに音も侵入してきます。その為、窓が住宅の外側を包む部分の中で、最も音が侵入してくる場所です。陽当りなど、間取りの関係上、どうしても隣家の窓や幹線道路に面してしまうこともあると思います。そのような場合には、窓の機能が騒音防止に大きく影響します。

  • 二重窓 断熱機能の高い複層ガラスだけでは、防音はできません。樹脂サッシ+防音機能のついたガラスの二重窓が最も防音効果の高い窓です。二重窓では、内窓と外窓の間隔は広い方が遮音効果を上げられます。リフォームと違って新築の場合、内窓と外窓の間隔を十分にとれます。内窓と外窓の間隔は、20センチ以上開けると、高い防音効果が得られます。内窓と外窓の間隔を大きくすると、クッションのような役割をするガラスとガラスの間の空気の量が増えるので防音効果も高まるのです。
  • サッシ 樹脂サッシはアルミサッシより構造的に気密性が高いので、防音効果の高い窓です。樹脂サッシは熱伝導率も低いので、断熱性能も高いサッシです。当然アルミサッシよりも断熱性能が向上するので、防音性だけではなく、家の断熱性能も向上します。
  • 開閉方法 窓の開閉方法も気密性に影響を与える為、防音効果にかかわりがあります。開閉できる窓の中で最も気密性が高いのは内側に向かって開くことも外側に向かって倒すこともできるドレーキップ窓です。反対にアルミサッシの引き違い窓は最も気密性の低い窓です。
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ニオイ
隣家の家の調理のニオイが室内に充満してしまうことがあります。食事の支度をする匂いは良い匂いではあります。しかし、状況やニオイの種類によっては、我慢できないこともあるかもしれません。

外からのニオイの原因は、主に換気口の位置、エアコンのダクトの隙間です。隣家の換気口と自分の家の換気口が向かい合っていたり、自宅の窓が向かい合っていたりすると、ニオイが流入してきてしまいます。

ニオイの問題は、隣家の換気口やエアコンの室外機の位置と被らない位置に換気口を設置すること、エアコンの設置時にダクトと壁に隙間を作らないこと、気密性の高い窓を採用することで対処できます。

プライバシー
狭小住宅において日当たりの確保も重要な課題です。しかし、日当たりの為に大きな窓をたくさんつければいいという訳にはいきません。音やニオイのついで多く聞かれるのが、外部からの視線が気になって窓を開けられないという悩みだからです。

  • 窓の位置 日当たりを確保しつつ、隣家や道路からの視線を遮る為には、窓の位置の決め方が重要なポイントです。隣家の窓と向かい合っている面に窓をつけなくてはならない場合、窓の位置をずらして設置する必要があります。高い位置、低い位置につける、トップライトをつけるなど、周辺の環境と居室の種類に合わせて、位置を決めます。
    窓の形状と開閉タイプも、外部からの視線に影響を与えます。道路に面している居室には縦に細長い縦すべり出し窓、隣家に面している居室にはハイサイドライトやローサイドライトにするなどの工夫が必要です。
  • 間取り 窓だけでは十分ない日当たりを確保できない場合には、吹き抜けやスキップフロアなど取り入れる、ベランダの床にグレーチングを使う、トップライトからの光が当たる床に床用強化ガラスをはめ込むなどの間取や建材の工夫で採光量を増やします。リビングの位置をずらすことも選択肢の一つです。リビングの窓が向かい合ってしまえば、お互いに窓を開けにくいからです。隣家のリビングが1階にあった場合、自宅のリビングは2階にするなどして、リビングの窓が向かい合わないようにします。その他、間口が狭く、奥に長いというような敷地の形状の場合には、中庭を作る方法も可能です。中庭を作ると外からの視線を気にせず、常に窓を解放できます。
  • 外構 旗竿地に建つ狭小住宅の場合、敷地の入り口から玄関までの路地部分と隣家の窓との関係が通行しにくい状況を作ることがあります。この路地部分に面しているのが隣家の壁であれば問題ありません。しかし、リビングの窓であれば、お互いに視線が気になります。こちらも通行しにくく、隣家の人は窓を開けにくくなるでしょう。このような場合には、フェンスを設置すればよいのですが、フェンスが隣家の日当たりを遮る恐れもあります。事前に隣家と相談してから、フェンスや植栽を設置するようにしましょう。
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音、ニオイ、視線の問題は、家を建ててから解決するには難しい要素が多々あります。窓の位置や換気扇の位置などは簡単に変更できないからです。もしそれをするなら、建てたばかりなのに大掛かりなリフォームをすることになってしまいます。

しかし、音、ニオイ、視線はそのまま我慢して暮らすにはストレスが大きい問題です。そのような状況にならないように、家を建てる前に周囲の状況を十分に調査することと、問題を克服できる性能の高さを持った家を建てることが大切です。住宅の性能の高さが狭さを克服するからです。周囲の状況に配慮した家、性能の高い家を実現させ、ストレスのない快適な毎日を過ごし下さい。

HOPEsの狭小住宅への思い

 

 

 

 

 

 

 

ホープスは、狭小住宅での快適な暮らしを実現させたいという思いで、すべての住宅の建築に向き合っています。
根本にあるのは、狭小住宅での快適さとは、無駄を省いたシンプルな暮らしにあるのではないかという考え方です。

敷地の形、道路や周辺の環境に合わせて、日当たりと風通しの良い家、プライバシーを確保できる家、高いインテリア性と優れた住宅性能を持つ暮らしやすい家、安心して暮らせる防犯性の高い家をご提案します。

狭いから快適さをあきらめるのではなく、より快適な暮らしを目指して、施主様のご希望に沿った家にしていきます。

狭小住宅としての参考になる建築実例がたくさんございます。ぜひご覧ください。

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著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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