自然素材を用いたデザイン住宅のメリットデメリットについてご紹介します!

自然素材を用いたデザイン住宅のメリットデメリットについてご紹介します!

近年家づくりに用いる素材の種類として、「自然素材」の人気が高まってきています。
従来はコンクリートや鉄筋づくりがメインですが、自然由来の素材を使うことで多くの恩恵を得られます。
例えば自然独自のあたたかみや香りを家に取り入れたり、自然素材ならではのデザインや間取りにしたりできます。
しかし、自然素材といってもどんな種類があるのか、また自然素材の持つデメリットについて把握しておく必要もあります。
そこで今回は、自然素材を用いたおしゃれなデザイン住宅におけるメリットやデメリット、コストなどに焦点を当ててご紹介します。

□自然素材の種類について

自然素材には、「無垢材」「しっくい・珪藻土」「石材・タイル」「畳」の4種類があります。
それぞれの特性について見ていきましょう。

1. 「無垢材」
無垢材とは、木を切り出して一枚板に加工したものです。
使用される箇所としては、フローリング・キッチンカウンター・窓枠・壁・天井など多岐にわたります。

自然素材であるため、加工された木板に比べて高級感があり、自然に近い木の香りやあたたかみを家にもたらしてくれるといった魅力を持ちます。
また、木の種類によっても木目が異なるので、ナチュラルな雰囲気から現代風な雰囲気まで、多くのテイストに合わせられるのも魅力です。

2. 「しっくい・珪藻土」
しっくいは消石灰、珪藻土は藻の化石からできています。
これらの自然素材は、一般的に壁や天井の仕上げ材として用いられることがほとんどです。
しっくいは昔から日本で用いられてきた歴史があり、質感がなめらかです。
珪藻土は凹凸模様の種類が多くあり、オリジナリティを出せます。

そして何といってもこれらの魅力は、消臭・調湿性能があることです。
調湿性能とは室内の湿度を快適に保ってくれる性能のことで、例えば湿度の高い夏は湿気を吸収し、乾燥している冬は湿気を放出してくれます。
これによって、夏でも冬でも快適性を確保できるのが魅力ですね。

3. 「石材・タイル」
タイルは加工品ではありますが、化学物質が少なく自然素材に近い特徴を持ちます。
これら2つの素材は、高級感があり床や壁のアクセントとして用いられることが多いです。

4. 「畳」
畳は ”い草”と呼ばれる自然素材を用いており、これにはリラックス効果があるため畳のある部屋では落ち着いた雰囲気で過ごせます。
最近は畳のある和室のデザインの種類も増えており、おしゃれに仕上げることも可能です。
また、家事や収納スペース、キッズルームとしても使えるのが魅力です。

□自然素材のメリットとは?

あえて自然素材を家に用いるメリットは、「健康に良い場合がある」「耐久性が高い」「質感が良い」「快適な空間になる」の4つあります。

*「健康に良い場合がある」

自然素材は接着剤やコーティング剤などを用いないため、その分化学物質の量が少ないです。
これによって「シックハウス症候群」といった健康被害を防げるメリットがあります。
特にアレルギーを持つ方や高齢者、小さな子どものいる家庭の場合は安心して日々を暮らせるでしょう。

*「耐久性が高い」

自然素材は耐久性が高いため、頻繁なリフォームや修繕が必要ありません。
これによって、長い目で見た時の維持費の節約に繋がります。
また、無垢材からできたフローリングの場合、キズがついてもヤスリで元通りになるのでメンテナンスも楽にできます。

*「質感が良い」

自然素材には、加工品や工業品独特の感触は無く、優しい質感を持ちます。
また、調湿性能があるためべたつくことも少ないです。

*「快適な空間になる」

消臭・調湿性能があるため室内の湿度を快適に保ち、嫌な臭いも吸収してくれます。
先ほど挙げたように、夏は湿気を吸収し冬は湿気を放出することで湿度を快適に保ってくれるのです。
また普段雨が降った日や晴れの日でも同様なので、一年を通して気持ちよく過ごせます。

□自然素材のデメリットとは?

一方でもちろん自然素材にはデメリットもあります。
デメリットも把握しておくことで、後悔の無い様に家づくりをしていきましょう。
デメリットは、「形が変わってしまう可能性がある」「初期費用が高い傾向にある」の2つです。

*「形が変わってしまう可能性がある」

自然素材の中でも特に珪藻土や無垢材は、その調湿性能によって膨張したり伸縮したりすることがあります。
これによって小さなひび割れや変形が発生してしまうのです。

従来のような加工品ではこのようなことは無く自然素材ならではの特徴なので、経年劣化による深みが出てきたとも取れますが、精度の高い仕上がりも求めている方には向いていません。
変形したりひびが入る可能性がある、ということを念頭に置いておきましょう。

*「初期費用が高い傾向にある」

自然素材は基本的に費用が高くなりがちです。
なぜなら、丁寧で精度の高い施工と、それに伴う手間がかかるためです。
加えて先ほども挙げた伸縮性・変形によるズレも加味して施工しないといけないので、従来の建材よりも時間がかかり、その分の費用も高くなるのです。
もし自然素材の導入を検討しているのであれば、初期費用のことも考慮しておきましょう。

□自然素材を用いたデザイン住宅と従来の家の違いは?

自然素材を用いた家と従来の家、これらの違いについて「住み心地」「メンテナンス」「コスト」の観点から見ていきましょう。

1. 「住み心地」
自然素材の家は部屋の温度・湿度を調整し、においを打ち消す効果があるので、従来の家に比べて住み心地は抜群です。
例えば、部屋干しした際のジメジメ感や料理後のにおいも吸収してくれます。

一方で従来の家の場合、素材自体が温度・湿度を調整することは少ないので、冷暖房・除湿機・加湿器の使用が必要になることがほとんどです。
自然と調整・吸収してくれることは少ないので、快適性で見た時は自然素材の家の方が良いでしょう。

2. 「メンテナンス」
自然素材の家は従来の家に比べて非常に長持ちします。
従来の家の場合経年劣化によるメンテナンスは必須ですが、自然素材の家の場合は大規模なメンテナンスは必要ありません。
ただしキズが付いた際や濡れた際などの、普段のメンテナンスは必要です。

3. 「コスト」
自然素材を用いた家は、従来の家よりも費用が高くなってしまいます。
理由は、オプションとして追加料金がかかることが多いからです。

しかし注文住宅の場合は、自然素材に関わらず選び方次第では高額になることもあるので、必ずしもデメリットになるわけではありません。
自然素材の家はオプションの選び方を工夫すれば、コストを抑えることも可能です。

□自然素材の家のコストについて

ここではもう少し自然素材の家に関するコストについて詳しく見ていきましょう。

結論、自然素材の家は従来の家のコストと比べると高額になることに留意しましょう。
一般的な家の場合、ビニールクロスや合板フローリングなどで壁や天井、床の仕上げを行います。
この工程はシンプルかつ、よく行われる工法なので手間もコストも最小限で済みます。

一方で自然素材の場合、壁や天井は塗り壁を用い、床は無垢材を用います。
特に塗り壁は、下地処理や下塗り・本塗りなどといった工程があり、これに伴う工賃や材料費が必要になります。
また材料費自体も高いため、全体的に費用が高くなってしまうのです。

□自然素材のおしゃれな内装を作るために

自然素材の家はおしゃれな雰囲気になりやすいですが、よりおしゃれな内装を作るためには、主に2つのポイントを意識して家づくりを行う必要があります。

1.理想のイメージを固めておく
「どのような内装にしたいのか」という具体的なイメージが無ければ、家の設計の際にどのような内装にしたいのか上手く伝えられません。
デザイン住宅は、自分のイメージを伝えてそのイメージに基づいて家づくりしていくものなので、イメージが固まっていることは理想の家を作るためには非常に重要なのです。

内装のイメージを固めるためには、インターネットで内装の画像を検索し、理想のイメージに近い画像を保存しておきましょう。
また、カタログで気に入ったものがあれば、そのカタログをまとめておくこともおすすめです。

2.色使いをシンプルにする
内装をおしゃれにするためには、色使いも非常に重要なポイントです。
さまざまな色を使わずに、極力シンプルな色使いを心がけて統一感を持たせることをおすすめします。
派手な色を使ってしまうと、飽きたり将来恥ずかしい思いをしたりすることにつながってしまうので注意しましょう。

色使いをシンプルにすると言っても、どのような色が良いのか分かりづらい場合は、ホワイトやベージュ、ブラウンなどの王道の色をベースに違和感のない色使いをすることをおすすめします。
この際、色は、多くても3,4色程度に抑えておきましょう。
色が多すぎると統一感が失われてしまいます。

□自然素材の家づくりのポイントとは?

自然素材の家づくりは、一般的な家づくりと違った家づくりのポイントがあります。
以下を意識することで、より自然素材を楽しめます。

1.経年劣化を楽しむ
一般的な建材と自然素材の大きな違いとして経年劣化が見えやすいという面があります。
特に無垢材は時間が経つにつれて、木が持っている油分がにじみ出て色が変わったり艶が出たりします。
この経年劣化を楽しむことが自然素材の家を楽しむためのポイントです。

また、樹種によっても変化していく色は異なるため、自然素材の家づくりの際は、経年劣化を楽しむ気持ちを忘れないでおきましょう。

2.適材適所の素材を選ぶ
自然素材の家づくりでは適材適所の素材を選ぶことも重要です。
自然素材はそれぞれ異なった性質があり、素材ごとに持つ機能を活かせる部分に使用することをおすすめします。

例えば、無垢材は肌触りが良かったり吸湿効果があったりするうえに、加工しやすいという特徴があるため、壁や床、天井などさまざまな場面で採用されます。
しかし、水には弱く、水回りや浴室などには不向きなため、他の自然素材のものを選ぶことをおすすめします。

また、珪藻土や漆喰は、調湿効果や耐火性、消臭効果が期待できる素材であるため、リビングの壁や天井に採用すると快適な住空間を実現できます。
一方で汚れがつきやすいキッチンの壁には向いていないので、お手入れがしやすいタイルのような素材を採用することがおすすめです。

□自然素材のデザイン住宅で後悔しがちなポイントと対策

自然素材のデザイン住宅は魅力的な面が非常に多くあります。
しかし、多くの方が対策を知らないがために後悔しがちな一面もあります。
ここからは、後悔しがちなポイントとその対策について3つ紹介していきます。

1.生活感を出さない努力が必要
自然素材の家の雰囲気を気に入って自然素材の家に住もうと考えている方もいらっしゃるでしょうが、自然素材の家の雰囲気を保つためにはこまめな掃除が必要です。
なぜなら、ものが多く散らかっていては生活感が出てしまい、ナチュラルなイメージが崩れてしまうからです。
そのため、ものを片付けるのが苦手であるのにもかかわらず、自然素材の家に住み、自然素材の良さが活かされないという後悔をしないようにしましょう。

2.健康被害が完全になくなるわけではない
自然素材の家に住むからといって、アレルギーやシックハウス症候群などの症状が完全に抑えられるわけではありません。
そのため、「アレルギー症状を完全に抑えたいから自然素材の家に住む」という考え方は後悔する原因にもなりかねないのです。
アレルギー症状を抑えるには、原因を特定する必要があるため、アレルギー症状を抑えたい方本人が何に対してアレルギー反応が出るのか知る必要があります。

3.ハウスメーカー選びを慎重に
自然素材のデザイン住宅を建てる際には、ハウスメーカー選びが非常に重要です。
ハウスメーカーによって職人の技術の差もあります。
また、ハウスメーカーの中でも実績が豊富な会社とそうでない会社とでは、完成した家の質に差が生まれる可能性もあります。
そのため、実績のあるハウスメーカーに自然素材のデザイン住宅を建ててもらうようにしましょう。

当社は、家を建てる分野において豊富な実績を持っています。
また、アフターサービスも充実しているため、安心して家づくりを依頼できます。

□まとめ

自然素材の家は調湿・消臭機能があるため、一年を通しての生活が快適になります。
また、質感も良く高級感があるため、デザイン面でも問題はありません。
自然素材の種類も豊富なため、用いる箇所も選べます。

ただし、変形したりひびが入ったり、コストが高くなってしまったりするというデメリットも考慮しておきましょう。
コストに関してはオプションの選び方次第で抑えられるので、場合によってはそこまで高額にならずに済みます。
もし家づくりをお考えの方がいらっしゃいましたら、自然素材を用いたデザイン住宅を検討してみてください。

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著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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